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真似と開閉と世界旅行

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はじまりの地~

 
前書き
だぁぁぁ!めっちゃ遅れてすみません・・・しかも水曜日から修学旅行でまた遅れるかも・・・ではどうぞ! 

 
・・・さて、俺達は第1層・・・はじまりの街に到着する。

「さ、行こっかユイちゃん」

「うん、おねえちゃん!」

咲がユイを抱っこして歩く。

「・・・なあ、アスナ」

「え?なに、コウハ君」

そこで俺は気になったことを聞いてみた。



「咲・・・リアルじゃどんな奴だったんだ?何でこのゲームをプレイしたのかもわからないし・・・あ、言いにくいなら構わないよ」

アスナは少し考えてから・・・口を開いた。

「・・・ううん、コウハ君にも・・・キリト君にも聞いてほしい。サキだけじゃなくて、わたしにも関係する話だから・・・」

それにキリトが頷き、答える。

「ああ、どんな話でも聞くよ」

「・・・このゲームが始まる前のわたし達は・・・自分で言うのは嫌な感じだけど、エリート人生って言うのかな・・・決められたレールが敷かれてたの」

「・・・」

「常に親が望む成績、決められた友達、複数の習い事・・・まるで鳥籠に閉じ込められたみたいだった」

「そうなんだ・・・」

「・・・サキはとても気が弱くて、何時も両親や親戚にも怯えて、必死にわたしや兄に追い付いてきて・・・笑顔なんて、本当に小さい時までしか見られなかった」

「あいつが・・・」

今の咲・・・早貴の人格を知っていても驚きだ。

「それでもストレスが貯まっちゃったのかな・・・お母さん達に内緒でサキはナーヴギアを買ったの。理由は・・・“全部忘れられるから”・・・あの時のサキの顔も・・・覚えてる」

アスナはどんどん話していく。


「そんなサキがSAOの話を兄から聞いて・・・興味を持たない筈がなかったの。兄に頼み込んで、ソフトを手にいれてもらって・・・わたしは丁度出張でプレイできない兄の代わりにせっかくだから1日だけプレイしようとナーヴギアを被って・・・この世界に来た」

アスナは俯く。この話は本当に聞いていいのだろうか・・・

「それでわたしは最初、頭の中が混乱して・・・多分サキに宿に運んでもらって、数日間パニックになってた」

「(普通・・・そいだよな)」


「親の蔑み、ライバルの哀れみ・・・色んな黒い感情が爆発しそうになったある日、サキがいったの」

「?」

「『お姉ちゃんは必ずわたしがリアルに帰すから。何時までもお姉ちゃんの背中に隠れていないで・・・わたしもお姉ちゃんを助けたい』・・・そう言ったの。・・・その時わたしは何でこんなつまらないことを考えてパニックを起こしてたんだろうって思ったわ。・・・いつの間にかわたしはサキに追い抜かれて・・・今もずっとサキに頼ってる・・・ダメだよね、わたし?あの子のお姉ちゃんなのに・・・」

「・・・そうでもないよ」

「キリト君・・・」

「サキの気力はアスナがいてこそなんだ。アスナが側にいるだけでサキはあそこまでやれる・・・」

「そうだよ。それに、アスナだって助けた数多くの人がいる筈だよ。アスナが攻略に参加したから犠牲を防げた時だってあった筈なんだから」

「・・・ありがとう、二人とも」

つまり昔のサキの性格はかなり暗かった。・・・ゲームが始まった直後はまだ咲の記憶はない・・・つまり、早貴は自分で変わりたいと、アスナを守りたいと思った・・・ややこしいなあ。


