真似と開閉と世界旅行
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
決戦へ~
前書き
二部完結!・・・まあ、テイルズは大体三部構成だったりするので、次回からは第三部です。・・・ではどうぞ。
・・・朝になり、俺達は集合する。
「アルビオールの修理は完了したそうですよ。ノエルは先に港で待っています」
「イオン様、体の方はどうですか?」
「はい。もう大丈夫・・・と言いたいところですが、多分ご一緒しては迷惑がかかると思います」
「そうか・・・」
「では、いよいよですね。ルーク、準備はいいですか?」
「ああ。みんなもいいか?」
「ばっちり♪イオン様の代わりに総長の計画を食い止めちゃうもんね」
「必ず止めて見せますよ」
アニスと撫子が言う。
「・・・そうね。たとえ命を奪うことになっても」
「ティア。それで本当によろしいんですの?」
「・・・ええ」
「ティアがそこまで決心したなら、俺達も覚悟を決めるしかないよな」
「相手に不足なしだ。・・・狙い撃ってやるぜ」
ガイと知也もやる気は十分だ。
「アブソーブゲートからの逆流を止めて外殻大地を降下させる。・・・師匠と戦うことになっても!」
「この勝負、負けられないよな」
「うん。必ず勝とう」
黒羽や愛依も気を引き締める。
「ヴァンの野郎をブチのめす。・・・覚悟は十分だ」
「ミュウも頑張るですの!」
「ははっ。頼むぜミュウ。・・・みんなも頼む」
ルークが息を吸う。
「行こう!アブソーブゲートへ!」
俺達は決戦の場へと向かう。
「すごい音素を感じるですの」
「ここは最大セフィロトの一つ、プラネットストームを生んでいるアブソーブゲートですからね」
「ノエルは一人でここに残るのか。毎度のことだが、心細くはないかい?」
ガイが聞くとノエルはすぐに返事をする。
「ありがとうございます。でも、私なら大丈夫です。私はここで、皆さんのご無事を祈っています。お気をつけて!」
「ありがとう。・・・行ってくるよ!」
俺達はアブソーブゲートの中に入る。
「ここがアブソーブゲート・・・」
ある程度進んだとき、足場がいきなり崩れた。
「はぅあ!?」
「うぉっとと・・・危なかった・・・」
「まさか、外殻が限界に近いんじゃ・・・」
黒羽が言うと撫子は頷く。
「はい。・・・急ぎましょう」
そのままどんどん奥へ進んでいく。
「随分進んだな・・・っ!?」
その時、地面がかなり揺れ始める。
「今度はでかいぞ!」
「気をつけろ、地面が・・・!?」
「きゃあ!?」
俺達が乗っている足場が崩れた。俺は愛依の腕を掴み、咄嗟に近くの足場に手を伸ばす。
「っぐぅっ・・・!?」
「咲!?」
普通の人間ならまず落ちるが、生憎こちらは普通の人間ではない。
「よっ、と・・・」
片手で這い上がり、愛依を引き上げる。
「愛依、平気か?」
「な、なんとか・・・」
愛依は立ち上がり、辺りを見渡す。
「・・・みんなとはぐれちゃったな」
「あいつらなら多分無事だろ。とにかく、先へ進もうぜ」
魔物を倒しながら進んでいく。
「あのさ、咲」
「ん?」
「アタシ・・・ヴァンを倒したら、椿のとこに行くよ」
「・・・そうか」
「うん。・・・止めたり、しない?」
「しないよ。愛依がやりたいようにやればいい。だけど、約束は守れよ」
「約束・・・うん、そうだね。まずは迷惑をかけたりした人にちゃんと謝って・・・」
「ああ」
「償えること全部償ったら・・・椿を連れて咲達と暮らす」
「・・・おっし。それでよし」
『オイラも愛依さんの味方ッスよ』
「ありがとう、リパル。アタシ、咲やリパル・・・撫子や黒羽とも友達になれてよかった・・・」
「友達じゃなくてだなぁ・・・」
『家族ッスよね』
「てめ、人の台詞取るんじゃねえよ!」
