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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第151話 始まりました、体育祭!アーシアとの絆!

 
前書き
  

 
side:イッセー


 オーフィスの過去、それはとても壮大で複雑でなんて言えばいいのかな、映画を1本丸々見たような気分になった。


「これが我の過去、アカシア達と過ごした忘れらない過去」
「凄いな、俺達はある意味伝説の存在の知られざる情報を一気に知ったんじゃないか?」
「はい、これほど信憑性のある情報は他にないでしょう」


 オーフィスは大切な宝を見るような暖かい視線を俺達に向けてきた。


 俺はあの美食神アカシアの知られざる普通の姿を知り感激や驚きの入り混じった感情になっていた、小猫ちゃんもアカシアの娘からこの話を聞いたので信憑性が高いと呟く。


 マジで生きた証人だもんな、歴史的価値にしたら一体いくらになったんだ、今の話は。


「しかしいっぺんに沢山の情報が頭の中に来て混乱してしまいますね」
「ああ、今の話だけでかなりの事が分かったね」


 ミカエルさんは頭を押さえながらそう呟いた、確かにとんでもない情報量だったからな。サーゼクスさんの言う通り多くの事が分かった。


「まさかD×Dを狙っていた別世界の勢力がいたとはな、もうオーフィス達に滅ぼされているようだが……」
「彼らの世界に接触したという人物も気になるね、一体何者なんだろう」


 ゼノヴィアはD×Dに攻め込もうとしていた別世界の勢力に驚いた、祐斗は彼らを怒らせたD×Dの人物が気になると呟く。


 確かに一体何者なんだろうな、そいつは。それだけ昔の話なら人間ならとっくに死んでるはずだけど……もし悪魔などだったらまだ生きているはずだ。


「それにフローゼ様がこちらの世界の出身だったことに驚いたわ」
「ええ、まさか神の料理人がD×Dの人間だったなんて驚きですわ」


 リアスさんはフローゼがこっちの世界の人間だった事に驚いたと話す、隣にいる朱乃も頷いていた。


「おい一龍、お前はそのことを知ってたのか?」
「いや、今回ばかりは初めて知ったわい。姉さん、それは本当なのか?」
「アカシアから聞いている。他に知っているのは我と次元の狭間にいた時に話したグレートレッドのみ」


 アザゼル先生は親父にそう聞くが今回は本当に知らなかったと首を振った、それを補足するようにオーフィスがそう答える。


「本名は分からないのか?」
「分からない、生前フローゼは最後まで記憶を戻せなかった」
「そうか……名前が分かれば調べて何か知ることが出来たかもしれないんだけどな」


 俺は念のためフローゼの本名を聞くがオーフィスは分からないと答えた。


「それでも料理人ってことは分かってるのでしょう?ならそれを重点にして行方不明者を探せばもしかしたら分かるかもしれないわね」
「そうだね、僕の方から探りを入れておこう」


 だがリアスさんの言う通り料理人ということは分かっているので、過去に料理人の行方不明者がいないか探してみようと言いサーゼクスさんも同意して自分がその役を引き受けると答えた。


「でも一番驚いたのはやっぱりアレよね、アカシアのフルコースの一つよ」
「えっと、究極の蘇生食材って言っていたわよね?」


 リアスさんからアカシアのフルコースの話が出てセラフォルーさんが究極の蘇生食材について呟いた。


 その瞬間、全員の視線が親父に集中する。


「姉さんの話の中で出た以上隠しはせんよ。ただこのことは絶対に外部に漏らさないことを誓ってもらうぞ、場合によってはGOD以上に争いの種になりかねん」


 親父の言葉に全員が頷いた。もしその究極の蘇生食材が言葉通りの力を秘めているなら命は一つという生物の根本的な概念を覆してしまうからな、ヘタをしなくてもGOD以上にヤバイ食材だろう。


「アカシア様のフルコース、その『前菜』こそが究極の蘇生食材……その名も『C(センター)』。どんな死に方を生き物でも生き返らせることが出来る食材だと言われておる。だがその存在はワシを含めてもアカシア様からしかある場所を知らぬ」
「親父も知らないのか?」
「ワシはアカシア様からCの存在とそれを決して人々に知られてはならない、隠し通せと言われておる」


 どうやら親父もそのCとやらの在りかまでは知らないみたいだな。


「そう言えば以前に行ったグルメ神社でアカシアのフルコースを奉った場所を周った事を覚えていますか?あの時前菜だけ抜けていたんですよね」
「うむ、それはワシが過去にグルメ神社の神官達にそう指示したからじゃ。前菜の存在を匂わせる事すら禁止させた」
「それで前菜だけなかったんだね」


