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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第133話 突き進めイッセー!禍の団の襲撃!旧魔王の復讐!

side:小猫


 イッセー先輩が魔法陣に入ってフィールドに向かったのを見届けた後、私達もグレイフィア様が用意した別の魔法陣で会場に向かいます。


「じゃあ行ってきますね、姉様」
「うん、私の分もイッセーを応援してあげてね」


 私は姉さまにそう言います。


 現在姉さまは悪魔に指名手配されていてこのD×Dでは強力な結界を張ってあるイッセー先輩の家と旧校舎しか行き来できません。


 なので冥界に向かう事は出来ずにここに残る事になりました。


 私は姉さまと別れて冥界に向かいました。そこはイッセー先輩が今回戦う場所であるフィールドを一望できる空中に浮かんだ会場ですぐ側にサーゼクス様がいらっしゃいました。


「やあリアス、待っていたよ」
「お兄様。貴方も来ていたんですね」
「ああ、今回のイッセー君とディオドラの決闘は多くの上級悪魔が気にしてるからね。僕の眷属も警備に回っているんだ。それ以外にも天界からガブリエルがゲストとして呼ばれている」
「なるほど、この会場には重鎮が集まってるですね。でもミカエル様ではないのですか?」
「彼は少し多忙らしくてね、代わりに彼女が来たみたいなんだ」


 リアス部長はサーゼクス様から今回の決闘に多くの来客が来ていることを聞いた。イッセー先輩……赤龍帝は長らく行方不明になっていたので今回公の場で戦うのは初めてだからみんな気になっているんですね。


「そうだ、リアス。君たちに一つ話しておくことがある」
「なんですか?」
「実は数日前に冥界の監獄から旧魔王派の幹部3名が脱走したんだ」
「だ、脱走!?」


 私は旧魔王派のシャルバ達が逃げ出したと聞いて大層驚いた。


「い、一体どうやって!?」
「警備は厳重だったしその牢獄にも絶霧の対策はしていたがそれでも逃げられた、誰かが手引きしたんだろうね」


 サーゼクス様は誰かが手引きしたと話します。もしかしてグルメ細胞をばら撒いている人物がやったのでしょうか?


「ならお兄様、今回の決闘は中止した方がよろしいかと。この会場には悪魔の重鎮が集まっています、間違いなく狙ってきますわ」
「ああ、僕もそう思うよ。だから既に手は打ってある」
「えっ?」


 リアス部長は決闘を中止した方が良いと進言するとサーゼクス様は手は打ってあると言われます。


「奴らが報復を考えているなら今回必ず襲撃してくるはずだ、だから手練れのメンバーも集めているしアザゼルも別で行動している。万が一グルメ界の生物が出てきても次郎さん達が待機しているから問題は無い」
「流石お兄様、既に対策はしていたんですね。でも悪魔の重鎮たちが文句を言わないのでしょうか?」
「普段無理難題を言って来てふんぞり返ってるだけだから今日くらい体を張ってもらっても文句は無いだろう」
「あはは……」


 あっけらかんと言うサーゼクス様にリアス部長は苦笑していました。


 今だに赤龍帝であるイッセー先輩を引き込めだの殺して神器を奪えだの滅茶苦茶言ってくる上層部に魔王様も怒りがあったようですね。


「もし奴らがそれを警戒してこなければそれでよし、ただ旧魔王派は前の失敗を相当引きずってるらしいから来る可能性の方が高いだろう。いざという時の覚悟はしていてくれ」
「分かりました」


 サーゼクス様に警戒していてくれと言われて私達は気合を入れなおしました。


「ところでこの事はイッセーは知っているんですか?」
「いや彼には話していない。やる気を出してる彼に水を刺すのは嫌だったしディオドラ君に警戒されるのを防ぐためでもあるからね」
「ディオドラに?」
「どうも彼は不審な行動をしているらしいんだ、調べてみたが確定的な証拠は出てこなかった。因みに情報の提供者はココさんだ、占いでディオドラが怪しいと出たらしい」
「ココさんの占いなら信じられますわね」


 私はディオドラさんが怪しいと聞いて首を傾げましたが情報提供者がココさんからだと聞いて信憑性が増したと感じました。彼の占いは凄まじいって身をもって知ってますからね。


