FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第184話 新・妖精の尻尾
前書き
今日で暁を始めてから丁度1年になった紺碧の海で~す♪
今回は遂に、妖精の尻尾A・B統合の時!果たして、FT友恋式の新・妖精の尻尾のメンツはいったい―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第184話・・・スタート♪
レヴルが顔を伏せたまま、ピクリとも動かないマヤを横抱きに抱え、船の外に押し出そうとする。
ナ「マヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
待機場所からナツ達が飛び降り、マヤの元へ駆け寄って来るのを見計らい、タイミングよくマヤのボロボロの体を船から落とした。
落とされたマヤのボロボロの体は真っ逆さまに落ちていく。
一番最初に飛び降りたナツとフレイが地面スレスレの位置から落ちてきたマヤの体を受け止めた。
ユ「マヤ!」
ト「マヤさん!」
エル「しっかりしろっ!」
エ「ウェンディ!治癒魔法を、早く!」
ウェ「はいっ!」
シェ「ウェンディ、手伝うよっ!」
ル「マヤ、しっかりしてぇっ!」
すぐに他のメンバーも駆け寄って来て、ウェンディとシェリアが治癒魔法をマヤにかける。
レヴルは背中に金銀に輝く翼を生やすと船から飛び降り、音一つ立てずにその場に着地した。着地したレヴルをナツが怒りに満ちた瞳で睨み付ける。
ナ「お前、自分が何をしたか、分かってるんだよな?ア?」
レ「・・・・・」
ナツの問いにも、レヴルは黙ってままで、ずっと顔を伏せたままだった。その態度にナツの怒りは更に爆発し、固く握り締めた拳に紅蓮の炎を纏い、レヴルに殴り掛かろうとしたが、レヴルを庇うようにどこからかキース、カオリ、コグレ、ナナヨがレヴルの前に立ち、振り上げたナツの右腕をリョウが掴むのが同時だった。
ナ「おい離せよリョウ!こいつ等は、マヤとルーシィを傷つけたんだぞっ!お前だって、こいつ等の事許せ」
リョ「黙ってろ。」
ナ「!」
リョウの一声に、ナツが押し黙った。
リョウの口調も、声のトーンもいつもと変わらない。ただ、その言葉に込めた感情の迫力と、リョウの茶色い瞳が鋭い光を放たれたのを見て、身震いするほど恐ろしかったのだ。
ナツが何も言わなくなると、リョウは黙ってナツから手を離し、銀河の旋律のメンバーに向き直った。
リョ「お前等は、相当な落ち零れだな。」
リョウの言葉にコグレとナナヨは「ふんっ」と鼻で笑うと、上から見下すようにリョウに視線を送った。
コ「落ち零れはどっちだよ?妖精さん達よぉ?」」
ナナ「むしろレヴルに感謝してほしいわね。5分間、ずっと落とさなかったのよ?そんな役に立たない小娘ちゃんを。」
ナ「んだとぉ・・・!」
エ「ナツ。」
ナ「!」
ナナヨの発言にナツは握り締めた拳に炎を纏ったが、あっさりとエルザに止められた。
リョ「お前等は、何も知らねぇ。」
ル「!」
リョウが呟いた。
その迫力差にルーシィはビクッと身震いし、目を見開いた。
ト「羽をもがれた妖精は、飛ぶ事が出来ず、苦しみ、もがき続ける。」
ウェ「!」
リョウに続くように、今度はトーヤが呟いた。
いつもと違う雰囲気を纏ったトーヤを見て、ウェンディは目を見開き、思わず治癒魔法をかけていた手を止めてしまった。
フ「それを目の当たりにした仲間の妖精は、傷つき、恨み、涙を流す。」
ナ&エル「!」
今度はフレイが呟いた。
ナツの背中を殺気が駆け巡り、エルフマンは思わず息を呑んだ。
ショ「お前達はすぐに、後悔する事になる。」
ユ「マヤを、ルーシィを・・・仲間を傷つけられた、私達妖精の怒りを・・・・」
グ&エ「!」
ショールとユモが続けて呟いた。
グレイとエルザは背後から感じる殺気に恐る恐る振り返ってが、すぐに振り返った事に2人は後悔した。ショールとユモの瞳に映っていたのは、銀河の旋律のメンバーと、怒りに燃え盛る紅蓮の炎だった―――――。
リョウが、左腰に装備してあった聖剣、『竜風剣』を鞘から抜き、銀色に光る刃先を銀河の旋律に向けると、
