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真似と開閉と世界旅行

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更なる葛藤~

 
前書き
今回色々とオリジナル設定が加わります。ではどうぞ。 

 
・・・翌日、天気も安定して・・・ロニール雪山に向かう。

「以前六神将がここに来たときは魔物だけではなく、雪崩で大勢の神託の盾が犠牲になったそうです」

「雪崩は回避しようがないからな」

イオンの言葉にガイが納得する。

「必要以上に大きな物音を立てないように。いいですね」

「ああ」



俺達は雪山を登っていく。その時・・・

「風の音か・・・?」

「まるで女の人が泣いている声みたい」

「なんか怖いよぅ・・・」

「そうですね・・・」

「・・・」

「ジェイド?まさか、ジェイドまで怖いなんて言わねーよな」

「いえ・・・昔のことを思い出しただけです」

「昔のこと?」

俺が聞き返す。

「フフ、この山で亡くなった女性の亡霊の話ですよ。聞きますか?」

「まあ、私はそういうお話大好きですわ」

「以前俺やガイは百物語に付き合わされたな・・・」

「ば、馬鹿馬鹿しい!行きましょう!」

ティアがスタスタと先に進んでいく。

「あれ?おまえ・・・」

「全然怖くないわ。だからとにかく行きましょう!」

・・・そういうティアの声は裏返っていた。

「くくく・・・愛依、平気か・・・って」

「「・・・(ガクガク)」」

・・・愛依と撫子がそれぞれ違う理由で震えていた。

「ぼ、ぼぼぼ亡霊なんて、い、いるわけないだろ・・・」

「あ、愛依の背後に雪おん「いやぁぁぁ!?」なぐあ!?」


愛依が悲鳴と共に繰り出した裏拳にはっ倒された。

「いてて・・・撫子は?」

「さ、寒い・・・です・・・ああ・・・目の前に温かそうな料理が・・・」

「く、黒羽!?撫子が幻影を見出してるぞ!?」

「ああー・・・ななめ45度にチョップをかますと直るぞ」

「撫子は古いテレビかよ」

知也が端から突っ込んでくる。・・・そうお互いに軽口を叩きながら進むと・・・何かの声が聞こえてきた。

「・・・まただ。なんか俺もおっかなくなってきた」

「・・・おかしい。今のは・・・確か・・・」

「・・・ええ。人の声です。気を付けましょう。私達以外に誰かいます」

「六神将・・・か?」

「・・・多分、間違いないと思うわ」

「よし、気を引き締めていこう」

そして、かなり広い場所に出ると、そこに・・・リグレットが跳んできた。


「来たなっ!」

その時、何かがナタリアを吹き飛ばした。

「きゃああ!?」

「ナタリア!?」

見ると・・・ラルゴとアリエッタが立っていた。

「アリエッタ・・・僕は・・・」

アニスがそれを止める。

「イオン様!アリエッタなんかにお話しすることないんです!」

「アニス・・・」

「知らなくていいことだってあるんだから・・・」

俺はナタリアに駆けつけようとしながら・・・殺気を感じて直槍龍牙を取り出す。

ガキャアッ!

「サキィ!」

「詠、か・・・!」

何とか詠を弾き飛ばす。

「ティア。これ以上自分を犠牲にするな!そこまでする価値があるのか?」

「教官。私は兄の極論には着いていけません。それを止めることができない自分も歯痒いけど、止めようともしないあなたも・・・軽蔑します」

「・・・では、もう私も容赦すまい。閣下の敵は殲滅する!」

ナタリアが立ち上がり際にラルゴに矢を放つ。

「ぬ・・・お姫様は城で大人しくしていたらどうだ」

「私を侮辱しないで。私には父の代わりに全てを見届ける義務があるのです」

「・・・父ねぇ。どちらにしても相容れないなら力ずくで止めるしなねぇな!」

「・・・エイ、話した通りサキには手を出すな」

「・・・仕方無いわね。けど、これで少しでも状況が変わらなかったら・・・」

「ああ、その時は覚悟を決める」

それぞれが戦闘を開始する。

「ホーリーランス!」

リグレットの一撃が俺に迫る。

「っ、当たっかよ!」

それを前に転がりながら避け、龍牙を投げる。

ガキン!

リグレットがそれを弾く際に出来る隙を利用し、ベルヴェルクを取り出しながら接近戦に持ち込む。

ガッ!

