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真似と開閉と世界旅行

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闇の中で~

 
前書き
ただ倒せばいいのなら楽に考えられるのですが・・・ではどうぞ。 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

俺はしばらく走って息切れを起こす。

「(さっきのダメージが・・・体力も気も足りなく・・・)」

「亮様!」

「・・・春鈴!?」

「話はクラナ様・・・というかアル様に聞きました!」

「・・・でも・・・」

「あ、いえ、わかってます。サチさんはご自分の手で助けたいんですよね?だから私は・・・」

春鈴が俺の手を両手で握り締め・・・気を流してきた。ご丁寧に俺に合った気に変換してある。



「私の有り余ってる気を持っていって下さい。それに、相手が空を飛べる以上、私はお役には立てませんから・・・」

「いや・・・大助かりだよ。ありがとう、春鈴」

春鈴の頭を撫でると、春鈴は俯いてしまう。

「・・・もう、無意識に・・・」

「え?」

「何でもありません!・・・行ってください!」

「ああ!」


春鈴のお陰で気に余裕が持てた。そしてまたしばらく走ると・・・四つの塊が空中でぶつかり合っているのが見えた。

「空か・・・」


携帯を取り出し、上を見る。

「モーションキャプチャー、オーズ!」

勝率の高いライダー・・・現れたベルトに三つのメダルを入れ、スキャンする。

「変身!」

『タカ!クジャク!コンドル!タ~ジャ~ドル~!!』


「ふっ!!」


空を飛び、腕に装備したタジャスピナーから炎を撃ち出す。

ドドドン!


「!?」


サチがそれを避け、距離を開く。

「みんな、無事か!?」

「・・・亮か?」

「ああ。状況は?」

「良いとは言えねぇな。レコンやヤミが何発入れてもすぐに回復しちまう。・・・なのはは?」

「気絶させた。早めに闇を吸収しないと・・・」

「OK。プランは分かるな?」

「ああ」

まずサチを動けなくする。話はそれからだ。

「いくら闇とはいえ、波状攻撃で大ダメージを与えればすぐに回復しない筈だ」

「説得力あるな、お前が言うと」


『来るッスよ!』

サチが闇を放ってきたので俺達は散開して避ける。

「容赦ないな!だったら・・・!」


俺は再びメダルをスキャンする。


『スキャニングチャージ!』

「プロミネンスドロップ!」

足の爪が開き・・・挟むようにサチにキックを放つ。

ガァァァン!

「ガァァァ!」

怯んだ。

「隙有りよ!」


闇風がクローを突き刺し、アバターの姿を変える。

「零距離・・・食らいなさい!」

ダララララ!

弾を全て使う勢いで闇風が銃を乱射する。そしてサチを蹴ってバック転して・・・

「オマケ!」

グレネードを投げる。直後に爆発するが・・・傷が既に治り始めている!?

「させません・・・!ランス・オブ・オーディン!!」


なのはの時よりも巨大な槍がサチを呑み込む。

「リパル、鎌だ!」

『了解ッスー!』


咲が鎌に闇を注ぎ・・・振り切る。

「デスサイズ!」

ズパァァァン!

「どうだ!?」

「ぐ・・・がぁ・・・」

「まだ動けるのか!?」

くそ、これ以上サチを傷つけるのは・・・!頼む、これで決まれ!


「はぁぁぁ!」

サチに向かって火を放ち、怯ませる。そしてタジャスピナーにメダルを入れ、スキャンさせる。

『タカ!クジャク!コンドル!ギン!ギン!ギン!ギガスキャン!』

身体が鳥を模した炎に包まれる。

「マグナブレイズ・・・!」

そしてサチに突撃。サチも闇を放射するが・・・

「セイヤァァァァッ!!」

それに打ち勝ち、サチを吹き飛ばす。

「アアアア!?」

そのまま地面に激突。沈黙する。

「ふぅ・・・ぐっ・・・」

負担で真似が解除され、俺は地面に落ちる。

「おい、亮!?」

「だ、大丈夫・・・それより・・・」

見るとサチはゆっくりと起き上がり・・・

「させない!」

「いい加減止まりなさい!」

闇風とレコンがそれぞれの武器を突き刺しながらサチを押さえ付ける。

「よし・・・後は内側からサチさんの心を引っ張り出せば・・・!」

そう、プランとはサチの心を外に出すこと。咲が言うにはアレにはサチの闇ではなく、他者の闇が含まれているらしい。そしてサチは、自我が残っていた。咲の賭けとして、そこまで意識が残っていたなら、本人次第だが精神を引っ張り上げれば闇を押さえきれるかもしれないらしい。どうやってサチの精神を引っ張り出すかと言うと・・・


