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真似と開閉と世界旅行

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行動開始~

 
前書き
っしょい!テスト終わったぁ!てなわけで反動でか書きすぎたような・・・ではどうぞ! 

 
早貴~

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

胸を押さえて呼吸を整える。・・・アレからもずっと追われ続け、今は裏路地に身を潜めている。

「須郷のデータを見る余裕もないな・・・はぁ・・・」

どうやって電車に乗って遠くに行こうか。・・・こうなったら一か八か・・・行くか。


「いきなり遭遇は勘弁な・・・」

左右を確認・・・OK。俺は小走りで駅に向かう。








































「・・・わお」

見事に駅前に溜まっている集団。・・・参ったな、警察も呼べないし・・・だったら。

「・・・」

落ちていた空き缶を拾い、入り口の右側によって・・・思い切り空き缶を投げる。

カコン!

『!?』

全員が音がした方に気を取られる。俺はその間に走り抜ける。

「あ・・・ま、待ちやがれ!」

・・・今だけは女の身体に感謝だ。細い身体は人並みをすいすい縫うように進める。・・・だが背後の男たちは構わずに人を突き飛ばしながら走ってくる。

「やりたい放題だな・・・!」

目の前に改札が迫る。俺はパスを通し、タイムロスを防ぐために改札口が開く前に飛び越える。


『・・・番線に・・・行きの列車が・・・』


聞こえるアナウンス。・・・ナイスタイミングだ。俺は電車に駆け込む。・・・外は既に日が傾いていた。

「一日中とか・・・逃○中もビックリだ」

電車が動き出し、一息つく。・・・と、その時、電車内にいた男が携帯を見た後、辺りを見渡し始めた。

「(おい・・・まさか・・・)」

俺は咄嗟に身体を伏せ、乗客に紛れ込む。男はしばらく見渡したあと、別の車両に向かって歩き出した。

「勘弁してよ・・・少しは休ませろって・・・」

どうせ戻ってくるだろうし・・・俺は反対側の車両まで急ぐ。

「(早く・・・早く・・・!)」

こうなったら次の駅で降りるしかない。・・・そう思った時、視界にさっきの男が写った。

「(やべ・・・!)」

電車が停止を始める。あと・・・あと少し・・・

「・・・!」

・・・男と目が合った。すると男はまっすぐにこちらに向かってきた。そして俺を掴もうと手を伸ばした時・・・扉が開き、俺は人の波に流された。


「(あ、危な・・・)」


俺は駅を出ようとするが・・・また怪しい集団がたむろっていた。

「いくらなんでも・・・全力過ぎませんかねぇ・・・」

きっと前の駅で撒いた奴らが連絡でもしたのだろう。・・・だけど、止まるわけにはいかない。俺は全力で走り出す。

「ん・・・?おい、来たぞ!」


一人が気づいて周りに向かって叫ぶ・・・が、余所見をしたのが運の尽きだ。俺はショルダーバッグを手に持ち、思い切り・・・振り抜いた。

ガキャアッ!

「ごあっ!?」

そのまま間を抜ける。・・・今日だけで人の間を走り抜けるのは何度目だろうか。


「待てコルァ!」

「ナメてんじゃねえぞ!」


「チッ・・・」


また路地裏で撒くか・・・そう思って俺は路地裏に逃げ込み、曲がろうとした瞬間・・・

ゴン!

「(・・・え・・・)」

後頭部に衝撃。視界が揺れ・・・そのまま倒れ込む。

「な・・・あ・・・」

倒れたと同時に金属音。視線を動かすと・・・金属バットが転がっていた。

「・・・ストラーイク」

「お前凄ぇじゃん。綺麗に後頭部に当てるとかよ」

男たちが集まってくる。逃げようにも頭が揺れて立ち上がれない。一人の男が俺を掴み、立たせる。

「やっと捕まえたぜ・・・手間かけさせやがっ、て!」

バキィ!

