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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第三章 悪夢
  第2話 愚か者

真那「私の名前は崇宮真那です。真那と呼びやがってください」

上条「俺の名前は上条当麻。呼び方は好きにしたらいい」

真那「はい。ではさっそく本題に入りやがりますね」

上条「あぁ」

自己紹介を終えて上条と真那は真剣な顔で話をする。

真那「さっきの……どう思いやがりました?」

さっきの、というのは恐らく路地裏での出来事だろう。上条は素直に思ったことを口にした。

上条「……真那が狂三を殺したようにしかみえなかったよ」

真那「まあ、普通はそうなりやがりますね。でも…」

と言って真那は黙った。その時の真那の表情は少し悲しそうだった。

上条「……どうしたんだ?」

真那「当麻さんは私が何度もあの精霊を殺した……って言って信じやがりますか?」

上条「……は?」

驚いて声が裏返ってしまった。上条は口をポカンと開けた状態で真那のほうを見る。真那はそれでも真剣な顔をしている。

真那「私はあの精霊を何度も殺しています……でもその度に生き返るんです」

真那「彼女は『ナイトメア』と呼ばれています。彼女は私にしか殺せません」

上条「……」

僅かな沈黙。それを破ったのはまた真那だった。

真那「……手伝ってもらえねぇでしょうか?」

上条「……なんで俺に頼む?」

真那「この前精霊が来た時の映像を見させてもらいました。当麻さんの右手……どういう原理か知らねぇですが対精霊には強いようですね」

上条「それで俺の右手を使ってあいつを殺すと……」

真那「まぁ、そういうことです」

上条「でも狂三は何も悪いことはしてないだろ。何で殺すんだ?」

真那「確かに今の情報だけでは、何の罪もない精霊をただ殺すようにしか見えねぇですが、ナイトメアはこれまで何千人と殺してます」

上条「どういう、ことだよ……?」

真那「そのままの通りです。あのナイトメアはただの人殺し、私の手で決着をつけないとダメな相手です!」

上条「……!」

真那「協力して……くれませんか?」

真那は上条をまっすぐ……悲しそうな表情で見る。

上条は真那のほうを見ずに、そして上条も、何かを思い出したような顔を一瞬すると、俯いて静かに口を開く。

上条「……何でだよ」

真那「……え?」

そして上条は真那の方を向いて、真那の両肩を掴んで言う。

上条「何でだよ!?何で狂三が人を無闇に殺すんだよ!!狂三は人を殺してるだと?そんなのは関係ない!真那には狂三を殺してほしくないんだよ!!!」

真那「……!」

上条「狂三がもし、なんの意味も無しに人を殺していても嫌なんだよ!もう知り合いが死ぬのは!」

真那「当麻、さん……?」

上条「まだ会って1日しか経ってないやつのことなんか言える義理じゃないことは分かってる!でも嫌なんだよ!いくら相手が人殺しをしてるからって……いくら狂三が憎いからって……それでそいつを殺したら自分もそいつと同じになるだろ!同じ人殺しになるんだよ!それじゃ意味ねぇじゃねえか!散々そいつを人殺し扱いして自分が人殺しになったらまた自分を恨んで誰かが殺しにくる!それで自分が殺されたら、殺しにきたやつはまた人殺しになる!こうなったら第三者が止めない限り終わらねえんだよ!復讐で始まった戦いは復讐で終わる。だから俺は真那を止める!狂三を殺させやしない」

真那「……!!」

上条「俺も真那とはさっき知り合ったばかりで君のことも何も知らない…。それでも嫌なんだよ……!目の前の女の子が……人殺しに染まって……それで……知り合いが死ぬのは……もう嫌なんだよ……!」

上条は自分で感情が制御できなかった。

知らぬ間に泣いていた。








随分前に……救えなかった女の子がいた。

ミサカ10031号

どうして実験のことをもっと早く気づかなかったのか。

これは上条当麻の一生の後悔である。

たまに思い出す。その度に自分を責めていた。

何故あの時、気づかなかったのか。



自分は愚か者だ。



でもいつまでも悔やんではいられない。

そう結論付けて、その記憶を自分の頭の奥深くに閉じ込めた。

それが今日

思い出された。

真那の『人殺し』という言葉に

それでも感情を抑えていたが、

爆発した。

今までこの感情を他人にぶつけたことがなかった。





そして真那は思う。

真那「(そうですか……この人も……人を殺してしちまったんですね……)」

真那「(私とはまた違った殺し方……そして殺すつもりをなかった人を……)」

真那「(この人は……自分より辛い過去を……それをずっと黙っていたんですね)」



この時、

ツンツン頭の嗚咽がしばらく聞こえた。

真那は無言で上条を抱きしめた。

真那「(私は……愚か者です……)」








 
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