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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第58話 最強タッグ! 宇宙怪獣をぶっとばせ

 仲間と打ち解けようとしない鉄也。しかしそれは彼自身の辛い過去が故の事であった。徐々にだが性格に人間性が見え出してきた鉄也。しかし、そんな彼等に悪魔の牙が迫る。




     ***




 草木も寝静まる夜の工業地帯。その上空を一筋の謎の光が舞い降りてきた。それは怪しい光を放ちながら工業地帯の上空を飛び回る。
 やがて、その場で停止すると謎の光は無くなり、その中からは一基の謎の円盤が姿を現した。

「此処ならお誂え向きであろう。アレを投下しろ」

 それはベガ星連合軍の攻撃母艦マザーバーンであった。そして、それを指揮するブラッキーの命令の元マザーバーンから一つの巨大な卵が投下された。
 その卵はやがて殻を破り、中から巨大な怪獣が姿を現した。
 怪獣は工業地帯の建物、車、あらゆる物を手当たり次第に食い始めたのだ。

「ハッハッハッ、どんどん食べろギルギルガンよ! たらふく食べて強くなり、そして人間共を一人残らず皆殺しにしろ!」

 そう言い残しマザーバーンは飛び去ってしまった。その下では野に放たれた宇宙怪獣ギルギルガンが工業地帯を食い荒らそうと暴れまわっていた。




 工業地帯で暴れている宇宙怪獣はすぐさまアースラ隊の耳に入った。

「艦長、あの怪獣は現在工業地帯で暴れまわっています!」
「このままだと被害がとんでもない事になってしまうわ。何とかしないと……」

 アースラのブリッジ内にあるモニターには工業地帯を我が物顔で暴れ回る宇宙怪獣ギルギルガンの姿があった。その中には逃げ惑う人々の姿もある。それを宇宙怪獣は全く気に掛けず踏み潰しながら暴れまわっている。
 何とも痛々しい光景であった。

「至急、ゲッターチームに連絡して頂戴! 彼等でなければあの怪獣は倒せないわ」
「それが……ゲッターチームは現在トレーニングの為に早乙女研究所に戻っているんです」
「呼び戻す時間はないわね……となると、鉄也君に任せるしかないって事ね」

 溜息混じりにリンディは鉄也を呼ぶ為にモニターを付ける。それは鉄也の部屋が映し出されていた。簡素は部屋である。しかし、其処に鉄也の姿は無かった。

「鉄也君は?」
「確認しました。既にグレートに搭乗しています……あぁ、か、勝手に出て行っちゃいましたよ!」
「何ですって!」

 目の前に映っていたのはアースラから飛び出し次元空間を通って工業地帯へ向おうとするグレートの姿があった。直ちにリンディは通信端末でグレートに通信を行う。

「待ちなさい鉄也君! 単独行動は危険よ!」
『どの道俺しか迎えないだろう。今フェイト達は海鳴市とかの異変調査に向っているんだ。ゲッターチームは居ない。となれば俺が行くのが正論だろうが』
「そ、それはそうだけど……」

 鉄也の言う通り、現在フェイト達は調査の為海鳴市に向っていたのだ。実は先ほど謎の集団に追われる青年が目撃されたと言うのでその調査に向わせたのだ。
 その為、現状で手の空いているのは鉄也とグレートマジンガーしか居なかった。

