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ルドガーinD×D

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第十四話:力を持つ者の責任


真夜中の旧校舎、ギャスパーの部屋の前で俺は一人座って何も言わず食器とスプーンがぶつかる音を聞いている

「………………ごちそうさまですう……」

「味はどうだった?」

「…………おいしかったですう……」

「そうか……」

「「……………………」」

それっきり黙り込む俺たち、俺はギャスパーが自分から話してきてくれるまで話す気はない

無理やり話させても意味はないからな

「……………………僕はルドガー先輩が羨ましいですうぅ……」

「どうしてそう思うんだ?」

「………先輩が戦うところは見たことないですけど…先輩は僕なんかと違って自分の力に振り回されていないですう……」

「……そうだな……」

「……それに先輩はだれかを傷つけたりしないですうう……僕は誰かを傷つけたり迷惑をかける事しか出来ないのに……」

「…………………」

「先輩は僕なんかと違って誰からも拒絶されません!!!僕は誰からも拒絶されるのに!!!僕は……っ!!!」

そうか……ギャスパーは誰からも拒絶されたくないから

誰も傷つけたくないからずっと引きこもっていたのか……

「僕は……っ!!僕はっ!!!」

「ギャスパー、お前の言ってることは間違ってる」

「先輩に!!僕の何が―「俺がいつお前を拒絶した?」―え?」

まったく……ちょっと周りを見てみれば自分のことを思ってくれる奴らがいるってのに…

しょうがない奴だ……

「俺は何があってもお前のことを拒絶しない、それに詳しくは言えないが俺も拒絶されたことはある」

『騙したのね!!!』

ミラ……君は俺のことをどう思ってたんだ?

「先輩も?」

ギャスパーが扉を少し開けてこちらを見る

「ああ……まあ、お前と違って俺が悪かったからなんだけどな」

「………僕が悪くない……?」

「そうだ、まだ会ってから少ししか経ってないけどギャスパーが誰かを傷つけようとする奴じゃないのは分かる」

「でも――」

「ギャスパー、お前は自分の力をどう思ってる?」

「え?」

俺は扉を完全に開きお前を拒絶しないという気持ちを込めてギャスパーと目を合わせる

「………誰かを傷つける嫌な力ですううう……」

「ギャスパー、お前は力の半面しか見ていない」

「どういうことですうぅ?」

「どんな力も常に両刃だ…そしてそうと知っている者だけがそれを振るう資格を持つ」

ガイアスが言っていたことだ、あの時は良く分からなかったけど今は身に染みてわかる

「どういう意味ですう?」

「お前の思う力は誰かを傷つけることなんだろう?でもな、お前の力はその反対の――誰かを守れる力でもあるんだ」

「っ!?誰かを……守れる?」

「ああ……ギャスパー、お前は俺なんかよりもよっぽどすごい奴だぞ?……普通は誰かを守れるって方しか見ないからな……俺みたいにな……」

「先輩は……いつ気づいたんですか……誰かを傷つけるって?」

俺はクウォーター骸殻になり槍を出してそれを見つめる

「いつ…か……他人の大切な物をたくさん壊してきた……自分の大切なものを守るためだからって、言い訳してこの槍で全部壊してきた」

「先輩………」

「それでも気づかなかった……いや、気づかないふりをしてたんだ……あの時の俺は覚悟も資格もなかった……」

「先輩がそんなことするようには見えません……」

ギャスパーが驚いた顔で見つめてくる……俺は自分のために平気で人の世界を壊してきたんだ

本当なら今ここに生きてるのもおこがましいくらいの奴なんだよ

「俺は大切な物のためなら平気で他人を傷つける奴さ……だからかな……大切な物をこの手で壊すはめになったのは……」

「っ!!?」

『兄さんの命で……橋を架ける』

あれは俺への天罰だったんだろうか?

それとも他人の世界を壊すクルスニク一族の呪いなのだろうか?

