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真似と開閉と世界旅行

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突き刺さる言葉~

 
前書き
クラス替えでハズレを引きましたね・・・ではどうぞ! 

 
「・・・しっかし、広い屋敷だな・・・」

『そうッスね』

俺は辺りを見渡しながら言う。・・・正直に言う、迷った。

「つーか初めて来る場所に迷うもクソもねえよ」

愚痴りながら歩き続けると・・・目の前に血が飛び散っていた。

「また戻ってきたか・・・」

この血は愛依の血だ。・・・もう五回くらいこれを見た。

「おっかしーなぁ・・・どうやってここまで来たんだっけ」

『・・・ま、まさか出れない・・・なんて事はないッスよね』


・・・・・・・・・

『え・・・』

「天井撃ち抜くか・・・」

『建物が崩れるッスー!?』

「じゃあどうすんだよ。くそ、洛陽や蜀でも迷わなかったってのに・・・」

『大声で誰かに助けを求める・・・はどうッスか?』

「あのな。ここに誰かいるわけないだろうが」

そんな会話をして・・・ふと気づく。

「あれ、でも少なくともアリエッタはいるんだよな」

『そうッスよね』

「・・・でも、流石に呼べないか。しかも俺の声も届かねぇだろうし」


ガキィン・・・

「?」

『今・・・』

「あっちだ!」

俺は走り出す。そして、扉の目の前で誰かが飛び出してくる。

「退け!」

「おわっ!」

不意を突かれ、一瞬で逃げられてしまう。俺は追走を諦めて先に進む。すると・・・

「サキ、ここにいたのか!」

「ガイ?みんな?」

・・・何故か大人数がここにいた。

「どうして・・・」

「アリエッタを追いかけて来たんです」

イオンが言う。

「ええ。そうしたら何処かの坊っちゃんが敵に捕まりましてねぇ。仕方ないのでこうして助けた訳です」

よく見ると巨大な機械の中心からルークが出てくる。

「・・・嫌味な奴」

「おや?聞こえてましたか」

ジェイドがルークに言う。・・・俺はイオンに向かって話す。

「とにかく、アリエッタを止めよう。このままじゃ人質も危ないしな」

「根暗ッタ・・・なんで余計な事するんだろ」

アニスが愚痴りながらも歩く。そして、屋上に近づき・・・ルークがミュウを掴んで走り出す。・・・その直後、襲ってきた魔物に炎の洗礼を浴びさせた。

「へへ、何度も同じ手に引っ掛かると思うなよ」

「ルーク様、すっご~い」

「あなたにしては上出来ですね」

「いちいちうるさいぞ!」

「アリエッタのお友達に・・・火・・・吹いた・・・!もう許さないんだからぁ!!」

「うるせえ!手間かけさせやがって、このくそガキ!」

「いいもん!あなた達倒してからイオン様とサキを取り返すモン!ママの仇っ!ここで死んじゃえっ!」

アリエッタが叫ぶと同時に魔物がやってくる。

「根暗ッタ!いい加減にしてよね!」

アニスが背中に背負っていた人形を巨大化させ、それに乗る。・・・原理はわからない。

「アニスこそ、わたしのイオン様を返してよ!」

「イオン様の邪魔をする奴にイオン様を渡せる訳ないでしょ!」

両手に花・・・この状況じゃイオンも嬉しくないだろうけどな。俺は空間に手を入れる。

「悪い、リパル!留守番だ!」

『ええっ!?』

俺は空間からこの世界用にカスタムしたハンドガンを二丁取り出す。

「空の魔物にはな・・・!」

俺は銃を向ける。

「タイトバレット!」

横薙ぎにしながら連射し、動きを止める。

「アクアバレット!」

片方の銃で技を撃ち、もう片方の銃を水弾に向ける。

「フレアショット!」

水と火がお互いにぶつかりあい、水蒸気を起こす。

「グァァァ!」

俺を見失った魔物が鳴き叫ぶ。

「『何処だ』・・・か。答えてやるよ、上だ」

俺は魔物の真上に跳んでいた。

「セッシブバレット!」

魔物は銃弾の雨に直撃し、気絶する。

「音素弾だからな・・・加減ができるのが幸いだ」

見るとルーク達も魔物を片付けつつあった。

「光の鉄槌!リミテッド!」

ズガン!

