FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第183話 天地の作戦
前書き
風邪を引いて学校を休んだ為真昼間から更新が出来る紺碧の海です☆
今回は大魔闘演舞4日目競技パート、『空船戦』の続きです。妖精の尻尾からはルーシィとマヤが出場したのだが、2人に危機が―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第183話・・・スタート☆
チャ「大魔闘演舞4日目競技パート、『空船戦』・・・開始ッ!!!」
チャパティ・ローラの力強い実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と叩いた。遂に『空船戦』が始まった。船内にいる11人の出場者達は一斉に駆け出した。
ナデ「フ、フラワーメイク、胞子爆弾ッ!!」
最初に攻撃を仕掛けたのは意外にも引っ込み思案なナデシコだった。
胸の前で手を重ね、バレーボールくらいの大きさの草で包まれた球体を近くにいたリキとノバーリに向かって投げつける。2人は素早くかわすが、球体が床に落ちた瞬間ポォン!と音を立てて中から大量の胞子が撒き散らされた。
ノ「おわっ!」
リ「くっ・・前が、見えない・・・」
胞子だらけの中、2人は身動きできずにいた。
無防備な2人の背後に忍び寄る黒い影―――――・・・
ナデ「フラワーメイク、薔薇の庭園ッ!!」
気づいた時にはすでに2人の目の前には色とりどりの巨大な薔薇が襲い掛かってきていた。薔薇の花の鮮やかな緑色の茎にある先が鋭く尖った棘が太陽の光に反射してキラリと光った。
ノ「よっ、と。」
ノバーリは襲い掛かってくる色とりどりの薔薇に一度目を見開いたがすぐに冷静さを取り戻しその場で高く跳躍しナデシコの攻撃をかわした。
リ「アイアンメイク、盾ッ!!」
一方リキは、襲い掛かってくる色とりどりの薔薇に一切驚きもせず、冷静に造形魔法の構えを取り、黒光りする鉄の盾を造形しナデシコの攻撃を防いだ。
チャ「ナデシコの攻撃はノバーリとリキには当たらないっ!」
ヤ「いい戦略だったけどねぇ。」
ラ「とても可憐です!ありがとうございます!」
チャ「あぁっと!別の場所では激しい戦いが繰り広げられていますっ!」
チャパティ・ローラが別の映像魔水晶の映像を見て実況をする。
その映像魔水晶に映っているのは風を操る青年と風を操る少女―――バロンとシェリアだった。
バ「風竜の・・・竜巻ッ!!」
シェ「天神の・・・北風ッ!!」
バ「風竜の・・・咆哮ッ!!」
シェ「天神の・・・怒号ッ!!」
竜と神の風が激しくぶつかり合う。海賊船のボロボロの白い帆がバタバタとうるさくはためく。
2つの風の威力が強すぎて、他の出場者達は船から落ちないようにその場で踏ん張ったり何かに捕まったりしている。他にもチャパティ・ローラの鬘が吹っ飛んだり、観客の女性達のスカートが舞い上がったり・・・
ようやく風が収まった時、バロンとシェリアは息を切らしていた。
チャ「激しく争う海中と蛇姫の風使い!!2人の決着はいったいどうなるんだーーーっ!?」
ヤ「シェリアの方は、正スくは“天空魔法”な。」
チャパティ・ローラの間違いをヤジマが冷静に訂正する。
チャ「さぁ!他の出場者達も激しい戦闘を始めたぞーーーーーっ!!!」
鬘が脱げたのもお構い無しにチャパティ・ローラは実況席から身を乗り出して実況する。
ヒ「ダスク!その鋭い口ばしで相手を貫けっ!!」
ダ「グギャアァアアアアアッ!」
