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真似と開閉と世界旅行

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動き出す者達~

 
前書き
遅くなって申し訳ありません!!しかも短いし・・・何とか間を見つけないと・・・ではどうぞ! 

 
「・・・起きてるかな?」


翌日になってから、俺は何時ものトレーニングを終え、和人の様子を見に行く。

「兄貴ー、起きてるー?」

部屋の扉を押し開いた・・・瞬間、扉が戻ってきた。



「は・・・?」

ガン!ゴン!

「ったぁ!?」

「いたっ!?」


ドアが丁度中間位で止まり、その両側には額を抑えた兄妹がいた。

「っつー・・・って直葉?」


「あ・・・えっと、あう・・・ごめんね、亮お兄ちゃん!」

そうして立ち上がると直葉は自分の部屋に飛び込んでいった。

「・・・?兄貴、何かあったのか?」

「まあ・・・色々とな」

「そっか。・・・取りあえず、昨日何が起こったかは聞かないでおくよ。・・・ただ」

「?」

「悩んでるなら相談してよ?俺達は家族なんだからさ」

「・・・ああ」

「とにかく、シャワー浴びてきなよ。昨日帰ってきてそのまんまっしょ?」

「わかった。じゃあ着替えを・・・ん?」

その時、和人のPCから電子音が響いた。・・・しっかし、パソコンっつーか電化製品全般が進化しているなあ、この世界。・・・なんて考えていた時、モニターを見ていた和人の目の色が変わった。

