FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第182話 『空船戦』
前書き
紺碧の海です!更新遅れてスミマセン!
今回は大魔闘演舞4日目の競技パートです!その内容は・・・えっ?船?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第182話・・・スタート!
妖精の尻尾専用医務室に続く通路を購入したばかりの傷薬や包帯を両手に抱えたポーリュシカが歩いていた。聖剣、『花錦剣』に刺されたリョウの傷の手当てにほとんど使い果たしてしまった為、たった今買って来たのだ。
医務室の前に立つと、ポーリュシカはゆっくりと扉を開けた。
ポ「!」
扉を開け中に入った瞬間、ポーリュシカは目を見開いた。
リョ「あ、お帰りなさい。ポーリュシカさん。」
リョウが振り返って笑顔で出迎えた。
ベッドの上で寝ているはずのリョウだが、今のリョウはベッドから起き上がっており、黒い袴を穿き、緑色の着物に腕を通すところだった。リョウの腹部にはもちろん、薄っすらと血の滲んだ白い包帯が巻かれている。
ポ「・・・アンタ、何やってるんだい?」
驚いたポーリュシカだが、すぐに冷静さを取り戻しリョウに問う。
リョ「見ての通り、着替えてるところです。あ、別に医務室から出る必要ないですからね。」
ポーリュシカの問いに答えながら、リョウは緑色の着物を着終えると白い足袋に手を伸ばす。
ポ「まさか、会場に戻るつもりかい?」
リョ「そのまさかですよ。」
ポ「!?」
ポーリュシカが驚いてるのにも構わず、リョウは白い足袋を右足に履くと、もう片方の白い足袋に手を伸ばし履き始める。
ポ「バカな事を言うんじゃない。その怪我で出場したら、更に傷口が開き、死に至るかもしれないんだよ。」
リョ「そんな事、俺自身が一番理解してますよ。」
ポ「だったら大人しく寝ているんだね。試合は映像魔水晶からでも見れるからそれで良いじゃないか。」
リョ「それが良くないんですよ。」
ポ「?」
ポーリュシカが首を傾げてる間にも、リョウは足袋も草履も履き終え、6本の聖剣を1本ずつ腰に装備していく。
リョ「これから始まる4日目の競技パート、よく分からないんですけど、何かものすごく嫌な予感がするんです。」
右腰に『銀覇剣』を、左腰に『天力剣』を装備する。
リョ「それに、そろそろA・Bチーム統合命令が主催者側から言い渡されると思うんですよ。高速の弾丸が失格したから、参加チームが11になってバトルパートの組み合わせが奇数だと困りますから。」
右腰に『嵐真剣』を、左腰に『花錦剣』を装備する。
リョ「A・Bチームが統合された妖精の尻尾に、俺は必ず出ますよ。怪我なんて気にせずに。」
右腰に『妖魔剣』を、左腰に『竜風剣』を装備し終えると、リョウは振り返りポーリュシカの瞳を正面から真っ直ぐ見つめた。
リョ「止めても無駄ですよ。死んだら死んだで、それは俺の自己責任。後悔は絶対にしません。俺は、この命が消えようと、必ず妖精の尻尾を、優勝に導きますよ。」
一度にそう告げると、リョウはポーリュシカの横を通って医務室から出て行った。そんなリョウにポーリュシカは何も言い返す事が出来なかった。
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「♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~
♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~」
夜が明け、クロッカスの街に軽やかなファンファーレが鳴り響く。
チャ「大魔闘演舞4日目!昨日より壮絶な展開が待ち遠しいぃーっ!本日のゲストはシェラザード劇団座長ラビアンさんにお越し頂きました。」
ラ「お招き、ありがとうございます。」
余談だが、ラビアンの口癖は「ありがとうございます」だ。礼を言う場面でないところで礼を言い、礼を言う場面で礼を言わない、あべこべな礼の仕方をする。
チャ「これまでの順位で、1位は銀河の旋律、2位は妖精の尻尾B、3位は妖精の尻尾Aという結果になっております。」
ヤ「今日はどんな巻き返スがあるかねぇ。」
ラ「とても楽しみです、ありがとうございます。」
