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徒然なるバカに

作者:節子
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もう魔人○ウでいいよ……



「今日はお誘い頂きありがとうございます」

と、丁寧に礼を言い、頭を下げる。

だれが?

彼だ。先程の文頭で出てきた彼、綾先颯だ。


「いいよいいよ〜♪クラスメイトでしょ♪」

「人数は多いに越したことはないしな」

「それでも礼を言いたければ、ことの発案者の彼に言うといい」

「そんな恩着せがましいことした覚えはねえよ」

白皇学院の中に経営されているカフェテリアで注文を済まし、出てくるまでの些細な会話。


「では、改めてお礼を言わせて頂きます。ありがとうございます、優人さん」

本当に出来た人間だ。同じ歳、同じ性別、同じ種とは思えない。

「いいよいいよ、お礼欲しさに言ったわけじゃねえしよ。それに瀬川も言ったことだけど、折角同じクラスに慣れたんだ、よろしく頼むわ」

こちらこそーーと、気恥ずかしそうに握手をする。


「随分と暑苦しい友情だな。今は冬だ、暑苦しいのは夏だけにしろ、夏だけに」

と、随分と上から偉そうなこと口に出して言ってくるのは、彼、綾先颯の御主人様である三千院凪。

「私は別にハヤテと2人でも良かったのだ」

「随分と上からだなあ、三千院」

「おまえよりは遥かに上だ」

「言うねえ……、そういうこと言うお子様はこうだッ!」

言うや否や。三千院の後ろに回り込み、両手を握りこぶしにかえ、三千院の頭を挟み込む。グリグリ、というやつだ。

「あぁぁぁーーッ!痛いッ!痛いのだッ!」

「あ?どうだ?謝る気にはなったか?」

「わかったッ!わかったから離すのだッ!」

そうか、うん、そこまで言うなら離そう。素直に離そう。パッ、とな。

「うぅぅ……」

と、敵対心のこもった目で睨んでくる。

「死ねッ!死ねッ!おまえなんか死んでしまえッ!」

全然反省していない様子。

「なあにがわかった、だ。なにもわかってねえじゃねえか」

「ああでも言わないと貴様は離さなかっただろうに!」

「まあな」

「まあな、で済ますなボケェェェ!こっちは頭が割れる思いをしたのだぞッ!」

「だってそりゃおまえが耳障りなことを言うからだろ」

「耳障りなのはおまえの声だ!耳障りを通り越して顔障りだ!」

「ほぉう……、言うねえ。まだ痛い思いをし足りないと」

手をワキワキさせながら三千院に言う。

三千院はその仕草を見ると、すぐさま綾先の後ろに隠れる。

「ハ、ハヤテっ!あいつから!あの魔人○ウから私を守るのだ!」

「いつまでそのネタ引っ張ってんだよォォォオオ!だれが魔人○ウだ!」

「お嬢様……魔人○ウは言い過ぎかと……」

呆れ顔の綾先。

「いや。そんなことはないぞ、ハヤ太くん。優太くんほど魔人○ウに似ている人間なんて世界中どこを探してもいやしない。ちなみに純粋な悪の方だ」

「だな。そっくりだ。ここまでそっくりだともう魔人○ウが優太くんで、優太くんが魔人○ウだろうと然程代わりはしないな。ちなみに純粋な悪の方な」

「理紗ちゃん!それ名言だよぉ!ここにまた、新たな名言が生まれたーーだよぉ!優太くんが名言の糧に!あ、ちなみに極悪のほうね♪」

「てめぇらなに勝手に乗っかって来てんのォォォオオ!?魔人○ウに似てる人間なんで世界中どこにもいるわけねえし、朝風てめえは然程代わることをドヤ顔で言ってんじゃねぇよォォォオオ!!てか、なにちゃっかり極悪に変えてんの!?え!?まあまあ、じゃねえよォォォオオ!!3バカトリオは引っ込んでろや!てか、いい加減おまえら名前覚えれやァァァアア!!」

一世一代、本気のツッコミ。

なんでもかんでもお菓子に変える理性のカケラもないおデブちゃんと一緒にしないでほしい。てか、そこまで似てるか?考えたら凹んできた……。

「ああ!!また優太くんが落ち込んでいるぞ!」

「おまえらのせいだよ!おまえらのッ!」

 
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