「どのみちこの決闘が無事に終わろうが彼には一度話を聞く必要がある、だから逃げられないように情報を抑えていたんだ。因みにリアスから見てディオドラ君をどう思った?」
「そこまで交流があった訳じゃないので何とも言えませんが、イッセーに決闘を申し込んだことは理解は出来ますね。愛は理屈じゃないので」
「僕もグレイフィアとは運命的な出会いをしたから彼の気持ちも理解は出来るんだよね。ココさんも自身の占いは完壁ではないと話していたし何事も無ければいいんだけど……」


 愛の為に家を出たリアス部長と情熱的な恋愛をしたサーゼクス様はディオドラさんを疑いたくないって思いがあるみたいですね。


「サーゼクス様、お招きありがとうございます」
「やあ、来てくれて嬉しいよ。サイラオーグ君」


 すると一人の男性がVIP部屋に入ってきました。それはまるで鋼の様に鍛え上げられた体格を持った悪魔の男性でした。


 彼はサイラオーグ・バアル、リアス部長の親戚で若手悪魔の中でも最強とも言われている人です。


「サイラオーグ、貴方も来たのね」
「おお、リアスじゃないか。こうして実際に会うのは久しぶりだな」


 部長とサイラオーグさんは握手を交わしました。


「ミスラ伯母様はどう?」
「相も変わらず眠り続けている……リアス、話は聞いてある。本当に母上を目覚めさせることが出来るのか?冥界の名医を何人も頼ったが全員が匙を投げたのだが……」
「今私の知り合いに頼んで『眠りの病』について調べてもらっているの。冥界より医療技術が発達してるから可能性はあるわ」
「そうか……!」


 ミスラさんの事を聞いたサイラオーグさんは嬉しそうに笑みを浮かべました。


「リアス、本当にありがとう!なんてお礼を言えばいいのか……!」
「気にしないで、サイラオーグ。私は相談しただけだしまだ伯母様を目覚めさせたわけじゃないわ、そのお礼はその時まで取っておいて頂戴」
「心得た」


 今与作さんを始めとした医療を志す人達に眠りの病を治せる方法を探ってもらっているようです。


 一番手っ取り早いのは与作さんに無理やり起こしてもらうことなんですが、衰弱してるミスラさんにそれをしたら心臓が破裂してしまう恐れがあるらしいので出来ないそうです。


 ですので今はリンさんが得意とする匂い……フラグレンスでなにかいい物は無いか色々調べてもらっているんです。


「サーゼクス様、お招きしていただきありがとうございます」
「やあソーナ君、来てくれて嬉しいよ」


 すると次にソーナ会長が眷属の人たちと共に部屋に入ってきました。


「レーティングゲームを見させてもらったけど惜しかったね。初戦であそこまで効率の良い指揮が出来る若手は少ない、君はきっと強くなれる」
「ありがとうございます……」


 サーゼクス様に褒めてもらったけどソーナ会長は何処か納得がいかないといった表情を見せました。


 ソーナ会長の夢は学校を作ることなんですが悪魔の上層部からは良い顔はされていません。


 だからこそ実績を上げようとレーティングゲームに参加しましたが幸先悪く初戦は敗退してしまったみたいなんです。


 そしてさらに評価の下がったソーナ会長は焦ってしまってるのかもしれません。


「ソーナ、久しぶりね。その……大丈夫?」
「リアス、私は平気よ。心配かけてごめんなさいね」
「そう……」


 明らかに空元気なのは私でも分かります、でも部長はそれ以上は何も言えませんでした。


 私達も席に着いてフィールドを見渡します。先輩とディオドラはまだ来ていないみたいですね。


「おや?イッセーの方が先に向かったはずなのにまだ姿が見えないな」
「イッセー君の通った魔法陣は特殊で来客が大方入場したのを確認出来たら転送がされるシステムなんですの。本人の感覚的には一瞬なのでイッセー君は分からないと思いますわ」