頬を殴られ、再び地面に倒れる。

「逃げれねぇようにしてやる」

そう言って男は金属バットを・・・思い切り俺の右足に振り下ろした。

「ぎーーーーあぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

激痛。だが男たちは止まらない。

「よう、さっきはやってくれた、な!」

ドスッ!

「ごふっ・・・ぅぇ・・・」

鳩尾を蹴られ・・・顔も蹴り飛ばされる。

「う・・・ぐ・・・」

「ちょっとやり過ぎじゃね?」

「あん?別に平気だろ。人間って地味に頑丈だしな」

「この際だし、この嬢ちゃんには世間の恐さを教えてやるか」



「・・・げほ・・・ぅ・・・」

身体が・・・動かない。このままじゃ・・・・・・



「あ、あんた達何してんのよ!」

「(え・・・?)」

女性の声・・・

「お、お巡りさん!こっちです!」

「やべぇ、逃げるぞ!」

「女は!?」

「放っとけ!」

蜘蛛の子を散らすように逃げ・・・誰かが近付いてくる。

「大丈夫ですか!?」

俺は・・・両手で身体を起こす。

「今・・・警察が・・・逃げないと・・・」

「それは嘘よ。偶然通りかかって・・・咄嗟にああ言って・・・」

俺は顔を上げ、相手の顔を見る。・・・あれ?この顔・・・

「あれ?何処かで・・・」

この声・・・顔立ち・・・髪色は違うけど、もしかして・・・

「リズ・・・リズベット・・・?」

「え・・・もしかして、サキ・・・?」

「どうして・・・うっ・・・」

立ち上がろうとして・・・視界が歪んだ。

「(あ・・・これ、ダメだ・・・)」

力が入らず、身体から感覚が消え・・・意識を手放した・・・




























































































亮~


「~~~♪」

「楽しそうですね」

「まあね。ある意味違うけど、自力で飛んだ訳だし・・・にしても、兄貴にも負けないくらい真っ黒だなあ」

いわゆる黒猫だ。・・・何か皮肉を感じる。

「亞莎、反応は?・・・と、いや・・・見えた」

「え・・・まだ距離がありますが・・・」

「ケットシーはどうやら視力がいいみたいでね。こっからでもバッチリだ」


「あ、そう言えば明命も目がよかったですね」

「ああ。アイツはよく城壁の見張りや斥候やったりしてたしね。・・・猫好きだと目がいいのかな?」

「それはないと思いますが・・・」

亞莎が苦笑いを浮かべる。

「・・・しかしまあ、一人を三人がかりか。ゲーム的には不利な方を助けるのがセオリーだよな」

「ふふ、そうかもしれませんね」

遠くで一人の方が一撃を貰い、落下していく。・・・いや、自分から降りてるのか、あれは。

「亞莎、飛ばすぜ!」

「どうぞ!」



俺はスピードを上げ、どんどん近付いて・・・三人のプレイヤーを追い抜き、翅を広げて地面に着地する。・・・思ったより難しいな、着地。

「な、なんだ!?」

三人の方は全身真っ赤な装備・・・サラマンダーだ。

「な、なんなの・・・?」

一方背後にいたのは金髪の少女で・・・この装備は色的にシルフかな?まあ、色は変えれるけど・・・

「・・・どうも、弱気者の味方です。初めまして、サラマンダーの皆さん?」

腰に差してある擬音を握り締める。

「さて、さっそく・・・っ!?」

・・・不意打ちだった。いきなり誰かが森の中から吹っ飛んできて・・・俺を巻き込んで草村の中に突っ込んだ。

「っつー・・・」

「うう、いてて・・・着地がミソだなこれは・・・」

「あのなぁ、着地できないで突っ込んだのかアンタは・・・」

「はは、悪い悪い。よっ」

突っ込んできたのは全身真っ黒な男。翅の色は灰色。・・・スプリガン?

