ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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対話
前書き
青年はその時何ができるのだろうか・・・
戦闘が始まって間もなく五分経とうとしている中、アスナはただその光景を見つめていた。
「シオン君・・・」
もう何回刃同士がぶつかっただろうか。既に両者の武器は破壊され幾度となく武器の入れ替わりが続いている。
「焔星剣流!」
「四の太刀・・・」
「「炎舞!!」」
同時に放ったそれは巨大な炎の柱となり、その破壊力は凄まじいものだった。
「くらえッ!!」
サイドからはキリトが攻めこむ、しかしシルビアはそれを展開した盾で防ぐ。
「クソッ!!届かねぇ!!」
「アルモニー、後どのくらいだ?」
『四分を切った、そろそろ不味いぞ』
「分かってる、それにしても驚いたよ。まさかの向こうも焔の剣を使ってくるとは・・・」
『恐らく須郷の息のかかった者が調べあげたのだろう、まったく厄介なものだな』
そう、先ほどシルビアが放ったのは焔星剣流の四の太刀。焔星剣流は全部で十の太刀があり、恐らく向こうは全ての太刀を使えると思ってもいい。
そう考えていたところにシルビアが口を開く。
「どうだ?自分と同じ剣を持つ者と戦う気分は?」
「とてもいい気分とは言えないな。俺と同じ剣、同じ動き、そして同じ型。まるで鏡を見ているかのようだ・・・」
「貴様は私には勝てない、絶対にだ・・・」
「・・・・・」
シオンは少し黙った後、こんなことを言った。
「なぁ、焔星剣流の成り立ちって知ってるか?」
「・・・そんなもの、私には関係ない」
「だろーな、あれは知らぬ間に殺人の剣として継がれてきたものだからな・・・」
「えッ!!」
「ッ!!」
アスナとキリトは驚きの表情を浮かべるがシオンは更に続ける。
「確かに元々は武術として広まっていた。だがそれを悪用し殺人の剣にしてしまったのは二代目からだそうだ。それを許すまいとした集団との全面戦争によって焔星剣流はいつの日か“殺人剣”という汚名がついてしまった・・・」
シオンはウインドウから出現させた岩石で固まった剣のようなものを見ながら言った。
「だが、それは初代当主が既に予想していたことだった・・・。力は振るうのが当たり前、それはいつの時代も逃れられない運命だ。初代当主はその歪みを断ち切るために、新たな流派を密かに単独で作った。それは弱者のための守護の剣として振るわれ、そして不義、不正を切り裂く活人剣として振るわれた。その流派の名は・・・」
次の瞬間、岩石にに亀裂が入る。亀裂は岩石全体に広がり、その岩石が崩れるとそこにはもう一本の白い剣が出現した。
「雪花。そしてこの剣、“ネーヴェアルモニー”でお前の闇を断ち切る!!」
ネーヴェアルモニーを構えるとシオンはSAOのときに纏っていた白銀のオーラを放つ。
「キリト。ここから先、俺に任せてくれないか?」
「ああ、分かった」
「すまない・・・」
「何故だ?何故そこまでする必要がある?」
シルビアは表情を崩さずに尋ねる。
シオンはその問いに対してこう答えた。
「何故、か・・・その答えは」
シオンはペンダントを手に取るとシルビアに見せる。
シルビアはそれを見て眉間にシワを寄せた。
そこには《 Giuro amicizia per sempre》と書かれていた。
「これだ。誓ったんだよ、あいつらに・・・。ツバキたちに・・・」
「ツバ、キ・・・グッ!」
次の瞬間、シルビアは突然頭を押さえた。
「グッァアアアアアア!!!!!」
「何だ!?」
「誰だ・・・私の頭の中で叫ぶのは誰だ!?」
「頭の、中・・・?まさか・・・!」
シオンはすぐに走り出した、一つの可能性を信じて。
『頼む、もたせてくれエリー!!』
「やめ、ろ・・・やめろぉおおおおお!!!!!!」
シルビアは叫びと同時にドス黒く、禍々しい風を放つ。その風に弾かれたシオンは壁に激突する。
「クッソ、エリー・・・」
『二分を切ったぞ!!このままでは・・・!!』
「分かってる!!」
シオンは目の前の黒い竜巻を見る。その竜巻はシルビアを囲むようにして展開され、まるで自分を守っているように見える。
「あれさえ、何とか出来れば・・・」
シオンは何かを決心したかのように立ち上がった。
「アルモニー、アレを使うぞ」
『・・・分かった、フォローは任せろ。恐らくこれが最後のチャンスだ、一撃で決めろ!!』
「はじめから、そのつもりだよ!COS、リミットブレイク!!」
シオンはアルモニーとリンクすると白かった髪に黒のメッシュがかかり、瞳は青と赤のオッドアイになった。
『今の彼女の力は未知数だ!全力でいくぞ!!』
「ああ!」
シオンは白銀の翼を名一杯震わせる。少しずつ進むものの、それでもパワーが足りない。