 イッセー先輩の姿が見えないことに疑問を持ったゼノヴィアさんに朱乃先輩が説明をしていました。


 そして少しすると魔法陣が現れてイッセー先輩が姿を見せました。


「あっ、イッセー先輩です!」
「イッセーくーん!頑張れー!」
「ここからじゃ聞こえないわよ」


 私とイリナさんは先輩の姿を見てつい応援してしまいました。でもリアス部長の言う通りここからじゃ声は届かないんですよね。ついやっちゃいました……


「あれが赤龍帝か、なんと見事な鍛え上げられた肉体だ……彼の戦いは話では聞いていたが実際に戦うのを見るのは初めてだ」
「ふふっ、きっと度肝を抜かされるわよ」


 サイラオーグさんはイッセー先輩の戦いに興味津々と言った様子を見せて、それを見ていた部長がニヤッとしてそう言いました。


 その後直にディオドラさんも現れて二人は構えを見せます。


「ディオドラは剣を使うのね。前のソーナとの戦いでは魔力を用いた戦いをしていたけど剣術も使えるのかしら?」
「構えを見た感じかなりの使い手に見えますね」


 リアス部長と祐斗先輩はディオドラの戦闘スタイルについて話していました。


「あっ、動き出したよ!」


 イリナさんの指摘と同時に二人の手刀と剣がぶつかって衝撃が走りました。そして攻防を繰り返していましたがなんとディオドラさんがイッセー先輩から先手を取ったのです。


「嘘でしょ!?イッセーから先手を取るなんて……!?」
「ディオドラは実力を隠していたのかしら?」


 部長は驚き朱乃先輩はディオドラさんは実力を隠していたのかと言います。


 最初に会った時にそこまで強そうには思わなかったんですが、一龍さん達みたいに強さをコントロールできるのでしょうか?


「ねえソーナ、貴方ディオドラとレーティングで直接対峙したんでしょ?その時はどう感じたの?」
「そうね、私は魔法での応戦になったけど序盤は正直勝てると思えるくらいに大したことは無かったわ。でも後半からまるで別人のような激しい攻撃になって負けてしまったの」
「そう……」


 ディオドラさんと戦った経験があるソーナ会長に感想を聞くリアス部長でしたがその顔は何かを考えている神妙なものでした。


(恐らくだけどディオドラはグルメ細胞を持っているはずよ、じゃなければあそこまで劇的な変化が起こるとは思えない。そしてディオドラが不審な行動をしているとお兄様は言っていた……もしそれがグルメ細胞をばら撒いている謎の人物と接触したって事だとしたら……)


 恐らく部長はディオドラさんがグルメ細胞を持っているんじゃないかと思っているのでしょう、なぜそう思ったのかというと私もその考えに至ったからです。多分オカルト研究部の仲間も同じことを考えていると思います。


 教会組は……アーシアさん以外気が付いてなさそうですね。


 いくらイッセー先輩が殺さないようにある程度力をセーブしているとはいえあそこまで渡り合えるのはおかしいです。グルメ細胞を持っていると考えるのは当然でしょう。


 ディオドラさんに不信感を持った私達はとりあえず試合の続きを見ることにしました。そこからさらに激しい戦闘を続けていた二人ですがイッセー先輩のツイン釘パンチが直撃してディオドラさんが吹き飛んでいきました。


「な、なんて一撃だ……!俺も打撃には自信があったがあの一撃は生身では放てないぞ!?しかも赤龍帝の籠手すら使わずに……彼は本当に人間なのか?」
「生物学的には人間ね」