「雛里の時と同じ・・・リパル、留守番頼むな」

『・・・ッス』


単純だ。咲が自身の心を闇としてサチの中に入る。そしてサチの心を見つけ出し、目覚めさせる。これは闇が使える者しかできない方法だが・・・

「咲・・・俺もサチの中に行けないか?」

「はぁ!?そんなの無理・・・って訳でもねぇけど・・・でも、あの中は攻撃的な闇で埋め尽くされてる。俺は闇に耐性があるけど・・・」

「・・・俺に闇が扱えないのは分かってる。でも約束なんだ!サチとの・・・大事な・・・!」

「・・・ったく」


咲が頭を掻き・・・俺を見た。

「覚悟、あるんだよな?」

「・・・ああ」

「はぁ・・・俺とお前がこの物語の生命線ってのも・・・」

「分かってる」

「だからこそお前か俺を残したいんだが・・・ま、いいか。両方生き残ればいい話だ」

咲はサチの元に走り出す。俺も後を追い・・・

「亮!俺の腕掴め!」

「あ、ああ!」

咲が差し出した右腕を掴む。そして咲は左手をサチに突き出す。

「さっきので要領は分かった・・・行くぜ!」

瞬間、意識が飛ばされた・・・









































































「・・・い、亮!」

「・・・っは・・・!」



目を開くと、辺り一面黒に覆われていた。

「ここが・・・」

「サチさんの精神だ。・・・闇のせいで殺風景極まりないがな」

「ふーん・・・でも身体に違和感は特に・・・」

「そりゃそうだ。お前の精神は俺の闇で覆ってある。それがある限りお前が闇に浸食されることはないぜ」

「そうなのか・・・あ、サチは・・・」

「とにかく潜ろう。ただ、俺から離れるなよ」

「・・・そうだな。ここではぐれたら迷子どころの話じゃ・・・」

「それだけじゃない。近くにいなければ俺の闇が消えて・・・お前が闇に呑まれる」

「・・・ハードだな。急ごう」


しばらく進んでいくと咲が顔をしかめる。

「咲?」

「いや・・・気にするな。それよりも・・・来るぜ」

「え・・・?っ!?」

辺りの闇から黒い影が現れた。

「コレは・・・?」

「異物を取り込もうとしてんだよ。負けんなよ、亮」

「お、おう・・・」


俺は身構えて・・・気付く。

「そう言えば精神なのに武器が・・・」

「記憶が造りだしてんだよ。俺も開閉能力とか使えるし」



「っと・・・来るぞ!」


迫ってきた影を切り裂く・・・が、手応えがない。

「これ本当に倒してるか!?」

「いいや、あくまで一時的に吹き飛ばしてるだけだ!すぐに復活する!・・・だからひたすら進め!」

「チッ・・・!」

気弾をばら蒔いて俺達は逃げる!