「あはは!」
下に降りていくにつれ、どんどん強大な力が近づくのが分かる。
「・・・」
愛依が腕を抑えて震え出す。
「愛依・・・」
「いる・・・近くに、恐い何かが・・・いる」
「・・・きっとヴァンだな。・・・愛依、準備はいいか?」
「当然。・・・ちょっと怖いけどね」
「リパル使うか?」
『確かに、愛依さんならオイラは扱えるッスけど・・・』
「・・・ううん。これで、いい」
愛依が偃月刀を取り出す。
「・・・わかった。リパル、お前もやれるな?」
『何時でもOKッス!』
「それじゃあ・・・行くぜ!」
俺達は光る床に乗り、転送される。
「・・・どうやら、一番乗りじゃないみたいだな」
目の前にはヴァンだけではなく、ルークとティアがいた。
「・・・何故お前がここにいる?ここに来るのは私と共に秩序を生み出すべきアッシュ・・・」
ヴァンが振り返る。
「ルーク・被験者だ。私の邪魔をするな、レプリカ風情が」
「・・・っ!だったら・・・だったら何で俺を作った!俺は誰で、なんの為に生まれたっていうんだ!」
ルークが叫ぶが、ヴァンは嘲笑うかのように言う。
「何かの為に生まれなければ生きられないというのか?だからお前はただのレプリカでしかないのだ。哀れなレプリカに教えてやろう。お前はユリアの預言を覆す捨てゴマとして生まれた代用品・・・ただ、それだけだ」
「・・・師匠。本当に俺はそれだけの存在なんですか?俺という存在のせいで、預言は狂い始めてるんでしょう?」
「お前ごとき歪みなど、ユリアの預言はものともせぬよ。枝葉が変わろうと樹の本質は変わらぬ。・・・預言は麻薬だ。東に向かって歩けば大金を拾うだろう・・・そんな預言を実行して、その通りになれば次の預言も信じたくなる。ユリアは二千年をかけて、人類を預言中毒にしてしまった」
ヴァンの言葉が強みを増していく。
「二千年にも及ぶ歪みを矯正するには劇薬が必要だ」
・・・今まで黙っていた俺が口を開く。
「レプリカが劇薬?・・・妄想もそこまでいけば大したもんだな」
「フ・・・妄想・・・それもよかろう」
「確かに預言の言いなりは歪んでいる・・・けどレプリカの世界もかなり歪んでいるってアタシは思う」
「それに、お前はティアと・・・妹と本気で殺りあうつもりなのか?」
「姉と殺しあいを繰り広げたお前がそれを言うか」
「っ・・・」
「メシュティアリカ。私も残念なのだ。お前がユリアシティで大人しくしていれば・・・そうすれば、お前だけは助けてやれたものを」
「兄さんはレプリカの世界を作ろうとしているんでしょう?なら私を殺して私のレプリカを作ればいいわ」
「・・・では、どうあっても私と戦うか」
ティアが杖を構える。
「・・・ええ。元々私はその為に外殻へ来たんだもの」
「師匠・・・いや・・・ヴァン!」
ルークが剣を握り締める。
「あなたが俺を認めなくても、俺は・・・」
そして、長らくルークが愛用してきたカトラスを構える。
「・・・俺だ!」
「戯言を」
ヴァンもゆっくりと剣を引き抜く。
「消えろ!」
・・・来る!
「兄さん!他にやり方はなかったの!?」
「愚か者め。これ以外に預言から解放される手段はない」
「どのみちルークがいる時点で預言は外れてるぜ!」
ガキャンッ!
方天画戟による一撃はヴァンに防がれる。
「その程度で解決できるものか。たがが一人増えただけではさしたる影響もない」
ガァン!
そこに愛依が偃月刀を降り下ろす。
「とにかく、アンタをぶっ潰す!!」
「潰れるのは貴様の方だ!」
ヴァンの足下に輪が拡がる。
「愛依!」
「くっ・・・」
「守護氷槍陣!」
ズバァァン!
「キャアアア!?」
「愛依!?・・・貴様!」
Bモードを発動。その間にルークが斬り込む。
「双牙斬!」
カキャアアン!
