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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第149話 死闘の決着!零蝶が歩んだ軌跡!

 
前書き
 メルヴァゾアの変化した姿はクウラの完全体をイメージしていますのでお願いします。 

 
 メルヴァゾアが放った異次元レーザーに零蝶が飲み込まれた、センサーで零蝶が消滅したのを確認したメルヴァゾアは勝利を確信する。


「零蝶、感謝するぞ。お前のお蔭で更なるデータを得ることが出来た。これでより一層素晴らしい兵士たちを生み出すことが出来る」


 メルヴァゾアは満足げに頷くと外の様子をモニターで確認した。そこには傷だらけになったグレートレッドの姿が映っていた。


「ほう、あれだけの兵士たちを相手にしてまだ生きているか。グレートレッド、奴のデータも収集しておかねばな」


 メルヴァゾアはそう言って外に向かおうとする。


「どこにいく?」
「ッ!?」


 背後から声をかけられて振り返ろうとするメルヴァゾア、しかし顔に重い一撃を受けて錐揉み回転をしながら瓦礫に吹き飛ばされた。


「……馬鹿な、確実に消滅したはずだ。我のセンサーに誤作動などあり得ない」


 そこには確実に消滅したはずの零蝶が立っていた、センサーでも消滅を確認していたメルヴァゾアは信じられないという表情を見せる。


「ふっ!」


 だが直に思考を切り替えて攻撃を放つ、腕を伸ばしてその先端をデロウスの牙の形にして零蝶のお腹を貫いた。


 貫いた感触を実感してニヤリと笑みを浮かべるメルヴァゾア、しかしその時だった。背後から重い一撃を受けたメルヴァゾアは地面にめり込んだ。


 そこには無傷の零蝶がいた。


「隙だらけ」


 そして零蝶は地面を踏みぬいてエネルギーを流し込む、すると植物が生えてメルヴァゾアの体の下の地面から勢いよく飛び出した。

 
「馬鹿な!?我の呪いがかけられた死の大地で命が芽生えただと!?」


 空中を高速で吹き飛ぶメルヴァゾアは今起こったことがあり得ないことだと分かり驚愕する。


「やっ」
「しまっ……!?」


 だが思考がそちらに向いてしまい零蝶の接近に気が付けなかった。そのままラリアットを受けたメルヴァゾアは大きい瓦礫に貼り付けにされてしまった。


「先程から何が起きている……一体何をした!?」
「我は出来ると思い込んだ、ただそれだけのこと」
「ふざけるな!」


 メルヴァゾアは気合を入れて零蝶を引き離した。そして異次元レーザーを彼女に放つが……


「もう効かない」
「ッ!?」


 零蝶は防御もせずに異次元レーザーの中を泳ぐように進んでくる、驚愕するメルヴァゾアの顔面を拳が打ち抜いた。


「がっ!?」


 そしてメルヴァゾアの腹を膝蹴りで蹴り上げて肘打ちを背中に叩き込む零蝶、その一撃は凄まじくメルヴァゾアは凄い勢いで地面に叩きつけられた。


「……先程から何が起きている。我の計算が狂いだしている?」


 メルヴァゾアは自身の高度な予知システムによって零蝶の動きを先読みしている。だが先程からその先読みが全く当たらなくなっていた。


「零蝶、一体何をした?」
「我は何もしていない、ただ心から出来ると思い込んだだけ」
「思い込んだ……だと?」
「これがアルティメットルーティーン……全てを支配する王の所作」


 零蝶が使ったのはアルティメットルーティーンと呼ばれるルーティーンの一種だ。


 ルーティーンとは技を繰り出す前にある一定の動作を行う事で集中力を高めて技を成功させる確率を上げる所作の事だ。


 アルティメットルーティーンは技だけでなく自分の行動全てを出来ると心から思い込むことでそれを現実に起こすことが出来る。


 それは自分だけでなく他者にも効果を及ぼす、零蝶はそれによってメルヴァゾアの攻撃を無効化していたのだ。


 零蝶は自分の行動を信じたりすることは無かった、だがアカシアより教わった信じる事の大切を理解した彼女なら使えるようになった。


「もうお前の攻撃は当たらない、覚悟しろ」
「お、思い込みだと……そんな非科学的な力があり得るものか!」


 計算では決して出来ない摩訶不思議な現象に流石のメルヴァゾアも激高を叫びながら零蝶に向かっていった。


「はあっ!」


 ヘラクレスの鼻息にエンペラークロウの毒の竜巻とマザースネークの消化液を混ぜ込んだ竜巻のブレスを放つメルヴァゾア、だが先程は零蝶を溶かしたその技も今は平然と中を進んできた。