『そう言う訳だ。これ以上は時間の無駄だから切るぞ』
「あ、待ちなさい! 鉄也君」

 言い終わる前に通信は切られてしまった。その後は何度コールしても繋がらない。向こうが無線を切ってしまったのだ。それを知り、更に盛大に溜息を吐くリンディ。

「何て事なの? フェイトのお陰で少しはマシになったと思ったのに……」
「大変ですね、艦長」

 落ち込んでるリンディに対し、エイミィの出来る事と言えば彼女に労いの言葉を送るのみであった。




     ***




 工業地帯に訪れた鉄也の目の前に映ったのは紅蓮の炎に燃える工業地帯と其処で我が物顔で暴れる宇宙怪獣の姿であった。

「野郎、これ以上好きにさせるか!」

 言葉と共にグレートの急降下から繰り出された蹴りがギルギルガンの頭部に命中した。溜まらずギルギルガンが下がる。その目の前にグレートマジンガーが降り立った。

「わざわざ遠い宇宙からご苦労だったな。冥土の土産にグレートの強さを知って逝け!」

 続けざまにブレストバーンを放った。高温の熱線を浴びせられたのだろうか、溜まらずギルギルガンが更に下がる。
 下がった所へ再度グレートがキックを叩き込んだ。半回転して転げてしまいジタバタともがくギルギルガン。
 そんな姿を見て鉄也はあきれ返るだけであった。

「ふん、歯ごたえのない奴だぜ。もう少し気骨を見せてみろ!」

 言うや否やその尻尾を掴んで豪快に振り回し地面に叩き付ける。ギルギルガンの口から苦痛の叫びが響いてきた。成す術もなくグレートマジンガーに嬲られてるだけである。はっきり言って拍子抜けであった。この程度の相手なら特訓中のゲッターチームでも対処出来る筈である。
 勢いに乗って出撃した自分を今更ながら恥じた。

「これ以上貴様とのお遊びしててもつまらん。これで締めにするぞ!」

 上空へと飛翔し天空に腕を突き出す。雷鳴が響き稲妻がグレートに向って降り注ぎ、それを角で受け取り手に集める。サンダーブレイクであった。
 300万ボルトの稲妻が仰向けになり動けないギルギルガンに向けて放たれる。激しいスパークが起こりギルギルガンの全身が稲妻に包まれる。そのスパークの後、爆発が起こり、その中から微動だにしなくなったギルギルガンの姿が映った。

「ふん、この程度で地球を侵略しようなんざ楽観的にも程があるぜ」

 大地に降り立ち亡骸と化したギルギルガンを見下ろす。すると其処へ三機のマシンが現れる。ゲットマシンだ。

「遅かったじゃねぇかゲッターチーム。お目当ての宇宙怪獣ならもう俺が片付けたぜ」
「グレートマジンガーが……」

 竜馬は眼前に横たわるギルギルガンを見た。確かに息絶えているようだ。

「リョウ、どうやら取り越し苦労だったようだぜ」
「何だよ、折角俺の活躍を見せてやろうと思ってたのによぉ」

 隼人と弁慶もギルギルガンは息絶えたと見ていた。だが、竜馬だけは違った。
 明らかにおかしい。倒したにしては妙な胸騒ぎを感じる。
 そして、竜馬は見た。ギルギルガンの足が微かに動いたのを。

「鉄也君、そいつはまだ生きてるぞ!」
「何!?」

 完全に油断していた。突如目の前で起き上がったギルギルガン。
 それは突如口からヘドロのような液体を吐き出してきた。しかもそれは丁度コンドルの操縦席に向けてであった。

「うおっ!」

 諸にそれを食らってしまった。前が見えない。漆黒が目の前に広がった。
 くそ、何処だ? 何処にいやがる!
 近くに居るであろうギルギルガンに向かいやたらめったらに腕を振るう。だが、そんな攻撃が当たる筈もなく今度はグレートが逆に良い様に嬲られる始末であった。

「このままじゃグレートマジンガーがやられる。合体するぞ!」
「待て、リョウ。また何かが近づいてくるぞ!」

 レーダーに反応があった。それは大きさ的にはグレートとほぼ同じサイズであった。

「ジャンジャジャ~ン! 正義の味方、ボスボロット参上! やいやい怪獣野郎! 兜の居ない間に好き勝手しようなんざふてぇ野郎だ! 俺様が成敗してやるぜぃ!」
「な、何だあのガラクタロボットは?」

