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ルドガーinD×D

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第十五話:三勢力会談と発熱

………頭がボーっとする……熱でもあるのか?

……今日は…大切な三勢力会談なのに……

取りあえず……部室にいかないとな……

………そういえば……クロが出て行ってから…体がなんとなくだるかったような……

……早く会いたいよ……クロ……



Side 祐斗

「いい、ルドガー、あなたは絶対安静よ」

「すみません………」

「仕方ありませんわよ、悪魔だって体調を崩す事だってあるんですから」

そう言って起き上がろうとするルドガー君を寝かしつける部長と朱乃さん

今日は大切な三勢力会談の日なんだけど――

「いくらあなたが重要参考人だとしても熱が40度もある子を連れて行くわけにはいかないわよ」

最近の急激な環境の変化のせいなのかルドガー君が40度という高熱を出して寝込んでしまったのだ

といっても本人は無理をして部室まで来てしまったんだけど

そのせいで部長からお叱りを受けていた

……まあ、それは部長の眷属への愛情ゆえなんだけど

「すみません、私の癒しの力は病気には効かないんです……」

「……アーシアは悪くない……悪いのは俺だ……」

アーシアさんの言葉にかすれた声で返すルドガー君……かなり辛いんだろうな

あんなルドガー君初めてみるしね

「ギャスパー、何かあった場合これを食べなさい」

「何ですか、この飴玉は?」

「イッセーの血が入った飴玉よ、これを食べれば一定時間は神器が安定するわ」

「わかりました」

「それじゃあ、ルドガーの看病をお願いするわね」

「はいですううううっ!!!」

ギャスパー君がやる気満々の様子で返事をする

彼はルドガー君と何か話した後から何か覚悟を決めた様に見える

そのせいかよくルドガー君に良くなついている?いや、仲がいいというべきか

……まあ、今回は彼の神器がまだ安定していないと言う理由で

留守番ということになってたんだけど、そのことが幸い(?)してルドガー君の看護に抜擢された

「ありがとうな……ギャスパー……」

「頑張りますうううううっ!!!」

「それじゃあ、お願いするわね、ギャスパー……さ、行くわよ!!」

「「「「「はい!!」」」」」

三勢力会談……無事に終わればいいな



「和平を結ぼうぜ」

会議も進み不穏な空気が流れる中アザゼルが放った言葉に

この部屋にいる誰もが驚愕しアザゼルを見る

「……まさか、あなたの口からそのような言葉が出るとは……」

「なんだよ、三勢力のトップの中で俺が一番信用がないみたいじゃねーか」

ミカエル様の言葉にアザゼルが拗ねたように言い返すが

正直言って僕もこの中ならダントツでアザゼルが信用できない

「しかしなぜ和平を望むのなら神器を集めていたのだね?」

「そうです、私たちはあなたが戦争の為の準備をしているのだと思って警戒していたのですよ?」

「はは、やっぱそう言う風に思われてたか、残念ながら俺は戦争にはこれっぽっちも興味がないぜ」

「ならなぜ神器を集めているのですか?」

「そいつは俺の趣味のためと――ある組織への備えの為だ」

ある組織?堕天使総督が危険視するほどの組織があるというのか?

「その組織のトップは『無限の龍』のオーフィスだ」

「っ!!?オーフィスだと!!?」

いつもは冷静なサーゼクス様が驚いた表情をする、まあ、無理もない

『無限の龍』と言えばこの世界のトップに君臨する者だ、警戒しないわけがない

「オーフィスとは………それでその組織の名前は分かってるのですか?」

「ああ、その組織は――」

ドガーンッ!!!