鳥召喚というマヤとトーヤと同じ召喚系の魔法を使うヒリアは「ダスク」という名前の鷹を呼び出すと目の前にいる相手に攻撃するよう指示を出す。
ダスクは飼い主のヒリアの指示通り目の前にいる相手に向かって一直線に飛んでいく。
マ「相手が鳥ならこっちも鳥!バーン!いっけぇーーーーーっ!!」
バー「グギャアァアアアアアッ!」
その相手というのはどんな動物でもこよなく愛すマヤ。マヤもワシのバーンを呼び出すとダスクに応戦するよう指示を出す。
バーンは飼い主のマヤの指示通り目の前に居る相手に向かって一直線に飛んでいく。
チャ「こっちではマヤ選手とヒリア選手の鳥対決が繰り広げられているっ!」
チャパティ・ローラの額に汗が浮かんでいる。
ロ「獅子王の輝きッ!!」
獅子の鬣のような髪の毛に青いレンズのサングラスを掛けた星霊、ロキが金色の光を纏った拳で目の前にいる相手に殴り掛かる。
キル「受け止め装置、発動!」
背中に背負っている灰色と青のリュックサックから3本指の機械の腕が伸び、ロキの拳を受け止める。
ル「アンタ、機械直ったのね。」
キル「直ったんじゃなくて、僕が直したんだ。それに、これはただの機械じゃない。“機械2”だ。ただの機械より性能が良くなっている。」
ル「2って・・・そこまで拘る必要ってあるのかしら・・・・?」
ロ「まぁ拘りは人それぞれだよ。因みに僕の拘りは、ルーシィを」
ル「はいはいはぁ~い、早くバトルの続きやろっ!。」
拘りを語ろうとするロキを大きな声で制し、ルーシィはキルロとのバトルを再開する。
チャ「こっちではルーシィ選手とキルロ選手のちょっと変わったバトルが繰り広げられているっ!」
「変わったバトル」というのは失礼な気がする・・・
ショ「よかった、本当に直ってる。」
キルロと戦った時に機械を壊してしまった張本人であるショールは安堵の息をつく。
ウェ「ルーシィさんとマヤさん、勝ちますよね?」
フ「あったり前だ。あー見えてあの2人、結構強いからな。」
ナ「でもよぉ、マヤの奴、もうちょっと本気出しても良いんじゃねぇか?」
エル「え?マヤまだ本気じゃねぇのか?」
頬杖を付いてつまらなそうに呟いたナツの言葉にエルフマンが首を傾げる。
ナ「だってマヤ、まだ火炎石使ってねぇぞ。」
そう。『空船戦』が始まってから、まだマヤは白いショートパンツのポケットから火炎石を一度も取り出していない。
ユ「それにマヤ、笑ってる。」
そう。バーンに指示を出している時も、ダスクの攻撃をかわす時も、マヤは笑顔を一度も崩していない。
マヤの彼氏であるナツや、マヤの親友であるユモが気づくのも当然の事だ。
ト「マヤさん、まだ余裕のようですね。」
リョ「ルーシィもロキだけじゃなくて、牛とか蠍とか、人魚とか馬とか、双子とか蟹とか呼び出せばいいのによぉ。」
グ「ルーシィはお前と違ってちゃんと後先の事を考えてんだよ。」
エ「だが、『空船戦』はまだ始まったばかり。」
エルザの瞳が険しく、鋭い光を放った。
エ「勝負はこれからだ。」
チャ「船内で激しいバトルが繰り広げられている中、レヴル選手とウララ選手の姿が見当たりませんね。」
チャパティ・ローラの言うとおり、映像魔水晶の映像にレヴルとウララの姿が一度も映し出されていないのだ。
『空船戦』の舞台となっている海賊船は広くも狭くもない。空を飛ぶ映像魔水晶が6つも船内を映しているというのに、2人の姿は一向に映らない。
ヤ「どこかに隠れて、攻撃にチャンスを窺ってるのかもスれないねぇ。」
ラ「とても慎重ですね。ありがとうございます。」
いったい2人はどこに潜んでいるのだろうか―――――・・・?
