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真似と開閉と世界旅行

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涙~

 
前書き
話の脈絡がめちゃめちゃなような・・・ではどうぞ。 

 
・・・あれからしばらく経った。愛依とルークは未だ目覚めず、俺自身も物思いに耽ることが多くなった。

「・・・」

『・・・また考え事ッスか?』

「・・・ああ。やることがないから、尚更・・・な」

何かやることは・・・愛依の様子・・・さっき見てきた。武器の整備・・・終わった。昼飯・・・食った。訓練・・・暇有らばやってるから集中力が持たない。
「・・・」

結論、ボーッとする。


「・・・」

『何を考えてるんスか?』

「元の世界の事だよ」

『それは・・・恋姫の世界ッスか?』

「ああ。・・・なあ、信じられるか?俺はずっとあの日本で毎日普通な暮らしを続けていくもんだと思ってた。それがどうだ?俺も外史の一部だ。家族も、趣味嗜好も全部創られたモノだったんだと」

『・・・』

「でも・・・今はそれでよかったと思ってる」

『何でッスか?』

「正史の存在じゃ恋姫の世界には行けなかった。俺が外史の人間のことも、俺や亮を選んだ神のジジイも・・・今は感謝してる」

『・・・色々あったんスね・・・』

「お前以上に生きてるしな」

俺は部屋に戻り、ベッドに横たわる。

「・・・」

このまま寝ると髪が乱れるので髪を上げてから、目を閉じる。









『お・・・父・・・さん』


『生きて・・・たの・・・逃げ・・・』

雨が降るなか、二つの声が聞こえる。
『俺・・・は・・・お前・・・殺・・・逃げ・・・』

よく声が聞こえない。

『いや・・・』

『わかるだ・・・人じゃ・・・』

『だっ・・・ら・・・わたし・・・』

何かの金属音。

『・・・悪い・・・おま・・・気にするな・・・』

『・・・さようなら、お父さん・・・!』

『生きろ・・・愛依・・・』

ズシャ・・・









「・・・ッ!?」

目を開く。・・・身体中汗びっしょりだ。

『大丈夫ッスか?ずっとうなされてたスよ?」



「あ、ああ・・」

・・・二時間位眠ってたらしい。

「あら、寝てたの?」

ティアが入ってくる。

「いや、今起きた。・・・ルークは?」

ティアは首を横に振る。

「・・・全然目を覚まさないわ。今はミュウが傍に」

「そっか・・・」

ふと気がつくと、ティアが俺を見ていた。

「・・・どうかしたのか?」

「あ、ご、ごめんなさい。誰かに似ている気がして・・・」

「似てる?誰にさ」

俺は髪を降ろし、一纏めに縛る。

「・・・いえ、気のせいね。忘れてちょうだい」

「ふーん・・・ま、いいか」

俺は立ち上がる。

「何処に行くの?」

「ちょっと愛依を見てくる」

俺はティアに一言そう言って、部屋に入る・・・瞬間、

チャキ

「・・・」

扉を開いた瞬間、偃月刀が首に突き付けられた。

「・・・目が覚めたのか。そんで・・・」

「・・・」

「記憶も戻ったんだな」

その言葉にピクッと愛依が反応する。・・・その気なら今の隙だけでも充分愛依を殺れたが・・・

「・・・ああ、破壊者・・・のな」

「今までの記憶は?」

「・・・ある」

俺はため息を吐く。

「・・・んで?どうするんだ?俺を殺すのか」

「・・・そうすればオレと椿の記憶が戻るんだ」

「・・・」

「椿を守るためなんだ。そのためにも・・・」

「じゃあ、聞くが」

「?」

「殺す気ならこんな会話は必要ない。さっさとその偃月刀で首を飛ばせばよかったんだ」

「う、うるせぇ!」

「それに」

俺は愛依を見る。その目にあったのは・・・迷い。

「オ、オレは・・・椿の・・・椿のために・・・」

愛依の手が震える。

「椿のためならなんだってやってやる!」

「・・・」

俺は・・・その言葉を聞いて・・・

「・・・おい」

「え・・・」

俺は偃月刀を・・・右手で・・・素手で刃の部分を掴む。

「ば、バカ野郎!何を・・・っ!?」

俺から偃月刀を引こうとした隙を狙い・・・そのまま首を掴み、壁に叩きつける。

「がっ・・・」

「お前・・・逃げてるだろ」

「なんだっ、て・・・」

「今のお前は“目的”を“言い訳”にしている。・・・違うか?」

「そ、そんな・・・」

「『椿のためなら何をしてもいい』・・・言い方は悪いが、それに近い考えの筈だ」

「ち、違う!オレは・・・オレは椿を・・・」

「ああ。きっと“椿を守りたい”という気持ちは本物だ。・・・だけど、お前は・・・幼すぎた。その意思はまだお前には重すぎたんだ」

「あ・・・」

俺は右手を愛依に見せる。・・・そこには一筋の傷から血が滴っている。

「さっき、偃月刀を掴んだ時、お前は慌てて偃月刀を引いた。・・・それは刃を掴まれて無力化させられると思ったからじゃない。・・・その刃で傷つけてしまうと思ったからだ。違うか?」

