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真似と開閉と世界旅行

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世界樹へ~

 
前書き
うう、更新が遅い・・・就職ってこんなに大変なのか・・・とと、ではどうぞ。 

 
俺達はリーファに着いていって街中を歩いていく。

「さっきの子は、リーファの彼氏?」

「コイビトさんなんですか?」

「はぁ!?」

・・・親子が切り込むとリーファが慌てて転びそうになる。

「ち、違うわよ!パーティーメンバーよ、単なる」

「でもまあ、仲はいいよね」

「リアルでも知り合いって言うか、学校の同級生なの。でもそれだけよ」

「ふーん。知り合いが同じゲームにいるって・・・どんな感じ?」

「・・・うーん・・・気が楽な時もあるけど、宿題とか思い出したりしてプラマイ0なんだよね」

「・・・なるほどね」

さっきから通りかかるシルフはキリトを見るなり目を見開くが、リーファと俺を見て怪訝そうにしながら去っていく。・・・よく見たら少数だけどケットシーがいる。商売だろうか?

「ついたよ」

リーファが建物の中に入る。どうやら時間帯的にはまだ混んでないようだ。

「さ、ここはあたしが持つから何でも自由に頼んでね」

「じゃあお言葉に甘えて・・・」

「あ、でも今あんまり食べるとログアウトしてから辛いわよ」

・・・そうそう。本来ならそうなのだ。仮想空間で得た満腹感はログアウトしてもしばらく消えないらしい。それで衰弱死だのなんだので事件も多いらしい。

「俺はこの木の実のタルトにしようかな・・・」

「わたしはチーズクッキーが食べたいです」

「俺、チーズケーキがいいな。亞莎・・・は・・・」

「・・・!」

「・・・ごま団子で」

注文し、香草ワインも頼んで俺達は乾杯する。

「改めて、助けてくれてありがと」

「いやまあ、成り行きだったし・・・それにしても、えらい好戦的な連中だったな」

「シルフとサラマンダーが仲悪いのは知ってるけど・・・何か事情が?」

俺が聞くとリーファは考え込む。

「もともと狩り場とかで領が隣だからよく出くわしてたけど、集団PKが出るようになったのは最近だよ。きっと・・・近いうちに世界樹攻略を狙ってるんじゃないかな・・・」

「それだ、その世界樹について教えてほしいんだ」


リーファが言うには、世界樹への到達は全プレイヤーのグランドクエストであるそうだ。最初に妖精王オベイロンに謁見した種族は“アルフ”に生まれ変わり、滞空制限なしに自由に飛び回れる・・・らしい。ただ、内部から侵入するのだが、ここにはガーディアンがいて、これがかなりの強さらしい。システムの改善を求めても運営は知らんぷり・・・お決まりの返しが来たそうだ。

「じゃあ、何か難易度が下がるキークエストを見落としている、もしくは・・・単一の種族じゃ絶対に攻略できない」

キリトが言うとリーファは笑う。

「へぇ、いいカンしてるじゃない。クエスト見落としのほうは、躍起になって検証中だけどね。後の方は・・・絶対に無理」

「無理?」

「兄貴、考えても見なよ。最初に到達した種族だけなのに、わざわざ協力しあうと思う?・・・何時の時代だってそんな理由で争いは起こるんだね・・・」

あの戦い・・・自らが世界を統一する乱世・・・誇りと力がぶつかりあう世界・・・

「・・・じゃあ、世界樹を登るのは・・・不可能ってことなのか・・・」

「あたしはそう思う。まあ、楽しみ方は人それぞれだし・・・でも諦めきれないよね・・・たとえ何年かかっても、きっと・・・」

「それじゃ遅すぎるんだ!」

不意にキリトが叫んだ。その形相には様々な感情が浮かんでいる。

「パパ・・・」

「兄貴、落ち着いて」

キリトの身体から力が抜けた。

「・・・驚かせて、ごめん。けど俺、どうしても世界樹に行かなきゃいけないんだ・・・」

「なんで、そこまで・・・?」

「人を・・・探してるんだ」

「ど、どういうこと?」

「簡単には説明できない・・・」

キリトはリーファにお礼を言って別れようとしたが、リーファはアルンまでの道案内を申し出てくれた。リーファにお礼をいい、明日も来ると約束する。そしてリーファはログアウトし、後には俺らだけになる。