「コウハさん、平気ですか?」

「ああ、何とかな」

ポケットから顔を出した亞莎を見るとスプリガンの男が目を丸くする。

「あれ、君は・・・」

「アーちゃん!それにお兄ちゃんです!」

「へ?」

男のポケットからピクシーが顔を出す。・・・って、その顔と呼び方・・・

「え・・・ユイ・・・?じゃあ・・・」

「まさか・・・」

俺達はお互いを指差す。

「和人か!?」

「亮か!?」

なんたる偶然。まさかこんなに早く合流するとは・・・

「おら!さっさと出てこい!」

サラマンダーの声が聞こえる。俺達は一度お互いを見て、頷く。そして草むらから出て、再びシルフとサラマンダーの間に入る。

「な・・・何してるの!早く逃げて!!」

どうやら俺達の防具などで初心者と判断したのか、シルフの少女が叫ぶ。だが俺達は軽く笑っていた。

「重戦士三人で女の子一人を襲うのはちょっとカッコよくないなぁ」

「なんだとテメエ!!」

「ダメじゃないか、本当のこと言っちゃあさあ」

「んだとぉ!?」

「上等だ・・・ニュービーだろうと容赦しねぇ、狩ってやる!」

サラマンダーのランス持ち二人が構える。

「さて、このゲームってPKアリだよね?」

「ああ、そうだったな」

「じゃ、担当は一人一体だね。よろしく、“キリト”」

「こちらこそ、“コウハ”」


擬音を引き抜き、構える。くくりつけられた鈴がチリン、と鳴る。久々にアレを言うか。

「鈴の音は・・・黄泉路を誘う道しるべと思え!」

「ほざけ!」

ランスを構え、相手は突進してくる。

「・・・遅いぜ」

それを身を捻ってかわし・・・そのまま擬音をがら空きのボディに向かって振り抜く。

「斬っ!!」

ズシャアッ!