 
 驚くサイラオーグさんに部長は楽しそうに答えます。過去の自分自身を見ているみたいで面白いですね。


「流石兄貴だ!強すぎんだろっ!?」
「兵藤君ってこんなに強かったんだ……今度強さの秘訣とか聞いてみようかな?」
「……私もあんな力があれば」


 ソーナ会長の眷属が驚く中、会長だけボソッとなにかを呟いたような気がしましたが聞こえませんでした。


「これは決まったわね」


 リアス部長が決着がついたというセリフを言います。あのツイン釘パンチをまともに受けて立ち上がれるわけがありません。


「あれ?でもディオドラさん立ち上がったよ?」


 イリナさんの指摘に私達は砂煙を凝視すると確かに影がゆっくりと立ち上がろうとしているのが見えました。


「まさかあれに耐えたって言うのか!?」
「いや、様子がおかしいぞ?」


 祐斗先輩が驚いたように叫びますがゼノヴィアさんは何か様子がおかしいと話します。


 そして砂煙が晴れてディオドラさんが姿を見せたのですが……


「な、なんですかアレは!?」


 私はそう叫んで驚きました、何故ならディオドラさんの体に無数のヒビが走っていたからです。そしてそのままディオドラさんは割れたお皿のように砕けてしまいました。


「バ、バラバラになっちゃった……!?」
「まさか死んだんですかぁ!?」


 イリナさんが目を見開いて驚きギャー君が死んだのかと叫びます。


「いえおかしいですわ。イッセーはあんな風にするような技は持っていませんし悪魔の死に方としても聞いたことがないです」
「そうね。悪魔は光による攻撃で死ぬと塵になるけどそれ以外は人間と変わらない死に方のはず……まさか」


 朱乃先輩があの死に方はおかしいと言いリアス部長は何かに気が付いたかのようにハッとした表情を見せます。


 しかしその時でした、この部屋に魔法陣が現れて私達を取り囲んだのです。


「この魔法陣はまさか……!?」
「旧魔王派の!?」


 サイラオーグさんとソーナ会長が旧魔王派と言った瞬間に悪魔たちが現れました。


「偽りの魔王サーゼクス・ルシファーよ!貴様の命、今日こそ貰い受ける!」
「今の偽りの悪魔政権を打ち崩し我らが正しい悪魔の世界を作るのだ!」


 現れた旧魔王派の悪魔たちは武器を構えてそう言いました。


「貴方達旧魔王派ね!一体どうやって入り込んだの!?」
「ディオドラが我らに協力したのだ、奴はお前達と違って話が分かる奴だったのでな」
「ディオドラが……!?」


 リアス部長は旧魔王派の一人が話した事に驚きを隠せませんでした、いえ私達も同じです、ディオドラさん……いやディオドラが私達を裏切ったなんて……!


 私達も直ぐに武器を構えますがサーゼクス様が一歩前に出て彼らに話しかけます。


「……同胞として一度だけ言う。降伏しろ、そうすれば命までは取らない」
「戯言を!」
「グルメ細胞でパワーアップした我らは無敵だ!貴様など一瞬で……!」


 でも悪魔たちはそれ以上何も言いませんでした。何故ならサーゼクス様が操った滅びの魔力の球体に全員一瞬で頭を消されてしまったからです。


「は、早い……!?」
「目にも止まらぬ速さでしたわね……」


 サーゼクス様の圧倒的な速さに祐斗先輩と朱乃先輩は驚きの声を上げます。


 以前も恐ろしいほど強かった魔王様ですがそれすら別人に思えてしまう程パワーアップされてしますね。


「サーゼクス様!旧魔王派がグルメ界の猛獣を引き連れて襲撃を仕掛けてきました!現在防衛班が対応、護衛班で避難誘導を進めています!それと脱獄したシャルバ達の姿も確認されたとの報告です」
「そうか、グルメ界の生物が現れたのなら僕も向かおう。一応次郎さん達にも待機してもらっているが彼らに頼ってばかりでは同盟の意味が無いからね」


 サーゼクス様は現れたグレイフィア様の話を受けてグルメ界の生物の迎撃に向かうようです。


「リアス、君たちは……」
「私達も戦います!イッセーの心配はしていないけどそれでも仲間だから行かないと!なにより元若手の同期としてディオドラに確認しないといけないことができましたので」
「そうか。なら彼と合流して君たちの判断で動いてくれ」
「はい!」


 リアス部長はサーゼクス様にイッセー先輩の元に向かうと話しました。先輩がこの程度で死ぬなんて私達は思っていませんが、それでも一緒に戦いたいので。


 それにディオドラにも聞きたいことが山ほどできたので。イッセー先輩やアーシアさんの気持ちを踏みにじるなんて許せません!


