真似と開閉と世界旅行
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崩落~
前書き
GW・・・また家でゴロゴロするんだろうな・・・ではどうぞ。
アクゼリュスへ向かうため、カイツールから北東の位置にある・・・デオ峠を進む。
「ちぇっ。師匠には追い付けなさそうだな。砂漠で寄り道なんてしなけりゃよかった」
「寄り道ってどういう意味・・・!・・・ですか」
アニスがギリギリ踏みとどまる。
「寄り道は寄り道だろ。今はイオンがいなくても俺がいれば戦争は起きねーんだし」
「あんた・・・バカ・・・?」
遂にアニスが言ってしまった。
「バ、バカだと・・・!」
「ルーク。私も今のは思い上がった発言だと思うわ」
「この平和は、お父様とマルクトの皇帝が、導師に敬意を払っているから成り立っていますのよ。イオンがいなくなれば、調停役が存在しなくなりますわ」
「いえ、両国とも僕に敬意を払っている訳じゃない。“ユリアの残した預言”が欲しいだけです。本当は僕なんて必要ないんですよ」
よくもまぁ、ああ言われてこう返せるよな。そう思っていたらガイが言った。
「そんな考え方には賛成できないな。イオンには抑止力があるんだ。それがユリアの預言のおかげでもね」
「なるほどなるほど。皆さん若いですね。じゃ、そろそろ行きましょう」
「・・・この空気でよくあんな台詞がでるよな・・・愛依、行くぞ」
「は、はい」
「(だけどルーク。今のはかなりマズイ発言だな)」
そう思いながらどんどん峠を進んでいくが・・・
「はぁ・・・はぁ、はぁ」
「イオン様!」
イオンが息を乱していた。ティアがイオン様に近づく。
「大丈夫ですか?少し休みましょうか?」
「いえ・・・僕は大丈夫です」
「そんな真っ青な顔で大丈夫って言われてもな・・・みんな、休憩しよう!」
俺が言うが・・・
「休むぅ?何言ってんだよ!師匠が先に行ってんだぞ!」
「ルーク!よろしいではありませんか!」
「そうだぜ。キツイ山道だし、仕方ないだろう?」
「親善大使は俺なんだぞ!俺が行くって言えば行くんだよ!」
「あ・・・アンタねぇ!」
アニスがキレる前に・・・俺はルークの胸ぐらを掴んでいた。
「さっきから師匠師匠うっせーんだよ。お前はなんだ?アクゼリュスにヴァンと遠足でも行くのか?違うだろ。今のお前はアクゼリュスの人を救うより、ヴァンに追い付くのが前提条件になっている。・・・自分のことしか考えねーで親善大使なんて口にするんじゃねえよ」
「さ、咲さん!やめてください!」
「・・・チッ」
愛依に止められて渋々手を離す。
「では、少し休みましょう。イオン様、よろしいですね?」
「な・・・お、おい・・・」
「ルーク、すみません。僕のせいで・・・」
「・・・ちぇっ。わかったよ。少しだけだぞ」
「ありがとうございます」
しばらく休憩し、峠も下りに入る。そして、そのまま広い場所に出たら・・・
ダァン!