因みにここは礼を言わない場面である。
ヤ「ところで、今日から新たな規律が追加されたんだよね?」
チャ「その通りです。今からご説明致しましょう。」
チャパティ・ローラはスーツのポケットから2つに折り畳まれた白い紙を取り出し、紙に書かれている文章を読み上げる。
チャ「えー、大魔闘演舞の参加チームは通常5人でリザーブ枠が1人いるのですが、本日からそのリザーブ枠を2人にする事が出来るようになりました。」
ナ「んなっ!?」
ル「リザーブ枠が、2人ィ!?」
ショ「どうしていきなり・・・?」
ナツとルーシィが驚嘆の声を上げ、ショールが首を傾げる。
チャ「理由は・・・ど、どうやらフィオーレ国王の強い願望だそうで・・・」
ヤ「・・・それは国王ではなく、作者の強い願望なんじゃないかね?」
ヤジマさん、そこには詳しく触れないで下さい(by 紺碧の海)。
マ「なぁ~んだ、リザーブ枠の数が増えるだけか。」
ユ「Bチームのリザーブ枠はフレイだけで十分だよね。」
ト「頼りにしてます、フレイさん。」
フ「お、おい・・そんなに責任かけるなよ・・・」
フレイの体に思い責任がどんどん積み上げられていく。
エ「Aチームも必要無いな。」
ウェ「エルフマンさんがいれば心強いです!」
グ「去年お前すごかったからな。また期待してるぜ。」
エル「お・・おぅ・・・」
エルフマンは照れ臭そうに右手の人差し指で頬を掻く。
チャ「それでは早速4日目競技パートに参りましょう!」
すると、どこからか大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が姿を現した。
マト「競技の名は・・・『空船戦』!!」
マトー君が競技の名を叫んだのと同時に、大魔闘演舞の会場、ドムス・フラウの上空に巨大な水色の魔法陣が展開され、そこから巨大な海賊船が姿を現した。
チャ「な・・なななな何とっ!会場の上空に1艘の巨大な海賊船が出現したぁーーーっ!」
ヤ「こりゃあ驚いたねぇ。」
ラ「すごい舞台です!ありがとうございます!」
観1「な・・何だありゃっ!?」
観2「でっけぇー・・・」
観3「海賊船、かしら・・・?」
突然姿を現した巨大な海賊船に会場中は大騒ぎだ。
ル「す・・すごい・・・」
ナ「う・・うぷ。」
ト「ナツさん、見ただけで酔わないで下さい。」
フ「『空船戦』にナツは確実に参加出来ねぇな。」
見ただけで口を押さえて青い顔をするナツにトーヤが指摘しフレイが呆れる。
マト「出場者は、各ギルド1名です。」
各ギルドのメンバーが輪になった。
キル「一夜さん、俺が行っても良いですか?」
一「うむ。勝利の香りを期待してるぞ。」
映像魔水晶に映像が映し出される。
チャ「最初に名乗り出たのは青い天馬、キルロ・ラルネス!!」
観女全「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
余談だが、ショールと戦ってからキルロはパーカーのフードを被っていない。
ヒ「じゃあ、私が行くね。」
ア「気をつけてね、ヒリア。」
映像が切り替わり、
チャ「気楽な禿鷹からは、ヒリア・フーガベース!!」
ナデ「わ・・わわわわ私が、い、いき・・行きますぅっ!」
映像が切り替わり、
チャ「幸福の花からは、ナデシコ!!」
ル「今度はあたしに行かせて!」
エ「頑張れよ、ルーシィ。」
映像が切り替わり、
チャ「妖精の尻尾Aからは、ルーシィ・ハートフィリア!!」
セ「リキ~、お前に任せる。」
リ「分かった。」
カリ「頑張ってね、リキ。」
映像が切り替わり、
チャ「月の涙からは、リキ・ロレックス!!」
オ「シェリア、アンタが行きなっ!行かなかったら回すよっ!」
ト「何で俺ェ~~~~~!?」
シェ「分かりました!」
映像が切り替わり、
チャ「蛇姫の鱗からは、シェリアたぁ~ん♪」
ヤ「キャラ一変してるよアンタ・・・」
ラ「すごくキモいです。ありがとうございます。」
チャ「妖精の尻尾A!なぜウェンディたんを出さなかったんだーーーっ!」
ル「余計なお世話よっ!」
バ「さて、次は俺が行こうかな?」
映像が切り替わり、
チャ「海中の洞穴からは、バロン・クライシス!!」
マ「よぉ~し!ここは私の出番だーーーっ!」
映像が切り替わり、
チャ「妖精の尻尾Bからは、マヤ・ララルド!!なぜウェンディたんを出さないんだーーーっ!」