「自分の大切な物を壊して初めて気づいたんだ……自分が今まで何をしてきたのか……」

「ルドガー先輩……」

「ギャスパー……お前には俺みたいになって欲しくないんだ、自分の大切な物を傷つけて欲しくない」

「僕は……どうしたらいいんですか?」

どうしたら良いなんて俺が言える資格はない……

これはギャスパーが選ばないといけない選択なんだから

「これはお前自身が選ばないといけないんだ、このまま自分の力に怯えて、一生この部屋で閉じこもって過ごすのか…それとも誰かを傷つける覚悟を持って大切な物を守るか……ギャスパー・ヴラディ、これはお前だけの選択だ」

「僕だけの……選択……」

不安そうな表情を浮かべるギャスパー、まあ、いきなり選べって言われてもな

「俺は今日はもう帰るよ……答えは直ぐに出さなくていい、ただ後悔のない選択をしてくれ」

「………………」

「それとな――」

俯くギャスパーの頭をポンポンと叩く

「お前がどんな選択をしたとしても俺はお前の味方だ」

「え?」

「だから、安心しろ」

最後にもう一度頭を叩いて外に出る

「お休み、ギャスパー」

「………おやすみです、先輩……」

どうか後悔のない選択をしてくれ、俺の可愛い後輩



「……眠い……」

昨日はギャスパーと話していたこともありほとんど寝ることが出来なかったので

午前中の授業では何度も先生から注意を受けてしまった、そのせいで周りの女子から――

「昨日は木場きゅんと……」

「『今夜は寝かせないぞ』……なんて、キャーッ!!」

なんて聞こえてきたのは全て無視した

はあ……昼休みだし、少し仮眠でも取ろうか――

「ルドガー先輩!!!」

突然の声にビクッと反応し、声の聞こえてきた方を見るとギャスパーが真っ赤な顔をしてこちらを見ていた

「ルドガー先輩……その、だ、大事な話があるので部室に来てください!!!」

それだけ言い残すとギャスパーは駆け足で立ち去って行った……

ギャスパー……昨日の話の事だってのは俺には分かるがそれ以外の連中には――

「「「「「血祭りじゃあああっ!!!!!」」」」」

「「「だめよ!!!ルドガー君には木場きゅんがいるのよ!!!??」」」

「「逆告白……だと!?」」

うん、そう言う風に見えるよね、というかそういう風ににしか見えない

俺は猛然と襲ってくる松田と元浜の攻撃を掻い潜りながらさっさと教室を出る

「イッセー!!後は頼んだ!!!」

「はあ!?なんで俺なんだ!!?」

「みんなに説明してくれ!!!俺はギャスパーのとこに行くから!!!」

俺はまだ諦めずに襲ってくる松田と元浜にボディブローを入れて沈めてから部室に駆けだす

後のことはイッセーが何とかしてくれる!!………はず



「まったか?ギャスパー」

「っ!!?ぜ、全然待ってないですうぅぅぅっ!!!」

「そうか……」

「………………あの……僕決めました」

俺は何も言わずギャスパーの言葉を待つ

「まだお外は怖いです……本当は出たくないです……でも――」

そこで初めてギャスパーと目が合う…その眼は――

「僕はみんなを守りたいですうっ!!!こんな僕でも受け入れてくれるみんなを――ルドガー先輩を守る力が欲しいですうっ!!!だから……お外に出ます!!!」

――強い覚悟を宿した良い眼だった

「ああ……お前ならきっとみんなを守れるさ……ギャスパー、俺の背中は任せたぞ?」

「はいですううううっ!!!」

ギャスパー、これからお前の歩んでいく道は平たんな道じゃないだろう

でもいつでも俺が――俺たちが支えてやるからな、だから――

「よろしく頼むな?俺の後輩」

「はい!!先輩!!!」


―一緒に歩いて行こう―





~おまけ~

「聞け!!さっきの子、ギャスパーはな……男なんだよ!!!」

「「「「お、男の娘だとおおおおっ!!!??」」」」

「男の娘ですって!!?それはつまり木場きゅん、ルドガー君、ギャスパー君の三角関係ってことおおおっ!!!??」

「待つのよ!!木場きゅん×ルドガー君×ギャスパー君もありよ!!!」

「ああ!!神様、ありがとうございます!!!やっぱりここは私達の天国だったのですね!!!」

「はっ!?いけないわ!!早くこの溢れ出てくるインスピレーションを描き出さないと!!!」

「……………悪い、ルドガー……」
 
 

 
後書き
深まるホモ疑惑!!

いや…ルドガーさんはホモじゃないですよ、だってルドガーさんは

『隠されているからこそ意味があるんだろ!!』と言う漢の中の漢なんですからね(^_^)

それでは今回も読んでくださった方ありがとうございますm(__)m 
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