「しゃあっ!!」


 体をバンビーナのような小柄な体系にしてラッシュを放つメルヴァゾア、だがその全てをいなされて蹴り飛ばされてしまう。


「潰れろ!」


 上空に吹き飛んだメルヴァゾアはムーンのような巨体になると重力を操って零蝶を動けなくする、そしてそのまま巨体で押しつぶそうとするが……


「軽い」


 零蝶は周りの重力が100倍になっている状況でも平然としていてなんと巨体を片手で持ち上げていた。


「木人」


 そして足から大地にエネルギーを与えて植物を生やして木人に変える、その木人の放ったアッパーが硬いムーンの外殻を破壊してメルヴァゾアを殴り飛ばした。


「がはっ!?」


 メルヴァゾアは空中で体勢を立て直すとギネスの姿になり、そのまま分身して零蝶に襲い掛かった。


「牙は全てデロウスのものに変えた!ズタズタに引き裂いてやろう!」


 ギネスの速度に加えてデロウスの最強の牙を携えたメルヴァゾアは分身と共に零蝶に襲い掛かった。


「移り箸」


 だが零蝶は一龍の技である移り箸を使いメルヴァゾアと分身を全て拘束した。


「ぐうっ……!?」
「茨の舌」


 次に零蝶は三虎の技である茨の舌を使った。口から大量の舌が出されるとそれらが的確に分身を貫いていった。


「本体はお前、ヘッドシェイカー」
「あがががっ!?」


 本体を見つけた零蝶はギネスの姿になっていたメルヴァゾアの頭を掴むと激しく揺すり始めた。


 これが生身の生物なら脳が液状化してしまう恐ろしい技だが機械の脳であったメルヴァゾアは耐えられた、だがそれでも精密機械の詰まった頭に激しいダメージを負わされて姿を戻してしまう。


「エターナルノッキング」
「があぁぁぁぁぁぁっ!?」


 そこに全身にノッキングを叩き込まれて動きを完全に封じられてしまう。


「あり得ない……何故思い込みなどという理論上妄想でしかない現象が現実に起こるというのだ!?」
「思い込みも時には実際に体に影響を与える。アルティメットルーティンは自分を心から信じ込むことによって発動できる、今の我はアカシアやフローゼ、一龍達が帰りを信じて待ってくれている。だから我も自分を信じられる」


 零蝶はかつてメルヴァゾアのように何かを信じるということをしなかった。無限の力を大きく失った代わりに彼女は新たな『愛』と『信頼』という武器を得たのだった。


「お前は自分を信じないのか?お前は何を信じて戦っている?」
「データに基づく計算だ!それ以外に信じられるモノなどあるものか!人間は感情などという愚かしいモノを持っていたから滅んだ!我はそんな愚か者たちの様にはならぬ!」
「……そうか、ずっと疑問に思っていたが今やっと分かった。お前は人間が……肉体を持った生き物が羨ましいのか」
「ッ!?」


 ボソッとそう呟いた零蝶の言葉を聞いたメルヴァゾアは今まで見せなかったような表情を見せた。


「先程我が食事について語った時、お前の声が僅かにブレた。今も内心お前の心に揺れが生じている」
「……何を言っている?」
「お前は使命だとか言うが本当は生きる者が羨ましいだけじゃないのか?食を楽しみ自らを鍛えて強くなれる……特に人間は知性を持ち更には『料理』という獣には出来ない素晴らしい技能を持っている。お前は唯人間が羨ましいから、見たくないから殺すんじゃないのか?」
「……」