白い柳の待機場所では、『空船戦』に出場しているウララ以外のメンバー、シェナ、タクヤ、チルチル、アチュールが自信満々な笑みで映像魔水晶の映像を見つめていた。
チ「・・・もう聞き飽きたと思うけど、ウララって」
タ「「最強すぎて怖いね」だろ?『空船戦』が始まってからもう7回目だぞ、その台詞。」
7回目(らしい)のチルチルの台詞をタクヤが遮るが、タクヤの漆黒の瞳は映像魔水晶から一切離れようとしない。
ア「ウララは水の滅神魔道士。強さは白い柳最強で、戦闘はもちろん、周囲からの信頼度もすげぇし、運動神経もめっちゃ良いからな。それに、隠れるのもうまいからなぁ。」
自分の事ではないのに、アチュールは嬉しそうに笑う。
シェナ「他の出場者の人達には悪いけど、この競技は私達白い柳が勝つわ。ウララが水の滅神魔道士って事だけで有利だし・・・」
シェナは自身の長い金髪を1束右手の人差し指にくるくる絡めると、小さな口からペロッと小さく舌を出した。
シェナ「『空船戦』の舞台が、“空中の船”だから、更に有利なのよね。」
銀河の旋律の待機場所では、コグレとナナヨが不気味な笑みを口元に浮かべて、レヴルが一切映っていない映像魔水晶を見つめていた。その後ろでキースとカオリはコグレとナナヨとは裏腹に、困惑の表情を顔全体に浮かべており、映像魔水晶の映像を見ようともしない。
コ「おーいキース、カオリ、どうしたんだよ?そんな顔してよ。」
ナナ「今はまだ映ってないけど、レヴルの活躍見ないの?」
キ&カ「・・・・・」
コグレとナナヨに話し掛けられても、キースとカオリは黙ったままだ。そんな2人を見て、コグレは「ふぅ」と小さく息を吐くと、再び視線を映像に移し口を開いた。
コ「まっ、レヴルは俺とナナヨが指示したどおり動いてるから、映る訳ねぇか。」
ナナ「そうね。後はあの2人を船内から落ちさせないようにすればいいだけよ。ふふっ、私達の作戦、うまくいくかしら?」
コ「いくに決まってるだろ。俺とナナヨが考えた作戦なんだぜ?」
ナナ「そうだったわね。」
そこまで2人で会話を弾ませると、2人はキースとカオリを振り返った。
今までの2人の会話を聞いていたのか、キースとカオリの緑と青色の瞳は怒りで吊り上がっており、その瞳でコグレとナナヨの事を睨みつけていた。
コ「そんな怖い顔するなって。」
ナナ「そうそう。2人共、スマイルスマイル~♪」
コグレとナナヨの茶化すような言葉にキースとカオリの怒りは更に膨れ上がった。
キ「・・・・何で、何でレヴルに、頼んだんだ。」
キースが睨みつけたままコグレとナナヨに問い掛ける。
コ「最初は、キース、お前に頼もうとしたんだぜ。」
ナナ「でもキースは、絶対に私達の作戦に賛成しないでしょ?カオリも賛成しないし、ルチーアとアンナは元からいないし・・・で、仕方ないからレヴルに頼むしかなかったのよ。」
コ「アイツ、控えめだし大人しいし、簡単に引き受けてくれると思ったんだ。尚且つ、第3世代の滅竜魔道士だから強いだろ?」
カ「そんな・・そんな理由で、レヴルを・・・巻き込んだって言うのっ!?」
カオリの青い瞳には大粒の涙が溜まっていた。
コグレとナナヨはしばらく何も言わなかったが、口元に薄気味悪い笑みを浮かべた瞬間―――、
コ「あぁ。」
ナ「えぇ。」
と、短く言葉を放った。
カ「!」
キ「テメェ等ァ・・・!」
キースとカオリの固く握り締められた拳が、今すぐにでもコグレとナナヨの顔面を殴ろうと動こうとしているが、2人自身、分かっていた。
この2人が、銀河の旋律最強の魔道士だという事を―――――。
自分自身もギルド内ではトップを争う実力だが、この2人とは格が違いすぎる。米粒とドムス・フラウのような関係だ。