「う・・・」

「もう隠さなくてもいい。・・・本当のお前は・・・」

俺は手を離す。・・・愛依はそのままぺたりと座り込む。

「・・・オレは・・・もう・・・」

ポタリ

床に涙が落ちる。

「誰かを・・・傷つけたくない・・・!戦いたくない!」

一度零れてしまった涙は止まらない。

「最低だ・・・オレは・・・椿を言い訳にしてたんだ・・・卑怯者なんだ・・・」

俺はしゃがみ、愛依の頭に手を乗せる。

「・・・もういい」

「・・・う・・・ひっく・・・」

「自分で理解して、反省できたんだ。・・・それ以上自分を責めなくてもいい」

「・・・でも、オレは・・・」

「その口調も演技なんだろ?」

「・・・多分。記憶が・・・残ってないから・・・」

愛依は俯いたまま動かない。

「・・・あの、さ」

「・・・?」

「お前は破壊者・・・なんだよな。・・・なんで・・・俺達を」

「わからない・・・声がするんだ・・・世界を壊せって」

「その声が言ったんだな?・・・そして、記憶を戻すと」

「・・・(コクッ)」

「(・・・予想は大体合ってるか・・・?)」



愛依は泣き続ける。

「これから・・・どうする?」

「・・・もう、一緒にはいられない・・・オレは・・・」

「関係ない。お前はどうしたいんだ?」

「まだ・・・椿が見つかってない・・・それに・・・」

声のトーンが更に落ちる。

「一人は・・・嫌だから(ボソッ)」

その言葉を聞いて・・・俺は言った。

「俺がいてやる」

「え・・・」

「椿が見つかるまででも何時まででも俺はお前といてやる」

「なんで・・・オレは・・・!」

「お前は悪くない。・・・いや、お前には感謝しているんだ」

「どうして・・・」

「お前の能力のお陰で・・・俺はまだ、恋に会えるかもしれないんだ」

「あ・・・」

「あの能力は・・・なんなんだ?」

愛依が顔を上げる。・・・その目は真っ赤になっていた。

「この能力は・・・光線に当たった生物を、その世界から完全に抹消して・・・別の世界の人間にする」

「は・・・?」

それって・・・

「じゃ、じゃあ今詠は・・・恋姫の世界の人間じゃなく、アビスの世界の人間になってるってことか?・・・それ、転生・・・神と同等の能力じゃないか!?」

「・・・当たったらその存在だけがあれば・・・死体でも消せる。そして・・・また別の世界で蘇るんだ」

「・・・」

「その能力を理解できたから・・・オレは呂布や賈駆を・・・でも・・・それ間違いだった・・・!」

「・・・」

「どんな理由をつけてもオレは最低なことをしていたんだ・・・」

・・・愛依は、そう呟く。

「それに・・・この技にはデメリットがある」

「デメリット?」

「消した時・・・相手が受けているダメージの何割かがオレに返ってくる。だから・・・

愛依はそう言って胸元を見せてくる。・・・いきなりでビックリしたが、胸元には何かで貫かれたような跡が残っている。

「・・・死んだ周泰を消した時のだよ。・・・一応、椿はこの事を知らない」

「・・・」

当たり前だ。この事実を知ったら・・・椿は錯乱するだろう。

「・・・でも、椿を傷つけないようにってずっと我慢してた・・・オレの身体はあちこち傷だらけで、いつか椿にバレるんじゃないかって恐かった」

「愛依・・・」

「痛くて・・・怖くて・・・寝れなくて・・・」

「・・・」

俺は愛依を抱き締める。

「おわぁ!?なな、なにすんだよ!?」

「・・・大変だったな」

「・・・っ!」

「・・・ごめんな」

「・・・」

「俺は・・・よく考えてなかったんだ。浅はかだったんだ。・・・お前らの闇に気づくことが出来なかった。・・・本当ごめんな」

「なんで・・・謝るんだよ・・・謝らなきゃいけないのは・・・オレなのに・・・」

「・・・んなもん、許してやる。・・・いや、二つ条件がある」

「え?」

「一つ、その“オレ”ってのを止めろよ」

「・・・でも」

「女の子なんだから。・・・記憶無かった時のお前は可愛かったぜ?」

「か、かわっ!?」

愛依の顔が赤くなる。

「え、えっと・・・あ、アタ、シ?」

「・・・ま、いっか。・・・んで、もう一つは」

