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真似と開閉と世界旅行

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共闘~

 
前書き
ちょっと中途半端な終わり方に・・・ではどうぞ。 

 


「なかなか次の道が見つからないな・・・」

「それほどこの世界が広いんでしょうね」

俺の言葉に美鈴が返す。

「キュル!」

「?どうしたの、ピナ」

「何かを伝えたいようだが・・・」

マリク教官が言ったその瞬間・・・

ズズ・・・ン・・・!

『!?』

全員が気付いた。遠くから爆発、そして伝わる振動。

「だ、誰かが戦っているんでしょうか?」

「ええ、その確率が高いでしょう」


レコンとナタリアが話す中・・・更に爆音が聞こえた。

「とにかく行ってみよう!!」


俺達は音に向かって走り、音に近付いた時・・・とんでもないものを目にした。

「なんだよ・・・これ」

建物は倒壊。あちこちにクレーター。そして・・・

「う・・・あ・・・」

「・・・ぅ・・・」

ボロボロな少女が二人、倒れていた。片方は博麗霊夢だがもう片方の少女は見たことがない。インプのようだが・・・

「大丈夫ですか!?」


美鈴が霊夢に駆け寄る。

「あん、た・・・紅魔館の・・・き、来ちゃダメ・・・!」

「え・・・」

直後・・・美鈴の姿が視界から消えた。

「あぐっ・・・!」

「美鈴!?」

何かに吹き飛ばされ、美鈴が壁に激突する。

「うぅ・・・」


空を見上げると・・・白い服を身に纏った・・・高町 なのはがいた。

「また・・・敵・・・!倒さなきゃ・・・全部・・・!」


彼女はこちらに向け・・・大量の魔力弾を放ってきた。

「マジかよ・・・!くそ!」

俺は咄嗟に気を手に集め、気弾を連射する。だが全ての魔力弾は落とせず・・・

「くっ・・・回避!」


俺達は全員跳んで回避するが・・・土煙に視界を奪われる。

「きゃああ!?」

「ぐおお!?」

「ナタリア!?マリク教官!?・・・この!」

気を体外で破裂させ、生まれた風圧で土煙を吹き飛ばす。・・・鮮明になった視界には、倒れるナタリアとマリク教官の姿があった。

「二人とも・・・!」

「亮さん、後ろです!」

シリカの声で背後を向くが・・・すでに一本の桃色の光線が迫っていた。

「しまっ・・・」


「駄目ぇぇ!!」

シリカが咄嗟に気弾を放つ。練りが甘く、簡単に弾かれたが・・・僅かに軌道が逸れたお陰で右肩を掠める程度で済んだ。

「っ・・・!」

「亮さん!」

「大丈夫!ありがとう、助かったよ」



俺は構え直し、なのはを見る。

「邪魔しないで・・・!どうして出てくるの・・・!」


・・・あの様子じゃ正気じゃないか・・・多分。最初と同じ・・・なのはには俺達が黒い影に見えてる筈だ。

「厄介なことで・・・」


「・・・」

こっちに残ってるのは俺とシリカとピナ。そして・・・

「・・・あれ?」

レコンが・・・いない?その時、なのはが空を見た。それに釣られて上を見ると・・・

「あれは・・・!」

「・・・っ!」

レコンが飛んでいた。ただ・・・とんでもない魔力を放出していたが。

「なあ、シリカ・・・ALOにあんな魔法あったか・・・?」

「い、いえ・・・知りません・・・」


「亮さん!皆さんを衝撃から守ってください!」

「っ、いきなりだなおい!」

瞬動を使って美鈴と霊夢と黒髪の少女を一ヶ所に集める。
「・・・レイジングハート。カートリッジロード」

なのはの足元に魔方陣が展開される。

「・・・ダメだ。最低限の詠唱しか出来ないけど・・・!」



「ディバイン・・・バスター・・・!」

「ランス・オブ・オーディン!!」



巨大な雷の槍と桃色の特大な魔力。一目で分かった。・・・防ぎきれない。

「シリカ!俺に気を流せ!」

「ええ!?で、でも美鈴さんが・・・他人の気は上手く同化させないとダメだって・・・」

