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ルドガーinD×D

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第十三話:これぞ青春?

「いいいいやああああああっっっ!!!??」

「ほら走れギャスパー、早く走らないとデュランダルの餌食だぞ?」

「…ギャーくん…頑張って…ほらニンニク」

夕焼けに染まるグラウンド、まさに青春の一ページという風景の中

二人の美少女が一人の少年を追いかけている……ああ、青春だな……

「おい、何黄昏てるのか知らないが助けてやったらどうだ?」

「匙……男はな……無力なんだよ……」

俺だって最初は助けようとしたさ……でも――

『ああ、ルドガーも一緒に走りたいのだな』

『…追加のニンニク持ってきます』

あんな……あんな怖い笑顔で言われたら引き下がるしかないだろ……

「ま、まあ、ギャスパーもみんなと馴染めていいんじゃないのか?」

「ああ……そうだな、イッセー、俺たちは無力なんだな」

「いや、そんなこと一言も言ってねーよ!?というか何さりげに俺も混ぜてるんだ!!?」

いまだにギャスパーの『ルドガー先輩、見捨てないで下さいいいぃっ!!!!』と言う

断末魔が頭から離れない……ごめん…ギャスパー……

「おい、イッセー、ルドガーの奴どうしたんだ?やけに元気がない気がするんだが?」

「いや、何だか今日はいつもよりは元気がないとは思ってたけどギャスパーの件で完全に崩れた気がする」

へこんでる暇なんかないって強がってたけど

家に帰ってもクロがいないという事実だけで俺の心はボロボロさ……

だから、若干癒し属性のあるギャスパーに癒してもらおうと思った矢先にこれだよ…

俺の心はもう粉々さ……ああ……癒しが欲しい……

「おいおい、何だか面白そうなことやってるじゃねーか」

「アザゼル!!?」

アザゼル?確か営業妨害してた堕天使の総督か……おっさんじゃ俺の癒しにはならない

「おいおい、そんな警戒するなよ、戦う気なんかこれっぽっちもないからよ……それとなぜかいわれのない被害を受けた気がするんだが?」

それはきっと、気のせいだろう

「まあ…とにかく今回俺が来たのは今度ここで開かれる三勢力会談の下見に来ただけだ」

「じゃあ、何でこんなところに来たんだよ」

ギャスパーにせめてもの償いにオムレツを作ろう、うん、それがいい

「『聖魔剣』に『赤龍帝』、『停止世界の邪眼』、『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』……それに謎の力を使う奴、これだけ面白い奴がいるのに見に来ないなんて馬鹿だろ?」

見に来る奴の方が馬鹿だと思うんだが?」

「…先輩、声に出てます……」

おっと、ついうっかり

「ははは、そうゆう意味のバカなら結構さ……それとお前がヴァーリの言ってた奴か?」

ヴァーリ?……ああ、あのドMの奴か」

「おい、また声に出てるぞ」

おっと、またやってしまった

「……せめて戦闘狂って呼んでやってくれよ」

「いや、人に邪魔されて喜ぶのは立派なMだろ?」

「隠すのが面倒になったからといって堂々と言うのもどうかと思うぞ?」

人間開き直った方がいいのさ

「はあ……まあともかくお前がアイツの言ってた奴で間違いなさそうだな」

「そうだが……何のようだ?」

「お前の能力を見せて―「え?やだ」―くれないか…って、早すぎだろ!?」

「いや、こっちにメリットがないのに自分の手のうちを見せるなんて嫌だろ普通?」

後、早くオムレツ作らないといけないし

「けっ、分かったよ……おい停止世界の邪眼の持ち主の……ギャスパーって言ったか?」

「は、はいいいいいっ!!!??」

さっきまで木の陰に隠れていたギャスパーがアザゼルに呼ばれて飛び上がらんばかりに驚いている……アザゼル貴様……っ!!

「別に取って食おうって訳じゃねーんだ、落ち着け……お前の神器のいい練習方法を教えてやるよ」

「え!?」

「おい、『黒い龍脈』の……匙か、お前の神器の能力でギャスパーの神器の力を吸い取って抑えりゃ、簡単に練習が出来るぜ」

「お、俺の神器にそんな能力があったのか!?」

「はあ……たく、最近の若い奴らは自分の神器のことを調べようともしないのか……」

最近の若い奴らって……やっぱおっさんだな」

「もう、突っ込まないですうぅぅ」

「おっさんは……地味に傷つくな……」

ギャスパーを怖がらせた罰だ、それぐらい耐えろ

「それで、これで見せてくれる気になったか?」

まあ、ギャスパーの為になることを教えてくれたから、別にいいか

「ああ、それじゃあ、まずはこれが俺の神器だ」

俺は双剣を出して構える

「そいつは武器創造(ウェポンシフト)か、まあ、そこまでレアな奴じゃないな」

「そしてこれが……骸殻だ!!」

時計を取り出して構え、そして変身する

今回はスリークウォーターまでだ、わざわざフルまでなる必要はないだろうしな

「へえ、中々強そうじゃねえか……神器の力じゃないな……時計を媒介にしてやってるのは分かるんだが……なんなんだそりゃ?」

「俺の一族に伝わる力だ……まあ、もうこの世界には俺以外の一族はいないがな」

クルスニク一族は異世界にしかいないからな

「一族?長いこと生きてきたがそんな能力使う奴見たことねえんだが?」

「骸殻が使えるのは一族の中でも限られた者だけだ、それに使えたとしても第一段階までで終わる奴がほとんどだからな」

うん、嘘は言ってないよな?