「兄貴?どうかした?」

「・・・」

和人はモニターを指差す。それに釣られて画面を見ると・・・

「・・・!」

何かのスクリーンショット・・・だが、それに写っていたのは・・・

「アスナ・・・?」

鳥籠のような場所で、憂いの表情を浮かべるそれは・・・

「おい、この写真はなんだ!!」

怒声に驚きながら振り返ると和人が誰かに電話していた。メールの差出人からして、相手は・・・エギルだろう。

「ああ、すぐに行く」

和人は携帯端末を片付け、俺に言う。

「悪い、亮。俺、今から・・・」

「俺も行くよ」

「え・・・」

「もしこれがアスナなら・・・俺にも関係がある」

「・・・いいのか?」

「当然。和人の嫁さんだしなぁ。俺にとっちゃお義姉さんにもなるし」

「・・・そうか」

「よし、ならとっととシャワー浴びてこい。おにぎり作っとくから」

「・・・ああ!」


さてと・・・何がどうなるやら・・・


































早貴~


「早貴」

早朝から母・・・結城 京子にわたしはリビングにて色々言われています。

「あなた、一昨日連絡も無しに病院にいたでしょう?」

「・・・すみません。以後、気を付けます」

「ええ。同じ失敗は二度しないことよ。いいわね?」

「・・・はい」

「それと、こちらが本題なのだけど」

そう言って京子はタブレットを渡してくる。

「・・・編入試験、概要?」

「お母さんのお友達が理事をしている高校の編入試験を受けられるようにしたわ。あなたは頭がいいから、今から試験勉強を続ければ合格できる筈よ。

「ま・・・待ってください・・・なんでいきなり・・・」

「いきなりじゃないわ。あなたは二年間も人生を無駄にしたのよ。その分まで取り戻さないと・・・」

その言葉に反応し、唇を噛む。あの世界・・・SAOが無駄と言われて、あそこであったこと全てが否定された気がした。

「でも、まだお姉ちゃんも・・・」

「明日奈を言い訳に使うのは止めなさい。昔からの悪い癖よ。そろそろあなたも自立して・・・」

わたしは立ち上がる。

「早貴?まだ話は・・・」

「・・・編入試験のこと、理解しました。・・・少々考えを纏めたいので、失礼します」

・・・わたしは・・・母が苦手だ。そして中途半端に咲があるせいで、余計な口論になりそうになる。

「・・・」

自室に入り・・・渡されたタブレットをベッドに投げつける。

「・・・時間がない・・・」

わたしは昨日和人から預かったノートPCを起動させる。

「・・・よし」

やることは一つ。須郷の悪事を解き明かすこと。

「久々だけど・・・やれるよね」

父のIDに偽造し、レクトのプログラムを探っていく。一歩間違えばすぐにバレるが・・・捕まらないようにステータスの高いPCを和人に組んでもらったのだ。

「・・・あった!」

須郷が保管しているプログラム・・・だが。

「プロテクトが抜けられない・・・」

これ以上進んだら・・・捕まる。わたしはやむ無く退いた。

「くっ・・・!あと少しなのに・・・なら!」

レクトに直接乗り込む!・・・それしか、ない。

「その前に・・・」
わたしはクローゼットの奥から・・・ナーヴギアを取り出す。


「あまり見たくはなかったけど・・・」

ナーヴギアとPCを繋ぎ、ナーヴギア内に残るデータを復元していく。


「・・・あった。とにかくリパルと詠を・・・」

修復作業を開始するが・・・大分時間がかかりそうだ。

「(なら後回し・・・)」


近くのショルダーバッグを取り出し、ノートPCや色んな物を放り込む。多分・・・この家に帰ってくることはない。

「行こう・・・」

わたしは立ち上がり、京子に何か言われる前に家を飛び出した・・・


































































亮~

二人で自転車を飛ばし、着いたのは裏路地にある黒い木造の店。そこのドアを押し開け、中に入る。

「よぉ、早かったな」


「・・・相変わらず不景気な店だな。よく二年も潰れずに残ってたもんだ」

「うるせぇ、これでも夜は繁盛しているんだ」

「はいはい、相変わらずだね」

「お、コウハもいたのか、丁度いい」

「?」

和人がエギルと連絡を取ったのは先月の末。総務省のお偉いさんからみんなの連絡先を聞いていたのだ。和人はみんなまだ現実に慣れるのに大変だからと連絡してないらしい。・・・ただ、俺はシリカ・・・綾野 珪子とは連絡を取った。サチとは・・・まだ取っていない。

「で、あれはどういうことなんだ」

エギルこと本名アンドリュー・ギルバート・ミルズは現実でもこういった店を開いていた。血筋こそアフリカン・アメリカンだが親からの江戸っ子だそうで、住み慣れたここに喫茶店兼バーを開いたそうだ。客にも恵まれ、美人の奥さんも貰って・・・そんな時にSAOに囚われた。エギルは店を諦めていたらしいが、なんと奥さんがのれんを守り抜いたのだ。・・・さて、そんな彼は和人に言葉ではなく何かを渡してきた。

「・・・ゲーム」

「聞いたことないハードだな・・・」

・・・英語が並んでいてよく読めないが・・・《アミュスフィア》って読むのか?これ。・・・案の定、読み方はあっており、エミルはこれをナーヴギアの後継機・・・と教えてくれた。・・・何でも完全に安全らしい。信用しづらいが。

「・・・ん?じゃあこれもVRMMOなの?」

「ああ。アルヴヘイム、オンライン。・・・妖精の国、っていう意味だとさ」

「妖精・・・なんかほのぼのしてるな。まったり系のMMOなのか」

「それが、そうでもなさそうだぜ。ある意味えらいハードだ」

・・・聞くにはまず“レベル”が存在しないらしい。戦闘もプレイヤーの能力依存、簡単に言えばソードスキルなしの魔法ありのSAOらしい。しかもPK可能と来た。様々な種族間でのPK・・・荒れそうだと思ったが・・・

「飛べる・・・?」

「妖精だから羽根がある。フライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れるとコントローラなしで自由に飛び回れる」

・・・そりゃ素晴らしい。・・・そして和人は取りあえず話を戻す。

「・・・あの写真は何なんだ」

エミルは印刷したあの写真を和人の前に置く。

「どう思う」

「似ている・・・アスナに・・・教えてくれ、ここはどこなんだ?」

「その中だよ。アルヴヘイム・オンラインの」

・・・この樹は世界樹と言うそうだ。円形の世界の真ん中にあり、プレイヤー達の目標。プレイヤー達には滞空時間があり、無限には飛べない。だがこの頂上に辿り着くとその種族にはなにかあるらしい。・・・ここまで聞けばある程度想像つくが・・・とにかく、なんと多段ロケット式で頂上を目指すという馬鹿なのか頭良いのか解らない奴らがギリギリで取ったのが・・・これだ。