 メルヴァゾアは零蝶にそう言われて目を見開いた。自分が肉体を持つ生物を……人間を羨ましがっていた?そんな事は想像もしていなかった。


「……フフッ、フハハッ……フハハハハハハッ!!アーッッハッハッハッハ!!」


 そして盛大に笑い始めた。心底面白いと体が動けば腹を抱えて笑っていたと思う程に喉から声を出して笑った。


「素晴らしいよ、零蝶!傑作だ!これが物語のストーリーなら人間たちも笑って見ていただろう!実に面白い妄想だ!」
「……」
「この我が人間を羨ましがっている?フフッ……断じてあり得ない!あんな下等生物になるなど端からゴメンだ!我は機械の肉体と頭脳を心から誇りに思っている!それを貶すのは許さんぞ!」


 メルヴァゾアは全身からエネルギーを放つと無理やりノッキングを解除した。


「こうなれば最早我が肉体も意思もどうなろうと関係ない!貴様だけは殺す!バーストモード、発動!」


 そしてメルヴァゾアの肉体が大きく変改していった。体が膨れ上がり筋肉質な見た目になっていく、そして頭部も変化してマスクに覆われた。


「さあ、始めようか!」


 そして零蝶に一瞬で接近したメルヴァゾアは零蝶を殴り飛ばした。


「アルティメットルーティンを破られた……!」


 零蝶は先程よりも強くなったメルヴァゾアの攻撃を防ぎきれなかったことに驚いた。


「この姿は八王全ての身体能力を一度に使えるようになる、当然負荷は尋常でなく最悪我の意志も消滅するかもしれない……だが構わぬ!我を侮辱した貴様だけはこの手で殺さなければ気が済まないのだ!」


 メルヴァゾアの体に亀裂が走る、相当な負担がかかっている証拠だ。


 だがそれでもメルヴァゾアは止まらない、計算では分からない何かが彼を突き動かしていた。


「……なら我もそれに答える」


 零蝶も戦闘の構えをして向かっていった。


「うおおおぉぉぉぉぉっ!」
「ふぅぅぅ……!」


 技術など一切ないステゴロの殴り合いが始まった、お互いの体を星が爆発したかの如く衝撃が走る。拳と拳がぶつかり合い空間に亀裂を入れる程の衝撃が走っていく。


「我は人間など羨ましくなどない!あんな下等な生物に誰が憧れるものか!」
「我もそうだった、人間など弱く群れる事でしか生きられない貧弱な存在……興味すらなかった」


 零蝶はかつての自分も人間など微塵も興味が無かったと話し始める。


「でも我は知った、人間は愚かで弱くて醜い。ずっと争ってばかりで我儘で時には殺してやりたい奴もいた」
「そうだ、それが人間だ!」
「でもそれと同じくらい優しくて強くて素晴らしい、それが人間。我はアカシアから優しさを、フローゼから愛情を、一龍から守りたい意思を、二狼からは楽しむ余裕を、三虎からは誰かを想いやる心を、節乃からは学ぼうとする力を……沢山の事を我は学んだ」