「未熟だな」
「まだだ!」
ルークの右手に音素が溜まる。
「魔神拳!」
ズバン!
「なに?」
更にルークの剣に炎が宿る。
「魔王絶炎煌!!」
炎の一撃がヴァンを薙ぎ払った・・・かに見えたが・・・
「まだ甘いな」
ルークの胸元に掌が当てられる。
「絶破烈氷撃!」
「ぐあああ!?」
ルークが吹き飛ぶ。
「ルーク!」
「くそ、ティア!援護頼む!」
「分かったわ!・・・響け壮麗の歌声・・・ーーーー♪」
ティアが譜歌を使うと、俺の身体が軽くなる。・・・身体強化系の譜歌か!
「オラァァァ!!」
グァァン!!
ヴァンを防御ごと押し切る。
「ふっ・・・あの時私の為に働きたいと言っていたお前が私に刃向かうとはな」
「・・・ああ、思い出したくはねぇが・・・そんなこともあった、な!」
横薙ぎに払った方天画戟をヴァンは後ろに跳んで避ける。そして剣を腰元に構え・・・突き出す。
「光龍槍!」
背後にはティアがいる。・・・避けられない!
「ぐ、おおおおお!」
ヴァンの一撃を弾き飛ばす。・・・だが、その一瞬でヴァンに背後に回り込まれる。
ズバァ!
「ぐあっ・・・!?」
「貴様を背後から斬るのはこれで三度目だな」
「三度、目・・・だぁ・・・」
今とシェリダン・・・あと一回は・・・
『アリエッタか?』
ズシャア
『・・・え・・・』
「・・・ッ!」
俺は目を見開く。
「お前だったのか・・・あの時、俺を斬ったのは・・・!」
「貴様が生きていたとは驚いたぞ。・・・あの時はまだリグレットは協力的ではなかったからな。それにアリエッタという思わぬ収穫もあった」
「・・・預言を滅ぼす・・・そんな理由で二人を利用していたのか・・・!」
「そうだ。・・・それに勘違いするな。リグレット達も利用されているのを承知で私に協力していたのだ」
「・・・ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」
リパルを鎌に変形させて振るが、ヴァンは軽々と避ける。
「ちぃ・・・!」
「兄さん!」
「遅い。・・・グランドダッシャー!」
ズガァァン!?」
「「あああ!?」」
俺とティアは吹き飛ぶ。
「ぐ・・・ま、まだ・・・」
「滅びよ」
空から光が降り注ぐ。
「ジャッジメント!」
ズガガガガン!!
避けきれず、俺達は光の雨に晒される。
「ナメ・・・るな!」
Aモードを発動、一気に突撃する。
「ラァァァ!!」
「その程度か!」
Aモードのスピードに着いてきやがる・・・!
「では、終りだ」
大きく弾かれ、隙が出来る。
「(こうなったら一撃を貰ってでも・・・)」
そう考えた時、ヴァンの腕から血が吹き出した。
「ぬう・・・!?」
遠くからライフルを構えた知也がやって来る。
「やっと隙を見せてくれたな」
「知也・・・!」
「おのれ・・・」
ヴァンが詠唱しようとした瞬間、黒羽と撫子が飛んできた。
「そこです!」
「隙ありだ!」
二人の飛び蹴りがヴァンを吹き飛ばす。
「愛依!平気ですか!?」
「あ、あはは・・・撫子・・・随分格好いい登場だね・・・」
「ヴァン!」
回復したルークがヴァンに向かって走る。
「図に乗るな!」
しかし簡単に弾かれ、ルークが斬られそうになるが・・・
「真空破斬!」
ズバァァン!
「ガイ!?」
「私もいましてよ!スターストローク!!」
ズシャア!