「はうあっ!?」

アニスがアリエッタの譜術に吹き飛ばされる。

「アニス!」

俺は落ちてくるアニスを受け止める。

「無事か?」

「う、うん。ありがとう、サキ」

「・・・して」

アリエッタの声が聞こえてくる。

「どうしてアニスを助けるの!?どうしてアリエッタのお友達に攻撃するの!?」

「アリエッタ・・・それは・・・」

「その人達はママの仇なのに!なんでサキはその人達と一緒にいるの!」

「アリエッタ!話を・・・」

だが、俺は弁解をする前に・・・それすらできなくなる言葉をアリエッタの口から聞いた。

「サキの裏切り者!サキなんか大嫌い!」

「・・・!」

憎悪がその言葉を更に強め、俺の心に突き刺さる。

「裏、切り・・・」

「みんないなくなっちゃえぇ!ブラッディハウリング!!」

「危ない!」

アニスが咄嗟に後退りをするが・・・

「っ!?サキ!?」

「な・・・はっ!」

慌てて避けるが間に合わず・・・それに直撃してしまった。

「ぐぁ・・・」

その場に倒れる。

「え・・・あ、さ、サキ・・・?」

我を取り戻したアリエッタが事態を呑み込む。

『サキさん!しっかりするッス!』

「う・・・」

いくらなんでも直撃は不味かった。体が動いてくれない。

「違、わたし・・・サキを傷つけるつもりじゃ・・・いや・・・いやぁぁぁぁ・・・!!」

アリエッタの声が途切れ、何かが倒れる音が聞こえる。

「アリ・・・エッタ・・・」

「おい、大丈夫か!?」

ガイが俺を抱え起こす。

「ティア、頼む」

「わかったわ。・・・ファーストエイド」


ティアのお陰で体が動くようになる。

「おい、大丈夫かよ?」

ルークが聞いてくる。

「ちっとキツいかな・・・歩くのがやっとってレベルだ」

「・・・なら、好都合ですね」

ジェイドが槍をアリエッタに向ける。

「やはり、見逃したのが仇になりましたね」

「ッ!止めろ!」

俺が動くより早く、イオンが立ち塞がる。

「待ってください!アリエッタを連れ帰り、教団の査問会にかけます。ですから、ここで命を絶つのは・・・」

「それがよろしいでしょう」

その時、ヴァンが歩いてきた。

「師匠・・・」

「カイツールから導師到着の伝令が来ぬから、もしやと思いここへ来てみれば・・・」

「すみません、ヴァン・・・」

「(コイツらも独断で来たのか・・・)」

「過ぎた事を言っても始まりません。アリエッタは私が保護しますが、よろしいですか?」

「お願いします」

「やれやれ・・・キムラスカ兵を殺し、船を破壊した罪、陛下や軍部にどう説明するんですか?」

ガイがヴァンに尋ねるが、答えたのはイオンだ。

「教団でしかるべき手順を踏んだ後処罰し、報告書を提出します。それが規律というものです」

「・・・死刑とかはないよな」

「安心してください、サキ。そんな事はありませんから」

「・・・そっか」

「カイツール司令官のアルマンダイン伯爵より、兵と馬車を借りました。整備隊長もこちらで連れ帰ります。イオン様はどうされますか?私としてはご同行願いたいが」

「このコーラル城に興味がある人もいるようですけど・・・」

イオンがジェイドを見る。

「俺も馬車がいい」

「・・・と言う人もいますから、一緒に帰ります」

「わかりました」

ルークの言葉で決定する。そしてカイツール軍港まで戻り基地に向かう。

「これはこれは、ルーク様」

「・・・?」

「覚えておられませんか。幼い頃一度バチカルのお屋敷でお目にかかりました、アルマンダインにございます」

「覚えてねぇや・・・」

「ルーク様はまだお小さかったですからな。仕方ありません」

「イオン様。アルマンダイン伯爵にはアリエッタの件をお話ししておきました」
「我がしもべの不手際、お許しください」

「ダアトからの誠意ある対応を期待しておりますぞ」

ルークが何かを思い出したかのように言う。

「そうだ。伯爵から親父に伝令を出せないか?」