「止まれ!」
足元に銃弾が撃ち込まれ・・・上を見ると、魔弾のリグレットがいた。
「ティア。何故そんな奴らといつまでも行動を共にしている」
「モース様のご命令です。教官こそ、どうしてイオン様をさらってセフィロトを回っているんですか!」
「人間の意志と自由を勝ち取るためだ」
「どういう意味ですか・・・」
「この世界は預言に支配されている。何をするのにも預言を詠み、それに従って生きるなど、おかしいとは思わないか?」
「預言は人を支配するためにあるのではなく、人が正しい道を進むための道具に過ぎません」
イオンが言うが・・・
「導師。あなたはそうでも、この世界の多くの人々は預言に頼り、支配されている。酷い者になれば、夕食の献立すら預言に頼る始末だ。お前達もそうだろう?」
「そこまで酷くはないけど・・・預言に未来が詠まれているなら、その通りに生きた方が・・・」
「誕生日に詠まれる預言は、それなりに参考になるしな」
アニスとガイが言う。
「そうですわ。それに生まれた時から自分の人生の預言を聞いていますのよ。だから・・・」
「・・・結局の所、預言に頼るのは楽な生き方なんですよ。もっとも、ユリアの預言以外は曖昧で、詠み解くのが大変ですがね」
「そういうことだ。この世界は狂っている。誰かが変えなくてはならないのだ。ティア・・・!私達と共に来なさい!」
「私はまだ兄を疑っています。あなたは兄の忠実な片腕。兄への疑いが晴れるまでは、あなたの元には戻れません」
「では、力ずくでもお前を止める!」
「そうはさせませんわ!」
ナタリアが矢を放つが、リグレットは身体を捻りながら跳び、回避する。
「そこだ!」
そのまま空中で二丁拳銃を操り、乱射してくる。
「く・・・これでは詠唱できませんね・・・」
「リパル!今日は留守番!」
『まじッスか!?』
俺も二丁の銃を取り出し、撃つ。
「・・・はぁ!」
リグレットは遠距離武器を扱える俺とナタリアを中心に攻め始める。
「食らえ!ホーリーランス!」
「うおあ!?」
「きゃあ!?」
俺とナタリアはリグレットの譜術に吹き飛ばされる。
「くそ・・・!」
「咲さん!・・・やらせない・・・!」
愛依が偃月刀を振り回す。
「そんな大振りで・・・」
リグレットの蹴りが愛依に直撃する。
「ぐっ・・・!」
そのまま愛依は腹を抑えてうずくまってしまう。
「先にお前からか」
「させるか!」
回復した俺が接近、リグレットも反応が遅れ・・・
チャキ
・・・結果、俺とリグレット、双方の眉間にお互いの銃口が突き付けられた。
「・・・!」
その時、リグレットの目が見開かれた。
「お、お前は・・・」
「?」
「・・・くっ」
リグレットが離れる。
「ティア・・・その出来損ないから離れなさい!」
「出来損ないって俺のことか!?」
ルークが怒る瞬間、ジェイドの態度が変わった。
「・・・そうか。やはりお前達か!禁忌の技術を復活させたのは!」
「ジェイド!いけません!知らなければいいことも世の中にはある」
「イオン様・・・ご存知だったのか!」
俺達は完全においてけぼりだ。
「な・・・なんだよ?俺をおいてけぼりにして話を進めるな!何を言ってんだ!俺に関係あることなんだろ?」
だが、ジェイドはそれを無視する。
「・・・誰の発案だ。ディストか!?」
「フォミクリーのことか?知ってどうなる?采は投げられたのだ。死霊使いジェイド!」
一瞬目が眩む程の光が辺りを包み、次の瞬間にはリグレットが消えていた。
「・・・くっ。冗談ではない!」
「大佐・・・珍しく本気で怒ってますね・・・」
アニスが言うとジェイドが振り返る。
「ーーー失礼、取り乱しました。もう・・・大丈夫です。アクゼリュスへ急ぎましょう」
「愛依、平気か?」
「だ・・・げほっ・・・大丈夫・・・です」
「・・・ごめんな。守ってやるなんて偉そうな口を叩いておきながら・・・」
「わ・・・わたしが・・・わたしがしたかったから、咲さんを助けたんです。だから・・・謝らないで下さい・・・わたしも、足を引っ張りましたから・・・」
「・・・じゃあお相子ってことだな」
俺達は歩き出す。
「ふざけんな!俺だけおいてけぼりにしやがって。何がなんだかわかんねーじゃんか!」
「ご主人様、怒っちゃだめですの・・・」
「どいつもこいつも俺をバカにしてないがしろにして!俺は親善大使なんだぞ!」