「・・・」

愛依の顔が真面目になる。

「全部終わったら恋姫の世界に来い。んで、一緒に暮らそうぜ。もちろん、椿も一緒にな」

「ふ、あ?ふぇ?」

予想外の言葉に愛依が混乱する。

「月や恋とのんびりしたり、詠に小言言われたり、霞と酒飲んだり、華雄の模擬戦に付き合ったり、ねねと遊んだり・・・何気ない日常はとても楽しいぜ?」

「・・・」

また愛依の目に涙が溜まる。

「泣くなよ。まったく、泣き虫だなぁ」

「う・・・うるさい・・・!」

愛依が目を逸らす。

「・・・よっし。そうと決まったらちゃっちゃとみんなを助けて、平和にするか!」

「ま、まだオレ・・・じゃなかった。アタシは一緒に暮らすなんて・・・!」

「はいはい、拒否権なーし。もちっと休んどけよ。じゃーな」

俺は軽い態度を取りながら部屋から出る。・・・そのせいで、後ろで愛依が頭を抱えていることに気づけなかった・・・









愛依~

『殺せ・・・』

「うあ、あぁぁぁ・・・!」

頭に声が響く。

「うるせぇ・・・!絶対に・・・絶対に負けるか・・・!」

『殺せ!』

「ーーーーーー!!」


アタシは立ち上がり・・・壁に思いきり頭を叩きつけた。

ガツン!

「黙れ・・・黙れ黙れ黙れぇ!!」

ガツンガツンガツン!

咲が気づかなくてよかった。

「・・・」

ここからいなくなることも考えた。・・・けど・・・

「一人は・・・怖いよ・・・!」

額から血が一筋流れる。

「助けて・・・助けてよ・・・!誰かぁ・・・!」









サキ~

何となくルークの様子を見に来たら・・・ティアの部屋の奥にある花畑に二人ともいた。・・・俺は聞き耳を立てる。

「ルーク・・・目が覚めたのね」

「ここは・・・花畑?」

「セレニアの花よ。魔界で育つのは夜に咲くこの花ぐらい・・・ここは外殻大地が天を覆ってるからほとんど日が差し込まないし・・・ところで、なんだか慌てていたみたいだけど」

ルークが顔色を変える。

「そうだった!外殻大地へ戻りたいんだ!」

「いずれは戻れるわ。だから・・・」

ルークはティアの肩を掴む。

「今じゃなきゃ困るんだよ!このままだとセントビナーが崩落するって、アッシュが・・・」

「(・・・なんだって?)」

その言葉に俺も驚く。

「・・・どういうこと?だってあなた、今まで眠っていたのに・・・」

「わかるんだよっ!あいつと俺は繋がってんだから!」

「・・・それが真実だとして、セントビナーの崩落をどうやって防ぐの?」

「あ、それは・・・」

「あなた、ちっともわかってないわ。人の言葉にばかり左右されて、何が起きているのか自分で理解しようともしないで・・・それじゃあ、アクゼリュスの時と同じよ」

「・・・はは・・・ホントだな」

ルークから・・・そんな言葉が飛び出してきた。

「ヴァン師匠が言ったから、アッシュが言ったから・・・ってそんなことばっかり言って・・・これじゃ・・・みんなが呆れて俺を見捨てるのも当然だ」

「知ってたの?みんなが外殻へ帰ったこと・・・」

「さっきも言ったろ?俺とアッシュは繋がってるんだ。あいつを通じて見えたんだよ。・・・やっぱ俺、あいつのレプリカなんだな・・・」

「ルーク・・・」

「俺、今まで自分しか見えてなかったんだな・・・いや、自分も見えてなかったのかも・・・」

「・・・そうね」

そしてルークはティアに意思を伝える。

「俺、変わりたい。・・・変わらなきゃいけないんだ」

「本気で変わりたいと思うなら・・・変われるかも知れないわ。でも、あなたが変わったところでアクゼリュスは元には戻らない。・・・何千という人達が亡くなった事実も」

ティアがルークの瞳を見る。

「それだけの罪を背負って、あなたはどう変わるつもりなの」

「わからねぇ。・・・だせぇな、俺。こんなことしか言えなくて。アクゼリュスのこと・・・謝って済むならいくらでも謝る。俺が死んでアクゼリュスが復活するなら・・・ちっと怖いけど、死ぬ。でも現実はそうじゃねぇだろ。償おうったって、償いきれねぇし、だから俺、自分にできることから始める。それが何かはまだわかんねぇけど、でも本気で思ってんだ。変わりたいって」