「同化は俺がやる!シリカはとにかく思いっきり気を流してくれ!」

「は、はい!」

シリカが俺の背中に手を当て、気を流してくる。それが体内に染み込む前に変換、自分の気にする。

「はぁぁぁぁ!!」

気を練り上げ、それを膜として何層も重ね挙げ・・・障壁を展開する。そして・・・二つの力は激突する。


ズガァァァァン!!

「・・・ッッ!!」



一瞬衝撃で障壁にヒビが入ったが、すぐに気を流して修復する。


「くぅぅ・・・!」

しばらくするとシリカからの気の流れが弱くなる。

「シリ、カ・・・!限界なら無茶をしないで・・・!」

「無茶・・・しないといけないんです・・・!そうしないとみんなが・・・」

「・・・すまない・・・!」


見れば雷の槍が押している。このままなら・・・

「終われない・・・!まだ仇も討ててないのに!!」

なのはが更にカートリッジをロードし・・・・・・双方が爆発した。

「ーーーー!!」

障壁がその衝撃で破れていく。最後に薄皮一枚残ったタイミングで・・・衝撃が収まった。


「くっ・・・はぁ、はぁ・・・」

「う、ぅぅぅ・・・」

シリカが座り込む。俺も少し脱力して方膝をつく。

「し、しんどいな・・・」

何とかみんなを守りきれた・・・けど。

「まさか、相殺されるなんて・・・」


「危なかった・・・でも、まだ・・・!」

さーて、どうしようか・・・
























































咲~


・・・一瞬、視界が閉ざされた後・・・俺達は空に投げ出された。

「ーーーーーー!!」

闇風が声にならない悲鳴を上げる。

「あはは!まさかいきなりダイビングなんてな!」

「笑ってる場合ですか知也様ぁ!?」

「あんの紫タヌキ・・・!みんな掴まれ!」

俺はBモードを発動して羽ばたく。そしてゆっくりと着地する。

「平気か?」

「まあな」

「お陰様で」

「・・・」

「・・・ヤミ?」

「っ!・・・え、ええ。問題ないわ」



春鈴の目が光る。

「ほほう、闇風様は高所恐怖症ですか」

「・・・何の根拠があって・・・」

「リョウコウさんから聞いたんですよ」

「な、嘘でしょ!?」

「はい、嘘です」

「・・・」

「・・・」

「・・・(チャキ)」

「いやいや!そんな本気なツッコミをしなくても!」

「あんた・・・人をおちょくり過ぎよ・・・!」

「軽い冗談じゃないですかぁ!?初対面だから距離を縮めようと・・・」

「余計なお世話よ!縮めたいなら戦いを通じてにしなさい!」

「分かりましたからそれは降ろして下さいって!」

「いやー、なかなか楽しいなぁ。な、咲?」

「軽すぎんだろ・・・ま、暗いよりはマシだけどよ」


軽くため息を吐いてから周りを見回すと・・・

「日本・・・か?」


「みたいだな」

見慣れた町並み・・・何処と無く空気も・・・

「・・・とにかく、誰かにでも合流しねぇと・・・っ!?」

「・・・どうした?」

「闇が・・・来る!」


直後、空から闇が雨のように降り注いできた。

「くそが!」

俺達は闇や武器、気を用いて闇を弾く。そして目の前に・・・異形な人形が現れた。

「・・・これは・・・」

「・・・おいおい、まさかよ・・・」

「ああ・・・完全に闇に呑まれてる。しかも異形化してるってことはそれほど闇の浸食が進んでる・・・!」

所々刺々しくて原型がよくわからないが・・・あの顔・・・髪型・・・

「紗智・・・さん?」

「ええ!?サチさん・・・ってあの・・・」


「・・・嘘でしょ。麻野さんが・・・」

この二人はサチをしってるようだが・・・

「来るぜ!先手必勝だ!」

『ルナ!』

トリガーマグナムから放たれた追尾弾がサチに当たるが・・・ダメージが入った様子はない。

「おいおい・・・」

「弾幕を張るわよ。合わせなさい」

「あいよ、闇風さんよ」

『アサルト!』

ダダダダダ!!