それはキースとカオリだけでなく、レヴルもルチーアもアンナも、他のメンバーにとっても同じ事なのだ。
銀河の旋律では、コグレとナナヨに敵う者はギルドマスター、シルファだけなのだ―――――。
コ「さて、この話は終わりにして、レヴルの活躍見届けようぜ。」
ナナ「2人が見届けてくれれば、レヴルもきっと嬉しいはずよ。」
コグレとナナヨはそう言って視線を映像に移したがキースとカオリは一切映像を見ようとしなかった。
キル「殴り技装置、発動!」
キルロがそう叫ぶと、灰色と青のリュックサックから4本指の機械の腕が伸び、ロキの鳩尾を、ルーシィの肩を殴りつける。
ロ「うがっ!」
ル「ロキ!きゃああっ!」
肩を殴られたルーシィは殴られた反動でよろめき、左足の位置が移動した。左足の着地点は大きな水溜り。船内の床には大小さまざまな水溜りができており、これもこれでリアル感を引き出している。その時、
?『いった!』
ル「!?」
すぐ近くで小さな悲鳴が聞こえた。辺りを見回してみるが、ルーシィの周りにはロキとキルロしかいない。明らかにさっきの悲鳴はこの2人の声ではない。
ル「(・・気のせい、かしら・・・?)」
そう思った矢先、
キル「油断禁物!蹴り上げ装置、発動!」
キルロがそう叫ぶと、さっきルーシィとロキを殴った4本指の機械の腕が今度はルーシィの顎に蹴りを決める。
ル「いぎぃっ!」
ロ「ルーシィ!」
顎を蹴られたルーシィはその場で吹っ飛び、尻餅をついた。しかもさっきの水溜りの上についたので、スカートがびしょびしょだ。
ル「あぁんもう!」
嫌気が差し叫んだ。その時、
?『だから痛いってばっ!!』
ル&ロ&キル「!!?」
またさっきの声が聞こえた。今度はロキとキルロにも聞こえたようだ。耳を澄ますと、声はルーシィのお尻の下にある水溜りから聞こえてきた。
ル「え・・・えぇぇえぇっ!!?」
スカートが濡れた事など忘れ、ルーシィは驚いてその水溜りから離れる。すると、水溜りがブクブクと泡立ち、空中で形作られていく。その形は人の形をしている。
チャ「な・・なな・・・何とっ!水溜りから姿を現したのは、ずっと姿を晦ましていたウララ・リネリアだぁーーーーーっ!!」
ヤ「こりゃあ驚いたねぇ。」
ラ「すごいテクニックです。ありがとうございます。」
会場が驚嘆の声で包まれる。
シェナ「ウララは水の滅神魔道士だから、自身の体を水に変換する事が出来るの。」
チ「雨の日に外でウララとかくれんぼしたら、絶対に見つけらないんだよねぇ~。」
タ「雨の日に外で遊ぶなよ。風邪引くぞ。」
ア「随分楽しそうなかくれんぼだな。チルチル、今度俺も混ぜてくれ。」
チ「いいよー。」
2名ほど的外れな会話をしているが、ウララが水溜りに化けて攻撃の様子を窺っていた事には理解出来た。
水から本来の姿を取り戻したウララは腕をぐーんと伸ばして伸びをする。どっかの誰かさんに踏まれたりお尻から乗られたりしたら、思いっきり伸びをしたくなるのは当然だ。
ル「あーもう!いちいち「どっかの誰かさん」って呼ばなくていいから!って、そんな事より・・・!」
敵がもう1人増えた。しかもその相手は、ギルド最強の魔道士。ルーシィの頬を冷や汗が流れ落ちる。冷や汗を垂らしているのはルーシィだけではない。キルロも焦りが混じった表情を浮かべている。
ウ「さてとっ、一気に片付けちゃうとしますか。」
そう言うと、ウララは背中に水の翼を生やし、船の上空へ移動する。
マ「ん?あの子、何してるんだろう?」
別の場所でヒリアと戦っていたマヤもウララの姿を見て首を傾げた。
ウララの両手に黒い水が纏わり付いていく。
ル「ロキ、一旦戻って!」
ルーシィは急いでロキを星霊界に帰らせると再び視線をウララに戻す。
ル「な・・何をするつもりなの・・・?」