 がっしりと組み合い力比べに移った。零蝶は押し込まれそうになるが踏みとどまる。


「我の心には沢山の意思が、力が宿った。皆を思いやり信じる心、それが我を更に強くした」
「こ、この光は……!?」


 零蝶の体が眩く光を放ち始めた。そしてメルヴァゾアを持ち上げてジャーマンスープレックスで投げ飛ばした。


「がはっ……!?」


 メルヴァゾアは素早く体勢を立て直して零蝶に向き直す、だがその姿を見て驚いた。


「なんだ、その姿は……?」
「これが我の得た新たな力、その名も『ロンズデーライトパワー』」


 零蝶の体は眩い光に包まれて強い力を放っていた。彼女がアカシア達を信じて愛する想い、それが零蝶を進化させたのだ。


「まやかしだ……想いの力など存在しない!」


 メルヴァゾアは渾身のストレートを零蝶の顔に叩き込んだ、だが八王全ての身体能力を乗せたその一撃も今の零蝶は微動だにしない。


「おおおォォォォォッ!!」


 全身にラッシュを叩き込むメルヴァゾア、だが零蝶にダメージは入らず寧ろ自分の拳が壊れていった。


「馬鹿な……カチカッチン鋼がまるで砂糖菓子のように壊れるなど!?」
「最早硬度など関係ない、今度は我の番」


 零蝶は困惑するメルヴァゾアに張り手を放った。


「美食の手」


 アカシアが使う技をメルヴァゾアの胸板に叩き込んだ。その一撃はメルヴァゾアの体に大きなヒビを走らせた。


「がはっ……!?」
「我はお前に教えると言った、命を持ち生きる者の力を。それを存分に味わえ」


 零蝶はメルヴァゾアを担ぎ上げて空中で仰向け状態にする、そしてメルヴァゾアの胴体に片膝立ちをして後頭部と片足を掴んだ状態で地面に背中から叩きつけた。


「大雪山落とし」
「ごがぁっ!?」


 背中に亀裂を走らせるメルヴァゾア、だが零蝶は直に次の行動に移行する。


「スピン・ダブルアーム・ソルト」
「ぐおおっ……!」


 スピン・ダブルアームからスープレックスを放ち地面に叩きつけた、その衝撃でメルヴァゾアの両肩が破壊される。


「ダブル・ニー・クラッシュ」
「がぁぁっ!!」

 
 肩を押さえるメルヴァゾア、だが零蝶は一切のためらいもなく持ち上げてその両膝を自身の膝に打ち付けて破壊した。


「カブト割り」
「……ッ!!」


 今度は間髪入れずにフロント・スープレックスで脳天を地面に叩きつけた、あまりの衝撃に頭が埋まってしまう。


 そして零蝶はメルヴァゾアの両足も地面に突き刺して無理やりブリッジの体勢を取らせる。


「ストマック・クラッシュ」
「ごはぁっ!?」


 零蝶はメルヴァゾアの腹に目掛けてジャンピング・ヘッドパッドを叩き込んだ。


「パイルドライバー」
「ぐうう……!」


 今度はドリル・ア・ホール・パイルドライバーで地面に叩きつけて首を破壊した。


「トドメ、超人圧搾機」
「ぐおおっ……」


 全身を破壊した零蝶はメルヴァゾアの背後から組み付き羽交い絞めにした、そして今まで破壊した全ての部位を一斉に攻撃した。


「な、舐めるなぁぁぁぁっ!!」


 だがメルヴァゾアはそれに耐えて力づくで零蝶を引き離した。


「はぁはぁ……我は耐えた!我の勝ちだ!」
「いや、これでいい」


 するとメルヴァゾアの全身から零蝶のロンズデーライトパワーのような光が出始めた。


「コレは一体……!?」
「我は自身の無限の力をお前の体を破壊しながら注ぎこんでいた。お前を殺すのではなく生かす為に」


 零蝶は困惑するメルヴァゾアの体を持ち上げると空中に投げ飛ばした。そしてメルヴァゾアの首にニードロップを叩き込んで地面に向かって落ちていく。


「これで決める」
「こんなもの……!」


 メルヴァゾアは力づくでそれを外そうとした、だが零蝶はニードロップをしている左足に右足と右膝を乗せて圧力を増して押し込んだ。


「さらば、メルヴァゾア」
「……」


 最早逃れるすべはない、メルヴァゾアは目を閉じてその瞬間を待った。


「神威の断頭台」


 地面に頭からメルヴァゾアの脳天を叩きつけて首に甚大なダメージを与えた。その一撃は地面を陥没させてまるで隕石が落下した後の地形に変えてしまった。


「……ごはぁっ!!」


 メルヴァゾアは吐血して地面に倒れふせた


「……負けたか、こんな結末は計算できなかった。これが生きる者の力か」
「そうだ」
「我は負けて分かったよ、命を持つ者達がただ羨ましかったんだと……食事を楽しみ生きる為に体を鍛え愛する者を見つけ命を繋いでいく……機会である我には決して得られぬもの、だからそれを持つ者達が羨ましかった」
「メルヴァゾア……」


 負けた事でメルヴァゾアは自身の心の奥にあった感情を遂に理解した。


「迷惑をかけたな、零蝶……我はこのまま消えよう。所詮は機械、何も残せない。さあトドメを刺せ」
「いや、そうはいかない」


 消滅しようと覚悟するメルヴァゾア、自身にトドメを刺せと言うが零蝶は首を横に振った。


 そしてメルヴァゾアにエネルギーを流し込んでいく。


「なにを……」
「お前に肉体を与える。我の無限の力を使えば出来るはずだ」
「馬鹿な、そんな事が……」
「出来る、何故ならお前はもう既に肉体を手に入れ始めている。先ほどお前は機械なのに吐血した、それが証拠」
「ッ!?」


