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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第132話 決闘の始まり

 
前書き
 レオナルドの口調はオリジナルなのでお願いします。原作小説でもアニメでも全然喋らなかったので…… 

 
side;イッセー


 遂に決闘の日がやってきた、俺は皆とオカルト研究部の部室でその時を待っている所だ。


「いよいよね、イッセー。貴方なら心配ないと思うけど一応気を付けていきなさい」
「イッセーなら負けないと思うけど無理はしないでね」
「ああ、リアスさんも朱乃もありがとうな」


 二人に気遣ってもらい俺は礼を言う。


「イッセー、私の分まで頑張ってくれ」
「イッセー君なら勝てるよ!終わったらまた4人で良いことしようね♪」
「おお、それはいいな!私はチアガールのコスで応援しよう!その後はそのまま……だな♪」
「ははっ、そりゃやる気も出るな」


 ゼノヴィアとイリナからも応援してもらい俺は気合を入れる。


「でもアーシアさんがちょっとだけ羨ましいです。私も先輩にあんなに思われて決闘してほしいって思っちゃいますから」
「女の子の憧れだよね、好きな男に『俺の女だ!』って感じで戦ってもらうのは」
「俺は小猫ちゃんでも黒歌でも同じ気合で決闘をするぞ。それこそ祐斗やギャスパーの為に戦う場合でも同じだ。皆俺の大切な存在だ、気合だって入るさ」
『……』


 小猫ちゃんと黒歌の会話に入ってそう言うと皆黙ってしまった。どうしたんだ?


「イッセー君はさぁ……そういうところだよ?僕男なのにキュンッてしちゃったよ」
「イッセー先輩は本当に人たらしですぅ。女も男も関係なしに好きにさせちゃうんですねぇ」


 祐斗とギャスパーにジト目でそう言われると他の皆も頷いた。俺は思ったことを素直に言っただけなんだけど……


「イッセー様、お待たせいたしました」


 すると魔法陣が出てきてそこからグレイフィアさんが現れた。


「まもなく決闘の時刻になります、この魔法陣は今回使われるフィールドに繋がっていますのでここをお通りください」
「分かりました」


 俺は前に出ようとすると誰かに制服の裾を引っ張られたので振り返ってみる。そこにはアーシアがいた。


「アーシア、どうかしたのか?」
「あの、イッセーさんに頑張れってエールを送りたくて……」


 アーシアはそう言うと目を閉じて唇をそっと突き出した。


「えっ、ここでか?皆見てるんだけど……」
「女が求めてるんだぞ。恥かかせるなよな」
「わ、分かりましたよ……」


 動揺する俺にアザゼル先生が茶化してきた。他の皆やグレイフィアさんですら微笑ましい物を見る目で俺を見てくるので気恥ずかしい。


「アーシア……」


 俺は屈んでアーシアの肩に手を置くと体を引き寄せて唇を重ねた。一分ほどキスを堪能すると俺はアーシアから離れる。


「行ってくるな」
「はい、頑張ってくださいね」


 アーシアは笑顔で俺を送ってくれた。


 俺が魔法陣の上に立つと魔法陣が光り始めた。


「イッセー、私達は観客席で貴女の勇姿を見る事にするわね」
「無様な姿を見せないように頑張りますよ」


 リアスさんにそう言った俺は光に包まれた。そして光が消えるとそこは全くの別の場所だった。


「ここが決闘のフィールドか」


 そこはとても広い空間で一定間隔で大きな柱が並び地面には石作りの道が作られている、遠くにはギリシャ神話に出てくるような神殿もあった。


「随分と豪華だな。悪魔は派手なのが好きなのか?」
「ははっ、そう言われると否定はできませんね」


 俺の呟きに誰かが答えた。振り返ると魔法陣が生まれてそこからディオドラが現れた。


「イッセーさん、貴方に改めて感謝を。なんの利益も出ない決闘を受けてくださりありがとうございます」
「同じ女を愛したんだ、決闘を受けるのは当然の事だ。ただ手加減は出来ねぇぞ?」
「勿論です。貴方の全力を見せてください」