「ご主人様・・・」
「師匠だけだ・・・俺のことわかってくれるのは師匠だけだ・・・!」
そのまま重い空気を引きずりながら・・・アクゼリュスに到着する。・・・だが、
「こ・・・これは・・・」
「想像以上ですね・・・」
あちこちから苦悶の声が聞こえてくる。ナタリアが近くの人に駆け寄る。
「お、おい、ナタリア。汚ねぇからやめろよ。伝染るかもしれないぞ」
「・・・何が汚いの?何が伝染るの!馬鹿なこと仰らないで!・・・大丈夫ですか?」
その時、アクゼリュスの人が話しかけてくる。
「あんたたち、キムラスカ側からきたのかい?」
「あ・・・あの・・・」
「私はキムラスカの王女、ナタリアです。ピオニー陛下から依頼を受けて、皆を救出にきました」
「ああ!グランツさんって人から話は聞いています!自分はパイロープです。そこの坑道で現場監督をしてます。村長が倒れてるんで、自分が代理で雑務を請け負ってるんでさぁ」
「グランツ謡将と救助隊は?」
ジェイドが尋ねる。
「グランツさんなら坑道の奥でさぁ。あっちで倒れてる仲間を助けて下さってます」
辺りを見てきたガイとアニスが戻ってくる。
「この辺はまだフーブラス川の障気よりマシって感じだな」
「坑道の奥は酷いらしいよ」
「辺りの様子を確認したら、坑道へ行ってみましょう・・・ルーク!」
「あ・・・ああ・・・うん・・・」
俺は辺りを見渡す。
「俺はこの辺りの人達を助ける。・・・いくら軽症でも放置は不味いしな」
「じゃ、じゃあわたしも手伝います」
愛依の言葉に頷く。
「わかりました。では、頼みますよ」
「ああ。・・・大丈夫ですか、しっかりしてください」
「す、すまない・・・」
「愛依、とりあえず自力で歩けそうな人は休憩所に行くように言ってくれ」
「は、はい!」
・・・その時、何となくだが感じた。何か違和感がある。・・・そうだ、救助隊が全然いないんだ。普通ならここにも誰かを置いていく筈・・・
「・・・まさか!」
ある答えに考え付き、走り出そうとした瞬間・・・
「グレイブ!」
「ッ!?」
咄嗟に身を捻り、地面より突き出てきた土の槍を回避する。
「・・・やっぱり気付いたみたいね」
目の前にローブを纏った・・・少女が現れる。その少女は右手に貴族が使うようなサーベル。左手に短い剣を持っていた。
「誰だ?」
「私はヴァン謡将に命じられ、アンタを監視していたのよ」
「なるほどな・・・これで確信したぜ」
ヴァンは何か企んでいる。前々から感じていた不快感は本能的にヴァンの危険性に気づいていたからだ。
「そこを通す気は・・・」
「あると思う?」
少女は構えを取る。・・・その構えはまるで、テイルズオブデスティニーのリオン・マグナスみたいだ。
「だろうな・・・リパル!分離だ!」
『わかったッス!』
左手にハンドアックス、右手にダークリパルサーを握る。
「魔神剣!」
少女はいきなり衝撃波を放つ。
「っと!」
それを跳んで避け、すぐに間合いに踏み込む。
「ラァッ!」
「くっ!」
カキャアン!
少女は一撃を防ぎ、回し蹴りを放つ。
「ふっ!」
それを受け止め、そのまま足を掴んで投げる。
「きゃっ!?」
「貰った!」
俺はそれを追撃するように攻めるが・・・
「タァッ!」
「なっ!」
明らかに不利な体制での一撃で間合いを開かれる。
「あれを凌ぐか・・・」
「やるじゃない。・・・けど・・・」
少女の姿が消える。
「飛燕連斬!」
「がっ!?」
連続斬りを浴び、俺は吹き飛ぶ。
「咲さん!?」
愛依が俺を見て走り出す。
「来るな!」
「・・・!」
「・・・そこまでだよ」
その時、シンクが現れる。
「エイ、時間稼ぎは充分だよ。・・・もうじきここは崩れる」
「そう。作戦は成功したのね」
「エイ・・・?」
少女は去ろうとする。
「ッ!待ちやがれ!」
咄嗟に空間から投擲ようナイフを取り出し、投げる。
「っ!?」
少女は避けきれず、ナイフはフードを弾き飛ばす。
「あ・・・」
その下にあった顔は・・・
「・・・くっ」
「・・・詠・・・」
あの世界で手を掴めず、目の前で消えた少女。それが今・・・敵という最悪な形で目の前にいた。
「・・・いくよ」
「ええ、わかってるわ」
「ま、待ってくれ!詠!」
「サキ・・・次に会ったら必ず倒す・・・!」
「ーーーー!」
そう言って詠とシンクは去っていく。