「俺だってアスナに助けられた。アスナがいなかったら俺もここにはいなかった。・・・俺はアスナに会えてよかったと思ってるよ」

「キリト君・・・うん、わたしもだよ・・・」

「・・・ひゅーひゅー」

なるほどね。最初はサキの話を聞くだけだったけど・・・キリトとアスナの仲も深まったようだ。



「パパー、ママー、おにいちゃんー、早くー!」


遠くからユイの声が聞こえ、俺達は笑いながら二人を追いかける。



「・・・にしても・・・」

俺は辺りを見渡す。咲も何かに気づいたのかキリトに聞く。

「ここって・・・何人のプレイヤーがいるんだっけ?」


「うーん、そうだな・・・生き残ってるプレイヤーが六千、軍を含めると三割くらいがはじまりの街に残ってるらしいから、二千弱ってとこじゃないか?」

「・・・そのわりには人気がなくない?」

「そう言われると・・・マーケットのほうに集まってるのかな?」

・・・だが、街の市場エリアに入っても街は閑散としていて、NPCの声だけが寂しく聞こえた。それでも大きな木の下に座り込むプレイヤーを見つけ、話し掛ける。

「あの、すみません」

「なんだよ」

「あの・・・この近くで、尋ね人の窓口になっているような場所、ありません?」



それを聞いて男はアスナに視線を向け、じろじろ眺める。

「なんだ、あんたよそ者か」

「え、ええ。あの・・・この子の保護者を探してるんですけど・・・」

男はユイを見ると一瞬目を丸くした。

「・・・迷子かよ、珍しいな。・・・東七区の川べりの教会に、ガキのプレイヤーがいっぱい集まって住んでるから、行ってみな」

「あ、ありがとう」

アスナがぺこりと頭を下げる。・・・俺はふと気になって聞いてみた。

「こんなところで何をしてるんですか?人もいないみたいですし・・・」

「企業秘密だ、と言いたいとこだけどな。よそ者なら、まあいいや・・・ほら、見えるだろ?あの高い枝」

見上げると街路樹の枝に黄色い果実が生っているのが見えた。

「もちろん街路樹は破壊不能オブジェクトだから、登ったって実はおろか葉っぱの一枚もちぎれないんだけどな・・・一日に何回かあの実が落ちるんだよな・・・ほんの数分で腐って消えちまうんだけど、それを逃さず拾えば、NPCにけっこうな値で売れるんだぜ。食っても上手いしな」

「へえええー」

どうやら料理スキルを極めたアスナには食材アイテムに興味があるようだ。

「幾らくらいで売れるの?」


「・・・これは黙っててくれよ。一個、五コルだ」

「・・・」

・・・五コル?それじゃ、まるでこの労力と釣り合わない。少し戸惑いながら咲が口を開く。

「え、えっと・・・それよりフィールドでワームとかを倒せば三十コルくらいにはなりますよ・・・?」

すると男は頭がおかしいんじゃないかと言わんばかりの視線を咲に向けた。

「本気で言ってるのかよ。フィールドで、モンスターと戦ったりしたら・・・死んじまうかもしんねえだろうが」

「あ・・・・・・」

咲は口を閉じ、うつ向いてしまう。・・・そうだ。何がどうあれHPがゼロになれば死ぬ。そこには必ず何%の可能性の死亡確率も含まれている。・・・更に驚きなのは人がいないのは軍の徴税・・・体のいいカツアゲにあうのを恐れて室内に隠っているかららしい。

「酷いな・・・キリト、早く教会に・・・」

「・・・」

・・・そこには真剣に実を奪おうとする兄の姿があった。

「「・・・」」

がつん。

俺と咲は無言でキリトにクロスボンバーを叩き込んだ。

「おぐっ!?お、お前ら、何するんだよ!?」

「意地汚いよキリト君・・・」

「いい?ユイちゃん。ああいういやしい行動はしちゃだめだよ?」

「うん!」

「何だよその良い返事は・・・」


「ほら、キリト君行くよ」

「・・・はぁい」


しばらく歩くと、ユイが寝てしまい、咲はキリトにユイを渡す。ユイを抱き上げてもう少ししたら・・・教会が見えてきた。

「・・・もし、あそこでユイちゃんの保護者が見つかったら、ユイちゃんを・・・置いてくるんだよね・・・?」

「お姉ちゃん・・・」


「まあ、そうなるよね・・・」

「アスナ、別れたくないのは俺も一緒さ。何て言うのかな・・・ユイがいることで、あの森の家が本当の家になったみたいな・・・そんな気がしたもんな・・・でも、会えなくなるわけじゃない。ユイが記憶を取り戻したら、きっとまた訪ねてきてくれるさ」