だが・・・その弾すら全て弾き、サチは突撃してくる。

「チィッ!」

Bモードを発動してあったのが功を成して、すぐサチの一撃を防ぐ。



「サチさん!・・・今闇を・・・!」

左手の異形化を更に禍々しく、闇を奪いやすいように変え・・・サチの胸元に手を突き立てた・・・瞬間。


『■■■■■■■■■■■■■■■■』

「ーーーーっ!?ウワアアアアアアア!?」



尋常じゃない負の感情。それが流れ込んできて、俺は思わずサチさんを弾き飛ばした。

「うっ・・・くぅ、あああああ!?」

むしろ俺の闇が暴走を引き起こしかけてしまう。

「おい咲!どうした!」

「あれ、は・・・サチさんの闇じゃない・・・!あんなの・・・とても一人が生み出せる闇じゃ・・・」



「咲!」

「ゴァァァ!」

サチが知也を無視して俺に突っ込んできた。・・・闇に牽かれたのか!?

「リパ・・・がぁっ!?」

方天画戟を取り出す前にサチに組み着かれ・・・

「ガゥゥゥ!!」

腕に噛みつかれ、更に、首をもぎ取ろうとしてくる。

「いってぇ・・・!!」


『咲さん!とにかく空間を開いて下さいッス!』

「とにかくって・・・こっちは首持ってかれないようにするのが手一杯だっての・・・!」


・・・と、Aモードを発動しようとしたその時。

「十字鎌鼬!てりゃあ!」


突如横からの一撃でサチが吹き飛ばされる。

「ご無事ですか、咲様?」

「なんとかな・・・」

後少し遅ければ腕を食い千切られたかもしれないが・・・

「咲様、ここは私にお任せを」

そう言うと春鈴は・・・以前とは違う、紅いトンファーを取り出した。

「それは・・・?」

「亮様から頂いた武器を元に改良した・・・私の誇り、“烈火”です。そして・・・!」

春鈴が気を放出する。すると気が空中で集まり・・・具現化していく。

「着装!!」

それが胸当て、肩のプロテクター、脚部に武具・・・


「・・・はっ!」

最後に額当てが巻かれ、春鈴が構える。

「足甲“冷滅(れいめつ)”・・・これが私の鍛錬の成果の一つです!」

「まるで特撮だな・・・」

春鈴は大きく息を吸い、ステップを踏む。

「違う世界のサチさんですが・・・呉はあなたに救われました。そんなあなたが誰かを傷付けるのをよしとはしませんよね・・・」

・・・そう言えば、リョウコウが恋姫の世界に行ったって紫が言ってたな・・・

「さぁ・・・行きます、よ!」


春鈴が踏み込み、サチの懐に入る。

「せやっ!」

トンファーによる一撃。鈍い音が響くが、サチは微動だにしない。

「あらら・・・固いです、ね!」

更に蹴りを入れるがまったく効果はない。サチはお返しとばかりに爪を振るうが、春鈴は跳んで回避する。

「十字鎌鼬・・・はさっきので効かないのは分かりましたからねぇ・・・手札を一枚切りますか」

春鈴がトンファーを振ると刃が現れ・・・

「・・・燃えなさい、烈火!」


気で光った刀身が次の瞬間、燃え盛る。そして春鈴は飛び上がり、腕を交差させて振り、×の形の炎が出来上がる。そこから空中で一回転、炎に向かって気を籠めた両足を突き出す。