ゴッ!

ビシィ!

ダン!

お互いに肘や足を叩き込み、隙あらば銃を撃つがそれすらも避ける。

「(この動き・・・“知っている”?)」

ふと思考に意識を回した瞬間、リグレットの回し蹴りが脇に直撃する。

バキッ!

「っ・・・!!」

そのまま転がり、雪にまみれて重くなったマントを脱ぎ捨てる。

「・・・やるな、あれだけ動いて息を乱さないなんて」

「これくらい、団に入ればよくやることだ」

「・・・?」

違和感。俺はベルヴェルクを持ち直し、構える。・・・他のみんなは・・・









「狙い撃つぜ!」

知也がライフルで詠の死角を狙うが・・・詠は振り返り、弾を弾く。

「なっ・・・」

「グレイブ!」

「く、お!」

知也は無理矢理身体を捻り、転がって避ける。

「やぁ!」

「たぁ!」

愛依と撫子が同時に仕掛けるが、詠はそれを冷静に弾いていく。

「リパル!剣行くよ!」

『了解ッス!』

手数を増やすが、それでも詠は怯まない。

「虎牙破斬!」

ガキャンッ!

「っく!?」

「撫子!?」

「余所見なんて随分余裕ね!」

詠が高速で詠唱を終わらせる。

「アイストーネード!!」

「うあああ!?」

愛依が吹き飛び、倒れる。









「・・・くっ」

黒羽やアニスもアリエッタに邪魔をされ、ルークやガイはラルゴに苦戦している。ジェイドやナタリアは援護しようにもアリエッタや詠に妨害されて動けない。

「光よここに来れ・・・レイジレーザー!」

「っと!?」

リグレットから放たれた光線を避ける。

「お返しだ!オプティックバレル!」

「・・・ぐっ!」


不意を突かれたリグレットが地を滑る。

「へ、どうだ!」

「・・・」

リグレットは構えを解き、俺を見る。

「?」

「サキ、離れて!」

そこでティアはナイフを投げるが・・・リグレットは身体を半身傾けただけでそれを避ける。

「狙いが甘いぞ、ティア」

「くっ・・・」

「・・・サキ」

「・・・なんだ?」

「お前は記憶がないんだな?」

「それがどうした」

「なら・・・」

リグレットはそう言って胸元から・・・ネックレスを取り出した。

「これに見覚えがあるか」

「ああ?そんな・・・の・・・?」

あれ・・・?なんで見覚えが・・・あれは、あれは・・・

「そして、お前はペンダントを持っていないか」

それを聞いて俺は空間からペンダントを取り出す。それを見たリグレットの顔が歪む。

「やはり・・・」

「どういうことだ!」

「このネックレスは・・・私の弟が私の誕生日にプレゼントしてくれたものだ」

「・・・!」

「そしてそのペンダントは・・・そのお返しとして、数日遅れの弟への誕生日プレゼントとして渡した物だ・・・」

頭が痛い。次々に何かが頭に響く。

「その、弟は・・・」

「弟は・・・その数日後・・・戦死した」

「え・・・」

「だが、私に届けられたものは弟の鎧と剣だけ・・・そんなもので納得できる筈が無かった」

「ま、待ってくれ・・・」

「その弟の名前は・・・サキ、だ」

「ーーーー!!!」

それを聞いた瞬間、全て・・・失われていた記憶が一瞬でフラッシュバックし、甦る。

「あ、ああ・・・あああ・・・!」

そして・・・リグレットを見て、俺は口にする。