マ「文句言うなーっ!ていうかチーム違うからっ!」
ロ「ノバーリ、ワイルドに行って来いっ!」
バッ「ヒッ、魂震わせて来いよぉ~・・・ヒック。」
ノ「ワイルドーーーーーッ!!」
映像が切り替わり、
チャ「四つ首の猟犬からは、ノバーリ!!」
シェナ「えぇっ!?ウララが行くのぉっ!?」
タ「な・・何か、あっさり終わらせちゃいそうだよ・・・」
チ「相手、殺さないでよ。」
アチュ「あぁぁ・・・怖く、なってきた・・・・」
ウ「そんなにビビらないでよ。じゃっ、行って来るわね。」
映像が切り替わり、
チャ「白い柳からは、ウララ・リネリア!!」
ヤ「白い柳の最強が登場だね。」
ラ「ありがとうございます。」
チャ「次々と出場者が出揃う中、銀河の旋律だけがまだ決まってないみたいですね。」
ヤ「どうスたんだろうねぇ?」
ラ「分かりません。ありがとうございます。」
会場にいる人間全員がまだかまだかと『空船戦』が始まるのを心待ちにしている中、銀河の旋律の出場者だけが一向に決まらない。
コ「レヴル、お前が行け。」
レ「えっ・・・」
カ「!?」
キ「ちょっ!何でレヴルが!?この展開だと、俺が行くべきじゃないですかっ!」
ナナ「私とコグレにもちゃんとした考えがあるの、ねぇ?」
コ「あぁ。レヴル、昨日の夜に俺とナナヨが言ったとおりの事をしろ。良いな?」
レ「・・・分かり、ました。」
キ「!?」
カ「レヴル!」
ナナ「はいはい。キースとカオリはここで大人しく、レヴルの戦う姿を見てなさい。」
映像が切り替わり、
チャ「大分時間が掛かったようですが、銀河の旋律からは、レヴル・スイスト!!」
エル「おい、銀河の旋律のメンバーに新しい奴いねぇか?」
エルフマンが銀河の旋律の待機場所を見て呟く。エルフマンの言うとおり、ルチーアとアンナがそこにはいなく、代わりに新たな2人の男女がいた。
ナ「誰だあいつ等?」
ユ「リザーブ枠の人達じゃない?」
ト「でも、それならルチーアさんとアンナさんがいると・・・」
グ「つーか、まだあんな隠し玉がいたのか。」
ショ「しかも2人か。」
ナツ、ユモ、トーヤ、グレイ、ショールという順に口々に言う。すると、
リョ「コグレ・ファラスとナナヨ・リーブルだ。」
リョ以外「!!?」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、驚いて振り返ってみると、6本の聖剣を3対ずつ装備したリョウがいた。
フ「リョウ!」
ウェ「リョウさん!」
エ「なぜお前が・・・そんな事より怪我は?」
リョ「まだ完治してねぇよ。」
エルザの問いにリョウは当然のように答える。
グ「おい、まさかだとは思うが、大魔闘演舞に出場する気か?」
リョ「よく分かったな。そのと」
エル「何言ってんだよ、そんな怪我で出場したら、また傷口開いちまうじゃねぇかっ!」
リョウの言葉を遮るように、エルフマンが制止の声を掛けるが、
リョ「俺の性格、知ってるだろ?」
エル「う・・・」
たった一言でエルフマンを押し黙らせた。
エルフマンの背後ではショールが「はぁ」とため息をついていた。
ユ「ところでリョウ、あの2人の事知ってるの?」
リョ「あぁ。」
ユモの問いに返事をした後、リョウの茶色い瞳に鋭い光が灯った。
リョ「あの2人は、銀河の旋律最強の魔道士、天空の覇者、コグレ・ファラスと、大地の覇者、ナナヨ・リーブルだ。」
会場のど真ん中には大魔闘演舞4日目の競技パート、『空船戦』に出場するルーシィ、マヤ、キルロ、ヒリア、ナデシコ、リキ、シェリア、バロン、ノバーリ、ウララ、レヴルが集結した。
ル「それにしても、めちゃくちゃリアルな海賊船ね。」
ルーシィが上空を見上げながら呟く。
『空船戦』の舞台である海賊船は長年海の底に沈没してしまった海賊船をモチーフにしている。白い骸骨が描かれている破れた黒い旗、ボロボロの白い帆、苔だらけの船体。海賊船ではなく、幽霊船にも見えてしまうのは気のせいだ。
マ「海賊船って、普通は海にあるよね?あの海賊船は空にあるから空賊船だね。」
ル「細かい事は気にしなくていいんじゃない・・・?」
ルーシィはマヤのどこか気の抜けた会話に呆れる。
すると、石造りの会場の出入り口から大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君がちょこちょこと歩いて来た。マトー君は『空船戦』の出場者達の前で立ち止まると、