 小猫ちゃんは以前に行ったグルメ神社で前菜を奉った場所が無かったことを話した。それを聞いた親父が自分がそう指示を出したと言い祐斗も納得したように頷く。


 ここでも親父が絡んでいたんだな。


「そのCって奴もグルメ日食が起これば現れるのか?」
「うむ。グルメ日食は数百年に一度必ず発生する。その時にアカシアのフルコースが姿を現すのじゃ」
「じゃあGODもその時に現れるのか……」


 アザゼル先生はグルメ日食について尋ねると親父はその時にアカシアのフルコースが姿を見せると言った。


 それを聞いた俺はGODの存在を察して体を震わせた。


「グルメ日食は一体いつ起こるんだ?」
「今ワシの部下に正確なデータを元に探らせておるがそれでも数年以内には起こるのは確実じゃろうな」
「もう時間は無いって事か……美食會も確実に動き出しているだろうな」


 親父は数年以内にグルメ日食は起こると言った、それを聞いた俺は美食會もすでに行動を開始しているだろうと言う。


 するとオカルト研究部や教会組の表情が暗くなった。


「おい、どうしたんだよ。みんなして暗い表情なんて浮かべて……」
「イッセー、貴方は何とも思わないの?三虎という人の過去を知ってしまった今凄く複雑な気持ちなのよ……」
「私も所詮は悪事を働く奴としか思っていなかった、だがあまりにも悲しすぎるではないか……」
「正直三虎さんが食材を牛耳ろうとするのも無理はないと思っちゃいました。もし僕の大切な人がそんな最期を迎えたら恨んじゃいます……」


 俺は皆に声をかけるがリアスさんが悲しそうにそう呟きゼノヴィアも複雑そうにそう言った。ギャスパーも気持ちが分かると話す。


 皆三虎の過去を知って戸惑っているんだな。


「みんな、しっかりしろ!」


 俺は手を叩いて大きな音を出した。


「三虎って奴の過去は正直俺も同情した、でもだからと言って世界中の食材を独り占めしようなんて事は許せない!だから俺が三虎をぶっ飛ばしてGODを手に入れる!そして三虎や美食會も集めて世界中の皆でGODを食べればいいんだよ!」
「おいイッセー、お前本気で行ってるのか?敵の親玉や悪の組織がそんな素直に集まると思ってるのかよ?」
「集まるさ!その為に勝てばいい、そして俺の言う事を聞いてもらう!それなら来てくれる、話を聞く限りそういう義理は持ってそうだったしな!みんなで美味しい物を食べれば絶対に分かり合える!俺はそう信じている!」
「……はっ、若けぇな。でも嫌いじゃないぜ、そう言うの」


 俺は心からそう信じて言い切った。それを聞いたアザゼル先生は呆れながらも笑みを浮かべ親父たちも頷いていた。


「弱いくせに言う事だけは一丁前だな」
「なんだと?」
「そういう事は俺より強くなってからほざく事だ、てめぇがモタモタしてたら俺が三虎って奴をぶっ殺してやる」
「ゼブラ兄の出番なんかねえよ!俺は皆と一緒に強くなってやるんだからな!」


 ゼブラ兄が挑発してきたのでそう言いかえしてやった、その言葉にオカルト研究部のメンバーや教会組も笑みを浮かべる。


「ごめんなさい、イッセー。私達も戦うわ、美味しい物を皆で分かち合って笑顔になるために!」
「ああ、一緒に頑張ろうぜ!」


 リアスさんの言葉に俺も笑みを浮かべて頷いた。皆と一緒なら必ずやり遂げられる、俺はそう信じてるからな!


「……ふふっ」
「オーフィス?」


 すると話を聞いていたオーフィスが急に笑い始めたんだ。


「不思議、お前はアカシアより遥かに弱い。でもその言葉は何故か信じようと思えた」
「その言い方はショックだな、まあ事実だから何も言い返せないけど……」
「馬鹿にしたつもりはない、お前の言葉は真剣だった。だからその言葉の重みに合う強さを得られるように我が協力してやる」
「本当か!?」


 オーフィスの協力してあげるという言葉に俺は驚いた。彼女ほどの猛者に鍛えてもらえるなんて光栄だけど……


「いいんですか?貴方は三虎さんと敵対したくないって言っていたじゃないですか」
「ああ、その通り。でもイッセーを鍛えるくらいなら良いと思った。もちろん小猫も鍛えてあげる」


