久遠飛鳥の異世界生活
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黒ウサギが弄られるそうですよ?
(ええええええええええええええええ(;゚Д゚)!そのままあそび始めるのですか!?)
異世界召喚。これほどのインパクトを持つイベントを経験しておいて、数分も経たないうちに遊び始めるとは、流石に予想外だった黒ウサギは、完全に登場のタイミングを逃してしまっていた。
そもそも、当の問題児たち三人は、とっくの昔に黒ウサギの存在には気がついている。気配や匂いから判別出来るし、何より、草むらからピョコンと耳が飛び出しているのだから、気がつかないハズがないのだが。
・・・だが、あえて無視していた。
(嘘!?釣りを始めた!?)
黒ウサギがモタモタしている間に、問題児たちの行動はエスカレートしていく。例によって例のごとく、既に問題児筆頭となっている飛鳥の謎の鞄から取り出された大きめの釣竿。どうやればこの大きさの竿を3本も収納していたのか小一時間問い詰めたいとすら、黒ウサギは思った。
しかも、各種ルアーやクーラーボックスまで完備していた。
「へえ・・・滅茶苦茶良い釣竿じゃねえか・・・。十万二十万じゃ足りねえぞ。」
「釣りなど、あまりしないのだけどね。昔買った物さ。気にせず使い給え。」
そう言いながら、更に鞄からとても大きな鉄板を取り出す飛鳥。
(・・・・・・まさか、アレは・・・!?)
黒ウサギは息を飲んだ。
(・・・BQを始めたーーーーーーー!?)
取り出したのは、BQ用の網であった。しかも、ガスボンベではなく、木炭を使用している。更に、次々と鞄から、既に串に刺さったBQの肉と野菜が入ったトレーを取り出し、網に乗せて焼き始めたではないか!
「釣れたら言ってくれたまえ。こちらで焼いて食べようではないか。」
「おー!こんな場所でBQが出来るとはな!思っていなかったぜ!」
「コクコク。」
(私だって思っていませんでしたよおおおおおおおおおお!!!)
黒ウサギの心の叫びは、三人には届かなかった。
☆☆☆
「・・・ふむ。」
二時間後。
散々、飲んで食べてを繰り返した彼らは、パラソルの下で飛鳥特製ドリンクを飲みながら休憩していた。因みに、魚が数匹しか釣れないことに業を煮やした飛鳥が一言、『私に食われに来るがいい』という謎の言葉を湖に向けて放ったところ、湖の全ての生物が陸に上がってピチピチし始めるというショッキングな出来事があった。
十六夜と耀はかなり引いていたが、飛鳥はそんな事微塵も気にせずに、十匹ほどを選んだ後、残りは湖に返したのである。
「・・・さて、そろそろ出てきてはどうかねそこに隠れてる人。」
「・・・って、気がついてたんですかああああああああ!?」
黒ウサギが泣きながら飛び出してくると、問題児三人は首を傾げた。
「?気づかれてない、とでも思っていたのかね?うさ耳出てるし。」
「かくれんぼじゃ負けなしなんだよな。うさ耳出てるし。」
「風上に立たれたら嫌でも分かる。うさ耳出てるし。」
「ギニャアアアアアアアアアアアア!?貴方たちって人はああああああああああああああ!!?」
三人に散々馬鹿にされた黒ウサギは、力の限り叫んだのであった。
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