 ディオドラはそう言って剣を構えた。奴のバトルスタイルは剣術か?俺は手刀を構えて対峙する。


「それでは始めましょうか」
「ああ、いくぜ……!」


 その言葉と同時に俺達は踏み込んで接近する、そしてナイフと剣がぶつかり火花が飛び散った。


 剣を壊す勢いでナイフをぶつけたが刃こぼれ一つもない、相当な業物だな。いやそれもあるがディオドラは魔力を剣に流して強度を上げているのか。


 ディオドラは片手から魔力弾を数発放ち俺から距離を取る、俺は魔力弾を弾くと懐に入ってフォ―クを放った。だが奴はそれをサイドステップで回避する。


「はぁっ!」


 まるで雷かと思うような轟音と共に唐竹割りが放たれた。おれはフォ―クシールドで受け止めつつ前蹴りで攻撃を仕掛けた。


「貰った!」
「甘いですよ」


 ディオドラは前蹴りが当たらない一に下がると伸び切った俺の足を掴んで勢いよく振りぬいて俺を動かす。俺は横回転してディオドラに背中を向けてしまう。


「ぐっ、背後を取られたか!」
「どんなに重くても片足が浮いていれば動かせるものですよ……はっ!」


 ディオドラは俺の背中に魔力のビームを放ってきた。俺はそれを回避できずに真面に受けてしまい柱まで吹っ飛ばされてしまった。


「がはっ!?」


 俺は柱を崩しながらも体勢を立て直して奴を見据える。


(……強い!)


 初めて会った時はそうは思わなかったが実際に戦ってみて俺は改めてディオドラをそう評した。


「まさかそれで終わりじゃないですよね?」
「ああ、勝負はここからだ!」


 俺達はそう言って接近すると再び斬り合いに持ち込んだ。激しい剣閃と金属音が辺りに響きまるで暴風雨のような衝撃が辺りを振るわせていく。


「あはは、楽しいですね!」
「ああ、良い勝負だ!」


 男らしい真正面からのぶつかり合いに俺も気分が高まってきた。


「そらっ!」


 俺が横なぎに振るったナイフをディオドラはジャンプして回避する。俺は迎撃にフライングナイフを放つがディオドラも魔力の刃を飛ばして相殺した。


「はぁっ!」


 俺もドラゴンの翼を生やして空中戦に持ち込んだ。赤い軌跡と紫の軌跡が高速で動き回り交差すると火花が散らされる。


『イッセー、気分が上がっている最中にすまんがおかしくないか?いくら悪魔とはいえお前とここまでやり合えるとは俺には思えん』


 すると俺の脳内でドライグがそう声をかけてきた。確かに言われてみればディオドラがここまで強かったのは想定外だ。サーゼクスさんのような超越者が何人もいるとは思えないな。


 もしかしたらディオドラはグルメ細胞を持っているのか?でもそんな事見ただけでは判断できないしな……あっ、そうだ!


『なあオーガー。アイツからグルメ細胞を感じるか?』
『気安く声をかけてくるな……アレからは何も感じない』
『ははっ、答えてくれてありがとうな』


 俺は心の中でオーガーに声をかけると彼は悪態をつきながらもぶっきらぼうにそう答えてくれた。グルメ細胞の悪魔であるオーガーがそう言うならディオドラにグルメ細胞は無いのだろう。