アザゼルが組織の名前を言おうとした瞬間凄まじい爆発音が“部室”の方から響いてきた

「これは!!?」

「奴さんめ……始めやがったな」

「これはあなたが先ほど言っていた組織の攻撃ですか?」

「十中八九そうだろう、あいつらは平和が嫌いらしいからな……ヴァーリ、外に出てみろ奴さんがうじゃうじゃいるだろうよ」

「承知した」

苦々しげにそう呟きながら白龍皇のヴァーリに指示を出すアザゼル

……それにしてもどうして部室の方から――

「さっきの音から考えるとリアスちゃん達の部室の方だけど大丈夫?」

「けっ!!大方、『停止世界の邪眼』を暴走さることで護衛を止めてこっちの戦力を削ぐつもりなんだろう」

「なんですって!!?」

アザゼルの言葉を聞くと同時に部長の顔が怒りに染まる……

……でも僕たちが止まっていないということはまだギャスパー君は無事と言うことだ

「お兄様!!今すぐギャスパーとルドガーの救出向かわせてください!!!」

「今すぐ行きなさい……と言いたい所なのだがどうやって行くつもりだい?」

「キャスリングを使ってルドガーと入れ替わります、ルドガーは今、高熱を出しているので戦えないはずです」

「そうかね、しかしリアス一人では心もとない……グレイフィア!!」

「分かりました、今すぐ転移魔法陣を作ります……ですが送れるのは一人までです」

「ちょっと、待ちな」

今すぐにでも向かおうとしている部長をアザゼルがなぜか止める

「何?アザゼル」

いかにもイライラとした表情で部長がアザゼルを睨み付ける

「助けに行くのは賛成だがよ、入れ替わるのはまずいぜ?」

「どういう意味かしら?」

「さっき戦えないって言ってたけどよ、敵がまだギャスパーを捕えてないのはルドガーが戦ってる意外に考えられないぜ?」

ルドガー君が戦っている!?そんな馬鹿な、彼は歩くのもやっとの状態だったのに――

「作戦を成功させる前にわざわざ敵に自分達の存在を知らせるなんてばかな真似は普通しねーよ、それが起こるのは誰かに邪魔されたときだけだ、そんでギャスパーはまだ十分に戦えないのを考えたら、その場にいるもう一人が戦ってるしか考えられねーだろ?」

「………そうね、でもだからと言って無事とは限らないわよ!?」

「だから、入れ替わりはやめて転移魔法陣の方で行け……まあ、その場合は一人になるがな」

一人しか行けない……それなら――

「部長!!僕に行かせてください!!!僕は友を助けに行かないといけないんです!!!」

僕が行く!!!親友を助けに行くのが僕の役目だ!!!

「祐斗……分かったわ!!グレイフィア!!祐斗をお願い!!!」

「かしこまりました、木場様、こちらへ」

待っててくれルドガー君!!君は必ず僕が守る!!!



転移が終わりまず初めに目に入ったのは“赤”だった

おびただしい量の血が床を赤く染め上げている光景に思わず顔を歪める

……ルドガー君達の血でないことを祈ろう

「ルドガー君!!ギャスパー君!!居るなら返事をしてくれ!!」

「……………祐斗か?」

「ルドガー君!!良かった無事だったんだね――っ!!?」

返事が返ってきたことに安堵するが
フラフラとおぼつかない足取りで現れたルドガー君の姿を見てゾッとしてしまう――血だ

……制服は血で汚れ、メッシュで染めていない銀髪の部分は赤く染まっている

「ルドガー君!?血が!!?」

「………ああ、大丈夫だ……ほとんど返り血だ……大きな傷は負ってない」

そう言って虚ろな目で答えるルドガー君……君はこんな状態で戦ってたというのか?