「やっぱりわかっていないと思うわ。・・・そんな簡単に・・・死ぬなんて言葉が言えるんだから」

「・・・すぐに信じてくれとは言わない。・・・ティア。確かナイフ持ってたよな」

「ええ、持ってるけど・・・」

「ちょっと貸してくれ」

そう言ってルークはナイフを受け取り・・・それ自身の長い髪に当てる。

「ルーク!」

そして一思いに髪を切った。

「・・・これで、今までの俺とはサヨナラだ」

切った髪が風に吹かれて散っていく。

「これからの俺を見ていてくれ、ティア。それで、判断して欲しい。・・・すぐには上手くいかねぇかも知れない。間違えるかも知れない。でも俺・・・変わるから」

「・・・そうね。見ているわ、あなたのこと」

「頼む・・・」

「ええ。でも気を抜かないで。私はいつでもあなたを見限ることができるわ。それよりセントビナーが本当に崩落するなら、それを食い止める手段を探さないと」

「・・・そうだな。でもどうすればいいんだろう」

「市長に聞けばいいだろ?」

「サキ!?」

俺はルーク達に近づく。

「サキ・・・お、俺・・・」

「ほら、早く行こうぜ」

「え・・・」

「外殻大地に行くんだろ?」

「で、でも・・・」

「・・・別に、反省して弱ってる子供を更に威圧する趣味はねーよ。・・・ま、次にあんなこと口走ったら・・・」

方天画戟を突きつける。

「叩きのめしてでも間違いだって教えてやるさ」

方天画戟を空間に投げ入れる。

「よし、行くか」

・・・途中、ティアに改めて譜歌のことを聞いた。譜歌は七つに別れていて、ティアが使ってるのは第一と第二の譜歌らしい。旋律を覚え、象徴を知り、意味を理解しなければ譜歌は発動しない。また、七つの譜歌を連続で詠うと、“大譜歌”となる。これは象徴を知らなくてもいいらしい。・・・大譜歌は所謂ローレライとの契約の証。その効果は、大譜歌とローレライの鍵が組み合わさると、ローレライが召喚できるらしい。だけど、ティアは第七の譜歌を知らず、更にローレライの鍵もないらしい。少し落ち込んだティアもルークに励まされて元気を取り戻した。

「おお、ティアか。そちらは、確か・・・」

市長のテオドーロさんがルークを見る。

「あ・・・は、はじめ・・・まして。俺、ルークです」

「ミュウですの!」

「お前は黙ってろって」

ルークが小声でミュウを黙らせる。

「えと・・・アクゼリュスのことでは・・・ご迷惑をおかけして、す・・・すみません・・・でした」

「きみがルークレプリカか。なるほどよく似ている」

「お祖父様!」

ティアが声を荒げる。

「これは失礼。しかしアクゼリュスのことは我らに謝罪していただく必要はありませんよ」

「ど、どういうことですか?」

「アクゼリュスの崩落は、ユリアの預言に詠まれていた。起こるべくして起きたのです」

「(また預言・・・か)」

「どういうこと、お祖父様!私・・・そんなこと聞いていません!それじゃあホドと同じだわ!」

「これは秘預言(クローズドスコア)ローレライ教団の詠師職以上の者しか知らぬ預言だ」

当然、ルークが一歩踏み出す。

「預言でわかってたなら、どうして止めようとしなかったんだ!」

「ルーク。外殻大地の住人とは思えない言葉ですね。預言は導守されるもの。預言を守り穏やかに生きることがローレライ教団の教えです」

「そ、それはそうだけど・・・」

「誕生日に何故預言を詠むか?それは今後一年間の未来を知り、その可能性を受け止める為だ」

「じゃあ聞くが、アクゼリュスの崩落は何故知らせなかった?」

「そうだ!それを知らせていたら死ななくて済む人だって・・・」

「それが問題なのです。死の預言を前にすると、人は穏やかではいられなくなる」

「そんなの当たり前・・・です!誰だって死にたくない・・・!」

「それでは困るのですよ。ユリアは七つの預言でこのオールドラントの繁栄を詠んだ。その通りに歴史を動かさねば来るべき繁栄も失われてしまう。我らはユリアの預言を元に外殻大地を繁栄に導く監視者。ローレライ教団はそのための道具なのです」