「・・・なんか巻き込んじゃったかな」

「いいんじゃない?リーファも親切で言ってくれてるんだし。ただ惚れられないようにね」

「は?なんだよ、まるで俺が普段から・・・」

「その手の言い訳はいいです。なあ亞莎?」

「・・・(もぐもぐ)」



「・・・」

「・・・(もぐもぐ)」

・・・あの、すみません。隣で一心不乱に身の丈ほどのごま団子を目を輝かせながら食べてる妖精がいるんですけど・・・

「・・・亞、莎?」
軽く指先で頭を叩くと、亞莎はハッとなって慌てる。

「あ、あの、これは・・・!じ、自分の体と同じ大きさのごま団子を見て・・・その・・・嬉しくて・・・ちょ、ちょっと夢でしたし・・・(ごにょごにょ)」

「・・・」

もはや中毒の部類なのではなかろうか。・・・まぁ、可愛いっちゃ可愛いんだが。

「アーちゃんはごま団子が好きなんですか?」

「あ、はい。・・・以前亮さんが買ってきてくれて、それから・・・」

「はは・・・懐かしいね・・・」

亞莎も初めは俺を避けてたしなぁ・・・


「・・・」

・・・思い出したら明命には刀を抜かれかけるし、蓮華には怪訝な目で見られるわ思春には殺気ぶつけられるわ・・・散々だったなぁ。

「・・・んん・・・」

今の関係が嘘みたいだ・・・

「亮さん?」

「あ・・・な、何でもないよ」

チーズケーキの最後の一切れを食べる。

「じゃ、俺は部屋に行くよ」

「ああ、また向こうでな」


「ユイ、またね」

「はい・・・また明日です、お兄ちゃん」



宿の一室に入ると、亞莎が元の姿に戻る。

「・・・ふぅ、満足です・・・」

「おいおい・・・」

俺はベットに腰かける。

「・・・って、亞莎はここに残らなきゃいけないのか・・・」

「ええ、まあ、亮さんの携帯端末に移動したりもできますが・・・」

「それは前任者がいるな・・・」

「あはは・・・でも、きっとユイちゃんも残るでしょうし、一緒にいます」

「あ、そっか・・・ユイもリアルに来れないもんな・・・」

・・・何かのゲームであったように、現実に仮想の身体を作り、それに精神を乗っけたりとか出来たらいいのに・・・

「やっぱ、人間の進歩はゆっくりだねぇ」

「私達からしたら驚きの連続なのですが・・・」

「・・・なんかよく分かんないね。三國行ったりファンタジーな世界行ったり死後の世界行ったり未来行ったり・・・」



「・・・」

「まるで根なし草だ。恋姫の世界で根を張り続けたいけどね・・・」

「・・・あの、亮さん」

「ん?」

「その・・・聞きたいのですが・・・明命と、その、交わったんですよね・・・」

「ごふっ・・・!・・・い、いいいいきなり何を!?」

思わずむせてしまう。いや、だって・・・ねぇ?

「あ、あの、別に深い意味ではなくて、そのただ・・・」

亞莎が飛び付いてくる。

「ちょ・・・亞莎!?」

「ご、ごめんなさい・・・けど、私は・・・もっと亮さんと側にいたいんです。亮さんが危険な目にあってる時、私はいつもそこにいなくて・・・思春さんや明命だって・・・」

「・・・いつか遠くに行くんじゃないか・・・って?」

「・・・はい。だから、明命が羨ましいです。誰よりも亮さんを感じたから・・・側にいるから・・・」

「・・・でも、今は亞莎が側にいる」

「・・・!」

「今は誰よりも亞莎が支えてくれている。・・・それに、みんなを連れて帰ればみんなが側にいる。距離の差なんてない・・・」

「・・・亮さん・・・」

亞莎が離れる。

「すみません・・・やっぱり、寂しいのかもしれませんね・・・あはは・・・」

「・・・うん、ごめん。亞莎が何時も俺の心配をしてくれてたのは知ってたのに・・・」

「・・・大丈夫です。さあ、行ってください」


「ああ、また戻ってくるよ」

俺はそう言って横になる。・・・リーファに聞いたのだが、無条件ですぐにログアウトできるのは種族のテリトリー内で、それ以外では脱け殻が数分間放置されるそうな。だからテリトリー外ではテント系アイテムを使ったり宿屋を使ったりしなければいけない。そしてこちらはキリト情報だが、ログアウトした時に、五感のギャップがあると大変らしい。立ったままから寝た状態の場合、目眩がしたり・・・飛行系ゲームで墜落したりするともうヤバイそうだ。そこで理想的なログアウトが“寝落ち”だそうで、俺はそれを試すべく眠りにつく。