リョ「お前等は、一番怒らせてはならねぇギルドの、一番怒らせてはならねぇ妖精達を、敵に回した。」
コグレとナナヨは不敵に微笑んでいるだけであり、それとは裏腹にキースとカオリはリョウ達から視線を逸らしていた。
レヴルは唇を噛み締め、固く握り締めた拳の震えを必死に抑えながら、
レ「・・・ゴメン・・・・・」
誰にも聞こえない声で呟いた。
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妖精の尻尾専用医務室にあるベッドには、ウェンディとシェリアの応急処置を受け、体全身に包帯や湿布、絆創膏で手当てをされたマヤが横になっている。
マヤが寝ているベッドをA・Bチームのメンバーと、ハッピーとシャルルが囲むように佇んでいた。皆深刻な表情を浮かべている。
ポ「ウェンディとシェリアのお陰で、命に別状はないし、傷跡も残らんよ。」
エ「そうですか。」
ユ「よかった。」
ト「今は安静にしてるのが一番ですね。」
トーヤの声にその場にいたマヤ以外の人間が黙って頷いた。
リョ「ルーシィは大丈夫なのか?」
リョウが隣にいるルーシィを見て問う。ルーシィも腕に包帯、右頬に絆創膏を張っており、マヤほどではないが、多少の傷を負っている。
ル「私なら大丈夫。こんくらいの傷、すぐに治るから。」
ルーシィは笑って答える。その笑顔にとても無理をしている感じの素振りは無かった。それを見てリョウも小さく微笑んだ。
ナ「アイツ等ァ・・・!」
ウェ「ナツさん、言いたい事は分かっています。」
ショ「皆、ナツと同じ気持ちだ。」
グ「ここで暴れたって、意味がねぇだろ。」
フ「今は抑えろ。」
ナツは必死に怒りを抑え込もうとするが、拳だけは怒りに敵わず、小刻みに震えるばかりだった。その時、
マ「・・ぅ・・・」
ハ「マヤ!」
マヤの小さな呻き声にハッピーが声を上げ、全員の視線がマヤに集まる。
マヤはしばらく薄っすらとオレンジ色の瞳を開けたり閉じたりを繰り返し、天井を見つめたりという動作を繰り返していた。
マ「こ・・ここ、はぁ・・・?」
ウェ「医務室です。」
エ「『空船戦』でレヴルに倒され、ここに運び込まれたんだ。」
ル「覚えてる?」
ウェンディ、エルザ、ルーシィの順に説明をする。
マヤはしばらくきょとんとした表情を浮かべていたが、
マ「・・・あ、そう・・だった・・・・」
すぐに思い出したかのように頷いた。が、マヤの表情はすぐに曇った。
マ「じゃあ、私・・・負けた、んだ・・・」
悲しそうに呟いた。
ユ「でもマヤすごいよ、2位だよ。」
リョ「8ポイント獲得して、今は54ポイントだ。」
フ「よくやったじゃねぇか。」
因みにルーシィは3位で6ポイント獲得し、現在44ポイントである。AチームとBチームは10ポイントの差がある。
マ「あ。か・・火炎、石は・・・?」
急に不安そうな表情になるマヤ。そんなマヤの左手の中に、ナツが強引に何かを握らせる。マヤが手の中を見てみると、赤く光り輝く石―――火炎石があった。
シャ「ナツが必死になって探してくれたのよ。」
ナ「もうぜってぇ手放すんじゃねぇぞ。」
マ「うん。」
マヤは嬉しそうに手の中にある火炎石を見つめた。
マ「ナツ、ありがとう。」
ナ「おう。」
白い歯を見せながらナツも嬉しそうに笑った。
ショ「それにしても・・・」
エル「汚ねぇ奴等だな、銀河の旋律ってのは。」
ト「レヴルさんという方、酷いやり方ですね。」
ル&マ「待って!」
トーヤの発言にルーシィとマヤが同時に声を上げ、全員が不思議そうな顔をする。
エ「どうしたんだ?」
ル「私の勘違いかもしれないけど、レヴルは悪くないと思うの。」
マ「え?ルーシィも?」
ル「マヤも?」
他の皆はもちろん、ルーシィとマヤも顔を見合わせて不思議そうな顔をする。
ハ「ルーシィ、今、「レヴルは悪くないと思う」って言ったよね?」
ウェ「マヤさんも、どうしてそう思うんですか?」
ウェンディの問いに、ルーシィとマヤは同時に、しかも同じ言葉を呟いた。
ル&マ「レヴルが、「ゴメン」って言ったの。」
当然の事だが、「ゴメン」は謝罪の時に使う言葉である。
ト「という事は、レヴルさんがルーシィさんとマヤさんに、謝ったって事ですよね?」