「紅蓮・・・鎌鼬ィ!!」




打ち出された炎が回転しながら進み・・・サチに当たり、そのまま押されて壁に激突した。

「お、おおう・・・」

「やりましたか?・・・と言ってはいけませんよね」


「グルルル・・・」

「・・・ですよね」

春鈴は軽く息を吐き、刃をしまう。

「・・・私としても、あなたを傷つけるのはいい気はしません・・・だから」

ジャリ、と春鈴が足を開き、右腕を引く。

「・・・次で決められるよう、善処します」


見ただけで大技を繰り出そうとするのが分かる。


「援護を・・・」

「あ!いえ、援護しなくて平気です!」

「何言ってるのよ?技出すにも・・・」

「いい感じに敵意がこちらに向いてます。死なないように撃ち抜くなら、向かってきてくれた方がいいです」


「・・・自信あるねぇ」

「自信が無ければ戦えませんよ」


「ガァァァァ!!」

サチが突撃してくる。春鈴は静かに、長く息を吸い・・・

「冷滅・・・固定」

足甲から気で出来た爪のような物が現れ、地面に突き刺さる。

「烈火、装填」

一瞬眩く烈火が光ったが、すぐに光が収縮され、サイリウムのような感じになる。

「装填完了・・・!」

サチが迫り、横凪ぎに爪が振るわれるが、春鈴が右の烈火で防ぐ。そしてがら空きのボディに・・・烈火を突き付ける。

破射(パイル)・・・爆火(バンカー)!!」

キュオオン・・・!!

光が、サチを貫いた。そして、音が消えた次の瞬間・・・

ドォォォン!!

「ギアアアア!?」

サチが物凄い勢いで吹っ飛んだ。春鈴は構えを解き・・・大きく息を吐いた。

「手応えアリ・・・!」



「・・・スゲーな、おい」


「まだ手札はありますが・・・こんなに使ってしまうとは思いませんでした」

「あーあ、俺ら出番なかったな?」

「・・・なくてもいいでしょ、別に」

「とにかく、サチさんを・・・って」

「グルゥ・・・」

「おい・・・普通に立ったぞ」

「・・・手応えはあったんですが・・・どうやら闇の力は思ったより凄まじいみたいですね」

「・・・ガァ!」

サチは飛び上がり、俺達から逃げるように飛んでいった。

「あ・・・!」

「ま、待て!」

俺達はサチを追い掛けていく・・・
































亮~


「強すぎるんだよ・・・!」

「魔力・・・無尽蔵なんですかね・・・」



「はぁ・・・ふぅ・・・」

俺とレコンはなのはに苦戦を強いられていた。なのははあの一撃以降レコンに狙いを集中させ、俺も接近しようとするが弾幕がそれを許さない。シリカはさっきので気を使い果たしたせいでろくに動けず、なのはが稀に撃つ魔力弾を避けるのが必死だ。


「アクセルシューター!」

「くそ!」


俺は避けようとしたが・・・

「・・・あ・・・!」

背後に、気絶したみんな。・・・畜生!