「では、また明日・・・」

亞莎の声が聞こえながら・・・意識を暗闇に放り込んだ・・・

























































































早貴~

「・・・買ってきたわよ」

「うん、ありがとう。お金足りた?」

「充分にね。あんたどんだけ金持ってんのよ・・・」

「ふふ・・・その分色々面倒だけどね・・・いたた」

右足に痛みが走る。後頭部にも鈍い痛みがあるし、口の中も切ってるようだ。

「さて・・・と」

里香に買ってきてもらったアミュスフィアを取り出し、ケーブルとパソコンを繋ぐ。

「詠とリパルのデータを移植して・・・ALOは・・・うん、やっぱり基本的なシステム構造がSAOと同じだ・・・だったら詠たちのシステム変更はいらなくて・・・」

「はぁー・・・早貴って頭いいのねぇ。あたしには何が何だか・・・」


「そう?・・・まぁ、これしか取り柄ないしね・・・」

「・・・何か暗くない?」

「家じゃもっと暗いよ?・・・素のわたしを見たら二度見するんじゃないかしら?」

「そこまで?・・・まったくイメージできないわ」


「(・・・ていうか自分でもどれが自分だか分からなくなってるけどね・・・)」


データのインストールを完了させる。

「・・・なんだかノートPCのわりに性能高くない?」

「え?ああ、これは和人さん・・・じゃない、キリトに作ってもらったの」

「キリトに?」

「・・・元からネットを漁る気でいたし、どうせなら持ち運びできる方がいいしね。あ、ルータも持ち歩いてるよ」

「ふーん・・・」

「さて、と・・・じゃあ、行ってみますか・・・」

「うん、気をつけなさいよ?」

「こっちの台詞よ。・・・もし奴らが来たら・・・迷わずわたしを差し出して」

「・・・ちょっと、それはさっき・・・」

「反論は聞かない。・・・お願い、本当に・・・里香までアイツの手にかかるなんて、わたしは耐えられない・・・だから・・・」

「・・・ま、考えとくわ」

「・・・里香・・・!」

「ようはチンピラとか来たら差し出せって言うんでしょ?分かったわよ」

「うん・・・お願い」

わたしはカードを入れてアミュスフィアを被る。

「よし・・・・・」

「まあ、怪しいセールスとかは普通に追い返していいんでしょ?」

「は?・・・そうだね・・・なんで聞くの?」

「何でもないわよ」


ベットに横たわり、目を閉じる。

「行ってくるね。・・・リンク・スタート!」

意識がずれる感覚の中、里香が何かを言った気がした。

「・・・ま、チンピラとセールスの区別は勝手にするからね(ボソッ)」





















































亮~



俺はログアウトしてから和人と話し合う。

「なるほどね、SAOとALOは構造プログラムがほぼ同じ・・・だからユイも復活できた」

「・・・で、お前は外史っていう世界を回ってる・・・ってか?」

「さすがに信じられないよね・・・」

「・・・いや、亞莎を見ればある程度理解はできるし・・・茅場も言ってたしな」

「はは・・・そうだったね」



「しっかし・・・そうなると本当に漫画みたいだなぁ」

「実際漫画みたいだけどね・・・巡った世界的にも・・・」

「・・・じゃあさ、俺達のこの世界も何らかの形で正史ってのにあるのか?」

