ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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一閃の光
高嶺 雪羅───彼は事故に遭遇する前、高校で野球をしていた。決して強くはなかったその高校はせいぜい二回戦突破がやっとだった。
それでも彼は構わなかった、何故なら彼は野球を誰よりも愛していたのだから───。
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雪羅が目を覚ますとそこはいつもの自分の部屋だった。
「久しぶりにあんな夢見たな・・・」
彼が見た夢、それは昔のことだった。焼けるような陽射し、ひときわ熱を上げるマウンド、頬を伝う汗、手には硬式の野球ボール、それが離れた時に感じる指先の感触。それは二年以上経った今でも覚えている。
棚に置かれたピッチャー用のグローブ、その隣には野球ボールが置かれている。
「・・・・・」
雪羅はボールを手に取るとおもむろに手の上で遊び始める、クルクルと回るボールは彼の掌、手の甲、指先へと滑っていく。
やがて回転は止まり、手の中に収まった。
車椅子で道場まで行くと、竹刀を振った。
「はぁ、はぁ・・・」
「どうだ、調子の方は?」
「親父」
道場の入り口には宗四郎がおり、雪羅の姿を見ていた。
「型の方は習得できそうか?」
「わからない、正直ギリギリだ・・・」
「その割りにはほとんど完成してるじゃない♪」
「母さん!」
宗四郎の後ろから沙織が顔を出す。
「今日、行くの?」
「・・・ああ」
「そう・・・、ならあなたの思うがままにやりなさい!!」
沙織は親指を立てる、宗四郎は小さく笑みを浮かべる。
雪羅も小さく笑みを浮かべると、
「はじめからそのつもりだ!!」
同じように親指を立てた。
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ALOの中心にして最大の都市《アルン》。そのさらに中心に位置する《世界樹》。その中では壮絶な戦いが繰り広げられていた。
「ドラグーン隊!ブレス攻撃用ー意!!」
「シルフ隊、エクストラアタック用意!!」
ケットシーの龍騎士たちは陣形を組み、シルフ部隊も陣形を組み剣を構える。
「ファイアブレス、撃て!!」
「フェンリルストーム、放て!!」
その合図と同時に飛竜は火球を、シルフ部隊の剣がグリーンの雷光を放つ。放ったそれは目の前の無数の白騎士たちを貫き、数を減らしていく。
しかし───、
「クッ!キリがない!!」
いくら数を減らしても白の騎士は次々と出現していく。
「このままでは・・・」
いたちごっこも良いところだ・・・。そう思った時───、
「おーおー、これまた随分と多いことー♪」
「ッ!君は!!」
そこには龍使いがいた、その姿は依然見たものとはまた違っていた。以前の姿が《獣》だと表現するならば、今の姿は《焔》という言葉がよく似合う。
紅蓮の炎を纏ったような赤い和服とチャイナ服を合わせたようなその服には龍の紋章が刻まれていた。髪は橙色に染まり、瞳も橙色に染まっていた。
「状況は?」
「見ての通りだヨ」
アリシャが言うように状況はかなり分が悪い。その状況を見て龍使いは、
「なるほど、了解。じゃあアリシャさん、サクヤさん」
「何だ?」
「何?」
「一分もたせてください、活路を開きます!!」
その言葉にアリシャとサクヤは驚愕した。しかし、何故か彼が言うことは信じられる気がした。
「分かった、君に任せよう!!」
「頼むヨ!!」
「了解!!」
龍使いは後ろに後退、地面に降り立つ。
「やるぞ《フラム》、砲撃!!」
「ガァアアアア!!!」
龍使いがそう叫ぶとがアーチェリーが出現し、それを構えると瞳に十字線が刻まれた。
「標的ロック。風、重力、空気抵抗による誤差を修正。出力、10%、40%、60%、75%、80%、90%、95%、100%!!」
矢は橙色の光を纏い、眩く輝く。そして、視界には《SYSTEM All CLEAR》と表情される。そして
《LIMITER CANCELLATION》と表示された。
「今だ!離れろ!!」
龍使いがそう言うと、目の前の軍勢は射線を空けた目の前には白の騎士しか居なくなった。
そして───。
「紅蓮の光となれ!!クライシスブレイク!!!」
放たれた閃光はやがて巨大なビーム砲へと変わり、白の騎士たちを一瞬で消し去った。
「行け、キリト!!その手に未来を掴みとれ!!!」
「ああ!!」
キリトは直ぐ様上空へと消えていった。龍使いの変身は解け、伸びをする。
「ファーストフェイズ終了。さて、セカンドフェイズと行こうか・・・」
そう言って龍使いは姿を消した。
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「ほう、あの軍勢を破ってきたか・・・」
「はい、あと少しで姫様に辿り着くかと」
妖精王オベイロンは手下のものの報告を受け、再びウィンドウに目を落とした。
「フン、まあいい。丁度試したいプログラムもある」
「重力魔法ですか?」
「それもあるがな・・・シルビア、君の出番だ」
オベイロンは指を鳴らすと奥の暗闇から一人の騎士が現れた。
西洋騎士を彷彿とさせるその姿とは裏腹に、全身が黒々としていた。
「君に最初の命令を下す、《侵入してきた羽虫を駆除しろ!》」
「イエス、マイマスター・・・」
黒の騎士はそう言うと再び闇へと消えていった。
「フフフ、フハハハハッ!!!」
オベイロンは高笑いをあげた。
「さあ、終焉だ。黒の剣士キリト!!」
そしてまたオベイロンも高笑いをあげながら闇へと消えていった。
後書き
はい!龍使い(?)がどんどん怪物になっていっている気がする作者ですw
六月に入り、雨が多くなる気がしてなりません。
皆さん常に傘は常備しましょう!!
コメントお待ちしております!( ̄▽ ̄)ゞ
ではでは~三( ゜∀゜)ノシ
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