「じゃあ、未来の栄光の為に今の人には死ねって言うのか・・・?」

俺が言うとテオドーロさんが頷く。

「・・・だから大詠師モースは戦争を起こそうとした・・・?」

「ヴァン師匠も預言を知っていて俺に・・・?」

「その通りだ」

「・・・お祖父様は言ったわね。ホド消滅はマルクトもキムラスカも聞く耳を持たなかったって!あれは嘘なの!?」

ホド。よく耳にするそれはマルクトに存在していた街。

「・・・すまない。幼いおまえに真実を告げられなかったのだ。しかしヴァンは知っている」

「・・・じゃあやっぱり兄さんは、世界に復讐するつもりなんだわ。兄さん、言ってたもの。預言に縛られた大地など消滅すればいいって!」

「ティア、ヴァンが世界を滅亡させようとしているのはお前の誤解だ。確かにホドのことで、ヴァンは預言を憎んでいた時期もあった。だが今では監視者として立派に働いている」

「・・・立派?アクゼリュスを見殺しにしたことが!?おまえらおかしいよっ!イカれちまってる!!」

「ルーク!・・・落ちつけ」

「そうでもない。ユリアの預言にはこう詠まれている。・・・ルグニカの大地は戦乱に包まれ、マルクトは領土を失うだろう。結果キムラスカ・ランバルディアは栄え、それが未曾有の栄光の第一歩となる。未曾有の繁栄を外殻大地にもたらすため、我らは監視を続けていたのだ」

「でもお祖父様・・・兄さんは外殻大地のセントビナーを崩落させようとしているのよ!」

「セントビナーは絶対に崩落しない。戦はあの周辺で行われる。何しろ預言には何も詠まれていないのだからね」

・・・結局テオドーロさんの答えは変わらない。俺達は外殻大地に戻ることにする。・・・俺達は仕度を始める。

「愛依、起きてるか?」

「・・・ああ、どうかしたのか?」

愛依を見ると・・・デコに絆創膏が貼られていた。

「・・・何を貼ってるんだ?」

愛依が慌てて額を隠す。

「ちょ、ちょっと転んだんだよ!」

「室内で転ぶって・・・意外にドジなんだ」

「う、うっさいな!・・・そんで?」

愛依が立ち上がりながら聞いてくる。

「ああ、外殻大地に戻ることになった。・・・当然」

「行くよ。・・・その、アタシも咲といたいし・・・」

「あいよ。んじゃ、用意が終わったらいくぜ」

「・・・うん」

俺達は歩き出す。・・・セントビナーの崩落は止めなくちゃな・・・

 
 

 
後書き
ルーク(短髪)
「こ、今回は俺か」

アスベル
「君がルークか。俺はテイルズオブグレイセスの主人公、アスベル・ラントだ」

ルーク
「あ、初め・・・まして。一応テイルズオブジアビスの主人公のルーク・フォン・ファブレだ。よ、よろしく」

アスベル
「ああ、こちらこそ」

リョウ
「しっかし、決意表明で髪を切るなんて、蓮華を思い出すなぁ・・・」

サキ
「決意のレベルが違うけどな・・・」

ルーク
「同じ変わりたいでも蓮華って奴の方が上なんだよな・・・」

アスベル
「そんなのは関係ないさ。何かを守るという気持ちは同じだろ?」

ルーク
「そ、そうかな?」

アスベル
「ああ。俺はある少女を守れなかった。だから誓ったんだ。強くなって今度は守ると、二度と守れなくて悔しい思いをしないように守る力を・・・」

リョウ
「アス兄守る守るうるさい!今度から“守る”禁止!」

アスベル
「そんな!リョウは俺に喋るなと言うのか!?」

サキ
「他に話す言葉はないのかよ!?」

ルーク
「ま、まさか・・・俺が話を振ったから・・・い、いや、俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇぞ!」

サキ
「お前も黙っててくれ!あと短髪バージョンで言うのはおかしい!」

リョウ
「とことんカオスだ・・・それじゃ、次回の続・真似と開閉と世界旅行!」

サキ
「次回もよろしくな!」 
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