「オラララァ!」

再び気弾を撃つが・・・一部の弾が曲がり、俺の気弾を避けていく。

「(障壁・・・間に合うか!?)」



気を練り直したその時・・・何かが全てを吹き飛ばした。

「!?」

「ガグァァァァ!」

「サチ・・・!?」


「また・・・新手・・・!」

なのはとサチがそのまま戦い出す。そして遅れて背後から・・・


「あれは・・・なのは!?」

「え・・・あ、咲!?」

「っと・・・!亮!?」

「お前、どっから「亮様ーーー!!」うわ!?」

いきなり不意打ちで飛び付いてきたのは・・・

「しゅ、春鈴!?なんでお前が・・・!」

「亮様を助けるために決まってるじゃないですか!」


「バカップルだねぇ・・・」

「呆れるわ・・・」

「知也と・・・誰?」

「アウィンさん?」

「あら、レコン」

知り合いってことは・・・

「リョウコウの世界の・・・」

「ええ。闇風よ、よろしく」

「そして高し(チャキ)分かりましたよぉ・・・」

「んで、状況確認なんだけど・・・やってる暇あるか?」

咲が上を見る。サチとなのはが戦っているが・・・

「しばらくは平気そうですね・・・今の内に対策を練りましょう」

レコンの言葉で、俺達は手短に情報交換を行う。



咲~




「・・・まず、あの二人を地上に降ろそう。今空を飛べるのは俺とヤミとレコン。亮と春鈴は地上で待機。知也とシリカは気絶してるみんなの避難と護衛を頼む」


「了解」
「はい!」


「待機か・・・」

「私たちは飛べないから仕方ありませんよ」


「ま、仕事はキッチリやるさ」

「が、頑張ります・・・」


「リパル、行くぞ!」


『ッス!』


方天画戟を取り出し、Bモードを発動。闇風も姿を変える。そして突撃してまずはサチに一撃を与える。

「頼むぜ、亮!」

ガキィン!

「雑だな、おい!」

「来ますよ!」

あっちはあれでいいとして・・・こっちか。

「ヤミ、レコン!取りあえず高速で撹乱!」

「はい!」

「ええ!」

三人でなのはの周りを飛び回る。話を聞く限り、怒りで我を忘れてるならその負の感情を吸収すれば・・・

「やぁぁ!」

「はぁぁ!」

レコンと闇風の一撃をなのははかわし、魔力弾を放って二人を引き離す。

「(・・・ここだ!)」


隙の出来た身体に向かって左手を突き出す・・・が。

『咲さん!駄目ッス!魔力反応が・・・』

「なぁ・・・!?」

ガキン、と障壁に阻まれ・・・更に、

「かかった・・・」

桃色のバインドが身体に巻き付いてくる。

「バインド・・・!?チッ・・・」

間近でなのはが魔力を溜める。

「またやられてたまるかよ・・・!」

俺は指を振る。

「閉じろ!」

閉じるのは・・・地面との距離。桃色の光線が髪を擦り・・・更に地面に激突したが、直撃を貰うよりはマシだ。

「って~・・・」

『咲さん、平気ッスか?』

「俺の状態は俺以上に分かるだろ?問題ないよ」

とにかく、力任せにバインドを破る。・・・ったく、堅いバインドだな。



「・・・」

なのははすぐに俺に向かって構えを取る。

「させません!」

「よそ見なんていい度胸ね!」


よそ見?・・・いや。

「二人とも!罠だ!」

どこに隠していたのか、あちこちから魔力弾がレコンと闇風を囲む。・・・避けきれない!

「うわあ!?」

「くぅ!?」

それでも直撃を避けたのは流石と言うべきか。二人はバランスを崩し落下するが地面スレスレで体制を直す。

「シュート・・・!」

俺に向かって放たれる光線。それを防ごうとした瞬間・・・何者かが間に入った。

ガァァン!