「・・・くそっ!くそっ!くそぉっ!」
「さ、咲さん!」
愛依に声をかけられ、ハッとなる。
「そうだ・・・ヴァン!」
「え?あ、咲さん!?」
俺は走り出す。このままじゃ取り返しのつかない事になる。
「ここか!?」
「さ、咲さぁん・・・はぁ・・・はぁ・・・」
愛依が息を荒げながら追い付いてくる。
「サキ!」
背後からジェイド達が走ってくる。
「ジェイド!ヴァンが・・・」
「わかっています!」
坑道の奥にある、遺跡のよう場所は既に崩れ始めていた。
「兄さん!やっぱり裏切ったのね!この外殻大地を存続させるって言っていたじゃない!これじゃあアクゼリュスの人もタルタロスにいる神託の盾もみんな死んでしまうわ!」
ティアが叫ぶが、ヴァンは魔物に飛び乗る。・・・この事を知らせてくれたのはアッシュらしいが、その姿はない。
「・・・メシュティアリカ。お前にもいずれわかる筈だ。この世の仕組みの愚かさと醜さが。それを見届けるためにも・・・お前にだけは生きていて欲しい。お前には譜歌がある。それで・・・」
ヴァンが飛び去っていく。
「まずい!坑道が潰れます!」
「私の傍に!・・・早く!」
俺達はティアの周りに集まる。
ーーーーー♪
譜歌が障壁となって俺達の身を守る。・・・一瞬、意識が飛んだ。次に目を開くと・・・辺りは、見渡す限り最悪な光景が広がっていた。
「なん、だよ・・・これ・・・」
アクゼリュスの人の・・・二度と動かないであろう死体が辺りに・・・転がっている。
「ひでぇ・・・」
「あ、あぁ・・・」
「愛依?」
愛依の様子がおかしい。
「みん、みんな、死、死んで・・・る」
「おい、愛依?」
「誰、誰も動、かない・・・わ、わたし、どうして・・・違・・・」
愛依が頭を抱え・・・
「アアアアアアアアアアアアアア!!!」
絶叫する。
「そう、だ・・・わたしは・・・オレは・・・」
そのまま愛依は倒れる。
「愛依!?」
愛依は気を失っていた。その時。
「・・・う・・・ぅ・・・」
「誰かいるわ!」
見ると障気の溢れる海に、板の上に乗っている絶命しているパイロープさんと・・・子供を見つけた。
「父ちゃ・・・ん・・・痛いよぅ・・・父ちゃ・・・」
「お待ちなさい!今助けます!」
走り出そうとするナタリアをティアが止める。
「駄目よ!この泥の海は障気を含んだ底無しの海。迂闊に入れば助からないわ」
「ではあの子をどうしますの!?」
「ここから治癒術をかけましょう。届くかもしれない」
「(迷ってる暇はない!)」
俺は闇を解放しようとするが・・・
「おい!まずいぞ!」
段々と板が沈んでいく。
「いかん!」
「母・・・ちゃん・・・助け・・・て・・・父ちゃん・・・たす・・・け・・・」
その言葉を最後に・・・完全にその姿を泥の海に消した。
「間に、合わなかった・・・畜生!」
俺は拳を地面に叩きつける。
「ここも、壊れちゃうの!?」
「タルタロスに行きましょう。緊急用の浮標が作動して、この泥の上でも持ちこたえています」
見るとタルタロスが近くに浮いていた。俺達は乗り込み・・・中の神託の盾の死体を片付ける。
「何とか動きそうですね」
「魔界にはユリアシティという街があるんです。多分ここから西になります。とにかくそこを目指しましょう」
ティアが説明する。
「詳しいようですね。この場を離れたら、ご説明をお願いいたしますよ」
俺は愛依を休憩室に寝かせ、甲板に出る。
「・・・」
「行けども行けども、何もない。・・・なあ、ここは地下か?」
ガイが呟くと、ティアが返す。
「・・・ある意味ではね。あなた達の住む場所は、ここでは外殻大地と呼ばれているの。この魔界から伸びるセフィロトツリーという柱に支えられている空中大地なのよ」
「どういう意味だよ?」
俺が聞く。
「昔、外殻大地はこの魔界にあったの」
「信じられない・・・」
アニスが呟く。
「二千年前、オールドラントを原因不明の障気が包んで大地が汚染され始めた。この時ユリアが七つの預言を詠んで滅亡から逃れ、繁栄するための道筋を発見したの」
「ユリアは預言を元に地殻をセフィロトで浮上させる計画を発案しました」
「それが外殻大地の始まり、か。途方もない話だな・・・」
「ええ。この話を知っているのは、ローレライ教団の詠師職以上と魔界出身の者だけです」
「じゃあティアは魔界の・・・?」