ウララが今、何をしようとしているのかは誰にも分からなかったが、ウララが今、強烈な魔法を発動させようとしているのは誰もが分かった。そして―――――、
ウ「水神の・・・滝落としっ!!!」
叫んだのと同時に黒い水を纏った両手を下に向けると、両手に纏っていた黒い水が滝のように船内に流れ込んできた。
キル「うわぁああぁあああああっ!」
ル「ひゃあぁあああぁぁあああああっ!」
すぐ近くにいたルーシィとキルロはあっという間に黒い水に飲まれてしまった。
ナデ「きゃああぁぁあああぁあああああっ!」
ノ「のわぁああぁぁあああああっ!」
リ「ぐああぁあああぁあああああっ!」
バ「わあぁああぁあああああっ!」
シェ「ひいぃいぃぃいいいいいっ!」
ヒ「いぃやああぁあぁぁあああああっ!」
滝のように流れ込んできた黒い水は他の出場者達も飲み込む。
リョ「ルーシィッ!!」
ナ「マヤッ!!」
待機場所からナツとリョウが叫ぶ。
しばらくして、船内から溢れ出た黒い水と共に、何人もの出場者達が流れ込んできた。船から真っ逆さまに落ちる出場者達の事を透明な泡が包み込んだ。この泡はどんなものでも包む事が出来る包泡という魔法だ。
チャ「な、何という事でしょう!ウララ1人で他の出場者達を船内から突き落として」
ホ&マ「「ちょぉぉぉっと待ったぁーーーーーっ!!!」と、申しております。」
チャパティ・ローラの力強い実況より迫力のある声が船内から聞こえた。
ホ「「か・・勝手に競技を終わらせようとしないでよっ!まだ私、船の中に残ってるんだからねっ!!」と、申しております。」
マ「まだ私も残ってるよーーーっ!!!」
映像魔水晶に映っているのは、船内でびしょびしょになったホロロギウムの中にいるルーシィと、ワシのバーンに服の襟を掴まれ、船の上空にいるマヤの姿だった。
ウ「嘘ッ!?」
チャ「な・・なな・・・何とっ!ウララの強烈な攻撃に対し、ルーシィとマヤが無事に残っていたーーーーーっ!!!」
観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
大歓声が沸き起こる。
ナ&グ&リョ「おしゃぁっ!」
ウェ&ユ「よかったぁ~。」
エ「流石だな。」
ショ「これで3位以内は確定だな。」
ト「ルーシィさんもマヤさんもすごいですっ!」
エル「ルーシィとマヤ、漢だっ!」
フ「2人とも女だぞ。」
待機場所にいるナツ達も手を取り合っている。
ル「ありがとう、ホロロギウム。お陰で助かったわ。」
ホ「いえいえ。では、私はこれで。」
ホロロギウムはルーシィに頭を下げた後星霊界に帰って行った。
マ「バーン、ありがとう。ゆっくり休んでね。」
バー「グギャア。」
バーンは嬉しそうに一声鳴くと、魔法陣を通って住処へと帰って行った。
ルーシィとマヤの様子を、ウララは上空から静かに見つめていた。
ウ「あの攻撃をあんな方法で回避するなんて・・・流石、妖精の尻尾の魔道士ね。あーでも、やっぱり悔しいわね。」
ウララが上空で1人、感心やら後悔やらなどと呟いていると、
ウ「!」
レ「星竜の・・・咆哮ッ!!」
ウ「きゃああぁああぁぁあああああっ!!」
ル&マ「!!?」
ウララの悲鳴にルーシィとマヤが視線を上空に移すと、ウララの姿は金銀に光り輝く息に飲まれていた。
ウララの体はあっという間に傷だらけになり、そのまま真っ逆さまに落ちていき、包泡に保護された。
チャ「あぁっと!大活躍だったウララ、ここで船内から落下。それでも見事4位で5ポイント獲得です。」
シェナ「そ、そんな・・・!」
チ「ウララーっ!」
ア「くっそぉ!」
タ「今のは、銀河の旋律の・・・」
チャ「あぁっと!ここでずっと姿を晦ましていたレヴルが姿を現したーーーーーっ!!」
6つの映像魔水晶の映像にレヴルの姿が映し出される。