「・・・っ!?」

煙が舞い・・・晴れた時、青い髪の少年が目に入った。

「誰だ・・・?」

少年はチラリとこちらを見る。

「・・・大丈夫、ですか?」

「ん・・・あ、ああ・・・」

『クラナさん!?』

「リパル、知り合い?・・・っていうかリパルの知り合いならリョウコウの知り合いか」


『はい。クラナさんと言って・・・』



『どうやら話している余裕はないようですよ』

「え?・・・っと!」

魔力弾を飛んで回避する。

「だ、誰だ?」

『初めまして。相棒のデバイス、アクセルキャリバーと申します。愛称はアルです、よろしくお願いします』


「お、おう・・・日本語喋るデバイスはシィのキリエ以来か・・・」

「咲!悪い、そっち行った!」

「は?うわっ・・・てめえ、代わりになのはの相手をしろよ!?」

サチの一撃を回避して、そのままサチに向き直る。

「ヤミ、レコン、手伝ってくれ!」

「はい!」

「人使い荒いわね・・・」

















亮~

「厄介な奴を・・・春鈴、お前は下がって知也達を手伝ってやれ」

「平気ですか?」

「信用できないか?」

「そう言われたら信じるしかないじゃないですか」


春鈴はそう言って下がる。俺は少年に駆け寄り。

「ちらっと話が聞こえたけど・・・クラナでいいんだよな?」

「・・・ええ」

「リョウコウの知り合い?」

「・・・はい」

「俺達の援軍に?」

「・・・そうです」

「・・・」

さ、彩雅並みに会話が続かない・・・

『申し訳ありません。相棒は些かコミュニケーション能力に問題がありまして』

「・・・アル」

『・・・というわけでこちらも協力します』

「ああ。便りにするよ、クラナ。・・・さて、と」

俺は携帯を取り出す。

「親には娘だ。モーションキャプチャー、高町ヴィヴィオ!」

俺の姿はなのはの娘、ヴィヴィオの大人モードに姿を変える。

「・・・!!」

「ん?どうしたクラナ」

「い、いえ・・・」


クラナが唖然としてるみたいだが・・・とにかく、俺はなのはを見る。

「高町ヴィヴィオの戦い方はカウンターヒッター・・・けど、攻めるしかないか・・・」


『失礼ですが、どうやって彼女を止めるおつもりで?』

「とにかく気絶させる。後は咲に負の感情を吸ってもらって・・・落ち着かせる」

一応これはさっき咲と話した内容だ。


「・・・わかりました」

クラナが構えを取る。・・・格闘型・・・よく見たら足にも武器があり、そこにあった十の突起の二つが開いている・・・


「・・・ははぁ」

とにかく俺は飛び上がる。

「オオリャア!」

不意打ちのお陰もあって特に妨害もなく拳が障壁にぶち当たる。

「う・・・らぁ!」

そのまま勢いよく地面に向かって弾き飛ばす。

「クラナ!」

「・・・まさかヴィヴィオに・・・」

『呼び捨てにされる日がくるとは思いませんでしたね、相棒?』

「うるさい。行くぞ、アル」

『どうぞ。ギアは二つで?』

「場合によっては四つまで行くよ」

『了解』



なのはが振り向きながら狙ってきた・・・が、させない。

「ソニックシューター!」

単発の虹色の魔力弾を放ち、一瞬隙を作る。

「ふっ・・・」


クラナが踏み込み、拳を撃ち込む。

ダダダン!

「・・・ストライクアーツ?」


なのはがレイジングハートで捌きながら呟く。俺は背後からなのはに殴りかかる。


「オオラァ!」


ガガッ!

・・・だが、アッサリと障壁で防がれた。

「こんの・・・!」

正面をクラナが、背後を俺が攻める。だが・・・

「この・・・!」

障壁が薄いところを抜こうとするが、なのはは的確に障壁を張り直し、防ぐ。クラナの拳や蹴りもレイジングハートで弾いていく。

「アル!デバイス通し、レイジングハートと話せないか!?」

『試してはいますが、どうやら私の声も聞こえないようです!』


「チッ・・・駄目か」


「・・・」

『ヴィヴィオさんが舌打ちしてショックですか?』

「・・・無駄口叩くな」


「エクシードモード・・・」

「「!?」」

魔力による風圧で距離が開いてしまう。

「くっ・・・」

「アクセルシューター・・・フルパワー!」


大量の弾幕が展開され、俺は咄嗟に空を飛ぶ。そしてなのはを視界に捉え・・・拳を構える。

「一閃必中!セイクリッド・・・ブレイザァァァァ!!」

放たれた光線は弾を呑み込み、なのはに迫る。だがなのはは慌てず・・・

「・・・!!」


・・・なんと、レイジングハートを構えながら光線の中を突き進んで来た。


「マジかよ・・・!」

すぐに魔力の放出を止め・・・一か八かの策に出る。


「エクセリオンバスターA.C.S・・・ドライブ!」

右拳を引き・・・穿つ。

「アクセルスマッシュ!」

ガァァァァン!!