 攻撃が止んだ為、急ぎ目の前の粘液を取り除いた鉄也がそう呟いた。目の前に居るのはその名の通りガラクタの集まりにも見えるロボットだった。

鉄也の言い分は嘘ではないようである。そんなガラクタロボットが無謀にもギルギルガン目掛けて突進していく。

「にゃろう! このボロット様の正義の鉄拳を食らいやがれぃ!」

 グルグル回してパンチを放つ。だが、反対にボロットの腕がもげただけであった。何とも脆いロボット、基、ボロットであった。

「あらやだぁ! ボロットの腕がもげちゃったじゃないのよぉ!」

 仰天するボス。しかもその目の前でボロットの腕をさも美味そうに食べるギルギルガン。

「だぁぁぁ! こらっ、人の腕勝手に食うなよ! 修理すんの面倒なんだぞ」

 そう言って再びパンチを繰り出すもまたしてももげてしまった。そしてまた美味しく食べられてしまう。

「うへぇぇぇ! どうしてくれんだよぉ! ボロットの腕が両方ともなくなっちまったじゃねぇかぁ!」
「な、何やってんだあのガラクタロボットは?」

 目の前で起こっている現状に鉄也が首を傾げるしか出来なかった。だが、其処へゲッターチームが通信を送る。

「鉄也君、此処は一旦引き返すんだ。今のままじゃ俺達も奴の餌食になるだけだ」
「冗談じゃねぇ。こいつは絶対に倒す。お前等は引っ込んでろ!」
「その状態で出来る筈がないだろう。今は戻って修理するべきだ」
「五月蝿い! 俺に指図するな」

 立ち上がりギルギルガンへと向うグレート。その時だった。突如ギルギルガンの体に異変が起こったのだ。亀の胴体と虫の足、そしてトカゲの頭部だったギルギルガン。その背中に突如巨人の上半身が現れたのだ。

「な、変態しただと!」

 驚く鉄也。其処へ間髪居れず巨人の拳が繰り出された。凄まじい衝撃がグレートに襲い掛かる。かなりの距離を飛ばされてビルにたたきつけられてしまった。

「ぐっ、くそぉ……こんな所でおめおめ引き下がれるか! 俺には戦う事しか出来ないんだ! あいつらみたく笑い会う事なんて出来やしないんだ!」

 再び立ち上がる。だが、その時アースラからの通信が入る。

「聞こえますか? グレートマジンガー、並びにゲッターロボG,至急帰還して下さい」
「何の真似だ? こいつをみすみす見逃せと言うのか?」
「海鳴市を調査していたフェイトちゃんが負傷したんです。デバイスの損傷も酷くて……」
「な、何だと!」

 その内容を聞いた時、鉄也の顔が一変した。自分が最も信頼を寄せている人物が負傷した。それを聞いた以上平静を保っていられないのだ。

「くそっ!」

 舌打ちし、グレートが大空へと舞い上がる。急ぎアースラへと帰還する為だ。

「リョウ、俺達も引き上げるぞ」
「待て、あのロボットもつれて帰るぞ。あのままじゃ餌食になるだけだ」

 竜馬がそう言い眼下に居るボロットに牽引用のワイヤーを突き刺しそのまま吊るして持ち帰った。残されたギルギルガンは再び破壊活動を開始した。まるで我が物顔で暴れまわるように。




     ***




 アースラに帰還した鉄也はいの一番に向ったのは医務室だった。其処にはベットの上に座っていたフェイトが居た。

「無事だったか?」
「はい、こっぴどくやられちゃいましたけど……」

 とても悔しそうにフェイトは言った。彼女の話を聞く所によると。青年を助けるまでは良かった物の、挑んだ三人の謎の者達の前に返り討ちに遭いバルディッシュも壊され危うく殺される所だったのを仮面ライダーに助けて貰ったそうだ。

「仮面ライダーって……風見か?」
「違う。フェイトの話によると黒い仮面ライダーだそうだ」
「黒い……ライダー?」

 そんなライダーは聞いた事がない。敵か味方か、判別するには情報が明らかに少なすぎる。

「とにかく、フェイトも大した怪我じゃなかったから数日で完治出来るよ。でも、問題はバルディッシュだなぁ」
「そんなに酷いのか?」

 クロノの言葉に鉄也が問う。

「はい、コアがかなりやられてるんです。あの状態だとリカバリーも難しくて……」
「何とかできないのか?」
「とは言っても……インテリジェントデバイスは結構特殊な構造をしてますから此処で完全に直すのは難しいんですよ」

