ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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新たな食材を捕獲せよ!イッセー達の日常!
第152話 その生態にビックリ!?ビックリアップルを収穫します!
side:小猫
「イッセーく~ん!また会えて嬉しいわ~!」
「お、おばさん……俺ももう高校生だからハグはちょっと恥ずかしいって」
「いいじゃないの~!いずれは私達の義息子になるんだから~!」
現在私は遊びに来ていたイリナさんのお母さんが先輩をハグしているのを遠目から見ていました。
イリナさんのお母さんはイリナさんにそっくりで髪をストレートに伸ばしておっとりあらあら系になったような人です。あまりにも若い見た目ですので一瞬イリナさんのお姉さんかと思ってしまいました。
イリナさんのお母さんはイッセー先輩のお母さんとも仲が良かったようでまるで本当の息子のように接しているのを見て微笑ましくなってしまいました。
「イッセー君、今日は貴方の好きだったアップルパイを持ってきたの。お友達の皆さんと一緒に食べましょう♡」
「えっ、おばさんのアップルパイ!?やった!小さいころこれが好きだったんだよなー!」
イリナのお母さんがアップルパイの入った箱を出すと先輩は嬉しそうに笑みを浮かべました。
そして私達もそれにご伴侶させてもらったのですが……これは美味しいです!丁寧に甘く煮込まれたリンゴのしっとりした感触とパイのサクサク感が絶妙にマッチして美味しいです!
「うっま!やっぱおばさんのアップルパイは最高だな!」
「うんうん!久しぶりに食べたけどママのアップルパイは最高!」
「うふふ~、そんなに喜んでもらえるとお母さん嬉しいわ~」
イッセー先輩とイリナさんはペカーッと満面の笑みを浮かべながらアップルパイを絶賛していました。
そんな二人を見てイリナさんのお母さんはお上品に笑みを浮かべていました、大人の女性って感じがしますね。
「私達にも分けてくださってありがとうございます」
「気にしなくていいのよ~、イリナちゃんのお手紙にリアスさんや他の皆さんにもよくしてもらってるって書いてあったし悪魔とか私は気にしてないから~」
リアス部長が一同を代表してお礼を言いました、イリナさんのお母さんは悪魔に敵意を持ってたりはしないんですね。
「それにしても母親の味ですか、わたくしのお母様も桜餅を作るのがお上手でしたわ」
「私もお母さんがお父さんに習ったホットケーキをよく食べていたにゃん.お父さんの方が美味しかったけど、心が暖かくなる味だったのを覚えてるよ」
朱乃先輩と姉さまが自身の母親に作ってもらったおやつを思い出しているようでした。私も母様のホットケーキは大好きだったんですよね、懐かしいなぁ……
いずれは先輩との間に出来る私の子供にも美味しいおやつを作ってあげたいです♡
「あっ、そうだ!師匠、アップルパイで思い出しましたがそろそろ『ビックリアップル』の収穫の時期じゃないですか?」
「そういやそうだったな、最近色々あって忘れていたよ」
するとルフェイさんがビックリアップルと言う食材の名前を出すと、先輩は何かを思い出したかのように手を叩きました。
「おばさん、俺が美味いリンゴを取ってくるからまたアップルパイを作ってくれよ!」
「あらそうなの?なら楽しみにしてるわね~」
どうやら新たな美味しい食材が私達を待ってるみたいですね。
―――――――――
――――――
―――
私達はG×Gの海を十夢さんの船に乗って駆け抜けています。風が気持ちいいですね。
「それでイッセー君、今回狙うビックリアップルってどんな食材なんだい?」
「名前からして驚くような見た目をしているんですか?うぅ、ホラーな見た目の食材は苦手ですぅ」
「ははっ、まあ見た目には驚くと思うけどビックリするんじゃなくてビックリさせるリンゴさ」
「ビックリさせるリンゴ?それってリンゴに意思があるって事かしら?また不思議そうな食材が出てきたわね」
祐斗先輩がビックリアップルについて尋ねるとギャーくんは見た目が怖い食材なのかと怖がっていました。
それを聞いたイッセー先輩は笑いながらビックリさせるリンゴだと言いリアス部長が首を傾げます。
「ビックリアップルはもともと争いの絶えない島『バトルアイランド』に生える固有種だったんだ。でも近年IGOが品種改良に成功して人工栽培が出来るようになったって訳さ」
「そしてこの時期に収穫するんですよ。そのリンゴは驚かせることで味が変動するんです」
「へぇ、一体どんなリンゴなの……ッ!?」
先輩とルフェイさんの説明を聞いていた部長が突然の爆音に驚きました。敵襲ですか!?