「ご伝言ですか?伝書鳩ならバチカルご到着前にお伝えできると思いますが」

「それでいい。これから導師イオンとマルクト軍のジェイド・カーティス大佐を連れてくって・・・」

「・・・ルーク。あなたは思慮が無さ過ぎますね」

ジェイドが呆れた声を出す。

「・・・カーティス大佐とは、死霊使い(ネクロマンサー)ジェイドのことか」

アルマンダイン伯爵がジェイドを見る。

「その通り。ご挨拶もせず大変失礼致しました。マルクト帝国皇帝、ピオニー九世陛下の名代として和平の親書を預かっております」

「・・・ずいぶん貧相な使節団ですな」

「あまたの妨害工作がありました故、お許しいただければと思います」

「こいつら、俺を助けてくれたんだ。何とかいいように頼む」

「・・・わかりました。取り急ぎ本国に鳩を飛ばしてみましょう。明日には船も出港できます故、本日はこの港でお休みください」

「お世話になります」





























































































































・・・やっぱり俺は眠れなかった。

「・・・」

『サキの裏切り者!』

アリエッタの言葉が甦る。

「裏切り者・・・か」

俺は下を向く。・・・瞬間、何かが目に入った。

「これ・・・血、か?」

俺は血の後を辿り・・・誰かが倒れているのを見つける。

「あ・・・」

だが、そいつは・・・血塗れで倒れていたのは・・・

「愛、依・・・」

悲惨なものだった。あちこち傷だらけで俺が踏み砕いた腕はありえない方向に曲がっている。・・・だが、その姿を見て・・・再び、俺の意識が狂い出そうとしていた。

「ぐ・・・」

真っ先に反応したのは左腕だ。五十嵐咲の記憶を取り戻した時、変化した身体の一部。・・・アリエッタと暮らしていた時までは普通の左腕だったのだが・・・何にせよ、この腕には俺の闇だけではなく、恋の闇も含まれている。・・・だから、真っ先に暴走するのはこの左腕だ。

「リパル!」

俺は方天画戟をダークリパルサーに変形させ・・・そのまま左腕を貫いた。


「ッッッ!」

『な、何をしてるッスか!?』

「ッ、ダークリパルサーなんだろ。だったら、俺の闇も打ち払えるかなって・・・」


痛みのお陰で狂気は収まった。・・・今の俺に、殺したいとは別の思い・・・話を聞いてみたいと思った。・・・冷静に考えれば、おかしい部分はたくさんある。例えば、恋を消した事。剛鬼とリョウコウに聞いたが、愛依は死体を消した。・・・その必要があるのか?亮が言うには錯乱した椿を落ち着かせるためらしいが・・・

「(じゃあ、何故あの食い逃げ犯や春鈴と共にいた兵士まで消した?)」

話を聞くと、どちらにも椿はいない。・・・駄目だ。想定できる事実がありすぎて、断定ができない。

「(考えてたってしょうがない)」

俺はダークリパルサーを引き抜く。

「さて、何て言い訳するか・・・」

愛依を抱き抱え、宿屋に向かう。・・・はたして・・・どうなるか・・・ 
 

 
後書き
サキ
「今回は・・・」

ジェイド
「私ですね」

サキ
「・・・」

ジェイド
「おや、どうしましたか?」

サキ
「・・・別に」

ジェイド
「しかし、あなたは本当に詳細がわかりませんね。これからの旅が不安です」

サキ
「随分ハッキリ言ってくれるな・・・」

ジェイド
「すみません。生憎根が正直なもので」
サキ
「(腹立つ・・・)まんま于吉じゃねえか畜生」

ジェイド
「于吉とは?」

サキ
「最初のボスで途中でも出てきて更に俺の中にいた奴だ」

ジェイド
「ほう。・・・まぁ、それはいいでしょう。それでは、次回の続・真似と開閉と世界旅行」

サキ
「そっちは俺の台詞だけどな・・・それじゃ、また次回!」 
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