ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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その男、『白銀』
少年は夢を見た。それはかつていた世界の夢。剣がものを言う世界、彼はそこにいた。
それは約二年間の物語。
では、様式美としてこう書き出すことにしよう。
その世界にはかつて二人の対となる剣士がいた、と───。
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龍使いは目を覚ます、今彼がいるのは“システム上”の世界樹の最高到達点。彼はそこまで飛翔していた。
「あそこか・・・」
彼は右目にレンズを付けており、暗い紫色の三角帽子、インプの色をベースにしたマントとスーツ。
今の姿はさしずめ《魔術師》という言葉が当てはまる。
「これまた随分と深いところだな・・・」
『行けるか?』
「俺を、いや。“俺達を”誰だと思ってんの?」
『杞憂だったか、そうだな!』
「さあ、行こうか!!」
龍使いの羽が複製するとそれは龍使いの目の前でゲートとして構成された。
「モードチェンジ《シルフ》。行くぞ《ラファエル》、《トランスミッション》!」
「キュゥウウウッ!!」
龍使いがそう言うとゲートの先へと消えていった。
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『逃げ出すのか?』
そうじゃない。現実を認識するんだ
『屈服するのか?かつて否定したシステムの力に?』
仕方ないじゃないか・・・俺はプレーヤーで、やつはゲームマスターなんだよ
『それは、あの戦いを汚す言葉だ。わたしにシステムを上回る人間の力を知らしめ、未来の可能性を悟らせた、我々の戦いを』
戦い?そんな物は・・・。
『無意味だと言いたいか?ならそれはあの世界のお前を否定していることになるぞ』
その時、キリトには聞き慣れた声がした。
お前は・・・?
そこには白衣の男と───
『───立ちたまえ、キリト君!!』
白いコートの青年がいた。
「立てよ、こんな所で終われるわけないよな?」
青年は手を差し出す、その手に彼は幾度となく救われてきた。
「グッ・・・ぉおお・・・」
「ん・・・?」
「こんな魂のない攻撃に・・・あの世界の刃はもっと重かった!もっと痛かった!!」
キリトは無理やり起き上がり背中を貫いた大剣を抜く。
「やれやれ、妙なバグが残っているなぁ!!」
オベイロンはキリトに向かって拳を振り上げ、殴り飛ばそうとするがそれは轟音によって止まった。
「な、何だ!?」
「この音・・・」
轟音は更に大きくなり、突如空間に亀裂が入る。
『ッハハハ!!』
「ッ!誰だ!!」
『誰だって?そんなのアンタが一番知ってるだろ?』
どこからか聞こえるその声はこう言った。
『こんな噂を聞いたことはあるか?ある世界にたった一人“白銀の剣士”がいたと・・・』
「まさか、貴様!!」
「あぁ、その通りだよ!!」
次の瞬間、空の一部が砕け、その砕けた空間から一人の青年が降ってきて着地した。
「お前は・・・!」
その姿は全身を白で包み、かつて黒く染まっていた髪は白銀に染まっていた。
「いやー、待たせたな。ちょっと寝過ぎたわ♪」
その透き通った蒼い瞳は全ての戦況を見据え、その手は幾多の不可能を可能にしてきた。
そこにいる彼はあの時と変わらない笑みを浮かべていた。
「シオン!!」
「よぉ、待たせたなキリト!それとアスナ!」
「シオン君!」
「それにしても随分と変わったな~、副団長の次は拘束って・・・。アンタも変な趣味してるよな~須郷さん?いや、今はオベイロンか・・・」
「き、貴様!何故重力魔法を受け付けない!?」
「ん?もしかしてこの黒いヤツ?」
シオンは地面に展開されている黒い円に目をやる。
「あー、どうりで少し重いと思ったわ。で、何だっけ?どうして受け付けないかだって?答えは簡単だ」
そう言ってシオンは親指を立てて自分を指差す。
「俺がイレギュラーだから♪」
「ッ!!貴様・・・!」
「どうだい、妖精王?自分の政策を壊された気分は?」
シオンのその笑みはSAOにいた頃と変わらず影があった。