「ん・・・そうだね」


・・・俺達は二階建ての割と小さな教会の扉を開き、アスナが上半身だけを差し入れ、声を出す。

「あのー、どなたかいらっしゃいませんかー?」

残響エフェクトの尾を引きながら声が消えていくが・・・誰も出てこない。

「誰もいないのかな・・・」


キリトがそれを否定する。

「いや、人がいるよ。右の部屋に三人、左に四人・・・二階にも何人か」

「・・・索敵スキルって壁の向こうの人数まで解るの?」

「・・・熟練度980からだけどね。まあ、キリトといるならアスナが上げる必要はないっしょ。修行地味だし・・・」


「確かに・・・」

まあ、俺の場合、恋姫の世界でやってた鍛錬と似ていたからそこまで苦でもなかったけど・・・すると咲が中に足を踏み出す。

「すみませーん、人を探してるんですけどー」

その声が聞こえたのか、扉がゆっくり開き、女性の声が聞こえてきた。

「・・・軍の人じゃ、ないんですか?」

「違います。上の層から来まして・・・」

流石に軍を刺激したくないので、俺達は装備を外していた。・・・リパルに至ってはユイに声が聞こえるので、咲だけに声が届くようにしてるみたいだ。その証拠に咲はたまに頷いたりしている。

「ほんとに・・・軍の徴税隊じゃないんですね・・・?」

奥から出てきたのは晴青色のショートヘアで、黒縁の眼鏡をかけた女性だった。その手には小さな短剣が握られている。


「ええ、わたし達は人を探していて、今日上から来たばかりなんです。軍とは何の関係もないですよ」

そうアスナが言った途端・・・

「上から!?ってことは本物の剣士なのかよ!?」

あちこちのドアが開き、大量の子供達が俺達に駆け寄ってきた。

「こら、あんたたち、部屋に隠れてなさいって言ったじゃない!」

だが好奇心満載の子供を止められる訳がなく・・・

「なんだよ、剣の一本も持ってないじゃん。ねえあんた、上から来たんだろ?武器くらい持ってないのかよ」

俺はあたふたしているキリトを横目で見ながら、子供に答える。


「ふっふっふ、そんなに見たいなら見せてあげようか?」

確か何本かあまり武器があった筈だ。それで俺達は余剰な武器を全てオブジェクト化して、子供達に渡すと、目を輝かせながらあちこち見渡す。・・・これ、親が見たら卒倒ものだよな。

「・・・すみません、ほんとに・・・」

「構わないで下さい。子供の相手は慣れてますから」

「まあ、な」

俺の言葉に咲が端で頷いていた。俺達は女性に招かれてお茶を頂いた。

「それで・・・人を探していらっしゃるということでしたけど・・・」

「あ、はい。ええと・・・わたしはアスナ、そして妹のサキです。それでこの人がキリトと、その弟のコウハといいます」

「あっ、すみません、名前も言わずに、私はサーシャです」

女性・・・サーシャさんが頭を下げると、俺達も頭を下げ合う。

「で、この子がユイです」


未だ寝ているユイの頭を撫でながら、アスナが話す。

「この子、22層の森の中で迷子になってたんです。記憶を・・・なくしてるみたいで・・・」


「まあ・・・」

サーシャさんに説明をして、また、ここには小学生から中学生に至るまでの20人くらいの子供達がいることを教えてもらった。


「私、ゲーム開始から一ヶ月くらいは、ゲームクリアを目指そうと思ってフィールドでレベル上げしてたんですけど・・・ある日、そんな子供達の一人を街角で見かけて、放っておけなくて宿屋で一緒に暮らし始めたんです。・・・そうしたら、殆どの子供達が宿屋にいて・・・ビックリしました」

「あ・・・」

思わず俺は声をだしていた。

「それで色々あって今の状態に・・・私は、皆さんみたいに、上層で戦ってらっしゃる方もいるのに、私はドロップアウトしちゃったのが、申し訳なくて」


「そんな・・・そんなこと」

言葉に詰まったアスナを助けるように、俺は口を開く。

「いいえ、サーシャさんは凄いです。中途半端な俺よりも、ずっと・・・」

そうだ・・・俺はあくまでその場凌ぎで人助けをした気になって・・・


「ありがとうございます。でも、義務感でやってるわけじゃないんですよ。子供達と暮らすのはとっても楽しいです」

他にも色々話してくれた。この二年、毎日あちこち困っている子供がいないか探していること。年長組がなんとか生活費を稼いでくれること。・・・つまり、お金をここにいる他のプレイヤーよりもかせいでいること。