『クッ、全力でもダメなのか!!』
このパワーに対してアルモニーは予想を越えていた。しかし───。
「いや、まだだ!!ラファエル!verブースター!!」
「キュウ!!」
ラファエルは光を纏ったままシオンの背中につくと、それは機械的な翼へと変わった。
翼からは黄緑色の光の粒子を放ち、シオン達を加速させる。
「『ウォオオオ!!!』」
シオンの上段から放たれた刃が竜巻を捉えた。激しいエフェクトが飛び交う中、シオンは渾身の力と共に叫ぶ。
『約束したんだ、必ず救い出すって!だから・・・』
「届けぇええええ!!!」
渾身の力を込めた刃は竜巻を切り裂き、それと同時に辺りを光が包んだ───。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
目を覚ますとそこは青空の広がった草原だった。果ての見えないどこまでも澄んだ世界。
「ここは・・・」
シオンは自分の姿を見て異常がないことを確認する。しかし今まで装備ではなく、白のシャツとジーンズという格好になっていた。
あえて、突っ込まないでおこうと思い、辺りを見回す。すると後ろから声がした。
「シオ、ン・・・?」
「ッ!!」
シオンはその声に引かれるように振り返る。
そこにはかつていたあの世界で愛したあの人がいた。
シオンは涙を抑えて言った。
「エリー・・・!」
エリーシャはシオンに抱きついた。
その顔は涙に濡れていた。
「やっと、やっと会えた・・・!」
「ああ、お帰り・・・」
シオンも静かに涙を流す。
「ずっと、ずっと待ってた・・・!」
「言ったろ?迎えにいくって。聞こえてたよ、お前の声が、思いが、願いが」
シオンはエリーシャをいったん離すと。
「だが、感傷に浸ってる暇はない。分かってるな?」
その言葉にエリーシャの表情は引き締まる。
「うん、分かってる」
シオンはエリーシャの頭に手を置いた。
「よし、それじゃあはやくここから出るか。そんでもって・・・」
シオンは何か楽しそうな風に言った。
「うん」
「須郷を、いや、オベイロンを・・・」
二人は口元に笑みを浮かべて言った。
「「ぶっ飛ばしに行こうか!!!」」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
視界が開けたのは暫くしてからだった。激しい戦闘の末に残ったのは修復が追いつかずノイズが多く残るフィールドだった。
そこに残っていたのはキリト、アスナ、そしてオベイロンだけだった。
「おい、シオンたちはどうなった!?」
「エリーシャちゃんもいない!!」
「ふ、ふはは、ふははははは!!!バカめ!相討ちとはざまぁないな!!」
オベイロンは高笑いをあげる。
キリトとアスナはただ呆然とするだけだった。
「そんな・・・」
「さあ、邪魔者が消えたところで続きを始めようか!!」
オベイロンは自身の勝利を確信していた。
しかし───。
「誰が居なくなったって?」
「なッ・・・!」
その声はオベイロンの後ろから聞こえた。その声は自分の手中に納めていたはずの者の声だった。
「そんな、まさか・・・!?」
「まったく、勝手に退場なんて困るんだよ!」
「貴様ら・・・!」
「シオン!」
「エリーシャちゃん!元に戻ったんだね!!」
そこにはシオンとエリーシャが立っていた。しかも無傷の状態で。
「ただいまアスナ、待たせちゃってごめんね♪」
エリーシャの言葉に対してアスナは首を横に振った。
「ううん、お帰りエリーシャちゃん!」
「貴様!何故、マインドコントロールが解けた!?」
「だから言ったろ?ぬるいって。こんなちゃちな洗脳じゃ、エリーを縛れねーよ!」
シオンは一歩、また一歩前に進む。
「たとえ侵食率が99%だったとしても、100%じゃない限り、可能性はある!たとえどんな弱者でも、はじめから勝率0%だとしても、死ぬ気で足掻いて1%をもぎ取る!ここにいる奴等は“絶対”、“100%”という言葉のない世界を生き抜いてきた奴等だ。テメェみたいな強者気取りでふんぞり返っているヤツとは覚悟も、気合いも、すべてにおいて違うんだよ!!」
「ッ!!」
オベイロンは表情を歪める。
エリーシャはシオンの隣に並び、シオンはエリーシャと共に剣を向けた。
そしてこの世界の王に、神に、こう言った。
「さあ、王様」
「「第2ラウンドといきましょうか!!」」
後書き
ハイ!ついに戻って来ましたメインヒロイン!!
やべぇよ、シオンが荒ぶってるよ・・・。
そして、もうすぐSAO二期放送の日が近づいています♪
もう、楽しみすぎて夜しか眠れません!!(おい!)
コメントお待ちしております!
ではでは~三( ゜∀゜)ノシ
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