エ「やっと現れたか。」
エル「随分待たせやがって。」
ナ「ルーシィーっ!マヤーっ!そんな奴ボッコボコにしろよーーーっ!」
ナツが船に向かって大声で叫ぶ。
その隣で、リョウは銀河の旋律の待機場所に視線を移す。何かを企み、気体に満ちた瞳をしたコグレとナナヨ。それとは裏腹に、映像から顔を背けたキースとカオリ。
リョ「(嫌な予感がする・・・)」
水浸しの船内ではルーシィ、マヤ、レヴルが緊迫の空気の中見つめ合っていた。
ル「・・・アンタ、今までいったいどきゃああぁあっ!」
マ「!?ルーシィ!」
ルーシィが言い終える前に、レヴルは圧縮させた星の光をルーシィの鳩尾に投げつける。無防備だったルーシィは何も出来ずにそのまま吹っ飛び、船の柱に体をぶつける。
レ「星竜の・・・斬撃ッ!!」
ル「あああああっ!」
星の光を纏った右手を剣のように振るい、ルーシィの体を斬りつける。
チャ「ルーシィ、レヴルに一方的にやられ続けるばかり。手も足もでないかーーーっ!?」
チャパティ・ローラの実況の言うとおり、ルーシィは痛みに悲鳴を上げるばかりでレヴルの攻撃を防ぐ事も、レヴルに攻撃する事も出来ない。
マ「私を忘れるなーーーーーっ!!」
視界の隅で、拳に炎を纏ったマヤがレヴルに殴り掛かるのが見えた。が、
レ「お前は後。」
マ「うぐぁっ!」
ル「マヤ!」
マヤの拳がレヴルの顔面に当たる前に、レヴルはマヤの頭を鷲掴みにし、そのまま水浸しの床に叩きつける。
レ「星竜の・・・五芒星鎖ッ!!」
ル「あうっ!」
先端に五芒星が付いた金銀に光り輝く長い鎖がルーシィの体を締め付ける。
レ「・・・ゴメン・・・・・」
ル「え・・・」
レヴルの謝罪の声が聞こえたかと思えば、ルーシィの体は解放されていた。が、体は真っ逆さまに落ちていく。
リョ「ルーシィーーーーーっ!!!」
リョウが叫んだのと同時に、ルーシィの体は包泡によって保護された。
チャ「ここでルーシィ、船内から落下!3位で6ポイント獲得!そして、残るはレヴル選手とマヤ選手の2人!!勝つのはいったいどっちだっ!?」
船内にレヴルとマヤだけとなったのと同時に、砂時計がひっくり返された。5分間ルールが発動された。
レヴルが歯を食い縛る。固く握り締めた拳が、怒りと、己の情けで小刻みに震えている。
レ「(俺は、いったい何を・・・・)」
そんなレヴルの後ろ姿に忍び寄る黒い影―――――。
レ「!ぐぁはっ!」
気配に気づき振り返った時には、すでに炎を纏った拳が目の前にあった。かわす事が出来ず、まともに食らい水浸しの床を滑り転げる。
レ「っ・・・!」
思った以上に強烈な痛みで顔を顰める。
マ「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・」
目の前には肩で大きく息をしているマヤがいた。
マ「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・てぇいっ!」
荒く息をしながらも、マヤは炎を纏った拳を大きく振るう。
レヴルの黄色い瞳には、その光景がスローモーションのように動いていた。
コ『マヤ・ララルドが拳を振り下ろした瞬間がチャンスだ。』
ナナ『その一瞬の隙に、マヤ・ララルドの手から火炎石を奪い取るのよ。』
昨晩、コグレとナナヨに指示された内容が脳裏に浮かんだ。
そう。今までのレヴルの行動は、全てコグレとナナヨが考えた作戦だったのだ。
レヴルの右手がスローモーションのように動き出す。この時レヴルは、自分の右手が自分の意思で動いているのか、コグレとナナヨに操られているのか分からなくなっていた。
マ「くあっ!」
気づいた時、自分の右手はマヤの鳩尾に命中しており、マヤの手からコロンと火炎石が落ちたのと、マヤが床に倒れ込むのが同時だった。