マト「では、大魔闘演舞4日目の競技パート、『空船戦』のルール説明を行いますカボ。」
マトー君が身振り手振りで『空船戦』のルール説明を話し始めた。
マト「出場者の皆さんにはあの海賊船の船内で戦って頂き、魔法をぶつけ合い、相手を船から落としていくカボ。簡潔に言うと、オープニングゲームの『浮上板』とほぼ同じカボ。落ちた順が早いほどポイントは少ないカボ。」
マトー君も言ってくれたが、『浮上板』とほとんど同じだ。
マト「ただし、船内で最後の2人になった時、特殊ルールが発動されるカボ。」
マトー君の表情が一瞬だけ不気味な色に染まった。
シェ「特殊ルール?」
ナデ「ど、どど・・どんなルール、なんですかぁ?」
マト「こういうルールカボ。」
そう言うと、マトー君は白い手袋をした右手で指をパチン!と鳴らした。すると、マトー君の隣に黄色い魔法陣が浮かび上がり、そこから大きな砂時計が出現した。
ヒ「砂時計?」
ウ「随分大きいわね。」
キ「この砂時計がいったいなんなんだい?」
マトー君は白い手袋をした手で砂時計にそっと触れる。砂時計の中の砂は黄土色でキラキラと小さな輝きを放っている。
マト「この砂時計の砂は5分間で全て落ちるカボ。船内で最後の2人になった時、この砂時計がひっくり返され、5分の間に船から落ちてしまった方は最下位になってしまうカボ。」
マ「えぇっ!?」
リ「2位から最下位に・・・」
レ「・・・・・」
ル「5分間ルール・・・」
ルーシィが息を呑んだ。
ルーシィは昨年『海戦』の5分間ルールで剣咬の虎のミネルバに痛めつけられたのだ。
ルーシィは左手を固く握り締め、右手を星霊の鍵が入っているポーチに添える。
ル「(大丈夫!去年の事なんか気にしてられない。私には、星霊が、皆がついている!)」
すると、ルーシィの右肩をマヤが叩いた。
ル「何マヤ?」
マ「ねぇルーシィ、あそこにいるの・・・リョウじゃないかな?」
ル「えっ?」
怪我をして医務室にいるはずのリョウが会場にいるはすがない。そう思いながらもマヤが指差した方にルーシィは視線を移す。
そして、見つけた。
マヤが言ったとおり、他のメンバーと一緒に待機場所でこっちを見ているリョウの姿が―――――。ルーシィの視線に気づいたのか、リョウが小さく微笑んだ。そして、左腰に装備してあった聖剣、『竜風剣』を鞘から抜くと、『竜風剣』の銀色の刃先を天に突きつけた。
ルーシィはそれに答えるように右手を上げリョウに手を振った。
マ「やっと戻ってきた、ルーシィの笑顔。」
マヤが小さく、嬉しそうに呟いた声は誰にも聞こえなかった。
マト「それでは、出場者の皆さんには船内に移動してもらいましょう。」
そう言うと、マトー君は白い手袋をした右手で指をパチン!と鳴らした。すると、『空船戦』の出場者達の足元に青い魔法陣が浮かび上がると、シュンと音を立てて次々と会場から姿を消した。
この青い魔法陣は転送魔法陣である。
チャ「観客の皆さんは、映像魔水晶にてご覧下さい。」
6つの映像魔水晶に船内の様子が映し出された。
会場から船内に転送された出場者達は船内でバラバラに散らばっていた。
キ「これで2日目のバトルを挽回しないと・・・!」
ウ「ふふっ、楽しくなりそうね。」
シェ「よぉーし!頑張っちゃうぞーっ!」
リ「戦闘準備。」
ヒ「鳥さん達にも頑張ってもらわないと。」
ノ「ワイルドォ・・・フォーーーッ!!」
ナデ「ま、まま・・参りますぅっ!」」
バ「さてとっ、そろそろかな?」
レ「・・・・・」
ル「皆、お願いね。」
マ「動物達も火炎石も私も!手加減無用の全力全快フルパワーでいっくぞーーーっ!!」
気合の入ったマヤの声が船内に響き渡った。
チャ「これで全ての準備が整いました。大魔闘演舞4日目競技パート、『空船戦』・・・開始ッ!!!」
チャパティ・ローラの力強い実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。遂に『空船戦』が始まった。
後書き
第182話終了致しました!
今回も競技パートは2話連続になりそうです。
次回は『空船戦』での激戦の中、ルーシィとマヤに危機が―――――!?
それではまた次回!
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