「なんなの、今の爆発音は!?」
「美食會の攻撃だしっ!?」
「安心してくれ、今のはビックリアップルを育てている島から聞こえたモノだ。ビックリアップルを育てるには爆発音みたいな大きな音が必要だからな……おっ、見えてきたぞ」
驚き慌てるティナさんとリンさん、そんな二人に苦笑しながら先輩が指を刺した先を見ます。そこには爆発が絶え間なく起こっている島が見えました。
「あれがビックリアップルを育ててる島、通称『ビックリ島』だ。さあ、上陸するぞ」
私達は物凄い爆音の響くビックリ島に上陸しました。
「うぅ!凄い音です!耳がおかしくなっちゃいます!」
「こんな酷い状態なのに人はいっぱいいるのね……」
私はあまりの騒音に耳を塞ぎました、リアス部長の言う通りこんなに騒がしいのに人は沢山いるんですね。
「今はビックリアップルの収穫時期だから人が集まってるけど普段は誰もいない無人島だ、管理している人も住めない煩さだからな」
「そりゃこんなに煩かったら誰も住めねえよ」
イッセー先輩は普段はこの島には誰も住んでいないと言い、それを聞いたアザゼル先生はだろうなと言わんばかりにゲンナリとしました。
「イッセー、俺は耳栓しながら船で待ってるぜ。美味いリンゴを期待してるからな!」
「ああ、任せとけ!」
十夢さんと別れた私達はビックリ島の中に入りました。そしてびっくり農場と書かれた門をくぐるとそこには多くの美食屋が銃や爆弾を手に取って大暴れしています。
「えっ、今から戦争でも起こるのかしら?」
「いや彼らはビックリアップルを驚かせようとしているのさ。ほら、あれがビックリアップルだ」
「顔がありますわね……」
部長はその光景に今から戦争でも起こるのかと言います。イッセー先輩は農場に指を刺すとそこには顔のあるリンゴが奇声をあげているのが見えて朱乃先輩がちょっと引いた様子でそう言います。
「ガッハッハ!ここがビビりてぇっていう奴がいる場所か?ならオレ様が全身からションベンを出したくなるくらいビビらせてやるぜ!」
「あっ、ゾンゲだ」
するとそこにソンゲさん達が現れました。
「グルル……」
「ん?ぎゃ―――ッ!?ビックリした―――ッ!!」
背後からテリーが顔を寄せて匂いを嗅いだのに気が付かなかったゾンゲさんは、至近距離でテリーを見ると全身から変な液体を出しながら目を飛び出して驚きました。
「有言実行したな、自分が……」
「どんな体の構造をしてんだよ」
おしっこの匂いを感じたのか嫌そうな顔をする先輩に全身から変な液体を出したゾンゲさんの体に興味を持つアザゼル先生……シュールな絵ですね。
「おっ、イッセーじゃねえか。お前もビビらせに来たのか?今日は負けねーぞ!」
「お、おう……とりあえずお前海に飛び込んできたらどうだ?」
「がっはっは!なんだそりゃ!」
こちらに気が付いたゾンゲさんが近寄ってきますがアンモニア臭が凄いです……
「おやおーや、古代の王者バトールウルフですか。それに美食四天王のイッーセーもいまーすね。これは期待できそーです」
「あれは『G7』のアポロン氏じゃないか」
「ええっ!?『GOURMET7』の!?」
私はまさかの人物の登場に驚いてしまいました。
GOURMET7……それはこのG×Gにて最高クラスの味覚を持つと言われている7人の事で彼らに評価された料理人は最高ランクの扱いをされるほど重要視される存在なのです。
「でもどうしてG7の人が来ているのかしら?」