「え?あぁ・・・多分ね。・・・ただまぁ、よく覚えてないけど・・・」


「ふーん、気になるな。・・・あ、そろそろ晩飯の支度するか?」

「そだね。今日は何作ろっかなー」

「和洋中ってやってみるか?」

「あ、面白そう。そんでついでにカロリー多めにして直葉を狼狽えさせてやろう」

「ははは、直葉に聞かれたら怒られるぜ?」

「怒って見せましょうか?」

「「・・・」」

俺はフリーズする。

「ええと、直葉さん・・・何時からそこに?」

「二人が晩御飯の相談をしてるとこからだけど・・・亮お兄ちゃん?」

「・・・はい」

うん、外史の話しは聞こえなかったのか・・・じゃなくて、やばい。

「・・・あたしがカロリーとか気にしてるの知ってるでしょーー!?」

「うわ、ごめん!ごめんってば!つーか別に直葉は太ってる訳じゃないんだから少しくらい・・・」

「その油断で人は太るの!それに最近体重増えてきて・・・!亮お兄ちゃんの悪魔!鬼!」

「いや、それは多分違う部分が成長・・・じゃなくて落ち着けって!兄貴も止めてーーー!」


「ははは・・・」


直葉を宥めるのに大分時間がかかり・・・今度デザートを奢ることで許してもらった。・・・それこそ太るんじゃないかと思うが・・・ま、いいや。結構直葉のデザート食べてる時の顔も見物だし。・・・さてさて、そして翌日になって約束の時間に再度ログインする。


「・・・ふぅ」

何となく髪と耳を触る。・・・うん、慣れた。まあ、この世界での身体だし、愛着を持たないとね。あの世界と同じで俺も一領民な訳だし。

「・・・と、来たか」

キリトが実体化し、リーファも店に入ってくる。

「よっ、コウハ。リーファも早いね」

「ううん、さっき来たとこ。ちょっと買い物してたの」

「あ、そうか。俺も色々準備しないとな」

「まず装備だよね・・・」

俺は武器はいいとしてまず防具だ。

「そうだね。キミたち、お金ある?なければ貸しておくけど」

キリトがメニューを開き・・・固まった。


「・・・このユルドっていう単位がそう?」

「そうだよー。・・・ない?」

「い、いや、ある。結構ある」

「・・・?・・・!?」

俺も気になって自分のを見たら・・・なんかもう、やばいくらい桁が並んでた。・・・え?これもSAOから引き継いでんの?もう強くてニューゲームってレベルじゃないぞ?


「・・・と、亞莎、いるか?」

声をかけると、胸ポケットから亞莎が顔を出す。

「・・・おはようございます、コウハさん」

「うん、おはよう。・・・もう昼過ぎだけど」

地味にゲーム内とリアルで時間差があるんだよなあ・・・
さてさて、防具はあっさりと決まったが・・・キリトが時間をかけ、大分武器で悩んだ末に身の丈ほどの大剣を選んだ。


「コウハさん、似合いますよ」

「そう?この姿に紅いコートが合うか心配だったんだけど・・・」

もはや何猫かわからんね。

「そんな剣振れるのぉー?」

「問題ない」

さてと、装備も整えて俺達はこの街のシンボルである塔に向かう・・・途中、キリトが渋い顔をする。

「出発する前に少しブレーキングの練習しとく?」

「・・・いいよ。今後は安全運転することにしたから」

「その言葉がフラグじゃなきゃいいけどね」

ちなみに塔から出発する理由は高度が稼げるかららしい。そして塔に入り、エレベーターに乗ろうとした瞬間・・・複数のプレイヤーに進路を塞がれた。・・・なんだ?