「・・・とにかく僕達は崩落した。助かったのはティアの譜歌のお陰ですね」
「何故こんなことになったんです?話を聞く限り、アクゼリュスは柱に支えられていたのでしょう?」
「それは・・・柱が消滅したからです」
「どうしてですか?」
アニスがイオンに聞く。・・・そして、全員の視線がルークを見る。
「・・・お、俺は知らないぞ!俺はただ障気を中和しようとしただけだ!あの場所で超振動を起こせば障気が消えるって言われて・・・!」
「あなたは兄に騙されたのよ。そしてアクゼリュスを支える柱を消してしまった」
「そんな!そんな筈は・・・」
「・・・ヴァンはあなたにパッセージリングの傍に行くよう命じましたよね。柱はパッセージリングが作り出している。だからティアの言う通りでしょう。僕が迂闊でした。ヴァンがルークにそんなことをさせようとしていたなんて・・・」
「・・・せめてルークには、事前に相談して欲しかったですね。仮に障気を中和することが可能だったとしても、住民を避難させてからでよかった筈ですし・・・今となっては言っても仕方のないことかもしれませんが」
「そうですわね。アクゼリュスは・・・消滅しましたわ。何千という人間が、一瞬で・・・」
「殆どの人は死ぬ事に気づかないで死んだんだろうな・・・」
「・・・お、俺が悪いってのか・・・?」
再び俺達はルークを見る。
「・・・俺は・・・俺は悪くねぇぞ。だって、師匠が言ったんだ・・・そうだ、師匠がやれって!」
とんでもない事を口にしだした。
「こんなことになるなんて知らなかった!誰も教えてくんなかっただろっ!俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!!」
明らかな責任逃避。・・・始めにジェイドが歩き出す。
「・・・大佐?」
「艦橋に戻ります。・・・ここにいると、馬鹿な発言に苛々させられる」
「なんだよ!俺はアクゼリュスを助けようとしたんだぞ!」
「変わってしまいましたのね・・・記憶を失ってからのあなたはまるで別人ですわ・・・」
「お、お前らだって何もできなかったじゃないか!俺ばっか責めるな!」
「あなたの言う通りです。僕は無力だ。だけど・・・」
「イオン様!こんなサイテーな奴、ほっといた方がいいです」
「わ、悪いのは師匠だ!俺は悪くないぞ!なあ、ガイ、そうだろ!?」
「ルーク・・・あんまり、幻滅させないでくれ・・・」
ガイも去り・・・
「少しはいいところもあるって思ってたのに・・・私が馬鹿だった・・・
「・・・ど、どうしてだよ!どうしてみんな俺を責めるんだ!」
「・・・」
「サ・・・サキ・・・」
「・・・今のお前には話す価値もない」
その場を立ち去る。
『・・・ちょっと言い過ぎじゃないッスか?』
「・・・いや、あそこで甘やかす訳にはいかない。・・・あいつは気づかなきゃいけないんだよ。自分がしたことを・・・」
『でも、全員でああ言うのは・・・』
「・・・まあ、そうだな。それに、俺達にも責任はある。ヴァン以上の信頼をルークから得られなかったんだから・・・こんなんだからアリエッタを敵に回すのかな」
自虐的に笑う。
『咲さんは悪くないッス!それに、愛依さんは味方に出来たじゃないッスか』
「それはわからない。多分、愛依は・・・」
『え?』
「・・・何でもない。・・・情けない男だよ、俺は」
『咲さん?』
「守りたい奴全部敵にしてさ。やっと会えたってのに詠に言われたのは・・・“倒す”だってよ。・・・掴めない・・・俺は・・・また・・・このままじゃ・・・俺は詠やアリエッタと殺しあってしまう」
腕が震える程、手に力を籠める。
「俺は・・・破壊者に相応しいのかもな」
『馬鹿な事を言わないで欲しいッス!』
リパルが怒り始める。
「リパル・・・」
『そんな簡単に諦めないで下さいッス!咲さんは何度も世界を救って皆さんに笑顔を届けて来たじゃないッスか!?』
「・・・」
『破壊者はその笑顔を悲しみに変えるんスよ!?咲さんは本当にそれでいいんスか!』
「・・・だよな」
『咲さん・・・』
「こんなん霞達に聞かれたら怒られるな。悪いな、何度も何度も・・・こんなんでよく闇を扱えるよな・・・」
愛依を寝かせている部屋に入る。
「守・・・る・・・絶・・・対・・・」
愛依は何かうわ言を言っている。・・・こんなんじゃろくに寝れてないんじゃないか?