「ビックリアップルは別名『人面林檎』と呼ばれ人の表情みたいに顔が変化するんだ、それによって味の変化が大体わかるんだけど細かい部分は実際に食べないと分からないからな。だから呼ばれたんだろう」
「なるほど……」
部長の疑問にイッセー先輩がそう答えます。私はそれを聞いて納得しました。
「よし、じゃあ俺達もこの『仰天祭』に参加させてもらおうか」
「それってメルクさんの使っていた『拡音石』ですか?」
「ああ、前に一個貰っていたんだ」
イッセー先輩は以前出会ったメルクさんが持っていた拡音石を取り出すと近くに生えていたビックリアップルの側に顔を寄せます。
不思議そうにイッセー先輩を見上げていたビックリアップルに対して先輩は拡音石に向かって声を放ちます。
『わっ!!』
辺りを震わせるほどの音量が鳴り響きあれだけ騒がしかった農場が一瞬静かになってしまいました。
「やりぃ♪」
先輩はビックリアップルをもぎ取ってウィンクします。そのビックリアップルは目を見開いて驚いていました。
「うおおおっ!すっげぇ音だったぞ!?」
「流石美食屋イッセー!爆音や銃撃の音が霞む衝撃だった!」
「今のならスゲェレベルにいくんじゃねえか!?」
周りの人達は今の光景を見て盛り上がっていました。ふふん、私の旦那様は凄いでしょ?
「アポロンさん、コイツのビックリレベルはどんなもんだ?」
「ふむふーむ……これーはビックリレベル27じゃな」
アポロンさんにビックリアップルを渡すとまた聞きなれない単語が出てきました。しかしそれを聞いた周りの美食屋達は大盛り上がりを見せます。
「来たぁぁぁぁっ!!ビックリレベル27!!」
「これ今日の現時点での最高レベルじゃねえ!?」
「つまりあの一瞬で1000万以上稼いだって事か!?」
いまいち状況が分かっていない私達は首を傾げました。
「イッセー君、ビックリレベルって何?」
「ビックリアップルのビビリ度合いを示す値さ、1から100までレベルがあって高いほどうまいリンゴになって価値が上がるんだ。レベル27だと大体1350万円の価値だな」
「ええっ!?じゃあイッセーは1350万円をゲットしたって事!?一気に価格あがり過ぎでしょ!?」
イリナさんがビックリレベルの事について尋ねると先輩は丁寧に教えてくれました。そして金額を知った部長が滅茶苦茶驚いています。
だから周りにいた美食屋の人たちはあんなに驚いていたんですね、上手くいけば億万長者も夢じゃないですし。
「なるほど、そうやって驚かせればいいんだな。力を示すのは得意だ!」
「そう簡単にはいかねえぞ、衝撃や音じゃ決してビビらない個体もあるからな」
「まるで人間みたいなのね」
ゼノヴィアさんが得意げになるとイッセー先輩はそんなに単純じゃないと言います。個体ごとに驚かせる方法を変えないといけないようでリアス部長はリンゴなのに人間みたいだと呟きました。
「俺達も負けていられねぇな!必ずトップになってやる!」
そして気合を入れなおした美食屋達はまた大暴れを始めました。しかしそんな中、この爆音が鳴り響く農場に似つかわしくない美女が姿を現したのです。
「ほんまここは騒がしいところやわぁ……」
「えっ、あれってまさか『スナックつらら』のつららママさんですか!?」
私はその女性が誰なのか直ぐに分かりました。世界料理人ランキングで50位内に入っている超有名人です!サ、サイン貰わないと……!