『むう、奴の言うことなど信じたくはないが……』
「オーガーは嘘をつくような奴じゃない。お前もそれは感じるだろう?」
『ふん……』


 ドライグはふてくされたように引っ込んでしまった。オーガーの方を信じたから拗ねちゃったのか……


「ディオドラの強さの秘密は後回しだ!今はあいつに勝ってアーシアを守れる男だって証明して見せる!」


 いろいろ気になることが出来たが今は決闘に集中しようと考えを切り替えた俺は向かってきたディオドラに視線を向ける。


「はああぁぁぁぁぁっ!!」
「26連!ツイン釘パンチ!!」


 魔力を全身に纏い流星のように突っ込んできたディオドラに俺はツイン釘パンチで対抗した。激しい魔力と闘気のぶつかり合いに空気が震え石作りの地面に亀裂が入った。


「いっけぇぇぇ―――――っ!!」


 少しの間拮抗していたが俺が気合を入れて更に力を籠めるとディオドラの剣をへし折ってツイン釘パンチが直撃した。


「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」


 ツイン釘パンチを受けたディオドラは不規則な軌道で吹き飛んでいく、そして大きな柱をなぎ倒しながら土煙に隠れてしまった。


『おいおい、殺していないよな?』
「あんだけ強いなら死にはしないだろう、急所は避けたしな」


 ドライグの呆れた声に俺はそう答える。予想通りディオドラは立ち上がってきたが……


「おい、ディオドラ……お前その体はどうしたんだよ!?」


 土煙が晴れてディオドラが姿を見せるがその体中にまるで食器を割ってしまったかのようなヒビが走っていた。


 そしてディオドラのヒビが広がっていき最後にはバラバラに砕けてしまった。


「ま、まさか殺してしまったのか!?」
『いや違う、悪魔があんな死に方をするなど聞いたことがない!アレはディオドラではない!』


 うろたえる俺にドライグは悪魔はあんな死に方はしないと答えた。


 悪魔は光による攻撃で死を迎えると塵のように消え去ってしまうがそれ以外は人間と同じ死に方をするらしい。


 さっきのようなヒビが入ってバラバラになるような死に方をする攻撃は俺はしていない。ドライグはあの死に方を見てアレがディオドラではないと叫んだ。


「凄い凄い!これが赤龍帝の戦い方なんだ!」


 すると背後から幼い子供の声が聞こえたので振り返ってみる。すると高台の上に銀髪の小さな少年が座っていた、さっきまで気配は感じなかったのになぜ……?


「君は一体……?」
「僕はレオナルド、宜しくね。それにしても君の戦い方は凄く参考になったよ、正直あんな悪魔の姿を模範した魔獣なんて作りたくなかったけど君の戦いぶりを見れたから結果的には良い経験になった。ありがとうね」
「何を言って……ッ!?」


 すると突然背後から殺気を感じ取ったので振り返ると眼前に刃が飛んできたのが見えた。俺は眉間に刺さる直前で刃を掴むがそのまま押されてしまい地面を転がってしまう。


「何が起きた!?」
「へぇ、直前まで殺気も気配も抑えていたのにかわしたか。流石は赤龍帝、噂以上にやるね」


 また知らない奴の声が聞こえたのでそちらに視線を向けると中華風の服装をした青年が伸びる槍を構えているのが見えた。


 その槍は一瞬で縮んでいき神々しい光を放っている。


『イッセー!あれは『黄昏の聖槍』だ!』
「なに?じゃあ奴はサニー兄の話に出てきた男……!?」


 ドライグの言葉に俺は警戒心を更に上げた。以前サニー兄がセラフォルーさんと初めて出会った話の中に出てきた黄昏の聖槍を持つ男、それがコイツか!?


「はじめまして、赤龍帝。僕は曹操、黄昏の聖槍の所持者にして禍の団『英雄派』のトップを務めている者だ」
「英雄派だと?じゃあ曹操っていうのは……」
「君の想像通りさ。僕は歴史に名を残した偉人『曹操』の血を引く子孫だ」


 曹操……三国志にも出てくる英雄の一人だ、その知名度はトップクラスだろう。目の前にいる青年がその曹操の子孫だとはな。


「お前達の目的は何だ!そもそもディオドラをどうしたんだ!」
「あれはレオナルドが生み出した魔獣さ、姿を変化させることが出来るんだ」
「魔獣だと?」
「彼は『魔獣創造』の所持者でね、どんな魔獣でも作り出せるんだ」
「うん、今は無理だけどいつかはグルメ界の生物も魔獣として作ってみたいな」


 俺は魔獣創造という言葉に更に驚いた。俺の赤龍帝の籠手と同じ神滅具の一つで使用者のイメージ通りの魔獣を自由自在に生み出せるとんでもない神器だ。


 その気になれば一人で大国を滅ぼせるその神滅具は黄昏の聖槍と並んで上位に数えられている。


「そんなヤバイもんを一組織が二つも持っているとは……いやそれも驚くことだがそれ以上に気になることが出来た。そっちのレオナルドがグルメ界って言ったな?お前達も……」
「ああ、グルメ界……G×Gだったか?それを知ってるしグルメ細胞も持っている」


 神滅具も驚いたがこいつらはグルメ細胞も持っていると来た。そうなると……


「じゃあこのD×Dでグルメ細胞をばら撒いている奴と組んでやがるのか?」
「ああ、その通りだ。あのお方は俺達の主さ」


 遂に掴んだぞ……この世界で暗躍してるヤロウの繋がりを!!