「ジ、ゼル・・・ジゼル・オスロー・・・?」

「・・・やはり、お前だったのか・・・サキ」

「嘘だ・・・俺は、俺は・・・」

「お前はあの時、死の預言が詠まれていた。私は後でそれを知り、預言を滅ぼすことを決意したのだ」

「そん、な・・・リグレットが・・・ジゼル・・・姉貴・・・?」

「サキが・・・教官の弟・・・」

ティアも唖然としている中、リグレット・・・いや、ジゼルが手を差し出してくる。

「サキ、私と共に来い。お前はあんな預言に翻弄されてなお私達の敵になるのか」

「お、俺は・・・」

「サキ!」

その時、辺りが揺れる。

「しまった!今の戦闘で雪崩が・・・!」

「譜歌を・・・!」

「駄目だ!間に合わない!」

「・・・くっ!」

俺はティアを突き飛ばす。

「え・・・!?」

「撫子!頼む!」

「咲さん!?」

「咲!・・・リパル!」

撫子が影を使うのと同時にリパルが飛んできた・・・瞬間、意識が飛ばされた・・・









『ジゼル、お疲れ様』

『ああ、どうだった?』

『姉貴にとことんしごかれたからな。訓練が楽で楽で・・・さっきまで自主練してた』

『なるほど。なら、また空きが出来たら鍛えてあげるわ』

ジゼルの言葉が柔らかくなり、それが気を緩めている時だと俺は知っている。

『・・・あ、あと二ヶ月で姉貴の誕生日か』

『そういえばそうだったわね』

『何か欲しいものとかある?』

『ないわ。サキが祝ってくれるなら、それだけで十分』

『でもなあ・・・よし!姉貴も女なんだから、アクセサリーの類いを少しでも身に付けろよ!』

『・・・やめなさい。私には似合わないわ』

『そんなこと言ってると、婚期逃すよ?』

『な・・・!?』

『はは!それじゃ、ちょっと品定めに行ってきまーす!』

『サキ、待ちなさい!・・・まったく・・・』









『・・・さん!咲さん!』

「う・・・リパ、ル・・・?」

目が覚め、気づく。身体が・・・動かない。

『無理しないで下さいッス』

「俺、は・・・どうな・・・って・・・」

『あの高さから落下して・・・全身、滅茶苦茶ッス・・・』

「・・・」

目を閉じ、状態を確認。落下時に骨の半数以上が砕け、更に内臓も損傷。並みの人間なら即死だが・・・

「(完全回復まで・・・数十分ってとこか・・・)」

生憎、この程度では死ねない。

「は、ははは・・・」

『咲さん・・・?』

「何なんだろうな・・・何なんだろうな・・・畜生・・・」

涙が零れる。

「どんだけ敵を増やせばいいんだよ・・・ああ、そうかそうだったのか。ヴァンの後悔するぞってこのことか・・・アは、アはハハはハはは!」

『咲さん!?正気を・・・』

「正気?正気だぁ?なにが正気だよちょっと何かあればすぐ狂ってるってか?ああそうだよ俺は狂ってるよハハハハハ!」

もう止まらない。色んな感情が混ざりあって暴走してそれが口から次々に溢れ出てくる。

「平和にするとかほざいて!殺して殺して殺し尽くして!そんで平和になったと思ったらぶっ壊されて!それを直そうとしたらまた次々と直さなきゃならない場所が増えて・・・いたちごっこだよ、バカみたいだよなぁ!笑えよ・・・いっそ罵ってくれよ・・・うぅ・・・あああ・・・!」