「・・・あ、そうだ。さっき俺がいて丁度いいって言ったよね?」

「ああ・・・お前、このゲームをプレイしてないよな?」

「してるも何も、初めて知ったんだよ、それ」

「そうか・・・この話に続きがあってな。なんでも飛んでる途中、鈴の音が聞こえたそうだ」

「・・・え?」

「鈴と聞いたらお前が浮かんでな。何か関係あるのかと思ったが・・・」

鈴・・・まさかな・・・

「エギル、このソフトって売ってるか?」

「・・・言うと思ったぜ。安心しな、コウハの分もある。それとコイツはナーヴギアでも動くぞ。アミュスフィアはあくまでアレのセキュリティ強化版だからな」

俺はパッケージを受け取り、急いで走り出す。

「サンキュー、エギル!次来たらたっぷり注文するよ!」

「あ、おい、亮!?」

「兄貴も急げって!」

「な、なんだいきなり・・・」




















































早貴~


「・・・」

須郷が勤めているレクトに到着した。わたしはそのまま中に入る。

「すみません、父はいますか?」

受け付けのお姉さんとは何回か話した事がある。


「いえ、今は外出しておりますが・・・急用でしょうか?」

「・・・ちょっと忘れ物を届けに来ただけなので・・・中に入ってもいいですか?」

「・・・では、結城様にご連絡致します」

「あ、はい。・・・失礼します」

・・・つまり、父と連絡がつき、嘘がバレるまでがタイムリミット・・・わたしは小走り気味に急ぐ。


「確か、フルダイブ技術研究部門・・・だったわよね」

以前に来た事があるから道には迷わない。しばらくすれば部屋が近付いてくる。

「(人が全然いない・・・)」

特に気にせずわたしは須郷のPCに駆け寄る。バッグの中からUSBを取り出し、データのコピーを始める。

「・・・これは?」

PCを弄ると色々とデータが出てきて・・・その中に気になるモノがあった。

「アルヴヘイム・オンライン・・・・・・IDオベイロン・・・」

アルヴヘイム・オンライン?何かのゲームだろうか・・・

「とにかく急がないと、見つかったら・・・」

「どうなるんだい?」

「・・・っ!?」

顔を上げると、目の前に須郷が立っていた。

「・・・僕のPCで何をやっているのかな?」

「いえ、起動してあったモノですから・・・」

「下手な嘘はいらないよ。君の行動は監視カメラを通して僕に筒抜けだからね」

「・・・なるほど、最初から手の上で踊ってたんですね、わたしは」

「・・・まぁ、流石にここまで来るとは思わなかったけど・・・さて、どうしようか」

わたしはチラリとモニターを見る。・・・データも大体コピー出来た。

「・・・」

「このまま君の行方を消すことも出来るけど・・・自宅に閉じ込めて貰うのが一番かな?」

わたしは・・・思い切り書類の束を薙ぎ払った。

「・・・!」

一瞬だが須郷が怯み・・・その脇を一気に駆け抜ける。

「(抜いた・・・!)」

だが一瞬見えた須郷の顔は・・・・・・


「・・・!?」

・・・・・・笑っていた。


「・・・くっ!」

だが、止まる訳にはいかない。わたしはそのまま一気に走り、会社から出る。

「はっ・・・はっ・・・」

そして近くのトイレに駆け込み、個室に入る。

「・・・」

・・・自分の身体をを見下ろす。多少の膨らみ、お嬢様みたいな服、長い栗色の髪。・・・これがわたし。

「・・・ふぅ」

呼吸を整えて、上着とスカートを脱ぎ捨てる。そしてバッグからフード付きの黒いパーカーと紺のジーンズを取り出し、着替える。ヘアゴムを使って髪を一纏めに括り、最後にだて眼鏡を付ける。

「さてと・・・」

再び自分を見下ろす。大きめのパーカーで胸の膨らみは解りにくい、まるで都会にでもいそうな服装、慣れ親しんだ一纏めの髪に眼鏡・・・

「今からは・・・俺の番だ」

気持ちを切り替える。少しでも気が緩めば早貴に逆戻りだ。

「覚悟しやがれ、須郷・・・必ず、アスナを・・・!」

俺はバッグを背負い、走り出した・・・


 
 

 
後書き

「何か久々だな・・・」

早貴
「作者が書かなかったからな」

ごめんなさい。


「ま、次からは新しいゲームがスタートか・・・」

早貴
「俺はしばらく逃げなきゃだけどな・・・」


「それじゃ、次回もよろしく!」 
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