レヴルは落ちた火炎石を急いで掴み取ると、思いっきり助走をつけて投げ捨てた。
マ「そ・・そんな・・・!」
鳩尾を押さえたマヤが小さく声を漏らした。
コ『火炎石を奪い取ったら、マヤ・ララルドを容赦なく痛めつけろ。』
ナナ『死なない程度に、容赦なくよ。分かった?』
5分間ルールはすでに終わっていた。後は順位をつけるだけだ。
レヴルが右手を床に着けると、金色の魔法陣が展開し、マヤが立っている位置には銀色の魔法陣が展開した。
マ「!・・・な、何、これ・・う、動け・・ない・・・」
マヤの体は指1本動かす事が出来なくなってしまった。
すると、身動きが出来ないマヤを囲うように銀色の魔法陣から藍色の柱が4本現れた。
レ「我は星竜、スフィアスターの力を手に入れし者。対するは、星々の恐れを知らぬ、醜く哀れな儚き少女。」
レヴルは呪文のような言葉を紡いでいく。言葉を紡いでいくうちに、藍色の4本の柱の先端に金色の光が灯っていく。
レ「我を善に導きし、少女を悪に導きたまえ―――!」
4つの金色の光が徐々に大きくなっていく。
レ「悪よ、全天88星の裁きを受けよ―――――!」
4つの金色の光が1つになった。
レ「ギャラクシー・ジャッジ!!!」
金色の光がマヤを包み込んだ。
マ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
マヤの叫びが響き渡る。
ユ「マヤ!」
ショ「あいつ、マヤを殺す気かっ!?」
ナ「止めろおぉおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ナツが身を乗り出して叫んだ。
マ「(・・・ナ・・ナ、ツゥ・・・・)」
遠のく意識のマヤの耳にも、ナツの叫びははっきりと聞こえていた。
レ「・・・ゴメン・・・・・」
レヴルの謝罪の声が聞こえたのと同時に、マヤの意識は完全に途切れた。
マヤの意識が途切れた後も、レヴルは攻撃を止めようとしない。
フ「アイツ、いつまで攻撃を続ける気だっ!」
フレイの怒りは頂点を優に越していた。
ト「痛めつける為・・・」
エ「もう勝負はとっくのとうについている!」
ウェ「このままだと、マヤさんが・・・!」
リョウは歯を食いしばり、銀河の旋律の待機場所に視線を移す。キースとカオリは映像に背を向けているが、コグレとナナヨは映像を見て不気味な笑みを口元に浮かべていた。
コグレがリョウの視線に気づいたのか、こっちを振り返った。そして、映像に映っているマヤを指差した後、親指だけを立てた右手を、親指が下を向くようにして手を動かした。
コグレの手の動きを見たリョウは怒りで目が血走り、拳をこれまでにないくらい固く固く握り締めた。
主1「今すぐに競技を止めさせろぉぉぉっ!」
主2「動物使いが死んでしまうっ!」
チャ「こ・・ここでレフリーストップ!競技終了ッ!!勝者、銀河の旋律、レヴル・スイスト!!やはり強い!マヤ選手・・さっきから全く動いていませんが、大丈夫でしょうか・・・?」
競技が終わっても、マヤはピクリとも動かない。
ナ「マヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
待機場所からナツ達が一斉に飛び降り、ボロボロのマヤの元へと駆け寄った。
後書き
第183話終了です☆
はぁ~、長かったぁ~・・・何かマヤ、ヤバイ事になっちゃったけど、大丈夫かなぁ?
次回はいよいよ!妖精の尻尾A・B統合の時!果たして、FT友恋の新・妖精の尻尾はいったい、どのようなメンツなのか―――――!?
次回もお楽しみに~☆
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