 小猫ちゃんが心配そうに彼女に尋ねるとオーフィスは良いと首を縦に振った。


「その代わり小猫のご飯を食べさせて欲しい、良い?」
「そんな事で良かったらいつでも作りますよ。あっ、学生なので授業中は無理ですが……」
「うん、分かった」


 小猫ちゃんはそのお願いを聞き入れるとオーフィスは可愛らしく笑みを浮かべて彼女に抱き着いた。


 美少女同士のハグは目の抱擁だよな、癒されるぜ。


「なら俺も同じ赤い龍として力を貸してやろう」
「本当か!?」
「ああ、だが加減は苦手なのでな。死んでくれるなよ?」
「が、頑張るさ……!」


 なんとグレートレッドも俺を鍛えてくれると言ってくれた。少し背筋が寒くなったけどやってやるぜ!


「さて、お腹も膨れたし我は帰る」
「もう帰ってしまうのか?久しぶりに会えたというのに……」
「そんな顔をするな、一龍。お前にも立場があるし忙しいはず、次は時間がある時に尋ねる」


 珍しく寂しそうな顔をした親父にオーフィスが宙に浮かんで近づき頭を撫でた。


「今まで済まなかった、一龍。これからは定期的に顔を出す」
「それは嬉しいのう、ワシも楽しみに待っとるよ」
「うん」


 オーフィスは次郎さんや節乃お婆ちゃんにも話をして宙に飛び上がった。それと同時にグレートレッドも龍の姿に戻ると大きく飛び上がり爪で空間に穴を開けた。


 そこにオーフィスが下りてきてグレートレッドの背中に降り立った。


「今日は久しぶりに楽しい時間を過ごせた。イッセー、小猫。また会おう」
「ではな」


 そして二人はその穴に入っていき帰っていった。


「いやはや……急に来たと思えばあっという間に帰ってしまったのぅ。姉さんらしいというかなんというか……」
「じゃがあんな楽しそうに笑う姉さんはアカシア様とフローゼ様が生きていたあの時以来じゃった。これからは少しずつでいいから未来に向けて希望を持ってくれればこんなに嬉しいことは無いわい」
「きっと大丈夫じゃよ、零蝶さんも良い出会いがあった。きっと前に進めるはずじゃよ」


 親父や次郎さん、節乃お婆ちゃんは嬉し涙を浮かべていた。きっと大切な人に会えたのが嬉しかったんだろうな。


「また会おうな、オーフィス、グレートレッド」


 俺は二人が消えた穴がふさがるまでそこを見つめ続けるのだった。


―――――――――

――――――

―――


 ディオドラの一件から数日が過ぎた、その間に起こった事を簡潔に説明するぞ。


 まずディオドラだけどあいつは牢に入れられた。そして裁判で現悪魔政権を裏切るような真似をしたので終身刑になる予定だった。


 しかし親父からある提案がされた、それはかつての戦争で汚染されたG×Gの人間界の土地の浄化活動をしてもらえないかというものだった。


 化学兵器によって人間界の一部の土地が今でも汚染されている、それを解決するためにディオドラに魔法で毒素を浄化してもらおうってことだ。


 人間には有毒でも悪魔なら耐えられるし浄化まで100年以上かかるらしいがそれも悪魔ならなんてことないだろう。


 その案を受け入れたサーゼクスさんはディオドラをG×Gに送った、当の本人はもう俺や四天王に会わなくて済むと喜んでそれを受け入れたよ。今頃は監視をされながらせっせと働いているだろう。


 そして次にディオドラによって眷属にされた元聖女達だったがこれがちょっと面倒な事になった。


 彼女達は教会で引き取ろうかと提案されたが全員が断ったのだ。そりゃディオドラと手を組んで自分達を売り飛ばした組織になんて戻りたくないよな。


 彼女達は与作さんの治療を受けて正気に戻ったが、神の死をディオドラから聞いていたのか生きる目的を失っていた子もいた。


 なので症状が酷い子はグルメカウンセラーの元に通わせることにした、美味しい物を食べながら心の治療に専念してほしいものだ。


 働けそうな子にはグルメ孤児院などの福祉施設を紹介した。今は辛い過去を忘れようと必死になって仕事をして美味しい物を食べて人生を謳歌しているらしい。


 どうか彼女達が良い人生を送れますように……


 そして一番大事な事があってそれは黒歌の指名手配が解除されたって事だ!