「ギャスパー君は?」

「僕も大丈夫ですうううううっ!!!」

ルドガー君の後ろからひょっこりとギャスパー君が現れる

ギャスパー君は特に怪我をしているようにも見えないし

ルドガー君のように血で染まってるわけでもないので一安心だ

「敵はまだ居るかい?」

「………いや、俺とギャスパーであらかた蹴散らしたからここにはもういないはずだ」

「でもまだ外にはいっぱいいるですううう」

このままここで籠城するわけにもいかない……何とか部長達のところまで行かないと

「ルドガー君、ギャスパー君、今から部長達のとこまで敵を突っ切って行くけど行けそうかい?」

「先輩の背中は僕が守りますううううっ!!!」

「………ああ、頼むぞ………」

「あはは、頼もしいね……それじゃあ、行くよ!!!」

それを合図に僕たちは一気に廊下に飛び出る

直ぐに敵が気づくが僕は両手に持った聖魔剣で騎士の速さで切り捨てていく

数でみればこちらが圧倒的に不利だけど狭い廊下ということもあって

数の差がそのまま戦力の差にならないですんでいる

「ルドガー君!!無理しないで!!!」

「………大丈夫だ………」

そうは言うもののルドガー君の動きには全く精彩さが感じられず危なっかしい

それでも戦えるのは偏に彼の戦闘能力の高さだろう

それに背後からの攻撃にはギャスパー君が相手を止めるということで対処しているので何とかなっているといった感じだ

恐らくギャスパー君はあの飴玉を食べたから神器が扱えているのだろう

「そんな状態で……よく戦えるね、ルドガー君」

「…………後ろに守りたいものがあるからな」

そう返しながら敵を切り捨て、返り血を避けることもせず浴びるルドガー君

いや、恐らく後ろにいるギャスパー君にかからないように自分がわざと浴びているんだろう

ギャスパー君は才能はあるけど実戦経験はほとんどないから

返り血で冷静さを失うかもしれないからね

それにヴァンパイアなのに血が嫌いだしね

―守りたいものがある限り決して倒れない―

ルドガー君の背中は暗にそう言ってるような気がする

敵もいなくなった廊下を走りながらそんなことを考える

果たして僕が同じ状況になった時立ち続けることが出来るだろうか?

彼が立ち続けられのは戦闘能力の差ではなく、僕との覚悟の差なのではないのだろうか?

僕に彼と同じ―「祐斗!!!ギャスパー!!!」―え?

突如巨大な魔力弾が目の前を覆う――まずいっ!!?

避けられないと感じとっさに防御態勢をとるがいつまでたっても衝撃が来ない

不思議に思いゆっくりと目を開けてみると

黒い鎧姿になったルドガー君が膝をついていた……まさか……っ!!?

「ルドガー君!?僕たちを庇って!!?」

「ルドガー先輩!!?大丈夫ですか!!?」

くそっ!!!僕がきちんと辺りに気を配っておけば……っ!!!

「直撃したとはいえあの程度の攻撃で倒れるとは……どうやら本当に体調が悪いようだな、ルドガー・ウィル・クルスニク」

怒りにかられて見上げるとそこには味方であるはずのヴァーリがいた

「………裏切りか?ヴァーリ」

「ああ、このままここにいたら戦いを楽しめないからね」

「………戦闘狂が……」

「俺はただ強い奴と戦いたいだけだからな……まあ、そんな状態の君と戦う気はないから安心してくれ、君とは最高の状態で戦いたいからね」

「お前ら!!無事か!!?」

「イッセー君!!?」

どうやらいつの間にか目的地に到着していたらしい

いや、イッセー君の方が来てくれたのかも知れない

「ちょうどいいところに来てくれた、兵藤一誠、ルドガー・ウィル・クルスニクの代わりに僕と戦ってくれないかい?……なにちょっとした余興さ」

完全にイッセー君のことを馬鹿にしているな……

確かに実力では圧倒的ヴァーリの方が上回ってはいる

でもイッセー君はそれを何度も跳ね返してきたんだ、こんな所で負けたりなんかしない!!!

「………イッセー………」

「どうしたルドガー?」

「………一発俺の代わりにぶん殴ってくれ!!!」

「任せろ!!!」

ルドガー君はイッセー君の返事を満足げに聞くとそのまま倒れた

「ルドガー先輩!!?」

「大丈夫……眠ってるだけだよ……」

やっぱり、無理をしていたんだろう……とにかく安全な場所に移さないと!!

「イッセー君!!頑張って!!!」

「おう!!!」

出来れば助けたいけど今はルドガー君のほうを優先しないと……

……友としてなさけないけど今僕にできるのはそれだけ……もっと…強くならないと…っ!!!
 
 

 
後書き
小猫ちゃんを子猫ちゃんと書いていたことに今更ながらに気づきました……

もし他にも誤字脱字があるようでしたら指摘して下さると助かりますm(__)m

それではここまで読んでくださった方々ありがとうございます(^_^) 
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