「っっっ!?」

「うわぁぁぁ!?」

なのはの砲撃の直撃を貰い、落下する。だがカウンターで顎に決めた・・・!

「ぐっ・・・うぁ・・・」

・・・体制が立て直せない。このままじゃ地面に激突・・・

「ヴィヴィオ・・・!」

・・・が、間一髪のところをクラナが受け止めてくれた。

「ふぅ・・・」

「いや・・・クラナ?助けてくれたのはいいけど・・・」

流石にお姫様抱っこはないと思う。

「あ・・・すみません・・・」

「いや、ありがとう」

なのはは・・・身体を揺らしながらもこっちを見続けていた。・・・もはやホラーだ。


「カウンター決めたのに・・・クラナ、次で決めよう」

「・・・どうやってですか?」

「君も必殺技の一つや二つはあるだろ?挟み込んで同時に撃つ」

「・・・わかりました」


・・・と、その時、なのはが・・・構えた。しかも辺りの魔力が収縮されて・・・っておい!?」



アレはスターライトブレイカー!?こんな場所じゃ・・・!

「アル!」


『Third gear Fourth gear unlock』

瞬間・・・クラナの姿が消えた。


「(速い!?)」

なのはの目の前に現れ、拳を振りかぶる。

「一拳撃滅!」

『Impact!!』

ガァン!

なのはを撃ち抜き、落下する・・・と思いきや、なのはは落ちながらレイジングハートをクラナに向ける。

「シュート!」

クラナはそれを避けようとせず・・・

「っ!」

『Absorb』

・・・クラナの手に触れた砲撃が、消滅した。そしてクラナは俺を見る。




「亮さん、行きます・・・!」

「あ・・・ああ!」

俺は走り、なのはを挟み込める位置に移動する。そして俺達は拳を握り締め・・・

「「ディバイン・・・バスター!!」」

『Discharge』

虹色と桃色がぶつかる境目・・・そこに挟まれたなのはは・・・成す術もなく、光に呑まれた。

ズゥゥゥ・・・ゥン!


「・・・!!」

ゆっくりと・・・服装が普通なモノに戻ったなのはが落下していく。

「やべ!・・・っ!」

ダメージと魔力消費で膝をついてしまう。だが、なのはは再びクラナがキャッチした。俺は真似を解除しながら近寄る。

「なのはは!?」

『脈拍、ならびに呼吸に異常は見られません。命に別状はないでしょう』

「「はぁ・・・」」

俺とクラナはため息を吐いた・・・直後、物音。・・・まだ、終わってない。

「次はサチだ・・・」

「俺も・・・」

「いや、クラナはなのはを頼む。・・・お前にとって大事な人なんだろ?」

「・・・え・・・」

「態度見りゃ分かるよ。違う世界のなのはでも必死に助けようとした・・・それに、俺を一回“亮”じゃなくて“ヴィヴィオ”って呼んでたしな」

つまり咄嗟に名前が出るほどの関係・・・

『なるほど、どうやら自分に向けられる気持ちには鈍くても、そう言った気持ちや思いに鋭いという情報は間違いではないのですね』

「・・・情報源に心当たりがあるけど・・・とにかく、行ってくるよ!」

俺は走り出す。待ってろサチ・・・! 
 

 
後書き

「・・・同士討ちの被害が甚大すぎる」


「・・・確かに」


「・・・とにかく次回はサチだ」


「ああ、次回もよろしく。それじゃ、次回もよろしく!」

 
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