 正しく聞きたくない情報でもあった。フェイトの怪我は大した事がないようだがデバイスの損傷がかなり酷いらしい。しかもアースラでは直せないとまで言われているのだから。

「そうだ、クロノ君。甲児さんならどうかな?」
「ん? 甲児さん……確かに今ミッドチルダにいるだろうけど……まぁ、一応連絡してみるよ」

 フェイトが思い出していた。
 兜甲児。かつて共に戦った仲間でありマジンガーZのパイロットである。今はミッドチルダに留学しており戦列には加わっていない。

「どうやら話はついたようだな。俺はグレートの整備に戻る。お前は少し休んでろ」
「御免なさい。心配掛けちゃって」
「ふん、ガキは皆心配掛けるもんだ。気にしちゃいねぇよ」

 最後に皮肉を言った後、鉄也は医務室を抜けた。グレートの整備に向おうとした時、鉄也の前に竜馬が立ちはだかった。

「何だ?」
「鉄也君、話がある」
「後にしてくれ。今は忙しいんだ」

 竜馬の誘いを無視して通り過ぎようとする。だが、その時鉄也の胸倉を竜馬は掴んだ。

「あの言い分は何だ! 何処まで俺達を信頼してないんだ!」
「何処までもだ! あの時油断しなけりゃ奴を葬れたんだ」
「それは君自身の中にある慢心だ! あの敵は強い。俺達全員が力を合わせなきゃ勝てない相手なんだぞ!」
「冗談じゃない! あいつは俺一人で倒す! 手出しは無用だ」
「っ!!!」

 気がつけば、竜馬は鉄也の頬を思い切り殴っていた。殴られた鉄也が数歩退く。

「黙って聞いてれば、いい加減にしろ! お前一人で戦ってる訳じゃないんだぞ! 俺達全員が地球の平和の為に戦ってるんだ! 一人相撲してるんじゃねぇ」
「知った風な口を聞くな!」

 今度は反対に竜馬が殴られた。互いの頬が赤くはれ上がる。それでも互いは痛みなど気にせず睨み合った。

「お前に何が分かる! 俺には戦う事しか出来ないんだ。お前等とは違う」
「何が違うんだ! 君も、俺も同じ人間じゃないか!」
「いいや、俺は人間じゃない。俺は戦闘マシーンだ! 戦う事しか許されてないんだ! お前等みたいにじゃれあう事も馴れ合う事も出来やしないんだよ!」
「甘ったれるな!」

 再度竜馬の拳が叩き込まれた。激しい痛みが鉄也の頬に伝わる。

「それは出来ないんじゃない! お前がやろうとしてないだけだ! それを戦闘マシーンだのと言うのを理由に逃げてるんじゃない!」
「なっ、俺が逃げてるだと?」
「そうだ、君は俺達と共に戦う事を恐れている。何が戦闘マシーンだ! そんなの只の言い訳だ! 剣鉄也、君は人間だろう」

 竜馬のその言葉は骨身に染みてきた。鉄也は今まで心を持たない戦闘マシーンになる事に徹してきた。
 しかし、フェイトの体当たりでのコミュニケーションの甲斐あって徐々にそれも緩和してきた。だが、戦闘になれば自ずと築き上げられてきたそれが邪魔してくる。
 自分は戦わなければならない。戦いの中でしか自分を表現できない。
 つくづく自分は不器用な存在でもあった。そう鉄也は内心愚痴っていた。

「すまなかったな、リョウ君……確かに俺は逃げていたのかも知れない」
「鉄也君」
「俺は怖かったのかも知れない。俺の両親の様に、突然お前達が目の前から消えて行くのが怖かった。だから誰とも繋がりを持ちたいと思わなかったんだと思う」