一撃でHPを削りきり、サラマンダーは赤い炎に包まれる。見るとキリトも一撃で終わらしたようだ。


「・・・手応えないなぁ」

「(亮さん・・・何時もより太刀筋が鋭いような・・・)」

そりゃ、死人が出ないなら剣も真っ直ぐ振れるさ。俺とキリトは剣を残ったサラマンダーに向ける。

「んじゃ、お約束の問いかけだね」

「どうする?あんたも戦う?」

サラマンダーが苦笑した気がする。

「いや、勝てないな、やめておくよ。アイテムを置いてけというなら従う。もうちょっとで魔法スキルが900なんだ、死亡罰則(デスペナルティ)が惜しい」

「正直な人だな」

キリトが笑う。俺は背後を見る。

「シルフさんはどうする?あの人とやりたいなら止めないけど・・・」

「あたしもいいわ。今度はきっちり勝つわよ、サラマンダーさん」

「正直君ともタイマンで勝てる気はしないけどな」

サラマンダーはそう言って飛び去っていく。残っていた赤い炎も消え、シルフはこっちを見る。

「・・・で、あたしはどうすればいいのかしら。お礼を言えばいいの?逃げればいいの?それとも戦う?」

キリトは剣を左右に切り払ってから背中の鞘にしまう。俺も擬音を軽く回してから腰に納める。

「うーん、俺的には正義の騎士が悪漢からお姫様を助けたっていう場面なんだけどな」

「・・・登場の仕方的には主人公を助けに来た脇役二人・・・だけどね」

「そうか?お姫様が涙ながらに抱きついてくる・・・とかお約束じゃないか?」

アソコまでダサい登場して(しかも巻き込まれた)感動するお姫様って変わりもんだろ・・・

「さっきから何バカみたいなこと言ってるのよ!」

「ははは、冗談冗談」

「俺的にはもう少し悪のりしてもよかったんだけどね」


「この・・・!」

「十分悪のりが過ぎますよ、コウハさん」

「そうです!それにハパにくっついていいのはアーちゃんや詠お姉ちゃん達を入れたわたしの家族だけです!」


「ぱ、ぱぱぁ!?」

亞莎とユイを見てシルフが驚く。・・・キリトがアタフタとするが・・・

「ねえ、それってプライベート・ピクシーってやつ?」

「へ?」

「あれでしょ、プレオープンの催促キャンペーンで抽選配布されたっていう・・・へぇー、初めて見るなぁ」

俺は咄嗟にそれに便乗する。

「そうそう。昔アカウント取ってて・・・偶然手に入ってさ。んで、最近始めたんだよ。今まで他のやってたからさ。だから装備もまだしょっぱいし・・・」

「へぇー」

シルフはそう返してから俺らを見る。

「・・・それにしても、ケットシーは隣領だから分かるとして、なんでスプリガンがうろうろしてるのよ。領地はずうっと東じゃない」

「み、道に迷って・・・」

「迷ったぁ!?」

項垂れたキリトを見てシルフは笑う。

「まあ、ともかくお礼を言うわ。助けてくれてありがとう。あたしはリーファっていうの」

「・・・俺はキリトだ。この子はユイ。それでこっちが・・・」

「コウハだよ。コイツは亞莎」

ユイと亞莎は頭をペコリと下げる。・・・そしてシルフ・・・リーファがお礼に一杯奢ると言い出した。俺とキリトは情報が欲しかったのでそれに乗り・・・シルフ領の首都“スイルベーン”に向かうことになった。・・・んで、キリトにもコントローラなし・・・随意飛行のやり方を教える。・・・ちなみにキリトはロケットになりました。



































「・・・酷いよリーファ・・・」

「あはは、ごめんごめん」

「いやー、最高に笑ったよ」

リーファの後ろを飛びながら、リーファに聞こえないように話す。

「兄貴、もしかしてバグみたいなの起きてフィールドに落下しなかったか?」

「ん?ああ・・・もしかしてコウハもか?」

「うん。・・・じゃあ兄貴と混線したのかな」

「そうかな・・・まぁ、そうだろうけど。それより・・・亞莎、何だよな」

「はい、そうです」

「・・・やっぱり人間じゃなかったのか?ユイと同じ人の心を持った・・・」


「・・・この世界では同じ扱いでいいでしょう」

「この世界って・・・やっぱり茅場が話してたのは・・・」

「・・・それについてはリアルで話そっか。リーファに聞かせる必要もないしね。・・・ユイのことも後で聞かせてよ」

「二人とも何を話してるの?」

「いや、なんでも」

俺達はその後に競争するように高速で空を飛ぶ。すると明るい光点と塔が見えてきた。

「お、見えてきたな!」

「真ん中の塔の根本に着陸するわよ!・・・って・・・」

リーファの表情が固まった。

「キリトくん、コウハくん・・・ランディングのやりかた解る・・・?」

「・・・俺はさっきので何となく・・・」

俺とリーファはキリトを見る。すでに顔は強ばっていた。

「・・・解りません・・・」

「えーと・・・」

もう塔との距離はあまりない。

「ごめん、もう遅いや。幸運を祈るよ」

「・・・グッドラック」

そう言って俺とリーファは翅を広げて制動をかけながら降下していく。

「そ・・・そんなばかなああぁぁぁーーーーーー」


ビターーン!!