 というのもディオドラの屋敷を調べた結果、奴と同じように禍の団と取引して利益を得ていた貴族が書かれた書類が見つかったんだ。


 どうやらディオドラは別の貴族を禍の団に紹介する案内人もしていたようでそのデータを保持していたんだ、そしてその中にかつて黒歌を眷属にしようとした貴族の名前もあった。

 
 その貴族が捕まった事で黒歌に罪は無いとされて指名手配が解除されたんだ。その指名手配もその貴族が自身の偉い立場を利用して指示していたものだったみたいだ。


 連行されていくその貴族を黒歌と見ていたけどそりゃ酷いもんだった。「私を誰だと思っている!」とか「無礼者!縛り首にしてやる!」などとテンプレみたいなセリフを吐いていたよ。


 途中で黒歌に気が付いたのか「お前は黒歌!わ、私を助けろ!そうすれば正妻にしてやる!」とか訳の分からない事を言い始めた。


 ムカついた俺はその場で見せつけるように黒歌とディープなキスをかわした。お互いを強く求めあうように抱きしめあいそりゃねっとりと舌を絡めたよ。


 それを見た貴族は最初は唖然としていたが直ぐに顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。


 俺はサーゼクスさんの眷属に抑えられていたその貴族に近寄って殺気を叩き込んでやった。するとその貴族は口から泡を吹いて気絶した。


 情けない奴だと吐き捨てた俺は後の事をサーゼクスさん達に任せて黒歌と帰った、そして後日黒歌の指名手配が解除されたって事を聞いたんだ。


「イッセーのおかげだにゃん!今度白音と一緒にお父さんとお母さんのお墓参りに行こう!」
「ああ、絶対に行こうな」
「えへへ、イッセー愛してるにゃん♡」


 幸せそうに俺に抱き着いてきた黒歌、彼女の満面の笑みを見れて俺も幸せだ。


 まあ他にもちょっとしたことはあったけど話す事じゃないからここまでだな。そして……


「イッセーさん、遂にこの日がやってきましたね」
「ああ、体育祭の開催だ。アーシア、俺達の特訓の成果を見せてやろうぜ!」
「はい!」


 待ちに待った体育祭が開催される日がやってきたんだ、晴天だし最高の日になりそうだな。


 俺達はルフェイとアザゼル先生が作った付けた者を普通の人間まで力を落とすリングを付けている、これでフェアな戦いが出来るぜ。


 因みにリアスさんがこのリングを敵に付ければ強制的に弱体化させれるんじゃないかと質問していた、だが本人の同意が無いと効果を発揮できないらしい。


 敵が弱くなってくださいなんて聞いて分かったとそう思ってくれるわけ無いしそういう意図には使えないな。


「宣誓!私達は優勝と言う一つの目標に向かって全員が力を合わせて正々堂々と戦います!青春を……」


 赤組代表のリアスさんが選手宣誓を聞きながら俺は保護者席を見渡した。そこには親父やココ兄達、サーゼクスさん達やバラキエルさん、イリナの両親など知り合いの顔が多くあった。


「しろ……じゃなかった、小猫~!イッセ~!頑張るにゃん!」
「あはは、姉さんも早速来ていますね」
「指名手配が解除されたからこういうのにも来やすくなったからな」


 俺達を応援する黒歌を見て小猫ちゃんと一緒に良かったと笑みを浮かべた。まあ黒歌みたいな美人が俺を応援したから他の男子生徒から殺気を送られてるんだけど気にしないことにした。


 因みに小猫ちゃん、祐斗、ギャスパーのクラスは白組で代表はソーナ会長だ。


 後珍しくゼブラ兄もいる、まあ競技になど一切興味を持たず小猫ちゃんが作っていた大量の弁当を食ってるだけなんだけど。


 怖すぎるから他の親御さん達や生徒から恐怖されてるじゃねえか。まあ大人しくしててくれるならいいけど……


 でも一番驚いたのが……


「こういう催し物は初めて、嫌いじゃない」
「んぐ……まあ暇つぶしには良いな。酒の肴に丁度いい」


 楽しそうにこちらを見るオーフィスと大きな骨付き肉と酒を持った人間体のグレートレッドもいた事だ。いや別にいいんだけどグレートレッドがデカすぎて後ろの人が困ってるじゃねえか。


 そうこうしている内に体育祭が始まった。最初はリレーで祐斗とイリナ&ゼノヴィアの対決になった。


 祐斗の速さは仲間の中でもピカイチだが序盤にゼノヴィアが他の生徒を大きく抜いてリードしていたことが幸いしてイリナと祐斗の一騎打ちで本当にギリギリで彼女が逃げ切った。