「・・・そういや、なんか疲れないな・・・」

「そりゃ良いことだ。ここで疲れるってことは精神が磨り減ってるってことだからな」

「うへぇ・・・お前は馴れてんなぁ」



「人に入った回数は数えるくらいだけどな・・・つか馴れたくもねぇっての」

影を吹き飛ばし、逃げるを繰り返す。

「こう殺風景だとなぁ・・・」

「まあ気持ちはわかる。ただ、ここで気が滅入ると・・・」
「わかってるよ・・・」



想像したくもないが・・・って。

「なんだこれ・・・」

「入口・・・だな」

「・・・!これ・・・覚えてるぞ。ここは・・・」

腕が震える。だってここは・・・

「テツオ達が・・・死んだ場所だ・・・」

咲がハッとなって俺の肩を掴む。

「バカ!思い出すな・・・がぁっ!?」

「咲!?」

咲が闇の塊に吹き飛ばされ・・・直後、部屋の中から無数の影が伸びてきて俺を掴んだ。

「なっ・・・」

「くそ、負の感情に牽かれたか・・・!?」


慌てて擬音で闇を振り払うが、既に室内で・・・

「亮!!」

咲が駆け寄るが・・・途端に入口が塞がれた。

「くっ・・・あっ」

辺りを見渡した時、奥の壁に黒い何かが広がっていて・・・そこに下半身が埋め込まれているサチの姿があった。

「サチ!!」

駆け寄ろうとしたが、殺気を感じて横に飛ぶ。

「・・・な・・・」

「なんで避けるかな・・・」

そこにいたのは・・・目の色が金色の、サチ。

「まったく、まさか亮がここまで来るなんて思わなかったよ」

「・・・」


「覚えてる?ここでみんな死んじゃったんだよ?亮とキリトのせいで・・・」

「黙れ。サチの声でベラベラ喋ってんじゃねえぞ」

「・・・酷いなぁ。確かに私は闇の一部。けどこの子の記憶を借りてるから、表面はサチだよ?」

「表面は、な!」

踏み込み、擬音を振るが槍で防がれる。

「サチはこんなに反応よくないと思うが・・・?」

「そうよ。流石にそこまで真似をする必要もないから」


「そうかい!」

サチの偽物を蹴り飛ばす。


「ったいな・・・酷いよ亮。私を蹴るなんて・・・」

「うっせ。偽物を蹴るのに戸惑いなんかあるかよ」

「冷たいね。悲しい感情がよく分かるよ」

「・・・」

大丈夫。本物のサチは背後にいる。相手の目だけを見て・・・


「・・・っ!?」

『シネ』


「な・・・が・・・!?」

『シネバイイノニ。イキテル、ズルイ。ナカマニナロウ?』
「な、なんだ・・・これ・・・」

「・・・おかしいと思った。なんでこの世界で平気なのかな・・・って」

「(そうか・・・咲と離れたから、闇の膜が・・・)」

負の感情が叩き付けられて気持ち悪い。早めに決めないと・・・

「ふふ・・・亮も一緒になろうよ。“私”もそれを望んでるみたいだし」

「おあいにく様。俺といるのを望んでるんじゃなくて、助けてもらうのを望んでるんじゃないかな?どっちも傍にいるって意味だし」

「・・・つまんない。もういいよ、潰すから」

サチの偽物の姿が異形化する。

「時間掛けてる余裕はないんだ・・・一気に行く!」

瞬動で背後に周り、斬るが・・・

「だから・・・痛いなぁ!」

怯まず、すぐに槍を水平に振ってくる。

「!?」


葬解で防ぎ、そのまま殴り飛ばす。

「大技だ・・・!」

擬音に気を溜め、光の剣を生み出す。

「鈴音罰殺斬!砕けろぉ!」


斬りつけ、破片を飛ばし・・・光に包まれた。

「・・・」

サチの姿は・・・ない。俺は急いでサチを壁から引っ張り出す。

「サチ!しっかりして・・・サチ!」

呼び掛けるとサチがゆっくりと目を開いた。

「・・・りょ、う・・・」

「ほっ・・・よかっ」


ザシュ

「あ・・・?」

「ひっ・・・」

腹から、槍が生えていた。

「ダメだよ、しっかり倒したか確認もしないでさぁ・・・」

「くっ・・・」

槍が引き抜かれ、俺は崩れ落ちる。

「亮!?」

「う・・・く、くそ・・・!」

身体が・・・重い・・・頭に声が響く・・・!!


