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真似と開閉と世界旅行

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紅の王~

 
前書き
キツイ・・・!戦闘が短いのと色々説明不足が・・・!ではどうぞ! 

 
ヒースクリフの正体が茅場晶彦・・・


「・・・趣味がいいとは言えないぜ。最強のプレイヤーが一転最悪のラスボスか」

「なかなかいいシナリオだろう?盛り上がったと思うが、まさかたかが四分の三地点で看破されてしまうとはな」

ヒースクリフ・・・茅場は薄い笑みを浮かべる。

「・・・最終的に私の前に立つのは君だと予想していた。全十種存在するユニークスキルのうち、二刀流スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられ、その者が魔王に対する勇者の役割を担うはずだった・・・」

その時だった。血盟騎士団の一人がゆっくりと立ち上がる。あれは幹部の・・・

「貴様・・・貴様が・・・俺達の忠誠ーーー希望を・・・よくも・・・よくも・・・」

巨大なハルバードを握り締め、走り出した。

「よくもーーーッ!!」

・・・だが、茅場の動きの方が早かった。ウインドウを操作したかと思うと、男はそのまま音を立てて倒れる。そのHPバーにはグリーンの枠・・・麻痺だ。茅場は次々と操作していき・・・

「あ・・・キリト君・・・っ」

「お姉ちゃん!?」

アスナも・・・気がつけば俺達三人以外は全て倒れていた。キリトがアスナを抱え起こし、茅場を睨む。

「・・・どうするつもりだ。この場で全員殺して隠蔽する気か・・・?」

「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ」

茅場は笑みを浮かべたまま首を振る。

「こうなっては致し方ない。予定を早めて、私は最上層の《紅玉宮》にて君たちの訪れを待つことにするよ。90層以上の強力なモンスター群に対抗し得る力として育ててきた血盟騎士団、そして攻略組プレイヤーの諸君を途中で放り出すのは不本意だが、何、君たちの力ならきっと辿り着けるさ。・・・さて、そろそろいいかな」

茅場がそう言うと・・・

「が・・・」

「キリト!?」

キリトがアスナに覆い被さるように倒れた。

「か・・・茅場・・・!」


「ここまでがきっと正しい“物語”・・・ならば多少のズレは修正されまい」

「団長・・・何を言ってるんですか・・・!」

「ふ・・・その話し方は辛いのではないかね?五十嵐 咲君?」


「な・・・!」

「そして、大澤 亮君」

「どうしてその名を・・・!」

「なに、聞いただけさ。・・・君の仲間からね」

・・・!なんだって・・・!