派手な音を聞きながら俺は地面を滑りながら着地する。

「・・・とと、あと一、二回やれば慣れるかな」



数秒後に潰された虫みたいにキリトが落ちてくる。

「うっうっ、ひどいよリーファ・・・飛行恐怖症になるよ」

「くく・・・はははは・・・」

「笑うなよぉ。大体コウハも知ってたなら教えてくれよ!」

「・・・そう言えば君たちって知り合い?仲いいけど・・・」

・・・別に話しても平気かな。

「ああ、キリトと俺はリアルじゃ兄弟なんだよ、こっちが兄貴で俺が弟」

リーファが目を見開く。

「へぇ・・・兄弟なのにバラバラな種族を選んだんだね」

「まあね・・・」

「・・・てかキリト、HP平気か?」

「え・・・うわっ、大分削れたなぁ」

「じゃあ回復(ヒール)してあげるから」


リーファがそう言って何かの単語を呟くと青い雫がキリトに降りかかり、HPが回復する。

「お、すごい。これが魔法か」

「高位の治癒魔法はウンディーネじゃないとなかなか使えないんだけどね。必須スペルだから君達も覚えたほうがいいよ」

「ええと、ケットシーはテイムとか・・・身体強化もあったな」

「そう。視力を強くしたりとか足を速くしたりとか・・・」

「スプリガンは?」

「トレジャーハント関連と幻惑魔法かな。どっちも戦闘に不向きなんで不人気種族ナンバーワンなんだよね」

「うへ、やっぱり下調べは大事だな」

「ていうか説明文出てたような・・・」

「え、マジ?」

「マジ」

「・・・お、おお!ここがシルフの街かぁ。綺麗なところだなぁ!」

「(話逸らしたな・・・)」

「でしょ!」

そう言いながら街を歩くと・・・誰かやって来た。

「リーファちゃん!無事だったの!」

シルフの少年が手を降りながら近づいてくる。


「あ、レコン。うん、どうにかねー」


「すごいや、アレだけの人数から逃げ延びるなんてさすがリーファちゃん・・・って・・・」

レコンと呼ばれたシルフが俺を見てからキリトを見ると唖然とする。

「ケットシーと・・・スプリガンじゃないか!?なんで・・・!?」

後で聞いたのだが、リーファ曰く、ケットシーとシルフは代々仲が良いのだとか。その内同盟も組むとかなんとか・・・ちなみに逆にシルフとサラマンダーは仲がよろしくないらしい。