『・・・何を拗ねてるッスか』

「何だと・・・」

『そんなの子供の駄々じゃないッスか!何としてでも笑顔だけは守るって言ったじゃないッスか!?』

「・・・知ったような口を聞くなぁ!お前に何がわかるんだ!」

『わかる訳ないじゃないッスか!オイラは咲さんじゃないじゃッスから、口で言ってくれないとわからないッスよ!』

「この・・・屁理屈野郎が!」

『屁理屈なのはどっちッスか!』

「リパルだろ!」

『咲さんッス!』

俺はリパルを睨み(多分リパルも睨んでるだろう)・・・しばらくして・・・息を吐いた。

「はぁ・・・ばっかみてー・・・」

『え・・・』

「何なんだかなぁ・・・本当に俺はぐちぐちぐちぐち・・・あはは・・・」

『咲さん・・・』

「悪いな、リパル。・・・でも、なんかスッキリした」

俺は座っていた状態から無理矢理立ち上がる。・・・激痛が走るが、すぐに楽になる。

『オイラも・・・咲さんを弾いてからなんかイライラしてたみたいッス・・・』

「なんだ、じゃあお互い様か」

『咲さんのこと・・・心の底から信じられないことが自分で腹立たしくて・・・』

「それがどうしたよ?」

『え』

「あのな、お前は生まれてまだそんなに経ってないだろ?俺だって恋達の信頼を得るのにも相当時間がかかったんだ」

『でも、オイラは武器ッスよ?武器は主を信じるもの・・・』

「んなもんリパルの価値観だろ?世の中にゃ武器を道具としか見てない奴や武器に振り回される奴だっている。それに・・・俺はお前を武器なんて思っちゃいない」


『そ、そんな・・・』

「勝手に落ち込むな。ちゃんと最後まで聞け」

俺は一回深呼吸をする。

「お前はそうやって笑ったり怒ったり落ち込んだりできる。ただの武器じゃない。俺はお前を人間と同じで見てるし・・・その、あ、相棒だと思ってる」

『え!?』

「んだよその反応・・・そんなに嫌か?」

『い、嫌じゃないッスけど・・・』

「俺はとっくにお前を信用してる。・・・でも、だからってお前が気負うことは何もない。お前はお前なりに俺を信じてくれればいい」

『咲さん・・・』

俺はリパルに手を伸ばす。

「そんじゃ、行こうぜ。・・・みんな心配してるし・・・ってか愛依の奴・・・リパルと話しさせる為にリパルを投げてきたな・・・」

そしてリパルを掴んでも・・・俺の手は弾かれなかった。

『オイラは・・・オイラなりに咲さんを信じてみたいッス』

「・・・そっか」

俺はBモードを発動させ、空を飛ぶ。・・・そういえば・・・六神将の面々はどうなったんだろう・・・近くに血痕は無かったが・・・






































































「あ・・・咲!?」

愛依が真っ先に俺に気づく。

「よっ。・・・何とか生きてたぜ」

・・・その時、ティアが近づいてくる。

「貴方が・・・教官の弟だったなんて・・・」

その言葉に聞いていなかった面々が驚く。

「・・・ああ、記憶もある程度戻ったしな・・・」


「・・・聞かせてもらって・・・いいかしら?」

「・・・」

「・・・ご、ごめんなさい。無神経だったわね」

「・・・いや、いいよ。話す。・・・みんなも聞いてくれ」

俺はジゼルについて話し・・・思い出したくない、サキ・オスローが死んだ日を思い出していく。












































『・・・ふぅ、この調子なら、すぐ帰れるな・・・』

早く帰ってジゼルの誕生日をしっかり祝わないと・・・俺は鎧を脱ぎ、剣を置く。

『・・・ああ、隊長に明日の日程を聞かなきゃな・・・』

俺は用意されているテントから出て、隊長の部屋を目指すが・・・何かおかしい。

『(静かすぎる・・・?)』

その時、殺気を感じてすぐに飛び退る。

ヒュン!

『な、なんだ!?』

『勘の良い奴だ・・・』

そいつは・・・かなり地位の高い神託の盾兵だ。

『な、なにをするんですか!』

『預言に詠まれていた。この部隊は全滅する・・・とな』

『な・・・!?』

『死ね!』

一撃を避けきれず、頬を掠める。

『う、うわ・・・うわあああ!』

俺は走り出す。殺される。怖い。死にたくない。・・・気が付けば、目の前は崖だった。

『ここまでだな』

『く、来るな!』

ガラッ

『・・・!?』

足場が崩れ、俺は崖から落下する。

『(姉貴・・・ごめん・・・!)』

・・・そこで意識が途絶えた・・・



































「・・・後は前話したのと繋がるよ」


「サキは神託の盾騎士団に入ってたのか・・・」

「まあね。・・・なんか変な感じだな」

とりあえず、サキと咲の記憶がバッティングすることはなさそうだ。



「・・・あーーー!!」

「・・・アニス、大声を出すとまた雪崩が起きますよ」

「どうしたんだ?」

「私、サキに会ったことあるかもしれない・・・」

「え?」

「私がちっちゃい時にダアトで迷って・・・」

俺は記憶を辿っていく・・・あ。


「もしかして・・・アーちゃん?」

「アーちゃんぅ?」

ルークが笑いを堪えながら聞き返してくる。

「ん・・・こいつ、なんかの仕事の帰り道で帰れなくなってたんだよ」

「普段行かない場所だったから・・・」

「そんで人形抱えて泣きべそかいてたのを訓練帰りの俺が見つけたんだよ」

あー、あの時は仲間にロリコンの誘拐犯扱いされかかったんだよなぁ・・・

「あ、だからアニスの両親は俺をジロジロ見てたのか」

「普通分からないよ。だってその時と見た目が全然違うもん」

「・・・さて、昔話もいいですが、そろそろイオン様を休ませませんか?」

・・・どうやら俺が落ちている間にパッセージリングは操作し終えたらしいが・・・ヴァンが罠を仕掛けており、記憶粒子が逆流し、地核が再び活性化しようとしているらしい。そこでイオンを休ませてヴァンの元に向かおうとしたが・・・