ナタリアの矢がヴァンの肩を捉える。
「アニスちゃん参上!鷹爪襲撃!」
アニスが上から攻撃を仕掛けるが、ヴァンはギリギリでそれを防ぐ。
「アニス、引きなさい!・・・焔の檻にて焼き尽くせ。イグニートプリズン!」
ジェイドの譜術がヴァンを焼き払う。
「アニス・・・ジェイドも・・・」
「すみません。少々遅くなったようですね」
「遅すぎだ馬鹿。全滅したらどうすんだよ」
「あなた達なら必ず持ちこたえると思っていましたから」
「・・・はっ、よく言うぜ」
俺はリパルをぶん投げる。
『酷いッス~~!?』
ヴァンが弾いた隙に接近、闇を解放する。
「闇の鎖・・・抗えるか!ダークネスバインド!!」
「ぬお・・・」
「ルーク!」
「ああ!・・・うおおおおお!」
ルークが超振動を発動させる。
「これでも・・・喰らえぇぇぇぇ!!」
レイディアント・ハウル。ルークの秘奥義がヴァンに直撃し、ヴァンはふらつきながらも剣を地面に突き刺す。
「失敗作に・・・倒されるとはな・・・ふっふっふ・・・はっはっは・・・面白いでは・・・ないか」
ヴァンは笑いながら・・・その身体を地の底へ投げ出した。
「(・・・終わった・・・?)」
俺はAモードを解除し、その場に座り込む。
「サキ、私達はパッセージリングを操作しに行きます」
「ああ・・・後は任せた」
本来ならラジエイトゲートのパッセージリングも操作しなきゃいけないらしいが、時間がないので、アブソーブゲートのパッセージリングで無理矢理操作するらしい。・・・外史メンバーを残し、みんなが歩いていく。
「・・・」
愛依が一回顔を伏せた後・・・俺達から距離を取る。
「・・・行くのか?」
「・・・うん」
「え・・・どういうこと・・・ですか?」
「ごめんね、撫子。・・・アタシ、椿のとこに行かなきゃ」
「あ・・・」
「そっか・・・寂しく、なるな」
黒羽がそう言うと、愛依の目に涙が溜まる。
「二人とも、こんなアタシと友達になってくれて・・・ありがとう」
「いえ・・・」
「知也も、バチカルで助けてくれてありがとう」
「礼を言われる程じゃねえって」
「リパル、ずっと気を使ってくれて、ありがとう」
『愛依さん・・・』
「咲・・・アタシを許してくれて・・・ありがとう・・・」
「まだ許しちゃいねーよ」
「そうだね・・・ちゃんと帰ってこなきゃね・・・」
愛依の身体がゆっくりと透けていく。
「ありがとう・・・本当に、ありがとう・・・」
愛依の身体が殆ど見えなくなる。
『・・・行って・・・きます・・・!』
そして・・・愛依はこの世界から・・・いなくなった。
「ああ・・・行ってらっしゃい・・・」
俺は知也の肩を借りてパッセージリングに行くと、ルークが膝をついていた。
「ルーク?どうしました?」
「ローレライが・・・いや、今はいい。それより成功したことをみんなに知らせないと」
「ええ。イオンもノエルも、お父様も・・・きっと心配していますわ」
「兄さん・・・」
「ティア・・・」
「・・・ごめんなさい、ルーク・・・これで・・・よかったのよ」
「わかった。・・・みんな、帰ろう!俺達の大地へ!」
今ここに・・・全ての大地が魔界に降下した・・・・・・
「(頑張れよ、愛依・・・)」
俺がこれからやること・・・それは既に決まっていた・・・
後書き
サキ
「勝った!」
音々音
「勝ったではなく、詠はどうしたのですか!?」
サキ
「あぁ、いや・・・それは・・・」
音々音
「それに恋殿は見つけたのですか?」
サキ
「あ・・・悪い、まだ・・・」
音々音
「怒りのちんきゅーきっく!!」
サキ
「ごはぁ!?」
音々音
「何をやっているですか!ねねは恋殿が心配で心配で・・・」
サキ
「・・・んだよ、俺は心配じゃないってか?・・・はは、なんてな」
音々音
「それは・・・咲殿なら必ず無事に帰って来ると信じているのです。だから、心配する必要はないのです!」
サキ
「ねね・・・ああ、必ず恋と詠を連れて帰るよ」
音々音
「当然なのです!」
サキ
「それじゃ、次回の続・真似と開閉と世界旅行!」
音々音
「次回も見るのですぞー!」
ページ上へ戻る