グ「ちょっと待てよ。銀河の旋律の奴等は、元から妖精の尻尾の事を敵視してたよな?それなら、ルーシィやマヤの事をあんな目に合わせて、謝るってのはどう考えても可笑しくねぇか?」
勘が鋭いグレイの見事な解釈に、全員が同時に納得し、全員が同時に疑問を抱き始めた。
ショ「もし・・今グレイが言った事が正しいなら、レヴルの行為は誰かが考えたもので、それをレヴルがやらせた、という事になるけど・・・」
シャ「偶然かどうか分からないけど、見事に話の辻褄は通ってるわね。」
ユ「じゃあ、それを考えたのは誰なの?」
また新たな疑問が生まれ、全員首を傾げた。1人を除いて―――――。
リョ「コグレとナナヨ・・・」
リョ以外「えっ?」
今までずっと黙っていたリョウが口を開いた。
全員の視線がリョウに集まる。
リョ「恐らく、ルーシィとマヤを襲う作戦を考え、それをレヴルに押し付けたのは、コグレ・ファラスとナナヨ・リーブルだ。」
リョ以外「!!?」
その場にいた全員が息を呑んだ。
エ「・・・確信は、あるのか?」
冷静を取り戻したエルザが問う。リョウも冷静に答える。
リョ「あの2人は、周りの様子を見て行動を取る観察力、相手の弱点、クセを見つけ出す洞察力、的確に仲間に指示を出す判断力。戦闘に関する知識が豊富で、その才能を活かした作戦を考えるのを最も得意としているんだ。だが、天空の覇者という異名を持つコグレと、大地の覇者という異名を持つナナヨの2人が考えた『天地の作戦』は、必ず惨劇を招くと言われてるんだ。」
リョ以外「!!!」
再びその場にいた全員が息を呑んだ。
リョ「それに・・・あの2人の目。」
ハ「目?」
リョ「あの2人の目には、『悪』しか映ってなかった。惨劇を招く作戦を考えられるのは、『悪』に染まった人間だけだ。」
的確すぎるリョウの解釈に、言葉を発する事が出来る者はいなかった。
リョ「そんなに驚かなくてもいいだろ。とにかく、コグレ・ファラスとナナヨ・リーブルには要注意しろよ。」
ナ「お・・おう。」
ト「わ、分かりました・・・」
その時、キィと音を立てて医務室のドアが開き、マスターが中に入って来た。
マカ「A・Bチーム、全員揃っておるようじゃな。」
ウェ「!」
ショ「マスター。」
全員の視線がマスターに集まる。マスターは目を伏せると、ため息混じりに呟いた。
マカ「この決断が、今年の大魔闘演舞の運命を大きく左右させる事になるじゃろうな。たった今、大魔闘演舞の主催者側から、A・B両チームの統合命令が言い渡された。」
フ「なっ!?」
ユ「統合命令!?」
リョ「(やっぱり・・・)」
マ「何で何で?」
マカ「死者の仮面・・・いや、高速の弾丸の失格により、参加ギルドの数が11となって、バトルパートの組み合わせが奇数では困るとの事じゃ。なので、A・Bチームを1つにして、新規5人でチームを再編成しろ・・・とな。」
グ「去年と一緒じゃねぇかよ。」
エル「点数はどうなるんだ?」
シャ「今年も低い方に準ずるんじゃないの?」
マカ「いや、去年低い方に準ずったから、今年は高い方に準ずる事になった。」
エ「という事は、Bチームの54ポイントという事か。」
ル「まぁ、主催者側の判断なら仕方ないわね。」
ウェ「でも、更に強いチームを作れるって事ですよね。」
ショ「でも、残ってる種目はこれからやるタッグバトルだけだよな?今から5人決めても、ほぼ意味がないんじゃ・・・?」
ショールの疑問をポーリュシカが振り払った。
ポ「いいや・・・明日の休みを挟んで、最終日“5人全員参加”の戦いがあるはずだ。」
そこまで言うと、ポーリュシカはA・Bチームの全員を見渡しながら、
ポ「この12人の中から、慎重に選んだ方がいいよ。マヤは無理だけどね。」
マ「えぇーーーーーっ!!?そんなぁ~・・・」
しゅんとマヤが小さくなる。それとほぼ同時に、ガタンと音を立てて勢いよじゅナツが椅子から立ち上がった。
ナ「俺は絶対に出て、マヤの敵をとるっ!マヤを傷つけられたっ!マヤを笑われたっ!俺は絶対に、アイツ等を許さねぇっ!!」
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観客達の声が飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ。バトルパートが始まる前から、会場は大騒ぎだ。