周りの美食屋達もつららママさんの登場に動きを止めてしまいます。そんなざわつく周りを尻目につららママさんは一つのビックリアップルの側にかがみこみます。
「?」
「ふふっ、可愛らしい顔どすなぁ。あまりに可愛いさかいお店に飾りたいどすなぁ」
つららママさんは懐から液体の入った瓶を取り出しました。
「こらホルマリン言うてなぁ、生物を腐らせずに保存できるんよ。それであんたをこの中に入れて一生お店のオブジェとして生き続けてもらうわ」
ゾッとするような冷たい微笑を浮かべてそう言うつららママさん、そして言葉の意味を理解したのか赤いリンゴがゾ~ッと青ざめていき恐怖の表情を浮かばせました。
「うふ、まぁええ塩梅どす」
そしてそのリンゴをもぎ取ってアポロンさんに渡しました。
「これーはレベル20!!」
「20が出た!」
「また高レベルだ!」
そしてビックリレベル20という数字が出て周りはまた騒がしくなります。
「まさか脅迫なんて方法で驚かせるなんて考えもしなかったわね……」
「あらあら、凄く話の合いそうな人ですわ♡」
脅迫というやり方でリンゴを驚かせた事に度肝を抜かれたリアス部長、それとは打って変わって趣味の合う友人を見つけたかのように楽しそうに笑う朱乃先輩が印象的でした。
そういえば朱乃先輩もSっけが強い人でしたね、最近はイッセー先輩にイジめられて負けてばかりだったので忘れていました。
「流石つららママ、大人の貫録を見せつけられたな」
「俺今度つららママのスナックに行ってくる、ああいう女性嫌いじゃないからな」
「いいなぁ、僕達は未成年なのでスナックなんて行けません……」
イッセー先輩は感心した顔をしてアザゼル先生は今度ママのスナックに行くかと言います。ギャーくんの言う通り私達は未成年なので行けませんね、残念です……
「生憎俺じゃあんなやり方は出来ない。ここはシンプルに力で行かせてもらうぜ」
イッセー先輩は釘パンチの態勢に入るとターゲットを探します、そして一つのビックリアップルに狙いを定めると勢いよく拳を突き出しました。
「17連釘パンチ!!」
リンゴに当たる寸前で拳を止めたイッセー先輩、その瞬間凄まじい衝撃が農場を走り風が巻き起こりました。
「ミギャアアアッ!?」
衝撃に揺らされてリンゴが揺れています、しかし距離がちょっと近かったのか衝撃を受けてしまったリンゴが傷ついてしまいました。
「あっ、しまった!傷がついた!?」
「あー!もったいなーい!今のはレベル50は行ってたーのに!傷つけちゃだーめでーす!」
イッセー先輩はしまったという顔を浮かべてアポロンさんも残念そうにそう言いました。
なるほど、直接傷を付けたら駄目なんですね。
「拳を止めるのが僅かに遅かったか。ごめんよ、ビックリアップル……」
イッセー先輩は謝罪しながらリンゴを食べました。
「なるほど、一筋縄ではいかないわけね」
「わたくしたちもリンゴをびっくりさせましょう」
リアス部長はビックリアップルを驚かせるのはなかなか難しいことを悟り朱乃先輩は気合を入れて祭りに参加していきました。
私たちもそれに続き各自リンゴをビックリさせようとします。
「えい」
私はビックリアップルの目の前の地面にパンチを打ち込んで亀裂を入れます。それを見ていたリンゴは驚いていました。
「これーはビックリレベル7ですーね」
「ざんねーんです」
「小猫ちゃん、移ってるぞ」
中々上手くいかないものですね、10回くらい試してようやくレベル7ですか。
「この石が未来の貴方の姿ね、それで……あら、消えちゃった♪」
「ミギャア……!?」
「ビックリレベル14!」
リアス部長が滅びの魔力でリンゴと同じサイズの石を消してしまいました。それを見ていたリンゴは驚いて怯えます。
「うふふ、こんなものはどうでしょうか?」
「ミー♪」
「ビックリレベル10!」
朱乃先輩は雷を鳥や龍、獣に変えてパフォ―マンスを披露します。一つのビックリアップルが感心したように驚いていました。
「見ていてね、このリンゴを今から居合で斬るから……ふっ!」
祐斗先輩はビックリアップルの近くで唯のリンゴを置くと居合切りを放ちました。するとリンゴが真っ二つに分かれてしまいます。
「じゃあ今のを君にやるから耐えてね」
「ミギャッ!?」
「じゃあ行くよ、覚悟は良いね?」
祐斗先輩はそう言って居合をビックリアップルに放ちました。直接傷つけたら駄目なんじゃ……
でもビックリアップルには傷はありませんでした。ビビったリンゴをもぎ取ってアポロンさんに渡します。
「ビックリレベル25!!」
「ははっ、脅しが上手くいって良かったよ」
「祐斗くん!さっすが~!」
祐斗先輩は得意げに笑みを浮かべました。なるほど、実際に斬ったわけじゃなく斬られたと錯覚させてビビらせたんですね。
そこにティナさんが現れて祐斗先輩を褒めました。
「ティナさんはどんな調子ですか?」