「アルビオールが飛べない?」

「はい・・・この寒さで機関部が凍りついてしまって・・・復帰には一晩かかってしまうそうです」

「長くケテルブルクに居すぎたか・・・」

ノエルが頭を下げる。

「すみません。必ず明日には万全にします。・・・では、失礼します」

ノエルが走っていく。・・・つまり、一晩フリーだ。

「・・・」

俺は一人、ケテルブルクの景色を眺めていた。


「・・・」

ペンダントを取り出す。その時、、背後から雪を踏む音が聞こえてきた。

「・・・何か用か?ルーク」

「う・・・何で分かったんだよ」

「足音と気配でな?・・・それで?」

「あ、ああ・・・サキがリグレットの弟だったなんてな・・・」

「それに関しちゃ俺が驚いてるよ」

「でも・・・六神将は・・・」

「ああ・・・そうか・・・そうだよな、あの高さだもんな・・・」

みんなは撫子が守ってくれたから無事だった。けど、離れた位置にいた六神将は・・・

「でも、なんでかな」

「?」

「俺は六神将が死んだとは思えないんだ」

「サキ・・・」

「ルークからしちゃ、単なる現実逃避に聞こえるだろうけど・・・」

もしあの場に六神将の誰のかでも遺体なり血痕なりあれば俺はきっと泣き崩れていたかもしれない。・・・けど、俺の間近にいたジゼルの姿すら見えないと言うことは・・・

「明日、勝とうぜ」

「サキ?」

俺は思考を打ち払ってルークにそう言った。

「ああ・・・必ず勝たなきゃな。外殻の人を死なせる訳にはいかないんだ」

「へぇ・・・変わったな」

「な、なんだよ。サキまで・・・」

「前のお前なら利用されてると知ってもヴァンに着いてっただろ」

「まあ、否定はしないけど・・・」

「でも今は対立してる。・・・人間本気で変わりたいって思えば変われるんだな」


「・・・でも、まだまだだよ。俺はまだ全然償えていないから・・・もっと頑張らなきゃいけないんだ」

「・・・くく、まあ頑張れよ。・・・俺も決着がつくまでは付き合ってやるさ」

「・・・そうか、サキも何時かはいなくなっちまうんだよな・・・」

「んな顔すんなよ。・・・さあて、さっさと寝ようぜ」

「あ、ああ」

俺はホテルに向かって歩き出す。

『咲さん・・・やっぱり・・・』

「ああ、姉貴達は死んじゃいない。・・・理屈じゃなくて、なんか分かる」

『そうッスね・・・』

「リパル、明日はコンビ復帰早々にボス戦だが・・・やれるな?」

『当然ッス!とことんやってやるッスよ!』

「はは、頼もしいな。・・・んじゃ、今日は爆睡するとしますか」

ヴァン・・・ジゼルやアリエッタ、それに詠を利用した男・・・

「・・・必ず、ぶっ倒してやる!」

俺は決意を露にして叫んだ・・・


 
 

 
後書き
サキ
「・・・」

ティア
「本当にびっくりね・・・」

サキ
「本来のリグレット・・・ジゼルの弟の名前は“マルセル”なんだけどな。なんか色々都合があって俺を割り込ませたらしい」

ティア
「・・・それで設定が食い違ったりしないのかしら」

サキ
「そんときはそんときだろ」


ティア
「・・・そうね。サキは神託の盾だったのよね?」

サキ
「ま、ね。あんまし長い間じゃなかったけど・・・まあ、楽しかった」

ティア
「教官はどんな人だったの?」

サキ
「そりゃ公私共に厳しい!・・・に見えるけど、結構面倒見がよかったな・・・俺が動きを覚えるまで付き合ってくれたり・・・」

ティア
「私も少し反抗して訓練を休んだのだけど・・・教官、一日ずっと部屋の前で待ってたのよ」

サキ
「うわ、姉貴らしい。・・・多分、ティアが出てくるまでずっといるつもりだったな」

ティア
「きっとそうね・・・」

サキ
「さて、次回で第二部完結(予定!)・・・それでは、次回の続・真似と開閉と世界旅行!」

ティア
「次回また会いましょう」 
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