 鉄也の心からの言葉だ。それを聞けた竜馬は笑みを浮かべて鉄也の両肩を叩いた。
 それが聞きたかった。俺が聞きたかったのはそれだ。
 そう言うかの如く竜馬が何度も鉄也の肩を叩いた。

「それで良いんだ。君は戦闘マシーンなんかじゃない。俺達と共に戦う仲間なんだ」
「あぁ、そうだな」

 竜馬のそれを聞き鉄也は頷いた。恐らく兜博士がアースラに鉄也を寄越したのはこうする為だったのかも知れない。
 つくづく俺はあの人の掌の上で踊っているようだな。
 内心自分を笑うかの様に鉄也はそう呟いた。




     ***




「それじゃ、あのギルギルガンは鉄を好んで食べると言うんですか?」

 ブリッジに集められたメンバーに知らされたのはエイミィが調べたデータであった。どうやらあのギルギルガンはあらゆる物質を食べるがその中でも鉄を好んで食べるそうだ。

「だとすると、これは使えるんじゃないのか?」
「どう言う意味?」

 顎に手を当てながら鉄也が呟く。そんな鉄也に一同の視線が集まる。

「奴を誘き出すんだ。奴が大好きな鉄をちらつかせて誰も居ない場所に誘き出す。其処で一気に叩くんだ」
「成る程、だがよぉ鉄也さん。その肝心の鉄の塊ってのは何処にあるんだい?」

 皮肉めいた隼人の言葉がブリッジに響く。確かにそれが問題だった。敵を誘き出す方法は分かった。
 だが、問題はその餌だ。まさか鉄の塊を担いで逃げ回る訳にはいかない。何か策が欲しかった。

「あのぉ」

 ふと、そんな一同に向かい声を発したのはエイミィであった。

「どうしたの?」
「先ほどゲッターチームが回収したボスボロットって言うのなんですけど……あれ、全身が鉄で出来てますよ」

 その言葉に一同が唖然とした。正しくガラクタロボットであった。一体どの様な原理で動いているのか気になる。
 が、今回はそれが有り難い事となった。ボロットを使えば上手くあのギルギルガンを誘導出来る。

「ふっ、ガラクタロボットもたまには役に立つもんだな」

 笑みを浮かべながら言う鉄也。その呟きを聞いた途端辺りでドッと笑い声が響いてきた。




     ***




「え? バルディッシュが!?」

 医務室内に用意されたモニターを見てフェイトがそう言葉を発した。モニターの向こうには甲児が映っている。普段着ではなく白衣を身に纏い以下にも科学者風に見えた。

【あぁ、お前のデバイス相等損傷が酷かったからな。俺なりに改良を施してみるつもりだ】
「それで、どんな改良を?」
【これだ】

 甲児が見せたのはある古代の文面であった。それはフェイトの故郷であるミッド語に似ていたが読めない。見た事のない言語だったのだ。

「甲児さん、この言語は一体何ですか?」
【これは古代ベルカ語だ。これによるとこの時代にはデバイスにカードリッジシステムってのを使ってたようなんだ】

 カードリッジシステム。聞いた事のないシステムであった。 
 一体どんなシステムなのだろうか。だんだんフェイトの中に期待が高まってきた。

【これの文面によるとそのカードリッジシステムを応用する事で一時的にお前の魔力をブースト、つまり飛躍的の向上させる事が出来るんだ】
「凄い、それなら私ももっと戦えるようになるんですね?」
【勿論だ。只これはまだ試作段階だから余り多様はするな。どんな副作用があるか分からないからな】

 どうやらまだ全て解明できた訳ではないようだ。それでも有り難い事だ。以前ゴルゴム三神官に挑んだは良いが返り討ちに遭いバルディッシュも酷い損傷を受けてしまった。その為アースラでは修理が難しいと言うのでミッドチルダに居る博士陣に修理を依頼したのだ。
 するとその中で甲児が名乗りをあげて取り出したのが古代ベルカ時代に使用されていたカードリッジシステムの組み込みであった。
 その発想は今までにない事でもあった。それは一重に甲児だからこそ出来るとも言える。