「あたしは鼻で笑われたわ……うぅっ、クルッポーは一回成功したのにどうして……」
「クポー!」
祐斗先輩がそう聞くとティナさんはがっかりした顔でそう呟きます。それと対照的にクルッポーが自慢げに鳴き声をあげました。
どうやら偶然膨らむクルッポーに驚いた個体がいたようですね。因みにレベルは4だったそうです。
「ふふん、これはどうだし?」
「おおっ、これーはレベル22!」
「やったし!」
そこにリンさんが来て驚愕の表情を浮かべたビックリアップルを持ってきました。そしてそのリンゴはビックリレベル22を叩きだします。
「リンさん!凄いじゃないですか!」
「『スカンクス』のオナラの匂いを使ったフラグレンスを使ったんだし。祐斗君、もっと褒めて!」
「ぐぬぬ……!」
得意げになるリンさんを見て悔しそうにするティナさん、まあ流石に分が悪いですよ……
「ねぇねぇイッセー君!この子達って驚かせる前に木からもいでもいいの?」
「ああ、1時間は問題ないぞ」
「じゃあ……うん、君に決めた!」
イリナさんは近くにあったビックリアップルを一つもぎ取ると黒い靴を出して空中をまるでジェットコースターみたいに飛び回りました。
「ただいま!これだけ派手に動き回ればいっぱい驚いて……あれ?」
「オエー!」
「どうやら酔ってしまったみたいだな……」
イリナさんが着地してリンゴを見ます、でもリンゴはとても気持ち悪そうな顔で青ざめた顔をしていました。
イッセー先輩の言う通り驚いたのではなく酔ってしまったみたいですね。当然レベルは0でした。
「布団が吹っ飛んだ!猫が寝ころんだ!」
「ゼノヴィアさん、何をしているんですか?」
「小猫か。今ダジャレを聞かせて驚かせようとしていたんだ」
「ダジャレですか?珍しい……絶対にデュランダルで脅そうとすると思っていました」
「そうしようとしたが島ごと真っ二つにしかねないと思ってな、断念した」
「ああ……」
ゼノヴィアさんらしくないやり方に首を傾げましたが理由を聞いて納得しました。
「でも効果はあるんですか?」
「ああ、さっきのリンゴはレベル3になったぞ!」
(それってゼノヴィアさんみたいな美少女が急に変なこと言いだしたのに驚いたんじゃ……まあ言わない方がいいですね)
ペカーッと眩しい笑みを浮かべるゼノヴィアさんに私は何も言えなくなりました。
「ガルル……!」
「……」
『ミギャー!?』
「おおーっ!バトルウルフはレベル40!黄色いひーとはレベル38!」
「僕には全然驚いてくれません……」
テリーとスタンドの世界が脅しをかけると高レベルを叩きだしました。隣にいたギャーくんは今の所収穫は0みたいですね。
「喰らえ、閃光と暗黒の龍絶剣!」
「……プッ」
「あっ、コイツ苦笑してやがる!」
「おおっ!レベル29!」
「えっ、なんでだ?」
「良い大人がそんな中2臭い武器を振り回していたことに驚いたんじゃない?」
「がはっ!?」
アザゼル先生は閃光と暗黒の龍絶剣を振り回して一つのビックリアップルを驚かせました。
でも苦笑されたのに何で驚いたんだと思ったアザゼル先生は姉さまの鋭い指摘に吐血してしまいました。
「さすーがイッセーのなかーまなだけありますーね。高レベルをつぎつーぎ出してます」
「でもイマイチ大きく伸びねぇな……過去の最高レベルは一体どれくらいなんだ?」
「ふーむ、そうですーね。過去にレベル90台のものがいくつーか市場に出ていますーね」
「90台!?」
「IGOの一龍氏がレベル95,ノッキングマスター次郎氏が92を出していまーす」
「親父に次郎さんか、納得の面子だな……!」
イッセー先輩は過去に高いレベルを出した人をアポロンさんに尋ねました、すると一龍さんや次郎さんがレベル90台を出したと聞きます。
「あと公式ではありませーんが美食會の誰かも90台を出したと聞いていまーす」
「美食會も……せめて俺も安定してレベル70台以上を出せるようにしたいな」
「強さも大事ですーがビックリアップルは思わーぬことでビックリするこーとがありまーす。不意を突いたーり予測しにくーいことーをするのーもいいかーもねー」
「アポロンさん、ありがとう。あと貴方の喋り方が予測できねー」
アポロンさんのアドバイスを聞いてイッセー先輩がお礼を言いました。
「予想外の事ですか……ギャスパー君、手伝ってくれますか?」
「えっ、何をすればいいんですか?」
「ちょっとこっちに来てください」
ルフェイさんが何を思いついたのかギャーくんを茂みの中に連れ込みました。
「ふう、上手くいきました♪」
「うう……!」
そして暫くして満足げな笑みを浮かべるルフェイさんがビックリアップルを持って戻ってきました。でもギャーくんは涙目で恥ずかしそうにしています。
「これはどうですか?」
「これーは……な、なんと!ビックリレベル63!」
「マジかよ!?」
なんと今日最高レベルの63を叩きだしました、これには先輩も思わず目を見開いて驚きます!
