徒然なるバカに
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3バカトリオが4バカカルテットになったら体育とかの2人1組も安心だね
その後、彼はもちろん職員室に呼び出され、注意を受けたのだろう。当たり前だ。あれだけのことをしておいてなにもありませんでした、ではなんのための教師かわかりはしない。
入学式が終わると、その後は新学期の大まかな説明などそれほど時間をかけるものではなかった。12時を過ぎる頃にはチラホラ教室を出て行く生徒たちも見える。が、その中で唯一今学期になって初めて、自分の教室に入ってくる人を目撃する。彼だ。
「あれ?なんでい、もうみんな帰っちまってるのか。つまんね」
と、自分の席とは見当違いもいいとこの席に座り、文句をいう。
「高橋くん。あなたの席はここじゃなくてあそこよ」
雛菊が彼の横暴さに痺れを切らしたのか、彼に向かって言う。
「おおっ!それはそれはどうも親切にありがとさん」
そういうとスキップ、とは形容し難い動きで自分の席に着く。
「やっぱ新学期ってのはいいもんだねぇ」
ホクホクした顔をしながら自分の席へ突っ伏す。
「随分と呑気なことをいうものねぇ。高橋くんは」
と、これから溜息を漏らすであろう表情をしている雛菊は言った。
「え?なんで?」
「自分が今朝やったことを覚えてないの?」
「いんや、覚えてるよ」
「ならわかるでしょう。……あなた入学初日から教師たちから目の敵よ」
怪訝な顔でいう雛菊の言葉は最もだ。だが、
「ああ、それね。いいのいいの。結果目立ったんだし」
ケラケラ笑いながらいう彼に対してあまり好感を持てない雛菊。と、そこに。
「やあ!優太くん、今朝のスピーチ感動したぞ」
「あれほど自己主張をできる人間はなかなかいないからな貴重な人材だ」
先ほどまで一緒にいた美希、理紗がいつの間にか彼のすぐそばにいる。やばい、出遅れた。
「あ、やっぱそう?緊張してやばかったんだけどやってよかったなぁ。あと、おれは優人だ」
「んなわけないでしょう」
雛菊はそういうと飽きれなが教室を出て行った。
「でだ」
「ん?」
「君はどういう学校生活を送りたいのだ?」
「のだ?」
あたしたち3人で彼を囲み、聞く。
「どう、て聞かれてもな。特に希望はないし、その場その場でのらりくらり楽しくやれればそれでいいかな」
ーーバンッ!
彼が言葉を発し終えるや否、彼の目の前にいた美希が机を叩く。
「そんなことでは時間はあっという間に過ぎてしまうぞ!」
「そうだ!学生時代といわば線香花火のよう……」
美希に続き、理紗までもが拳を作り言う。
「んあ……?まあ、確かにな」
彼は満更でもない、という感じだ。
「ならば今やることを今、しなくては!」
「さあ!今!今やるのだよ!」
普段から彼女ら2人から遊び道具のようにからかわれている泉にはこの時の2人から嫌な匂いしかしなかったと、後に彼女は語る。
「なんかよくわかんねえけど面白そうだから乗ってやるよ」
そんなことも御構い無しに。面白そうだから、と理由で見ず知らずの他人の意見に同意し乗ってしまうのは彼のいいところであり悪いところでもある。と後に泉はわかるのであった。
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