「それにしても凄いですね甲児さん。たった半年で其処までの事が出来るようになるなんて」
【なぁに、俺なんてジェイル教授や光明寺博士に比べたら逆立ちしたって勝てないよ。それじゃこれで切るぞ。今から作業に入るからよ】
「お願いしますね。甲児さん」
【任しとけ! バッチリ整備して送り返してやるからよ】

 締めに満面の笑みを浮かべて映像を切った。以下にも甲児らしいやりとりだ。
 常に笑顔を振りまき、チームのムードメーカーであり続ける。そんな彼が居たからこそ、どんな戦いにも挑んでいけたのだ。
 そして、なのはが居たからこそ、チームの結束は固い物となり連勝をしてこれたのである。
 だが、今その二人は此処に居ない。その分自分が頑張らねばならないのだ。

「なのはや甲児さんが居ないんだったら、その分私が頑張るんだ。今まで二人に助けられてばっかりだったんだし……それに今此処にウルトラマンも居ない」

 そう、かつて共に戦ってくれた光の巨人。即ちウルトラマンの姿も此処には無かった。
 彼等は深い傷を負い光の国へと帰ってしまったのだ。
 だが、信じている。いつか必ず帰ってくると。その為にも今は自分達の手でこの星を守らねばならないのである。




     ***




 工業地帯を我が物顔で歩き回るギルギルガン。目の前にある建物を片っ端から食い荒らして行く。その様はまるで化け物以外の何者でもなかった。
 すると其処へ例のボスボロットが現れる。

「やいやい、其処の大食らい怪獣! そんな建物よりもこのボスボロットの方が肉付きが良くて美味しいわよ~ん」

 目の前でクルクル踊りながらボスが叫ぶ。するとそれを聞いたギルギルガンが涎を垂らしながら迫ってきた。

「来たな! それ逃げるぞ!」

 ギルギルガンが追って来たのを確認し、ボスは一目散に逃げ出す。そんなボロットを追ってくるギルギルガン。
 狙い通りだった。
 あのギルギルガンは鉄が大好きな様だ。その為全身鉄で出来てるボロットを見て食べずには居られないのだろう。正しく作戦通りであった。
 後はこのギルギルガンをなるだけ安全に倒せる箇所に誘き出せば後はグレートとゲッターが片付けてくれる。

「ボシュゥ、何処にあいつをおびき出しますかぁ?」
「この辺に確かゴミの収集所があっただろう。あそこなら結構広いから存分に戦えるだろう。それに戦闘したって辺りにはゴミしかねぇんだし」

 そう言うなりボロットは急ぎ工業地帯の端にあるゴミの集積所へと訪れた。其処は産業の際に出来た廃棄物等を固めて置かれた正にゴミの島でもあった。その広さは実にドーム球場数個分に匹敵する。
 此処なら存分に戦える筈だ。

「さぁきやがれ食いしん坊怪獣! このボロット様を食べたかったら此処までおいで~~」

 明らかに挑発する様に動くボロット。そんなボロット目指して涎を垂らしながら迫るギルギルガン。だが、その時地中から現れた何かがギルギルガンを突き倒す。
 それはゲッターライガーであった。地中で待機していたライガーが地面から奇襲を仕掛けたのだ。
 さらにそれだけではなかった。上空から稲光が起こる。
 グレートマジンガーが呼んだ稲妻である。
 奇襲攻撃を受け態勢を崩したギルギルガンに向かい容赦なくそれを叩き込む。全身がスパークし300万ボルトの電流が全身を駆け巡る。