「まさか・・・まさか・・・!!」

「確か・・・甘寧と言ったかな?」

「ーーーー!!」

息が、止まった。甘寧・・・その名は・・・

「思春が・・・思春がいるのか!?この世界に・・・!」

「ああ、いるとも。彼女には感謝しているよ。彼女のお陰で“夢”が更に鮮明になったのだからな・・・」

咲がそれに向かって叫ぶ。

「何を訳のわからねぇ事を言ってやがる!アンタ・・・知ってるのか、外史を・・・!」


「ああ。私が物語の中の登場人物でしかない・・・そういうことだろう?」

「そうさ・・・アンタが作ったこの世界も、誰かが考えた世界って事さ」

咲が嫌味を混ぜて言うが、それでも茅場の笑みは消えない。

「例えそうだとしても、“自我”とやらが芽生えればただの登場人物ではなくなるのだろう?」

「・・・そこまで思春に聞いていたか・・・」

「君達を断定するのには苦労したがね。まあ、半分は勘だった訳だが」


「随分いい勘してるな・・・」

「設定を変えておかなければ二刀流は君達のどちらかに渡るだろう。ただ、それではこの物語からかけ離れる恐れがある」

「・・・」

「さて、無駄話もここまでにしておこうか」


「・・・何をする気だ?」


「簡単な話だ。私と二対一でのデュエルだ。君達が勝てばクリア・・・全てのプレイヤーを現実に帰そう。・・・当然、私の不死属性も解除する」

「へぇ・・・二人がかりでいいのかよ?」

「私は“君達”と戦いたい。・・・それ以上の理由が必要かな?」

「・・・わかった。わかりやすいのはいいね。ただ・・・俺達が勝ったらもうひとつ聞きたい事がある」

「ほう、なにかね」

「・・・簡単だよ。思春の居場所さ」

「ふ・・・いいだろう」

「待て・・・コウハ!」

「サキ・・・ダメだよ!」

キリト達が・・・麻痺でもあるに関わらず、立ち上がっていた。


「・・・これは驚いた。システムによる現象を覆すとは・・・これも人の意思の力かな」

しかし、ヒースクリフが更にウインドウを弄ると、再びキリト達は倒れる。

「ぐ・・・」

俺と咲はキリト達に近づき、話す。

「安心してよ、和人。俺は負けない勝って・・・帰らなきゃね」


「亮・・・」

「まあ・・・万が一の時は兄貴に任せるよ。シリカやサチ・・・直葉にも謝っておいて・・・」

「やめろ・・・!いくな亮!」



「サキ・・・五十嵐 咲って・・・」

「ごめんね、今まで黙ってて。・・・お姉ちゃん、わたしは約束したよね?お姉ちゃんを必ず現実に帰すって・・・」

「ダメ・・・それでサキが・・・早貴がいなくなったらわたし・・・」

「大丈夫。必ず帰ってくるから」

俺達は・・・茅場に向き直る。

「おっと・・・悪いがギャラリーには下がっていてもらえるかね?」

『『・・・!』』

「いいかな?二人とも」


「・・・亞莎、出てきてくれ」

「詠、下がってろ」

『ですが・・・!』

『でも・・・!』

「いいから早く・・・!」

「詠、頼む・・・!」

『・・・くっ』

『・・・分かりました』


亞莎と詠は実体化し、下がる。

「・・・彼女達も“武将”なのかな?」

「いや・・・軍師だよ」

「なるほど・・・」


茅場は心から笑っているようだ。

「三國志の武将、軍師、転生・・・どうやら思っていたより世界は広いようだ」

茅場はそう言ってウインドウを操作する。すると茅場を含む俺達のHPが全て均等・・・レッド手前のクリーンヒット一発でケリがつく数値にまで変更され、不死属性も解除された。そして剣を引き抜き、茅場は一歩下がった。

「咲・・・いけるな?」

「誰に言ってんだ?俺とお前が組ゃ、殆ど負けねえよ」

『そこは絶対が欲しいッス・・・』

俺は擬音を逆手に持ち、右手に迷切を握る。彼奴がこの世界を作ったのなら、ソードスキルは全て把握されていると考えていいだろう。

「(上等・・・元々は技なんかよりも、剣術を集中して磨き上げたんだ・・・)」



「必ず・・・勝つぜ。リパル、いいな?」

『何時でも!』

「では、始めようか」

「ならお先に!」

咲が装備してハンドアックスを投げる。

ガキィン!

「ふっ!」

盾で防いだ隙に咲は茅場を飛び越える。茅場が一瞬、注意が逸れる。

「そこぉ!」

迷切での突刺。

「・・・ふっ」

だが防がれる。

「らぁっ!」

負けじと擬音で切り上げるが、茅場は盾を少し動かしただけでそれを防いだ。その体を捻った体制から後ろ回し蹴りを放つが、それすらも弾かれる。


「盾の範囲広すぎだろ・・・!」


「だったら二対一の利点を活かすまでよ!」

咲が反対側からリパルを振るが、そちらは剣で対処される。

「ハァッ!セェイッ!」

「オオァ!ダラァッ!」


お互いの連続攻撃も弾かれ、しかも・・・

ヒュン!

「っ・・・!」



反撃する余裕まである。・・・どうやら茅場自体の能力もかなり高いようだ。


「その程度かね?守護者とやらの力は!」

「まだまだこれからだ!」

「油断してっと死ぬぜ!」

俺達は同時に突きを放つが、剣と盾で受け流される。

「く・・・あっ・・・!」


咲が振り返り、剣を振ろうとした時・・・リパルが光った。

『は、発動モーションの誤認!ソードスキル発動ッス!』

「くっ・・・そぉ!」

当然弾かれ、隙が出来る。

「・・・!」

「させるか・・・!」

俺が間に入り、茅場の一撃を防ぐ・・・が、盾による一撃が俺と咲を吹き飛ばした。

「っ・・・!」


「亮・・・平気か」

「まあな・・・!」

咲が再び突っ込むが、簡単にいなされる。


「セヤァッ!」

擬音、迷切を交互に繰り出していくが、茅場はやはり焦ることなく弾いていく。

「おおおらぁっ!!」


咲が跳び、斬るが茅場はそれを見ずに防いだ。

「ふっ!」

ガァン!