 まあチーム戦だからこれはしょうがねえな、祐斗は悔しがっていたけど。


 次に組体操の代わりとして今年から入れられた『ダンス』に朱乃も出た。


 しかしダンスか、今の時代組体操など危険そうな事はどんどん無くされていってるけどちょっと寂しいな。


 そんな事を思いながらダンスを見ていたが朱乃はキレッキレのダンスで1位をかっさらっていた。


 しかし学生らしくない見事なナイスバディを見ていた男子生徒やお父さん方はなんか腰を低くして顔を赤くしていた。一部のお父さんは奥さんにブチ切れられていたぞ。


「うおおおおっ!朱乃ォォォォォッ!最高だァァァァァ!」


 バラキエルさんだけは感涙していた、楽しそうで何よりだ。


 リアスさんは綱引きに出ていた、普通の人間ほどの身体能力になっていたが桜さんから武術を学んでる彼女は見事な腰の引きで勝利を持っていった。


 続いてギャスパーが玉入れに出ていた、だが上手くカゴに球を入れられずにいてそれにキレたのかスタンドの世界が勝手に出てきてギャスパーを掴んでカゴに投げ入れた。


「な、なんでですか~!?」


 ギャスパーは目を回しながら見事にカゴに入ってしまった。それを見ていた世界は邪悪な笑みを浮かべる。


 あいつ絶対にギャスパーとは別の意思を持ってるだろう。


 その後騎馬戦が始まってウチのクラスからは松田と元浜が出ていた。


「騎馬戦、スタート!」


 留学生のレベッカちゃんが空砲を撃ち騎馬戦が始まった。なんかやたら顔が老けていたり体格が大きい男子生徒がこぞって鉢巻を奪い合い始めた。


「おいおい!これ戦争かよ!?」
「俺達は下がっていようぜ……」
「邪魔じゃぁ!!」
「ぶへぇ!?」
「松田ぁぁぁぁぁぁっ!?」


 騎馬の上にのっていた松田が「犬山アカシ」というこれまた貫禄のある渋い声のした男子生徒に跳ね飛ばされて宙を舞っていた。


 そんな激しい競技も終わっていき遂に俺とアーシアの出る二人三脚の番がやってきた。


「うぅ……緊張します」
「アーシア、大丈夫だ。あれだけ練習したんだ、後はやりきるだけさ」
「はい!」


 俺とアーシアはそう言って頷き合う、そして遂に競技が始まった。


「いっちにいっちに……!」


 出だしは順調だった、しかし少し進んだ時にアーシアがバランスを崩して倒れそうになる。


「アーシア!」


 俺が支えて怪我はしなかったがその間に他の生徒たちが俺達を抜いていってしまった。


「ごめんなさい、イッセーさん……」
「まだ巻き返せる、いけるよな?」
「……はい!」


 気合を入れなおしたアーシアと共に再び先を目指して走りだした。俺達は抜群のコンビネーションで距離を縮めていく。


「あとちょっとだ、行くぞ!」
「はい!」


 そして前を走っていた生徒達を抜いて俺達が前に躍り出た、そしてゴールテープを切って俺達が1位になれたんだ!


「やったぞ、アーシア!俺達が1位だ!」
「はい、やりましたね!」


 足を繋いでいた紐を外して俺達は駆けよってハグをかわした。すると観客たちが大きな声援を送ってくれた。


「……イッセーさん、私貴方と出会えて本当に幸せです」
「アーシア?」
「だからこれからもずっと貴方のお側にいさせてください、愛しています!イッセーさん!」


 アーシアはそう言って俺にキスをしてきた。だがここがグラウンドのど真ん中、当然生徒達や親御さんは見ていたので……


『キャアアアッ!アーシアさん大胆!』
『兵藤ォォォォォォォォッ!!貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』


 女子生徒からは黄色い声が上がり男子生徒たちは怨嗟の声を上げながら俺に襲い掛かってきた。


「やっべ!逃げるぞアーシア!」
「はい!」


 俺はアーシアをお姫様抱っこして逃げだした。最後は結局こうなるのかよ、まあ楽しいからいいか。


 俺はそう思いながら男子生徒達から逃げるのだった。


 因みにこの日の夜はアーシアと過ごしたよ。いやぁ、まさか清楚なアーシアがあんなことしてくれるなんて思わなかったぜ。益々アーシアに惚れなおした。


 これからもアーシアや俺の大切な恋人達、仲間達と頑張っていこうと改めて思う俺だった。
 
 

 
後書き
 小猫です。体育祭も終わって私達の日常が戻ってきました。そんな時私たちは先輩からビックリアップルの事を聞き丁度収穫の時期だったので早速向かうことにしました。


 次回第152話『その生態にビックリ!?ビックリアップルを収穫します!』で会いましょう。


 次回も美味しくいただきます……にゃん♪
 
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