「良くやったぞボス!」
「後は俺達に任せてくれ」
「言われなくてもお任せしますわよぉん!」

 戦闘はゲッターロボGとグレートマジンガーに一任してボロットはそそくさと離れる。それを確認した二体がギルギルガンを睨んだ。

「さぁ、リターンマッチだ!」
「今度こそバラバラにしてやるぜ!」

 その言葉を皮切りに戦闘が開始された。態勢を立て直す前に何としても叩き潰さねばならない。一切の容赦なくその攻撃は放たれた。
 ゲッターのトマホークがギルギルガンの細い足を切り裂き、グレートのマジンガーブレードが人間体のギルギルガンの胸部に突き刺さる。もがき苦しむギルギルガン。
 其処へ間髪居れずに叩き込まれるゲッタービームとブレストバーン。二体の連携に翻弄されるギルギルガン。

「良いぞ鉄也君!」
「おう、決めるぞ、リョウ君!」

 二体のチームワークによる勝利は目前であった。だが、その時突如上空からギルギルガンを投下したマザーバーンが飛来する。
 乗っていたのは勿論ブラッキーであった。

「おのれぃ、マジンガーにゲッターめぇ。まさかあのギルギルガンを圧倒するなどとは……」
「随分旗色の悪い事ですなぁブラッキー殿」

 隣に居た男が微笑みながらそう言った。黒い体に雄雄しき角を生やした男であった。

「う、五月蝿い! 貴公に言われんでも分かっておるわ! バレンドス殿」
「だが、この結果は既にベガ大王の耳にも入っている。大王はお怒りだ」

 クククと微笑みながらそう言うバレンドスにブラッキーは焦る。ベガ星連合軍の総大将でもあるベガ大王の怒りを買えば只では済まない。だが、それは其処に居るこの男もまた同じ事だった筈。

「だ、だがそれは貴様とて同じ事だろう? 我等は同罪だ!」
「そう、だからこそ貴公は命がけで奴等を叩きのめすのだ」
「な、何を言っているのだ?」

 全く話が見えてこないブラッキー。するとそんな彼にバレンドスは銃口を突きつけた。

「き、貴様……」
「ブラッキー殿は名誉の戦死をなされた。俺はそんな貴方の死に様をこの目に焼き付けるとしよう」
「お、おのれぇ、バレンドs――」

 言い切る前に銃声が響いた。それと同時に倒れるブラッキー。バレンドスは早速円盤の操縦をオートにしてギルギルガン目掛けて突っ込ませて行く。

「さぁギルギルガンよ。このマザーバーンを食って最後の進化を遂げよ。そうすれば貴様は無敵! グレートマジンガーとゲッターロボを叩きのめすのだ!」

 声高らかに笑いながらバレンドスは一人小型円盤に乗り脱出する。マザーバーンがギルギルガン目掛けて突っ込んで行く。

「あの円盤、何をするつもりだ!」
「何をする気か知らんが好きにはさせん!」

 即座に攻撃を仕掛けるが相手の質量が勝っていた為に破壊しきる事が出来ずマザーバーンはギルギルガン目掛けて突っ込んだ。それを全て食べきるギルギルガン。するとみるみる内にその姿が変貌していった。全身赤い色となった巨大な怪物となったのだ。
 背中に翼を生やし数本の尻尾と二本の大きな足を持つ最終形態へと進化してしまったのだ。

「な、何て事だ!」
「これが最終形態だってのか?」

 突如目の前で変貌したそれに竜馬達は驚かされる。そして、今度はその圧倒的強さに度肝を抜かれる事となった。
 指からは熱線を放ち、腰の鎌を振るい、翼からは閃光と同時にビームを放つ等と、攻撃が多彩だったのだ。

「くそっ、何か奴の弱点は無いのか?」
「このままでは俺達でも危ないぞ!」

 確かにこのまま良い様にされ続けていては幾らグレートマジンガーやゲッターロボGと言えども危険だった。すると其処へ転送の際に発生する光が起こる。アースラからの増援であろう。やってきたのはクロノとアルフ、そしてユーノの三人であった。

「お前等!」
「遅くなりました! 僕達も一緒に戦います」
「馬鹿、お前等の敵う相手じゃない! さっさと失せろ!」

 鉄也の怒号が響く。その通りなのだ。最終進化を遂げたギルギルガンを相手に幾らバリアジャケットを纏っているからと言って生身の人間に太刀打ち出来る相手ではないのは明白だった。