「だから、最近目を付けられちゃって・・・」

「・・・誰に、です?」

サーシャさんが口を開こうとしたその時。

「先生!サーシャ先生!大変だ!」

部屋の扉が勢いよく開き、子供達が雪崩れ込んできた。

「こら、お客様に失礼じゃないの!」

「それどころじゃないよ!!ギン兄ィたちが、軍のやつらに捕まっちゃったよ!!」

「・・・場所は!?」

サーシャさんがすぐに立ち上がり、少年から場所を聞く。

「解った、すぐ行くわ。・・・すみませんが・・・」

俺達は見合わせて頷き合う。

「俺達も助けに行きます。・・・お茶を頂いたお礼です」

「俺たちも行くよ!兄ちゃん、さっきの剣を・・・」

俺は子供に目線を合わせ、やや雑に頭を撫でる。

「残念だけど君達じゃ装備できないんだ・・・けど、助けたいって気持ちは充分解った。だから俺達に任せてくれ。君の大切な仲間は俺達が助ける」

子供はしばらく考えたのち、小さく頷いた。


「サーシャさん、行きましょう。・・・軍は何をするかわかりません」

咲の言葉にサーシャさんは頭を深く下げた。

「・・・ありがとう、お気持ちに甘えさせて頂きます。・・・それじゃ、すみませんけど走ります!」

『はい!』

俺達は一斉に返事をして、走り出す。寝ているユイは今度はアスナが抱いて、走る。さっきの子供が何人か引き留めたみたいだが、数人が追いかけてきていた。そしてしばらく走ると細い通路を塞ぐ10人くらいの鎧・・・軍だ。サーシャさんの姿を確認した軍のプレイヤーがにやりと笑う。