チャ「妖精の尻尾のチーム再編成も終了し、いよいよ、大魔闘演舞4日目バトルパートに突入しますっ!」
ヤ「4日目のバトルパートはタッグマッチなんだよね?」
ラ「2対2ですか。楽しみですね!ありがとうございます!」
チャ「今回は、すでに対戦カードも公表されています。」
『大魔闘演舞4日目バトルパート タッグマッチ対戦カード表』
幸福の花 VS 青いの天馬
月の涙 VS 白い柳
蛇姫の鱗 VS 海中の洞穴
四つ首の猟犬 VS 気楽な禿鷹
妖精の尻尾 VS 銀河の旋律
チャ「やはり注目は、妖精の尻尾と銀河の旋律のタッグマッチでしょうか?」
ヤ「新・妖精の尻尾はどんなチームなんだろうねぇ?」
ラ「とっても楽しみです!ありがとうございます!」
すると、石造りの会場の出入り口の鉄格子が開き始めた。
チャ「さぁいよいよ!新・妖精の尻尾がその姿を現すぞーーーーーっ!!」
暗い通路に浮かび上がる、5つの黒い影。
マ「皆、全力全快で頑張ってね!」
暗がりに揺れる桜色と、白いマフラー―――――。
ル「後は頼んだわよ。」
暗がりに揺れる茶色と、ガシャ、ガシャと剣が擦れる音―――――。
エル「漢なら、ガツンとぶつかって来いっ!」
暗がりに揺れる紺色と、白いロングコート―――――。
ショ「応援席から、見守ってるよ。」
暗がりに揺れる緋色と、ガシャ、ガシャと鎧が軋む音―――――。
ウェ「応援してますからねっ!」
暗がりに揺れる水色と、水色のワンピース―――――。
ト「すごいチームが出来上がりましたね。」
フ「これは、優勝間違いなしだろ。」
仲間達が気体に満ちた瞳で頷き合う。仲間の中で、笑顔を浮かべていない者は誰一人としていなかった。
マカ「我等ギルドと仲間の想いは1つになった。この想い、主等に託すぞ。」
5つの黒い影の前に、道が切り開いた。
大歓声が沸き起こり、会場が震え始めた。
チャ「会場が震える――――――――――!!!今ここに・・・」
新・妖精の尻尾の5人が会場に姿を現した。
チャ「妖精の尻尾参上ーーーーーーーーーーッ!!!」
ナツ、リョウ、グレイ、エルザ、ユモの5人が会場に姿を現した。
チャ「鳴り止まないこの大歓声!震える会場!もうこのギルドは、誰にも止められなーーーーーーーーーーっ!!」
銀河の旋律が、海中の洞穴が、蛇姫の鱗が、青い天馬が、幸福の花が、月の涙が、四つ首の猟犬が、白い柳が、気楽な禿鷹が、新・妖精の尻尾に向かい打つ!!!
チャ「果たして、今年の大魔闘演舞、優勝するのはいったいどのギルドなのかっ!?」
ヤ「全く予想もつかないねぇ。」
ラ「ありがとうございます!ありがとうございます!」
銀河の旋律のメンバーが、新・妖精の尻尾のメンバーに歩み寄る。コグレはナツに、ナナヨはリョウに視線を送ると、2人は不敵な笑みを浮かべた。
リョ「ルーシィとマヤの件は許した訳じゃねぇ。もうバレてんだ。お前等の仕業だろ?」
リョウの言葉にコグレとナナヨは更に口角を上げて不敵に微笑み、キースとカオリとレヴルは目を見開いた。
コ「安心しろ。アレは俺とナナヨからのちょっとしたあいさつ代わりだ。でもまぁ、俺達の仕業だって見抜いた事には、褒めてやるぜ。」
ナナ「お互い、今日と明日を存分に楽しみましょう。もちろん、優勝するのは銀河の旋律ですけどね。」
不敵な笑みを崩す事無く、コグレとナナヨは立ち去って行った。キースとカオリとレヴルの3人は一度ナツ達を振り返ったが、すぐに視線を逸らしコグレとナナヨを追いかけて行った。
ナツは拳を固く握り締め、紅蓮の炎を纏い、決意を決めたかのように呟いた。
ナ「燃えてきたぞ。」
後書き
第184話終了~♪
遂に!新・妖精の尻尾登場ーーーーーッ!!!FT友恋ではナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモでした。
次回は大魔闘演舞4日目バトルパート、第1試合(と、たぶん第2試合)をやります!
お楽しみに~♪
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