「ルフェイ!ギャスパー!凄いじゃない!一体何をしたの?」
「えへへ、ギャスパ―君の性別を直に見せつけてあげたんです」
「えっ?」
「は、恥ずかしかったんですよ!リンゴとはいえあんな風にズボンを下ろされて……!」
部長がどうやってビックリアップルを驚かせたのか聞くとルフェイさんは得意げにそう言いました。
それを聞いた部長は目を丸くしてギャーくんは恥ずかしそうに涙目を浮かべます。
「なるほど、男の娘が好きなタイプの個体だったのね」
「いやなんでリンゴに性癖があるんだよ!?」
イリナさんは神妙な顔でそう言うとイッセー先輩がツッコミを入れました。
「それなら私だって……えいっ」
私は仙術で大人の姿になって近くのビックリアップルにウィンクします。すると一つのビックリアップルがデレデレしながら驚いてくれました。
「ビックリレベル65!これまた高レベールです!」
「やりました!」
「なんでそんな方法で高レベルになるんだよ!?スケベなリンゴしかいねぇのか!?」
私がガッツポーズをすると先輩は頭を抱えてそう言いました。まあ流石に偶然ですよ、多分……
「にゃははっ!みんなやってるね~」
そこに姉さまが現れていくつかのビックリアップルを持ってきました。
「姉さま、そのビックリアップルは……」
「勿論私が驚かせたのよ。採点お願いね」
「ふむふ……!!す、すごーい点が出ました!83点!71点!68点!れんぞーくで高得点でーす!」
「83!間違いなく今日一番の記録だ!」
姉さまが渡したビックリアップルは次々と高得点を出して周りの盛り上がりが最高潮を見せます。
「黒歌!凄いな!一体どうやって……!?ま、まさか黒歌もリンゴに色仕掛けしたりしたのか!?」
「えっ、イッセーなに言ってるの?もしかして溜まってる?そういうことなら今夜幾らでも相手するよ♡」
何か変な勘違いをする先輩に姉さまも夜のお誘いかと思ったのか先輩の首に両手を回して甘えるように抱き着きました。
「それで姉さまはどうやってビックリさせたんですか?」
「例えばこうやって……ふっ」
「きゃっ!?」
姉さまは可愛らしい目から獰猛な猛禽類のような眼になりました。確かにこれは驚きますね……!