「ならサイラオーグ君達は……」
「俺も戦わせてください!悪魔の一人として彼らの暴挙を見過ごす事は出来ません!」


 サイラオーグさんの言葉にサーゼクス様はリアス部長と目を合わすとそれぞれ頷きました。


「……分かった、君もリアス達と同行してくれ。決して無理はしないように」
「承知しました」


 サイラオーグさんはグルメ細胞を持っていませんが、今の時点でスカイプラントに挑戦したころの私達に近い実力を持っていると見ました。それならグルメ界の生物を相手にしない限り十分戦えるでしょう。


「なら私達も……」
「いや君たちは避難してくれ。足手まといになる可能性が高い」
「……承知しました」


 ソーナ会長も同じく手を上げましたがサーゼクス様に一瞥されて避難する事になりました。


 聡明なソーナ会長はサーゼクス様が言った言葉が事実だと受け止めたので直ぐに指示に従います。その顔はすごく悔しそうでしたが……


「じゃあ皆、行くわよ!」
『了解!』


 そして私達は部屋を出てイッセー先輩の元に向かいました。


「少しいいかな?」
「えっ……?」


 しかしこの時私達は誰一人として気が付きませんでした。一番後ろにいたアーシアさんに誰かが接触していたことに……



―――――――――

――――――

―――


side:イッセー


「邪魔だ!」
「ぶへぇっ!?」


 迫りくる旧魔王派の連中をぶっ飛ばしながら俺はディオドラとアーシアの匂いを追って神殿に向かっている所だ。


「あの二人の匂いはそこから流れてきている!」


 だがディオドラはともかくアーシアのお日様のようなふんわりした匂いの中に毒みたいなものを感じるのが気がかりだ。まさかディオドラの奴になにかされたんじゃないだろうな?


 俺は怒りを噛み殺しつつ神殿の前に到着する。


『ははっ、どうやら僕達の居場所に感づいたようだね。今代の赤龍帝は匂いに敏感だと聞いていたけどまるで盛った雄犬みたいだ。ああ下品極まりない』
「ディオドラ!?」


 突然ディオドラの声が聞こえてきたので俺は足を止めた。


「やはりこの神殿にいるんだな?何処に逃げてもお前のゲスい匂いが居場所を教えてくれるぞ」
『蜥蜴臭い奴よりはマシだと思うけどなぁ。それよりも赤龍帝、一つ聞きたいんだけどアーシアは処〇かい?』
「いきなりキモい事を聞いてくるんじゃねえよ、お前なんかに教えてやるもんか……ご馳走様でした」
『まあ僕は別に処〇中じゃないからなんとも思わないけどね。まあどうせ汚らしい蜥蜴の交尾なんて独りよがりのまったく感じないお粗末なモノなんだろうけどね。まあ僕の方がテクもあるしアレも大きいし……』
「可愛かったぞ、アーシアは。意外と独占欲が強いのか俺の肩に噛みついて離さなかったんだ、噛み跡が付いちゃってさ~」
『うるさい!それ以上不快な事を話すな!』
「効いてて草、後『まあ』って言い過ぎじゃね?」


 俺は手を合わせて憎たらしい笑みを浮かべてご馳走様と言うと奴は急にキレやがった。自分で聞いてきたくせに勝手な奴だ。


『まあいいさ。それよりも赤龍帝、僕とゲームをしないか?』
「ゲームだと?」
『そうさ、この先には3つの部屋があるんだけどそこにいる僕の用意した刺客達と戦ってもらう。全員に勝てたら僕が相手をしてやるって訳さ』
「ふん、そのしょうもないゲームに付き合ってやるよ」


 俺はあえて奴の誘いに乗ってやった。アーシアが奴の手中にある以上逆上させるのは得策じゃないからな。


 えっ?さっきめっちゃ煽ってたって?なんのことやら。


『なら先に進むといい、最初のお相手がお待ちだ』


 俺は言われた通り先に進む、そこは広い部屋にフードを被った複数の女性たちが立っていた。


『彼女達は僕が過去に堕としてきた聖女達さ』
「聖女だって?アーシアと同じ……」
『彼女達もかつてはアーシアと同じように人々の為に人生を捧げ愛された聖女達だった、でも今では僕にだけ忠誠を誓いなんでもする雌奴隷になったんだ。僕は高潔な存在を堕として自らのモノにするのが好きなんだ、人間も綺麗なものを汚して興奮する奴がるだろう?それと同じさ』
「べらべらと不快な事を教えてくれてありがとうよ」