「っあ・・・」

咲が吹っ飛び、茅場は俺の方に意識を集中させる。

「くそ・・・」

その時、茅場が盾によるプッシュで俺に当ててきた。一瞬・・・一瞬だが意識が逸れた。

「しまっ・・・」

振り下ろされる剣。俺は咄嗟に避けるが・・・

ガスッ

「ーーーー!!!」

右腕に感覚、喪失感。HPバーは減り、そこには・・・部位欠損の文字。

「ッッッッ!!」

すぐに擬音を振ろうとするが・・・

ゴッ!

茅場の盾が俺の手首を捉えた。その衝撃で力が抜け、擬音が手から離れる。・・・これで、チェックメイト。

「・・・さらばだ」

茅場が剣を突き出す。終わり・・・?いや、違う・・・!

ズシャ!

「・・・!」

初めて、茅場の顔から笑みが消えた。確かにその剣は一人のプレイヤーを貫いた。だがそれは俺ではなく・・・


「わりぃな・・・この世界の俺は速いんだよ・・・!」

そう、咲だ。その素早さで間に飛び入り、茅場の剣を自らの体で受け止めた。当然そのHPはなくなったが・・・ここで初めて茅場は隙を見せたのだ。

「やれ・・・亮ーーー!!」

咲の手からダークリパルサーが落ちる。俺は左手でそれを取り、一気に突き出す。


「俺の・・・」

「俺達の・・・」


「「勝ちだぁぁぁ!!!」」


その瞬間・・・茅場は笑った気がした。少しすれば二つの破砕音が聞こえた。俺の目の前には誰もいない・・・


「咲・・・嘘・・・」

「え・・・?早貴・・・そんな、いや・・・イヤァァァ・・・!!」

・・・俺は振り替えろうとした時・・・システム音声が聞こえた。

『アインクラッド標準時 11月 7日 14時 55分 ゲームは クリアされました』


それを聞いて完全に気が緩んだのか・・・意識が・・・落ちて・・・・・・


















































































































「・・・」


ここは・・・?辺りは夕暮れで・・・足元に分厚い透明の板があるだけ・・・辺りを見渡すと・・・咲が座ってた。

「咲・・・?」

「亮か」

「ここは・・・」

「さあな・・・確かに茅場のHPが無くなったんは確認して・・・俺の意識も無くなって・・・さーて、賭けは上手く行くかな」

「賭け?」

「ああ・・・っと」

咲が俺の背後を睨む。振り返ると・・・白衣を着た男がいた。

「茅場・・・」


「なかなかに絶景だな」

「アレのことか?」

咲が指差した先にあるのは・・・鉄の城、アインクラッド。それは下層から段々崩れていっていた。

「・・・アレはどういうことだ?」

「比喩的表現・・・と言うべきかな」

茅場が言うには今、SAOのデータの全消去を行っているらしい。そして生存者も全てログアウトに完了したそうだ。

「なあ、茅場。俺がここに、亮といるって事は賭けは成功か?」

「・・・」

「ああ、そうだ。賭けって・・・」

「簡単だよ。ナーヴギアが脳を焼く前にクリアする」

「それ・・・」

「どんなに優れてても死亡判定からでもラグはあるからな。その間にクリアすれば焼かれる前にログアウトできるかな・・・っと思ったんだが?」


「ふ・・・その推理はともかく、君は生きているよ、咲君」

「そか。なら帰ったらやる事はお姉ちゃんと詠に平謝りだな」

「茅場・・・俺は聞きたいんだけど」

「何かな?」


「思春と話して夢が鮮明になった・・・って言ってたけど、あんたの夢って・・・?こんなことをする程の・・・」

「そうだな・・・私も長い間忘れていたよ。フルダイブ環境システム・・・いや、それよりずっと前から私はあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出すことだけを欲して生きてきた・・・そして、それを知ることが出来た・・・」