「それでも、やってみなければ分かりません!」

 クロノが食い下がった。このまま指を咥えて見ていることなど出来ない。ならば、自分達の出来る事をしよう。そう思って此処に来たのだ。その熱意は確かに鉄也に伝わってきた。
 
「分かった。援護を頼む」

 あくまで低いトーンで鉄也は言った。明らかに不機嫌な様子が伺える。それでも共に戦う事を許してくれた。それだけでもクロノ達は嬉しく思えた。
 だが、魔導師が増えたからと言って戦況が好転する事は決してなかった。最終進化したギルギルガンは正しく強大だったのだ。
 強い、強すぎる! その一言に尽きる。

「ったく、どうなってんだいアイツは!」

 アルフが愚痴った。目の前のギルギルガンにはあらゆる攻撃が通じないのだ。何か、何か打開策はないのか?
 そう思っていた鉄也。それが一瞬の隙を生んでしまった。空中で僅かに制止しているグレートに向かいギルギルガンが腰に取り付けられていた鎌を取り外して投げつけてきたのだ。

「鉄也君、危ない!」
「うぉっ!」

 竜馬の声を聞き咄嗟に鉄也は避けた。あと少し回避が遅かったらグレートの頭部が宙を舞っていた筈だ。しかし、その鉄也の油断が絶好の機会を生んでくれた。

「うん?」

 それは鎌が取り付けられていた箇所だった。其処は鎌と同時に体の一部も削げ落ちたらしく、中の機械部分がむき出しであったのだ。

「そうか、奴の弱点が分かったぞ! あの鎌がついてる付け根を狙うんだ!」
「成る程、それなら奴を倒せるな!」

 以下に外面が頑強でも内面は脆い。其処に皆は賭けた。一斉に付け根に向かい攻撃を集中させる。
 ギルギルガンがもがき苦しみだした。
 良いぞ、効いている!
 誰もが実感した。此処を攻めれば勝てると。
 溜まらずギルギルガンがもう片方の鎌を取り外して投げつけた。放射線状に居た者達はすぐさま回避する。無論、それは彼等にとって願っても無い事態であった。弱点がもう一つ増えたのだ。

「よし、時間を掛けるな! 一気に畳み掛けろ!」

 鉄也の号令を合図にそれぞれが攻撃を仕掛けた。
 まず、ユーノとアルフがバインドで動きを止め、其処へグレートのサンダーブレーク、ゲッターロボGのゲッタービーム、クロノのブレイズキャノンが一斉に付け根に向かい放たれた。
 三色のエネルギーがギルギルガンの中に入って行く。出口が無く、体の中でのた打ち回るエネルギーがギルギルガンの体内を破壊しつくして行く。
 そして、遂にその時は訪れた。

「おぉ!」

 隼人が声を挙げる。目の前でギルギルガンが大爆発を起こしたのだ。もう目の前にあるのはギルギルガンではない。只の残骸であった。

「やったぜぃ! ざまぁみやがれ!」

 勝利を確信したのか、弁慶が騒ぐ。彼も嬉しかったのだろう。それは皆同じ気持ちでもあった。
 だが、そんな気持ちを打ち砕くかのように突如通信が入ってきた。

『こちら風見志郎。聞こえるか?』
「こちら鉄也だ、どうした?」

 送ってきたのは風見であった。その顔には焦りの色が見える。一体何があったのだろうか?

『すぐにアースラに戻ってきてくれ。大変な事態が起こったんだ。ミサトさんが……ミサトさんが何者かにやられたんだ!』
「な、なんですって!」

 いの一番に声を挙げたのはクロノだった。それは、彼にとって最も望まない一瞬でもあったのだ。




     つづく 
 

 
後書き
次回予告


 もたらされた報告は最悪の報せであった。
 恩師を失った少年は復讐の鬼と化す。
 そして、恩師を奪った者達の姿は四人の騎士であった。

 次回「凶悪犯、その名はヴォルケンリッター!?」 お楽しみに 
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