 つまり彼女達もディオドラの被害者だったって訳か、胸糞悪い。


「さっさとゲームを開始するぞ、これ以上お前の話を聞いていたら耳が腐りそうだ」
『おっとそんな事を言っていいのかい?なら特別ルールを付け加えよう、今から君にはデスマッチをしてもらうよ。勝敗は君か彼女達が死んだら決まるってことでどうだい?』
「何だと?この子たちはお前の眷属だろう。死なせるつもりか」
『もう彼女達にも飽きちゃったからねぇ。新しい玩具は手に入ったし在庫処分でもしようかと思っただけさ』
「ゲス野郎……お前は絶対に許さないからな」
『おやぁ、反抗的だなぁ?嫌なら別に断ってくれてもいいよ、そのかわりアーシアがどうなっちゃうか知らないけどねぇ』
「チッ……」


 俺は渋々と構えた。ディオドラは俺が聖女を殺した場面を録画でもしてアーシアに見せたいのだろう、マジでクソ野郎だな。


『さあやってしまえ!』


 ディオドラの叫びと共に女性たちがフードを外して一斉に襲い掛かってきた。薄いピンクの長髪の女性は指先を鋭い針のように変えると俺に突き刺そうとしてくる。


 俺はその針の攻撃をナイフでいなす、すると背後から黒髪の女性が剣を構えて襲い掛かってきた。


「ぐおっ!?」


 すると刀身が灰のようになって俺の視界を遮る、すると薄い黄緑のウェーブのかかった髪の女性が雷を纏った手刀で俺を襲って来ていた。


「ナイフ!」


 ナイフで防ぐが横から凄まじい怪力で殴られて地面を転がる俺、どうやらデコの広い女性に殴られたようだ。


「沈みなさい!」
「うおっ!?」


 ハンマーを振り下ろした緑髪の女性の一撃で地面が割れて下半身が埋まってしまった。そこに水色の髪の女性が身体を液状化して俺の顔を覆ってきた。


『はははっ!無様だな!このまま死んでしまえ!』


 ディオドラは楽しそうに笑い他のメンバーも一斉に攻撃を仕掛けてきた。だが俺はメンバー全員の能力を確認すると反撃に移る。


「きゃあっ!?」


 俺の顔を覆っていた液状化した女性が悲鳴を上げた。なぜなら俺が凄い勢いで彼女を吸い込んでいるからだ。


「止めなさい!」


 近くにいた他の女性が助けようとするが俺は吸い込んでいた液体を女性の顔に吐きかけた。そして怯んだ隙にアイスピックに構えた指を体に突き刺した。


(ノッキング!)


 俺は女性をノッキングさせる、そして液状化から元に戻った女性を担ぐと盾にして突っ込んだ。


「こ、これじゃ攻撃できない!」
「卑怯者!」


 女性たちは避難していくが俺は無視してノッキングしていく、そして最後に残ったピンク髪の女性に盾にしていた女性を投げつけた。


「おらっ!!」


 そして二人同時にノッキングして動きを封じ込める。


「俺の勝ちだな」


 そして俺以外の全員が地面に倒れて決着がついた。


「これで満足か?」
『ははっ、容赦がないな。まあこの光景はバッチリとったしアーシアが見れば君に失望するだろうね。それじゃ次の部屋に進んでくれ』


 上機嫌でそう言うディオドラに俺は内心呆れていた、まさかノッキングを殺したと思うとはな。


 俺が最初反撃しなかったのは彼女達の能力を知るためだったからだ、もし変身系の能力だったらノッキングを失敗する恐れがあったからな。


 次郎さんならどんな姿になっても難なくノッキングしてしまうんだろうなぁ、あそこまでの領域に行くには一体何百年かかるやら。


 俺は倒れた女性たちを安全な場所に移動させて次の部屋に向かうのだった。

  
 

 
後書き
 サイラオーグだ。赤龍帝にも驚いたがリアス達も見違える程強くなっていて驚いたぞ、俺も過酷な修行をしてきたが彼女達はそれが生ぬるく感じるような修行をしてきたに違いない。今度ゆっくりと話してみたいものだ。


 そんな中俺達は敵のトップの一人であるシャルバと対峙した。悪魔の未来のため奴は必ず倒さねばならない、俺も全力で挑ませてもらおう。


 次回第134話『3つの戦い!旧魔王派の新たな力!』で会おう。どうやら俺達以外にも幹部達と戦う存在がいるみたいだな。


 次回も美味しくいただきます……これで良いのか? 
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