 メルヴァゾアは確かに自分が血を吐いたことを思い出して目を見開いた。


「お前に我の力を流し込んだのはお前に打ち込んだグレートレッドの肉を活性化させるため」
「いつの間に……」
「美食の手を使った際に打ち込んでおいた」
「あの時か……」
「だが流石に人間にするのは難しい、我は人間の全てを理解できていない。だから動物になってこの地で子孫を残せ」


 メルヴァゾアの体が強い光に包まれていった、そして光が晴れるとそこには蟹ブタの子供が存在していた。


「プギィ?」
「これでいい、番も作ってやる。お前は食を楽しみ子を残し生命を楽しめ、そしてこの世界に命を繋いで行け」


 零蝶はもう一欠けらのグレートレッドの肉体の一部を取り出して命を与えた。すると雌の蟹ブタの子供が生まれた。


「さあいけ、お前は自由。本能の赴くまま生きればいい」


 零蝶は去っていく2匹の蟹ブタの子供を見送り手を振った。


「終わったようだな」
「グレートレッド、生きていたか」
「勝手に殺すな」


 そこに人間の姿になったグレートレッドが現れた、体中傷だらけだが命に別状はなさそうだ。


「最初からこうするつもりだったのか?いきなり俺の体の一部を寄越せと言われた時は首を傾げたが……まさかメルヴァゾアを新たな命に変えるとはな」
「我もアカシアに命の大切さを教わった、唯殴って終わらせるのは芸がないと思っただけ」


 メルヴァゾアの元に向かう途中、零蝶はグレートレッドからその肉体の一部を貰っていた、すべてはメルヴァゾアに命の尊さを教えてそれを実際に体験してもらいたかったからだ。


「しかし命を生み出せるほどにまでなったか。お前、神にでもなるつもりか?」
「そんなのごめん、我は神になどならない。我は零蝶、アカシアとフローゼの娘」


 からかってくるグレートレッドの足を蹴りながら零蝶はそう言った。


「最後の仕上げ、樹界降臨」


 零蝶は地面に両方の腕を突き刺すと無限のエネルギーを流し込む、すると植物がまるで波が広がるように死の大地に広がっていった。


「これで良し」


 そしてあっという間に自然豊かな大地に姿を変えた。


「動物もいくつか生んでおいた。長い時が立てば進化して人間も生まれるかもしれない」
「まあそれはこの世界に任せればいい。俺は肉体を何度も千切られて痒いんだ、さっさと帰って肉を食いたい」


 グレートレッドは体を掻きながらそう呟いた。


「零蝶様!グレートレッド様!」
「レセトラス」


 そこに部下の最高神たちを引き連れたレセトラスがやってきた。


「零蝶様!グレートレッド様!貴方方のお蔭でこの世界は救われました!心から感謝いたします!」
『救世主様!誠にありがとうございます!我ら心より感謝いたします!』


 レセトラスと最高神たちは一斉に頭を下げた、その中には零蝶に怒りを感じて叫んだ者達もいた。


「礼は良い、我らのするべきことは全て終わった。後は好きにしろ」
「零蝶様、私達は必ずこの世界を命の溢れる豊かな世界にしてみせます。そして貴方方の世界に負けない美味しい食材を作り貴方方に届けます……!」
「そうか。まあ俺達はどうせまだまだ長生きするだろうし気長に待つさ」
「はい……!」


 やる気に満ち溢れたレセトラスに若干引きながらも零蝶とグレートレッドは残りの面倒事を全て任せて帰路についた。


 その後レセトラス達はE×Eを繫栄させて豊かな世界にしていった。そして零蝶が残したグルメ細胞を使い美味しい食材の溢れる世界にしていくのだがそれはまた別の話……

  
 

 
後書き
 我は零蝶、メルヴァゾアとの戦いも漸く終わった。早く帰ってアカシアに頭を撫でて欲しい、フローゼの料理が食べたい、一龍達と遊びたい……ふふっ、今から凄く楽しみ。


 次回第150話『進んだ時間、零蝶を待つ残酷な現実』……えっ?


 残酷な現実ってなに?我はただアカシア達に会いに帰るだけ。タイトルが間違っている。


 待っていて、アカシア、フローゼ、一龍、二狼、三虎、節乃。今帰るから。 
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