「リパル、悪いけど愛依を見ててくれるか?」
『いいッスけど・・・意味ないんじゃないッスか?』
「・・・察しろ」
俺はリパルを置いて甲板に出る。・・・ただ、一人になりたかった。
「・・・」
空を見上げる。
「・・・ウオオオオオオオオオオオオオォォォォーーーーーーーー!!!」
・・・叫んだ。悲しみや怒りを全て吐き出すように。
「・・・くっ、う・・・うぅ・・・あああ・・・!!」
・・・今は泣こう。これからは弱音を吐きたくない・・・いや、また吐くだろう。・・・だったらその時、受け止められるように今の内吐き出そう。・・・そのまま俺はユリアシティに到着するまで泣き続けた・・・
「ふぇ・・・!これがユリアシティ?」
「ええ。奥に市長がいるわ。行きましょう」
・・・みんなが歩くなか、立ち止まっているルークを見てティアが足を止める。
「・・・いつまでそうしているの?みんな市長の家に行ったわよ」
「・・・どうせみんな俺を責めるばっかなんだ。行きたくねぇ」
「とことん屑だな!出来損ない!」
「・・・お、お前!」
アッシュがやって来る。
「どうしてお前がここにいる!師匠はどうした!」
「はっ!裏切られてもまだ“師匠”か」
「・・・裏切った・・・?じゃあ本当に師匠は俺にアクゼリュスを・・・」
「くそっ!俺がもっと早くヴァンの企みに気づいていればこんなことにはっ!」
アッシュがルークを睨む。
「お前もお前だ!何故深く考えもしないで超振動を使った!?」
「お、おまえまで俺が悪いって言うのか!」
「悪いに決まってるだろうが!ふざけたことを言うな!」
「俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!俺は・・・」
「冗談じゃねえ!レプリカってのは脳みそまで劣化してるのか!?」
その発言にルークが顔を伏せる。
「レプリカ?そういえば師匠もレプリカって・・・」
「・・・お前、まだ気づいてなかったのか!はっ、こいつはお笑い草だな!」
「な、なんだ・・・!何なんだよ!」
「教えてやるよ。“ルーク”」
「アッシュ!やめて!」
ティアが叫ぶが・・・アッシュは止まらない。・・・そして、俺も止める気はない。
「俺とお前、どうして同じ顔してると思う?」
「・・・し、知るかよ」
「俺はバチカル生まれの貴族なんだ。七年前にヴァンて悪党に誘拐されたんだよ」
「・・・ま・・・さか・・・」
顔面蒼白になるルーク。
「そうだよ!お前は俺の劣化複写人間だ。ただのレプリカなんだよ!」
「う・・・嘘だ・・・!嘘だ嘘だ嘘だっ!」
ルークが剣を抜く。
「・・・やるのか?レプリカ」
「嘘をつくなぁっ!」
二人の剣がぶつかり合う。
「お前が俺なんて嘘だっ!」
「認めたくねぇのはこっちも同じなんだよ!」
・・・そして僅かに、ルークの予測できないほど滅茶苦茶な太刀筋にアッシュが苦戦する。
「こんな屑レプリカに俺が・・・!」
「・・・嘘だ・・・俺は・・・」
ルークはそのまま・・・倒れ込んだ・・・
「・・・つまり、アクゼリュスのセフィロトを刺激して、吹き上げる記憶粒子をタルタロスの帆で受け・・・」
『その勢いでタルタロスを地上に送り出す・・・って事ッスか』
どうやらアッシュ達はヴァンの動向を探る為に外殻大地に向かうらしい。・・・俺は愛依を置いていく訳にいかず・・・結局俺と愛依、ティアとミュウ・・・そしてルークがユリアシティに残る事になった。
「・・・」
愛依を見る。きっと愛依は・・・
『・・・』
・・・受け入れよう。愛依の選択を・・・
後書き
サキ
「俺は悪くヌェ!」
リョウ
「・・・いきなりなんだよ」
サキ
「中の人もよくネタにするからさぁ・・・」
リョウ
「テイルズってそういうの好きだよな・・・アス兄もよく『守る!』・・・がネタにされてるし」
サキ
「色々パターンがあるからな・・・」
リョウ
「と、取りあえず、ルークや愛依はどうなるんだ?」
サキ
「それは色々とお楽しみさ。・・・それじゃ、次回の続・真似と開閉と世界旅行!」
リョウ
「次回もよろしくお願いします」
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