「お前らには山ほど聞かなければならないことが出来たな。大人しく捕まってもらうぞ」
「ははっ……身震いするほどの殺気、是非味見したいところだけど今日はもう帰らないといけないんだ。他にやることがあるからね」
「逃がすと思ってるのか?」
「君の相手は彼らがしてくれるよ」


 曹操の言葉と同時に辺りに魔法陣がいくつも浮かび上がる、そして曹操達が逃げ出したと同時に魔法陣から悪魔たちが現れた。


「こいつらは……」
「赤龍帝、お前は我々の理想の世界を築くうえで邪魔でしかない。ここで死んでもらうぞ」
「既にこのフィールドは我々が占拠した。今頃あの忌々しい偽りの魔王共やそれに媚びを売った奴らも慌てているだろうな」
「テンプレのようなセリフをありがとうよ」


 悪魔たちに俺はある疑問を感じた、それはこいつらは一体どうやってここに入り込んだのかという事だ。


 このフィールドには魔王を始めとした悪魔の重役や他の勢力の重役も来ている。故に警備は万全で普通なら入り込む隙は無い。


「そういえば黄昏の聖槍以外にも絶霧のこともサニー兄の話に出てきたな。その所有者が曹操の仲間だとしたらそいつがこいつらを運んだのか?」
『いやそれは無いだろう。このフィールドにはアザゼルが作った絶霧対策の術式が施されている、絶霧で移動すれば直ぐに警戒音が鳴ったはずだ』
「だよな。だとしたら裏切者がいるって事か……」


 絶霧を使わないで警備の厳重なこのフィールドに入り込むのは難しいだろう。こいつらがここまでスムーズに事を進められたのは間違いなく内通者がいたからだと俺は思う。だが誰が……?


 そんな事を考えていると上空に魔法によって生み出された幻影が映し出される。


『ははっ、良い景色だね。赤龍帝』
「ディオドラ!?」


 そこに現れたのはディオドラだった。しかもその背後には……


「アーシア!?」


 アーシアが何かの装置に捕らえられているのが映った。気絶しているのか何も喋らない。


「ディオドラ!お前一体何やってるんだ!」
『察しが悪いな、流石はゴミ同然のトカゲを宿す薄汚い人間だ、思考能力が低い。僕が彼らを手引きしたんだ』
「お前が……!?」


 今までの好青年に思えた態度から一変して傲慢な一面を見せるディオドラに俺は驚いた。


「なんでそんなことをした!お前は俺がアーシアに相応しいかどうか試すために俺に決闘を申し込んだんだろうが!」
『決闘なんて君を誘い込むための嘘でしかないだだろう?滑稽だったよ、男らしい決闘に挑もうとする君の姿は……赤龍帝は警戒心が強いと聞いていたけどとんだピエロだったね』
「ディオドラ……それがお前の本性か!」


 俺はゲラゲラと下品に笑うディオドラを見てあれが奴の本性だと察した。


「そこまでしてアーシアが欲しかったのか?アーシアを愛してるから悪魔も裏切ったのか?」
『悪魔を裏切ったのは禍の団の方が好き勝手出来ると思ったからさ。彼らは僕の趣味に賛同してくれてね、好きなだけ聖女をくれるっていうから協力したんだよ』
「そいつは聖女と呼ばれる女性を自作自演で追い込み絶望させて最後に自分のモノにして堕とすのが性癖らしい。悪魔らしい素晴らしい趣味だな」
「なんだと……!?」


 俺はディオドラが何を言ってるのか理解できなかった。てっきりアーシアを愛するあまりこんな暴挙に走ったのかと思ったからだ。


 だが悪魔の一人がした説明にその愛すらも嘘だったと分かってしまった。


「お前はそんなくだらない性癖を満たす為だけにアーシアの人生を滅茶苦茶にしたってのかよ……!」
『くだらないとは失礼だな、まあ人間に僕の高貴な考えが理解できるわけもないか。そもそも家畜同然の存在でしかない薄汚い人間だが僕の趣味を満たすために生まれてくれたと思えば彼女の人生にも意味はあったさ』
「……ッ!!」


 俺は怒りで頭が噴火してしまいそうなくらいに激情に駆られていた。


『さあお喋りはお終いだ。赤龍帝、出来るだけむごたらしく派手に死んでくれ。そしてその死体をアーシアに見せて絶望させた後に僕は彼女と契りをかわすんだ。もし奇跡的に僕を見つけ出せることが出来たら特別に相手してあげるよ。あははははっ!!』


 ディオドラの幻影は消えていった。


「ふん、ディオドラの奴め、べらべらと長い話をしよって……さあ赤龍帝、死ぬ覚悟はできたか?」
「……」
「なんだコイツ、黙ってしまったぞ?」
「我々に恐怖しているのだろう、哀れだな」