「おっ、保母さんの登場だぜ」

「・・・子供達を返してください」

「人聞きの悪いこと言うなって。すぐに返してやるよ、ちょっと社会常識ってもんを教えてやったらな」


「そうそう。市民には納税の義務があるからな」

品のない笑い声。サーシャさんは拳を固く握り、震わせている。

「ギン!ケイン!ミナ!そこにいるの!?」

すると少女の怯えた声が返ってくる。

「先生!先生・・・助けて!」

「お金なんていいから、全部渡してしまいなさい!」


「先生・・・だめなんだ・・・!」

今度は少年の声。

「くひひっ、あんたらずいぶん税金を滞納してるからなぁ・・・金だけじゃ足りないよなぁ」

「そうそう、装備も置いていってもらわないとなァー。防具も全部・・・何から何までな」

その言葉を聞いて・・・咲が低い声で言った。

「・・・お姉ちゃん・・・わたし」

「うん・・・行こう」

俺はキリトを目を合わせる。そして、俺達は一斉に地面を蹴り、空を跳んだ。

「うわっ!?」

そして悠々と壁の役割をしていたメンバーを飛び越え、子供達の前に着地する。

「もう大丈夫よ。装備を戻して」

アスナが言うと子供達は慌てて装備を拾う。

「おい・・・オイオイオイ!!」

ようやく我に返った軍の一人がわめき声をあげた。

「なんだお前らは!!軍の任務を妨害すんのか!!」

「まあ、待て」

リーダー格と思わしき男が止める。


「あんたら見ない顔だけど、解放軍に楯突く意味が解ってんだろうな?何なら本部でじっくり話を聞いてもいいんだぜ」

男がブロードソードを引き抜き、わざわざぺちぺち手のひらに当てる。・・・薄っぺらい武器だ。

「それとも圏外行くか、圏外?おぉ!?」

それを聞いて・・・写真に納めたい程、姉妹の行動は一致した。

「・・・キリト君、ユイちゃんをお願い」

「これ・・・正当防衛・・・だよな」

「過剰防衛になるなよー?」

キリトも予想してたのか、ユイを受け取る際にアスナの細剣を渡す。そして二人を武器を持ってゆっくりとリーダー格に歩いていく。

「お・・・お・・・?」


そして・・・綺麗に揃った動きで全力の一撃を叩き込んだ。爆音、そして男は吹き飛ぶ。・・・どちらか片方だけなら尻餅をつく程度で済んだろうに・・・

「そんなに戦闘がお望みなら、わざわざフィールドまで行く必要はないわ」

慌てて立ち上がった男に・・・アスナの追撃。そして咲が大きくリパルを振りかぶる。

「安心してね。HPは絶対に減らない・・・けど、永遠に続けるけど」

ガゴン!と再び爆音。圏内における攻撃は全て防がれるが、衝撃がある程度抜ける。

「お前らっ・・・見てないで・・・何とかしろっ・・・!!」


そうして軍メンバーは全員走り出すが・・・素晴らしい程に蹴散らされていく。

「(遠坂と桜より恐い姉妹だよ・・・)凄いのがお嫁さんだね、キリト」

「お前も凄いのと友達だよな、コウハ」

その時、一人がこちらに向かってくる。

「じゃ、久々に俺もやるか」

俺は葬解を装備する。

「武器も持たないで・・・!」


怒り心頭といった風に剣を振りかぶる。

「ほっ」

スパン

「がっ・・・」

その隙だらけな“殴って下さい”と言わんばかりな顔面に一撃を与える。

「き、きさ・・・ぐっ!?」

続いて二発目。流石に男も顔の前を防御するが・・・

「顔だけ防いだって意味ねえよ」

俺は思いきり足を上げ、回し蹴りを頭に叩き込む。

「ぐぇ・・・」

男の身体が左に揺れる。すぐに蹴りに使った右足を軸に、少し跳ねて縦回転。そのまま叩き落とすように左足を落とし・・・男は顔面から地面に叩きつけられた。

「・・・もう終わりか?精進が足りないな」


「お見事だな」


「いやいや。軽い軽い」

三分もすれば辺りには数人のプレイヤーが転がり、後は逃げたらしい。

「ふう・・・」

見るとやはり心配だったのか、子供達が全員来ていた。


「あ・・・」


アスナが一歩下がる。・・・さっきまでの怒りの姿を見られたからだろうか。だが子供達は・・・目を輝かせていた。



「すげえ・・・すっげえよ姉ちゃんたち!!初めて見たよあんなの!!」

「だから約束したろ?必ず助けるって」

キリトがアスナの肩に手を置くと、アスナは照れながら笑う。全員が笑った・・・その時だった。

「みんなの・・・みんなの、こころが」

「(え・・・!?)」

いつの間にか目覚めたユイが、何もない場所に視線を向け、手を伸ばしていた。

「みんなのこころ・・・が・・・」

「ユイ!どうしたんだ、ユイ!!」


キリトが叫ぶとユイはきょとんとした表情を浮かべる。アスナが駆け寄り、ユイの手を握る。

「ユイちゃん・・・何か、思い出したの!?」

「・・・あたし・・・あたし・・・」

ユイが俯く。

「あたし、ここには・・・いなかった・・・ずっと、ひとりで、くらいとこにいた・・・」

「ユイちゃん・・・?」

咲がそれを聞いて顔をしかめる。

「うあ・・・あ・・・あああ!!」

いきなりユイが体を仰け反らせ、高い悲鳴を上げた。

「な・・・!?」

そしてSAOでは初めての・・・ノイズじみた音が聞こえ、まるでバグったかのようにユイの身体が振動する。

「ゆ・・・ユイちゃん・・・!」

「ママ・・・こわい・・・ママ・・・!!」

アスナがユイを抱きしめ・・・しばらくすると、ユイの身体から力が抜けた。

「何だよ・・・今の・・・」

「ユイちゃん・・・まさか・・・いや、そんなわけ・・・」

ただ、静寂に支配された場に、キリトと咲の呟きがよく聞こえた・・・
 
 

 
後書き

「・・・ユイってなんなんだろ」

早貴
「ユイにゃん♪」


「それ違うし、今のお前がやっても違和感はないが、似合わないぞ」

早貴
「・・・ひっで。まあ、ユイちゃんは・・・ねえ?」


「なんか気づいたのか?」

早貴
「さあ?それじゃ、次回もよろしく!」
 
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