「・・・こんにちは、シグルド」

・・・そう言えばレコンがシグルドがどうとか言ってたような・・・

「パーティーから抜ける気なのか、リーファ」

「うん・・・まあね。貯金もだいぶできたし、しばらくのんびりしようと思って」

「勝手だな。残りのメンバーが迷惑するとは思わないのか」

「ちょっ・・・勝手・・・!?」

何も知らない状態じゃシグルドの方が正論に聞こえるが、リーファの反応を見るに、どうやら相当こいつは理不尽なことを言ってるようだ。

「お前はオレのパーティーの一員として既に名が通っている。そのお前が理由もなく抜けて他のパーティーに入ったりすれば、こちらの顔に泥が塗られることになる」

「・・・・・・」

・・・確定。こいつ、人間的に嫌な奴だ。・・・やだなぁ、こういった人間は・・・

「仲間はアイテムじゃないぜ」


「え・・・?」

キリトだ。キリトはリーファとシグルドの間に割って入る。

「なんだと・・・?」


「他のプレイヤーを、あんたの大事な剣や鎧みたいに、装備欄にロックしとくことはできないって言ったのさ」

「きッ・・・貴様ッ・・・!!」

「おっとと、落ち着いて」

俺はそう声をかける。

「なんだ貴様、このスプリガンの知り合いか」

「知り合いってか兄弟ですね。まあ、兄貴がド直球ですみません」

「ふん、このような葛スプリガンの兄がいるとは、ケットシーの品も落ちたものだな」

「・・・お言葉ですが、ケットシーを纏めて一括りというのは極論では?」

「別に問題あるまい。ケットシーはその通り猫かぶりの可能性が高いからな、安易に想像がつく」



・・・チッ。

「・・・だから一括りに決めつけんなって言ってるだろ」

「なに・・・!」

「俺には嫌いなことがあってね。その一つに誇りを傷つけることってのがあるんだよ」

「コウハくん・・・?」

「でさ、俺の経験上じゃあ他人の誇りとか嘲笑える奴って人としての品格がない気がするんだ」

「貴様・・・何が言いたい?」

「は?まだ分からないか?・・・じゃあ単刀直入に・・・アンタが人間として屑ってことさ」

「・・・!!」

・・・やばい、口が止まらなかった。・・・これ、怒るよなぁ、絶対。


「・・・貴様ァ・・・!そうか・・・貴様ら、領地を追放された《レネゲイド》だな!?」

レネゲイド・・・確か領地を捨てたり追放されたものの呼称か。・・・追放とかなにも、一度も領地に行ったことないんだが・・・とにかく、その後は売り言葉に買い言葉。リーファがヒートアップして領地を出るとまで言い出した。シグルドが完全にキレて剣を抜いたが・・・部下達に止められてそのまま去っていく。

「・・・ごめん、リーファ!最初は場を納めようとしたんだけど、ついアイツの言葉にカチンと・・・」

「ううん、気にしないで」

「こっちも悪い・・・火に油注ぐような真似しちゃって・・・いいのか?領地を捨てるって・・・」

「あー・・・」

リーファは言い淀み、俺達の背中を押して塔を上がっていく。そして広がる景色は・・・凄かった。
「広いなぁ・・・まるで・・・」

「呉にいるみたいですね・・・」

「ああ、城壁からの景色は最高だったよな・・・」

ふとリーファとキリトの会話が耳に入った。

「・・・でも、なんだか喧嘩別れみたいな形にさせちゃって・・・」

「あの様子じゃ、どっちにしろ穏便には抜けられなかったよ。ーーーなんで・・・」

リーファが呟く。

「なんで、ああやって縛ったり縛られたりしたがるのかな・・・せっかく、翅があるのにね・・・」

「フクザツですね、人間は」

ユイがそう答えた。

「ヒトを求める心を、あんな風にややこしく表現する心理は理解できません」

「求める・・・?」

「他者の心を求める衝動が人間の基本的な行動原理だとわたしは理解しています。ゆえにそれはわたしのベースメントでもあるのですが、わたしなら・・・」

ユイはキリトの肩に乗り、頬にキスをする。

「こうします。とてもシンプルで明確です」

「・・・ユイ・・・」

「でも、そんなに真っ直ぐ表現できないのが人間ですよね・・・」

亞莎がそう呟く。・・・俺も今でこそ亞莎やみんなに真っ直ぐ好意を伝えられるけど・・・その時、レコンが走ってやってきた。

「ひ、ひどいよ、一声かけてから出発してもいいじゃない」

「ごめーん、忘れてた」

レコンががくりと肩を落とす。

「リーファちゃん、パーティー抜けたんだって?」

「ん・・・その場の勢い半分だけどね。あんたはどうするの?」

「決まってるじゃない、この剣はリーファちゃんだけに捧げてるんだから・・・」

「えー、別にいらない」

「(うっわぁ・・・)」

似た言葉を言ってる自分としては、拒否されたら辛いと思う。・・・てな訳でレコンはまだ気になることがあるらしく、しばらく調査を続けるらしい。余計なことを言いかけたレコンをリーファが黙らせ、リーファは飛ぶ。・・・レコン、どんまい。そして俺達は空を飛び・・・アルンへと向かっていく・・・ 
 

 
後書き
早貴
「あー・・・ったく・・・頭痛い・・・」


「それはどっちの意味で?」

早貴
「物理的に」


「オッケー、把握」

早貴
「ていうかさ、今回俺の被害ひどくね?」


「・・・一応今までよりはダメージ少ないけど」

早貴
「まあ、斬られると殴られるじゃ違うけどよ・・・」


「さて、俺って“らしい”って言いすぎな気がするな・・・ま、いいか。それじゃ、次回もよろしく」 
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