「第一段階?今のそれは何段階目何だよ?」

「全部で四段階あってその三段階目だ」

「お前は四段階目になれるのか?」

「ああ」

「神器以外にもこんな面白い能力があるとはな……そりゃ、ヴァーリがほっとかないわな」

はあ……やっぱり、あのめんどそうなのに目をつけられてたのか……

「こりゃ、研究のしがいがありそうな―「アザゼル!!!」―おっとグレモリーの娘さんか」

部長が凄まじい剣幕でこちらに走ってきていた……あれ、俺たちも怒られるかもな

「アザゼル、どうしてこんな所にあなたがいるか説明してもらおうかしら?」

部長の後ろに般若が見える……

「別にただ見に来ただけさ、珍しい奴らが多いからなグレモリー眷属は」

部長の剣幕にも飄々とした様子で話すアザゼル…やばいちょっと尊敬しそうだ、おっさん

「そう言われて信じられると思って?」

「思わねーな、ま、もう用はすんだから、俺は帰るから安心しな」

「っ!?ちょっと!!まだ話が―っ!!?」

部長の制止も聞かずにアザゼルはさっさと帰ってしまった

「イッセー、何もされなかった?」

「はい、特に何もされていません」

「そう……アザゼル……いったい何のつもりかしら?」

「部長、あんなおっさんのことは忘れてもいいと思います」

「ルドガー……あなた、そんなに口が悪かったかしら?」

おそらく全ておっさんのせいだろう

「…今、全部おっさんのせいだと思いましたね?」

「小猫ちゃん、君は俺の心でも読めるのかい?」

「…表情でまるわかりです」

まじか!?俺ってそんなに表情に出やすいの!!?ヴェルのポーカーフェイスが羨ましい

「…『俺ってそんなに表情に出やすいの!!?』…て思いましたね?」

「お願いだから分かっても言わないでくれないか?」

「…………………………わかりました」

「何!?その間、何!!?」

「まあ…みんな大丈夫みたいだしアザゼルの件は気にしなくていいかしら、みんな夜からは依頼があるから部室に戻るわよ」

すみません、今発覚した衝撃の事実で俺は大丈夫じゃありません

「…『今発覚した…』…いえ何でもないです」

どうしよう、小猫ちゃんの前では小さいとか思えないな

「…えい」

「ごふっ!!?」

はい、すみません……今度から小猫ちゃん前では気を付けないとな……はあ……



ふう……今日の敵は手ごわかったな、今まで戦ってきた中でも間違いなくトップクラスだ

まあ、だからと言って俺が負けることは許されないのだが、それにしても――

「久々にエルなみのトマト嫌いとあったなあ」

そう今回の依頼はトマト嫌いの子供にトマトを食べさせるというものだった

普段なら刻んだり、スープに少しだけ入れたりしたりするだけでいいのだが

今回の子は少しでもトマトが入っていると気づくトマトレーダーの持ち主だったのだ

度のつくほどのトマト嫌いなのに何故か服装は真っ赤という少年で

父親もトマト嫌いというトマト嫌いのサラブレッドだった

その子のお母さんも何とかしてトマトを食べさせようと色々試行錯誤していたらしいのだが

結局ダメで最終手段として悪魔の俺たちに頼ってきたということだ

色々と考えた結果あのエルですらトマトが入っていると気づくことがなかった俺の最高傑作

トマト・ア・ラ・モードを作ることにした

ちなみにお母さんはもうこれでもダメなら

最悪父親もろとも催眠にでもかけて貰って無理やりにでも食べさせようと思っていたらしい

……そこまでするだろうか普通?

まあ、結果としては俺のトマト・ア・ラ・モードの前に彼のトマトレーダーは敗れ去った

この時ばかりは彼の両親と一緒に手を取り合って喜んだ

父親に至っては「成長したな……―――」なんて言って号泣してたぐらいだ

……そのあと奥さんに子供が食べたのだからあなたもと言われて

生のトマトを口に詰め込まれて気絶していたが……

まあ、いろいろとあったが無事依頼を達成して対価の『闇鍋』のレシピを貰って

部室に戻ってきたんだが――

「もう、お外に出たくないですうううううっ!!!」

「ギャスパーすまん!!あの人の趣味を考慮してなかった俺が悪かった!!!」

「イッセーは悪くはないわ……まだ外に慣れていないギャスパーを依頼に同伴させた主である私が悪いの」

どうしてギャスパーの部屋の前でイッセーと部長は謝っているのだろうか?

イッセーに至っては扉の前で土下座してるし

「部長、何があったんですか?」

「ルドガー!?……実はギャスパーに外に慣れて欲しくてをイッセーの依頼に同伴させたんだけど――」

「依頼主が大の男の娘好きで暴走しちまったんだ……」

「それは……辛かったなギャスパー……」

「うううううっ!!もう嫌ですうううううっ!!!」

ああ…完全に前の引きこもりに戻ってるな……何とかしないとな

「部長……ギャスパーのことは俺に任せてくれませんか?」

「ルドガー……ええ、お願いするわ」

「俺からも頼む」

「ああ」

さてと、まずは――

「お腹減ってないか?ギャスパー」

腹ごしらえからだな
 
 

 
後書き
どうも、トマトルテです

トマト嫌いの父子………誰だか分かりますよね?

テイルズシリーズでトマトと言えばこの父子なのでゲスト出演してもらいました

後悔はみじんもありません(キリッ) 
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