「・・・」

「子供は次から次へと色々な夢想をするだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想な私が取り付かれたのは何歳の頃だったかな・・・その城に行きたい・・・長い、長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はね、亮君。まだ信じているのだよーーーどこか別の世界には本当にあの城が存在するのだとーーー・・・」


「あるさ。人の想像の数だけ外史は生まれる。きっとあんたの城も・・・何処かに」


そこでふと俺は思い出した。一番聞かなくてはならないことを。


「そうだ・・・!」

「甘寧君の事だろう?」

「そうだ・・・思春は!」

「彼女も先程“ログアウト”したよ」

「え・・・?」

「・・・何年前の話だったか。彼女は道端に倒れていた。私の興味を引いたのは彼女の持つ独特の空気だった・・・予想は当たっていたよ」


「思春の話が嘘だと思わなかったのか?」

「嘘にしては話が凝っていた。・・・あの状況で嘘を言う必要もないだろう」

「・・・」

「いきなり人が増えれば周りも怪しむ。そこで私は彼女を親戚と偽った。・・・多少のリスクがあろうとも私は彼女の話が聞きたかったのだろうな・・・ある日、彼女は私の計画を知ってしまった。流石は武将だ。私を止めると言ってナーヴギアとSAOを手に入れ、ダイブしてきた」

「思春・・・」

彼女らしいと言うか・・・猪突猛進というか・・・

「だが、彼女にはきっとヒースクリフが私だと気づくだろう。そう思って私は下層のプレイヤーが寄り付かないような村に彼女の動きを制限した」

下層・・・余裕がなかった時だ。寄り道なんかしてる暇はなかった・・・


「驚いたのは彼女は諦めずに熟練度やレベルを上げていた事だよ。・・・おっと、そろそろ時間のようだ」

「待ってくれ!思春は何処に・・・」


茅場の姿が消えていく。

「・・・時間切れだ。言い忘れていたな。ゲームクリアおめでとう、コウハ君、サキ君」


茅場の姿は・・・消えた。


「亮・・・」

「大丈夫・・・思春はいるんだ・・・探してみせるさ」


「そっか。時間がないからあんまり茅場と話せなかったな」

「もっと理由が聞きたかったけど・・・夢か」

「俺らにアイツを責める権利はないよなぁ・・・俺らも夢の為に人を殺してきたんだ」

「まあ、な・・・そう言われると返せない」


その時、辺りが白く、霞み始める。

「リアルか・・・あんま帰りたくねえなぁ・・・」

「何でだよ。俺は、早く妹に会いたいかな」

「・・・まだ、終わらないかな、この物語は(ボソッ)」

「え?なんか言ったか」

「・・・いや、何でもない。・・・ゲームクリアお疲れさん、相棒」

「そっちこそな、親友」

拳をぶつけ会うと辺りが完全に白に包まれた・・・・・・
































































































































・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・う」

目を、開く。白い光を感じ、反射的に閉じるが・・・再び開く。

「・・・」

天井だ・・・しかも人工的で・・・よく周りを見ると、空調装置などの機械が沢山ある。・・・そこまで見て・・・やっとこの考えに至った。

「(帰って・・・きたんだ・・・)」


起き上がろうとしたが・・・身体に力が入らない。当たり前か・・・二年間も寝たきりだったのだから。その時、看護婦が入ってきた。そして俺と目が合うと、手に持っていたクリップボードを落とした。

「き、桐ヶ谷さん!?せ、先生!先生ーーー!?」

慌ただしく出ていく。耳を済ませば廊下からざわめきが聞こえて来てる。

「(・・・みんな・・・無事なんだ・・・)」


ゆっくり目を閉じる。頭にあったのは家族に会ったときなんと言おうか・・・そんなことだった・・・

 
 

 
後書き

「決着」

早貴
「正直、二対一って言われた時点で身体を張る気はあったんだよね」


「(俺もそうだったなんて言えないな・・・)」

早貴
「茅場も驚いてくれてラッキーだったぜ。にしてもなあ、正体がバラされると思って思春を軟禁するなんてな」


「思春もそういう勘は鋭いからなぁ・・・」

早貴
「何にせよ、次回から新章だな!」


「正直SAO編だけでかなり手間取ってるけどね・・・テイルズ編越えるだろ、これ」

早貴
「まあな・・・それじゃ、また次回!」 
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