「まあ、こんなの計画にも入らないか。本当の計画はもっと大きいんだろ?例えば、そう!」
そう言ってシオンは頭を指差す。
「マインドコントロールとか?」
「ッ!!」
「お前、何でそれを!!」
「おいおい、お前に情報を流したのは誰だと思ってんの?」
「まさか、お前・・・」
「その話は後でな、それにその反応からしてどうやら本当のようだねオベイロン?」
「貴様、どこからその情報を仕入れた・・・?」
オベイロンは歯切れ悪く言う。
「自称、電脳のプリンセスからって言えば分かるか?」
「まさか、篠塚 沙織!?」
「今は高嶺だけどな。さて、その感じだともう計画は終わったのかな?」
その言葉にオベイロンは狂った笑みを浮かべる。
「ああ、既に試作一号機が動き出している」
「へぇー、それってもしかして今俺達の後ろで今か今かと首を狙ってるヤツのこと?」
そう言って短剣を投げるとキンッ!という音がし、その奥から一体の鎧騎士が現れた。
「ほう、よく分かったな?」
「分かりやすすぎなんだよ殺気が、向こうでのアイツはもっと抑えてたぜ。そうだろ・・・?」
現れた鎧騎士の面は割れ、蒼い光の無い瞳が覗いていた。鎧騎士はその割れた面をとると、長い黒髪が姿を現した。
「エリー・・・!」
「ッ!嘘だろ!?」
「エリーシャちゃん!?」
「・・・違う、私の名は“シルビア”。“エリーシャ”などではない」
「・・・これまた随分と、壊れたな」
「クククッ、ッハハハ!!!どうだ小僧!仲間を奪われた気分は?」
今度はオベイロンが狂った表情を浮かべた。
「・・・・・」
「どうした?言葉も出ないか?えっ?何か言ってみろや小僧!!」
「・・・ぬるい」
「はぁ?」
「ぬるいんだよ、洗脳が!」
シオンの言葉にオベイロンは再び狂った笑いをした。
「ぬるい?クッハハハ!!!何をバカなことを!この“魂の直接制御”という神の技は誰にも破ることはでいやしないんだよ!!」
「魂の直接制御、神の技、ねぇ・・・。くっだらねぇ・・・」
「ぁあ?」
「先に言っておくぞ。ここにいる奴等は皆、神をぶっ飛ばしてきた奴等だ。そんなの神の技じゃない、人類の禁忌だ!!だから聞け、狂乱の王!」
シオンは純白の剣をオベイロンに向けた。そして───。
「十分だ、十分でエリーシャを正気に戻してやる。お前はそこで見てな!!」
「ハッ!貴様一人で何ができる!!」
「誰が一人って言ったよ?やるのは・・・」
シオンがそう言うと後ろからシルビアが切りかかる、しかしその刃は黒い刃によって阻まれた。
「何!?」
「キリト君!」
「やるのは俺だけじゃねーよ、コイツらも一緒だ!」
「何故だ!何故重力魔法から抜け出せた!」
「アンタやっぱアホだな、今の会話の間に解いたに決まってんだろ?」
「なッ!!」
オベイロンは絶句する
シオンは更に続ける。
「さて、エリー。いや、今はシルビアか・・・以前お前言ったよな?迎えにいくって。今度は俺がお前を迎えにいくよ、だから・・・」
シオンは剣を構える。そして、姿をverスプリンガンに切り換える。
「本気で来い!!」
「・・・・・」
シルビアも剣を構える。
『こうしてお前と剣を交えるのは三回目か・・・。アルモニー、状況は?』
『シオン、エリーシャの侵食率は今のところ70%だ』
『それは、悪い数値か?』
『いや、正直まだマシな方だ。彼女がまだ抑えているのだろう』
『そうか・・・』
『やれそうか?』
『やるしかないだろ?』
シオンは手を前に出した。
「チェーニ、《LIMITER CANCELLATION!!》」
そう告げると、シオンの後ろから黒い影が覆い被さり、彼を包んだ。そして、そこから現れたのは黒いスーツを纏ったシオンだった。左手には黒い短剣が三本、右手には日本刀が一本。
そしてシオンの瞳は赤く染まっていた。
「さあ、始めようか!!」
シオンとシルビアは同時に地面を蹴る。
そして己の意地をかけた闘いが今、始まった───。
後書き
遂に、遂に主人公が帰ってきたぁああああ!!!
ここまで長かった・・・。
そして、操られたエリーシャは取り戻せるのか!?
コメント待ってます!
ではでは~(* ̄▽ ̄)ノシ~~ ♪
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