「諦めてよ。ねえ私?このままなら亮といられるよ?だから取り込んじゃおうよ」

「・・・」

「っ・・・」

「・・・嫌」

「サチ・・・」

「・・・ずっと、あなた達の感情の中で・・・ただ、怖いってだけしか思ってなかった。けど・・・」

サチがゆっくりと偽物に向かって歩く。

「亮が来てくれて、今こうやって起きてあなたと話して・・・わかったの」

「・・・何が?」

「恨みとか、怒りとか・・・それよりも、寂しい・・・んだよね?」

「はぁ?何を・・・」

「だって、今私の中にある感情は誰かをずっと求めている。同じ苦しみを持つ人、その苦しみを理解してくれる人」

「・・・ワケわかんない。いきなり語り出して・・・そんな陳腐な理由で・・・」

「陳腐じゃないよ。・・・だって、同じだから」

「は?同じ?」

「私の記憶にあるでしょ?私もずっと苦しんでたから・・・それと似てたから、だからあなた達の気持ちが分かったんだよ」

「・・・分かったとしてなんなのよ。アンタが何をするのよ!!」

「・・・何もしてあげられない。ただ、苦しみを理解して、慰めることしか・・・私には出来ない」

「あんたバカ!?ここに何種類の闇が・・・負の感情があると思ってんのよ!」

「解らないけど。でも全員慰めて上げる。苦しみを共有してあげる。絶対に一人も見捨てない。それが・・・約束だから」

「サチ・・・」

サチがニッコリと笑う。


「亮、約束守ってくれたね。だから、今度は私が約束を守る番」



サチが、もう一人のサチを抱き締めた。

「・・・今まで、こんなに苦しかったのに・・・偉かったね。ずーっと頑張ってたんだよね」

「な・・・何よ・・・何で・・・」

もう一人のサチの目には・・・涙。

「何時も・・・何時も拒絶されたのに・・・闇は・・・あってはいけないのに・・・」

「私は拒絶しないよ。全部受け止めるから・・・」

「う・・・うぁぁ・・・ぁぁぁ・・・!!」


もう一人のサチが泣き・・・消滅した。

「サ・・・チ!」

気合いで立ち上がり、サチに近づく。

「亮・・・」

「・・・凄いな、サチ。カウンセラーに向いてるんじゃないのか?」

「・・・ううん。今のは、偶々私が苦しいのを理解できただけだから・・・」

「他人の苦しみを分かってやれるのは普通に凄いよ。・・・っと、状況は・・・」

「大丈夫。あの子が今までの出来事を教えてくれたから・・・みんなに謝らないと」

「・・・それもまずは目覚めてからね。えっと・・・」

その時、入口が開いて咲がやって来た。

「亮、無事か!?・・・ってサチさん!」

「あ、早貴ちゃん?・・・咲くん?」

「呼びやすい方でいいよ。さて、と・・・もしかして全部終わった?」

「大体は」

「そか。ここまでサチさんの意識がハッキリしてるなら平気かな・・・闇も落ち着いてるし・・・」

「なあ咲、どうやって帰るんだ?」

「ああ、目を閉じてくれ」

「?」

目を閉じると咲に腕を掴まれ・・・意識がぶれた。

「・・・ッ!?」



「あ、起きました!」


「春・・・鈴?」


『こちらも目が覚めたようですよ!』

「アルか・・・」

咲が起き上がってきた。

「ここは・・・」

「闇風達が運んで来たんだよ」

知也が俺を見て言う。

「闇風さんが・・・」

「アンタ達二人はレコンが運んで来たのよ」


「そうか・・・肝心のレコンは?」

「俺と交代でシリカのとこに行ったぜ」

「そうか・・・サチは?」

「・・・こっちです」

クラナが指差した方にサチが元の姿で横になっていた。

「そうか・・・よかった・・・」


そう言って立ち上がった時・・・


『やれやれ、こうもイレギュラーがいてはゲームとして面白くないね』

『!?』

あの男の声・・・!全員が空を見る。

『丁度オリジナルばかりだし・・・少し本気を出させてもらうよ』

すると空中に黒い塊が現れ・・・俺たちを吸い込み始めた。

「踏ん張れない・・・!?吸い込まれる!」

「はっ、サチ!」

「なのはさん・・・!」

俺とクラナがギリギリで手を掴むが・・・直後、全員黒い塊に吸い込まれた・・・・・・









 
 

 
後書き

「とにかく、前回も言ったけど同士討ちの被害が凄い」


「作者はまったく・・・」


「まぁ、シィの記憶からラカンだのナギだの出されたら積み出し・・・」


「チートは出さない方向で・・・」


「突っ込まれるな・・・それじゃ、次回もよろしく」 
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