「あ、いいのよレコン。この人達が助けてくれたの」

「へっ・・・」

リーファがレコンを指差し、言う。

「こいつはレコン。あたしの仲間なんだけど、キミ達と出会うちょっと前にサラマンダーにやられちゃったんだ」

「そりゃすまなかったな。よろしく、俺はキリトだ」

「ええと、こいつの弟のコウハだよ」

「あっ、どもども・・・・・・いやそうじゃなくて!」

忙しい子だな。

「だいじょぶなのリーファちゃん!?スパイとかじゃないの!?」

キリトをずっと警戒しているレコン。

「(俺、スパイよりヤバイ事の副隊長だけどね・・・)」

「(あはは・・・)」

亞莎が苦笑する。

「あたしも最初は疑ったんだけどね。スパイにしてはちょっと天然ボケ入りすぎてるしね」

「あっ、ひでぇ!」

「はっはっは。兄貴はどっか抜けてるしねぇ」


「うっわ、酷い挟み撃ちだ・・・」


俺達が笑っているとレコンが咳払いする。

「リーファちゃん、シグルドたちは先に《水仙館》で席取ってるから、分配はそこでやろうって」

「あ、そっか。うーん・・・」


リーファはしばらく悩んだ後・・・

「あたし、今日の分配はいいわ。スキルに合ったアイテムもなかったしね。あんたに預けるから四人で分けて」

「へ・・・リーファちゃんは来ないの?」

「うん。お礼にキリト君達に一杯おごる約束してるんだ」

「・・・・・・」

レコンが俺たちを警戒しながら見る。・・・ははーん。

「なるほどな。大丈夫だよ少年君、そういった心配はないからさ」

「え・・・」

「レコンはリーファのこと・・・まあ、これ以上言うと背後から斬り捨てられかねないから、言わないけどね」

「・・・」

「コウハ君、今何を言おうとしたの?」

「いや?べっつにー」

「?・・・まあいいや。次の狩りが決まったらメールしといて。行けそうだったら参加するからさ、じゃあ、おつかれ!」

「あ、リーファちゃん」

ささっとトレードを済ませてリーファは歩き出す。俺はレコンとリーファを見て軽く笑ってから後を追った・・・









































早貴~

「っ・・・」

鈍い痛みで目が覚めた。辺りを見渡しても見覚えがない。自宅でもなければ病院でもないし、謎の実験室という訳でもなさそうだ。・・・その時だった。

「あ、目が覚めたわね」

「あ・・・」

そうだ・・・俺は・・・わたしは囲まれて・・・

「ええと・・・リズ・・・だよね?」

「ん?そうよ。まあ、こっちでその名前を呼ぶ奴はいないけど」

「ご、ごめん。・・・えっと・・・本名は?」

「別に謝るようなことじゃ・・・まいっか。里香よ、篠崎
里香。アンタとあたしの仲だし、普通に里香でいいわよ」

「うん、わかった。わたしは・・・まあ本名も早貴だけどね・・・一応フルネームで結城 早貴だよ。改めてよろしく、里香」

里香はわたしを見る。

「取りあえず、出来る限りの治療はしてあげたから。服もあたしのを適当に着せたけど・・・サイズ平気?」


・・・ほんとだ。服装が変わってる。サイズは・・・胸廻りが若干余ってるというか・・・なんというか・・・

「・・・ってこんなことしてる場合じゃない!行かないと・・・つっ・・・!?」
ベットから降りた瞬間激痛。里香が慌ててわたしを支える。

「ちょ、無茶しないの!早貴、警察沙汰はダメだったようだし、病院に連れてってないんだから!しばらく安静よ!」

「そういう訳には・・・いかないわよ・・・」

「・・・一体何があったのよ・・・」

「・・・」

わたしは話す。明日奈のこと、須郷のこと、追われている理由を・・・

「・・・何よ、それ」

里香の声が震えていた。

「そんなの・・・最低よ・・・!早貴にこんな怪我させてアスナを・・・」

「里香・・・だから行かないと。わたしがここにいたら里香も危ないよ」

「あのねぇ、あたしが友達を見捨てる程の女に見える?」

「そういう問題じゃないのよ。もし捕まったら里香も何をされるか・・・」

「じゃあ早貴が何をされるか分かったもんじゃないわよ。・・・今、丁度親もいないし、ここを隠れ家に使いなさい」

「・・・」

「いい?あんたは一人じゃないんだから、少しは頼りなさい。・・・これでも少しだけ早貴よりお姉さんなんだしね」



「里香・・・ありがとう・・・ありがとう・・・!」


あの時と逆・・・わたしが里香に泣き付き、里香がわたしを慰めてくれた。しばらくして・・・

「里香・・・わたしのバッグは?」

「あるわよ。これでしょ?」

「うん」

里香から受け取り、PCを起動させる。・・・正直動くか不安だったが、その心配はなさそうだ。USBを差し込み、須郷のデータを漁るが・・・あまり入っていない。どうやらここまで須郷に読まれていたようだ。

「・・・ALO・・・なに、これ」

「ああ、それ?最近流行ってるらしいのよ。SAO並だとか・・・」

「・・・ふーん・・・」

・・・待てよ?IDオベイロン・・・わたしはネットでALOについて調べる。

「“最初に世界樹に辿り着き、妖精王オベイロンと謁見したものがアルフと・・・”・・・はっ」

わたしは笑う。

「何がオベイロンよ・・・ふざけないで、須郷・・・伸之・・・!」

更に誰かが上げたスクリーンショットを見た時・・・衝撃だった。

「これ・・・お姉ちゃん!?」

「え!?どれよ!?」

里香も覗き込む。・・・見間違える筈がない。あれは・・・明日奈だ。・・・どうやら、やることは決まったようだ。

「里香・・・お願いがあるんだけど・・・」

わたしは・・・行くしかない・・・









 
 

 
後書き
亮←ケットシー状態「うっわ・・・」

早貴
「・・・女・・・っぽくはないかな・・・ユーリ・ローウェルみたいだな」


「まあいいけどね・・・尻尾と耳まであるし・・・」

早貴
「明命がいなくてよかったな」


「いたら・・・やばいだろうね」

早貴
「ははは・・・それじゃ、次回もよろしく」

 
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