 ゲラゲラと笑う悪魔たちがうるさいが俺は気にもしていなかった。


「心底腹が立つ……あんな奴を信じてアーシアを危険な目に合わせてしまった俺自身に……!!」


 俺はディオドラにも怒りが湧いたがそれ以上に自分自身に怒りを感じていた。


 いつもの俺なら少しでも違和感を感じたらまず調べていた、だが俺は惚れた女の未練を断ち切りたいという願いを一人の男としてくみ取り決闘に応じた。


 俺はディオドラに申し訳ないと思い怪しまなかった、その結果がこれだ。


(何がアーシアを守るだ……俺が彼女を危険な目に合わせてしまったら何の意味も無いだろうがっ!……つくづく俺は甘い……!!)


 俺がしっかりしていればアーシアを守れたし皆も危険な目に合わなかったはずだ。俺のせいで……!


「はははっ、絶望して独り言を言い始めたぞ!」
「だが慈悲はいらん。じわじわと嬲り殺しにして見せしめにするのだ!」
「お前の首もリアス・グレモリーたちの首も一緒に並べて飾ってやろう!」
 

 悪魔たちはそういって俺に向かってきた。だが……


「サンダーノイズ!!」
『ぎゃあああっ!?』


 空から雷のような音が落ちてきて悪魔たちをショック死させていく。これはまさか……!


「ここか、チョーシこいたクズどもがわんさかいるっていうのは……」
「ゼブラ兄!?」


 なんとこの場にゼブラ兄が姿を見せたんだ。まさかD×Dに来るなんて思っていなかった。


「な、なんでゼブラ兄がここに……?」
「……」


 俺は困惑しながらゼブラ兄に近寄るが……


「ふぬけたツラしてんじゃねえよ」
「えっ……がっ!?」



 突然顔を殴られて俺は後ずさった。は、鼻血が出ちまったじゃねえか!」


「いってぇな!なにすんだよ!」
「俺を利用して修行したくせにふぬけたツラしてた馬鹿をぶん殴っただけだろうが」
「あっ……」


 俺は抗議しようとするがぶっきらぼうに言われたその言葉に決闘の数日前を思い出した。


 俺はディオドラとの決闘のため精神を研ぎ澄ます特訓をしていた。その相手として選んだのがゼブラ兄だった。


 最初は面倒くさそうにしていたが小猫ちゃんのご飯を食べさせるという条件で引き受けてもらったんだ。


 そして俺はゼブラ兄と修行として喧嘩をしまくったんだ。おかげで常にボロボロだったけど精神は極限まで研ぎ澄まされていった。


「ゼブラ兄、もしかして俺を元気づけようとして……?」
「殺すぞ、馬鹿が」
「酷くねえか!?」


 お礼を言おうと思ったら罵倒された。クソッ、憎たらしい奴だ!


「いいからてめぇはさっさと金髪のガキの所に行け。このチョーシこいたゴミクズどもは俺がぶち殺す」
「……ああ、頼んだ!」


 俺はこの場をゼブラ兄に任せてディオドラの匂いを追って走り出した。


「奴を逃がすな!この場で殺……」
「ボイスミサイル!!」


 ゼブラ兄の放ったボイスミサイルが悪魔たちを吹っ飛ばして行った。


「このでくの坊が!我々の邪魔をするか!」
「こいつから先に殺せ!」
「……クックック。ここまでチョーシこいた奴らは初めてだなぁ?徹底的に蹂躙してやるぜ……!」


 あの悪魔たちはグルメ細胞を持っているし以前威嚇対策で猛獣に施された恐怖を無くす手術もしているのだろう。


 だが本来恐怖とは生存率を上げるために必要な感情だ。恐れるから生物は逃げ出そうと判断できる。だが奴らはそれが出来ない、圧倒的強者であるゼブラ兄を前にして無謀にも戦いを挑もうというのだ。


 俺はそんな愚かしい選択をした悪魔たちをゼブラ兄に任せて神殿の方に向かっていった。


「アーシア、待っていてくれ……ディオドラ、お前には死ぬよりも恐ろしい恐怖を味合わせてやる!」
 
 

 
後書き
 リアスよ。ディオドラめ、アーシアを攫いイッセーの想いも踏みにじるなんて万死に値するわ……私達もアイツを許しはしない!絶対に後悔させてやるわ!


 次回第133話『突き進めイッセー!禍の団の襲撃!旧魔王の復讐!』で会いましょうね。


 次回も美味しくいただきます♪ 
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