「後は幻術とか色々使ったよ。でも結構難しいね、ビックリレベル80台は一個しか出なかったにゃん」
「でも流石だよ、俺も負けていられないな!」
「はい!私達も続きましょう!」
姉さまに続こうと私達も頑張ろうと気合を入れなおします。その時でした、見守っていたアーシアさんがやってきてリンゴを見せてくれました。
「アーシア、どうしたんだ?もしかしてアーシアもリンゴをびっくりさせたのか?」
「いえ、実はこのリンゴさんが地面に横たわっていて……顔色もおかしいので見てもらおうと思ったんです」
「どれどれ……なんだこの顔?初めて見たぞ」
アーシアさんが持ってきたリンゴはとんでもない驚愕した表情を浮かべていました。その表情はまるで幾度となく苦しめられていたぶられたような無残なものでした。
「アポロンさん、このリンゴって……」
「これは……!」
神妙な顔になったアポロンさんが恐る恐るリンゴを一口齧りました。
「レ、レベル80!?」
「なんだって!?」
なんとそのリンゴは姉さまの出した記録とあまり変わらない物でした。イッセー先輩も驚いています。
「でもどうして80なんて高レベルのリンゴが落ちてたの?売ったらとんでもない金額になるじゃない!」
「もしかしたら人前に出られない方が出した記録なのでは……?」
「まさか美食會!?」
リアス部長の言う通り何故こんな凄い価値のあるリンゴが地面に置かれていたのか気になりますね。そこに朱乃先輩が人前に出られない人物が出した記録なのではないかと言い、祐斗先輩は美食會の名を口に出しました。
確かに美食會のメンバーなら名乗り出られないですよね、偶然落としてしまったのをアーシアさんが拾ってしまったのかもしれません。
私達に緊張が走る中、近くから怒鳴り声が聞こえてきました。
「ちきしょー!このクソリンゴ!オレ様をコケにしやがって!」
「ゾ、ゾンゲ様落ち着いて……」
怒っていたのはゾンゲさんでした、どうやら驚かせるどころかリンゴにシカトされているみたいですね。
「そもそもオレ様はリンゴっつったらホワイトアップルなんだよ!もう帰るぞ!」
「ええっ!まだ一個も驚かせてないのに!?」
「忌々しいクソリンゴめ、これでも喰らえ!」
「きゃああっ!!なにやってるのよ!?」
なんとゾンゲさんは腰巻をずらしてお尻を出してオナラをリンゴに浴びせました。私たちは直ぐに目を隠します。
「ミギャアアッ!?ウギャアアアッ!?」
オナラを浴びたビックリアップルはこの世の最後を見たかのような絶叫をあげていました。それを見ていたアポロンさんがリンゴを拾って齧ります。
「これーだ、レベル80」
『はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』
その言葉に農場にいたすべての人たちが驚きの声を上げました。
「ガーッはッはっ!!オレ様の時代だぁぁぁぁぁっ!!」
そしてその日に最も多くの高レベルのリンゴを出したゾンゲさんが表彰されていました。
一番高レベルだったのが姉さまの83なんですがゾンゲさんはあの後なんとほとんどのリンゴをレベル80にしてしまったんです。
「私あんなのに負けたの……?」
「過程さえ見なければ最高の味なんだがな……」
姉さまはがっくりと落ち込みイッセー先輩は複雑そうな顔でゾンゲさんのリンゴを食べていました。味は最高なのがムカつきます……!
「つららママのおかげでわたくしもSの道を究められそうですわ♡」
「朱乃ちゃんセンスがありますなぁ、話をしとって楽しおす。良かったら将来うちの店で働かしまへんか?」
「まあ……!考えさせてもらってもよろしいですか?」
「勿論どす、ええ返事を期待してます」
朱乃先輩はいつの間にかつららママさんと仲良くなっていました。私もサインを貰いに行かないと……!
こうして私達のビックリアップルの収穫は予想外の結果で終わるのでした。
――― オマケ ―――
十夢「イッセー、このリンゴすっげェ美味いぞ!お前が取ったのか?」
イッセー「いや別の奴が驚かせたんだ」
十夢「マジかよ、すげェ奴はいるもんだな……」
イッセー「あはは……」
小猫(作る過程は言いにくいですよね……)
イリナ(ママへの贈り物のリンゴは別のにしておこっと……)
後書き
リアスよ、ビックリアップルには本当に驚かされたわね。まさかあんな方法で美味しくなるだなんて……
まあアレは忘れてビックリアップルを頂くとしましょう……ん~美味しいわ~♡グルメジャンボも当たって100万円もゲットできたし最近運が良いわねー♡
そうだイッセー、お世話になってるお礼に貴方に何か奢ってあげるわ。何が欲しい……えっ、土地!?
次回第153話『その土地の価値は無限大!?よっちとニワトラの絆!』で会いましょう。
次回も美味しくいただきます、うふっ♪
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