久遠飛鳥の異世界生活
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早速タイトルが思いつかなくなったそうですよ?
前書き
うむ、タイトルが思いつかないw
「・・・ありえない!ありえないのですよ!?まさか、黒ウサギが登場するまでに二時間以上もかかるなんて!これはきっと恐らく、どの世界線と比べても一番長いのですよ!?」
黒ウサギが頭を抱えて叫んでいた。
「ふむ?だが恐らく、文字数的に言えばかなり短い筈だが?読者にも読みやすいように配慮したつもりなのだが。」
「文字数とかメタイこと言わないで欲しいのですよ!」
「いや、お前も世界線とか言ってたじゃねえかよ・・・。」
しょっぱなからグダグダ感溢れる彼らであった。
(し、しかし、これで話は聞いてもらえるハズです!)
しかし、転んでもタダでは起きない黒ウサギは、やっと物語を進行出来るというところに希望を見出した。いつまでもここでウダウダやってる時間がない以上、黒ウサギという尊い犠牲を払うことで、現状を打破しようと決意したのだ。
黒ウサギは咳払いをし、両手を広げて語りだす。
「それではいいですか御三人様。定例文で言いますよ?言いますよ?さあ言います!ようこそは―――
「ここが箱庭と呼ばれる世界であることと、我々三人が恩恵と呼ばれる、ある種の才能を有していること。この世界はギフトゲームと呼ばれるゲームで成り立っており、修羅神仏が横行していること。全てのギフト保持者は、コミュニティーと呼ばれる集団に属さねばならぬことと・・・あぁついでに、君たちのコミュニティーが”ノーネーム”と呼ばれる、崩壊寸前のコミュニティーだというところまでは説明した。これ以外で何かあれば話したまえ。」
「・・・・・・・・・・・・え?」
用意していた説明を全て横からかっさらわれて、黒ウサギは今度こそ沈黙した。彼女の頭脳が、この状況について行けなかったのである。
「何せ二時間も待たされたのでね。これ以上時間が掛かるのもアレなので、黒ウサギが私たちの交流を百面相で頭を抱えて見ていた時に、私が説明しておいたのだよ。君の負担を軽減するためにここまでするとは、私は素晴らしい上司だね?」
テンプレもいいかと思ったのだが、どうせこれを見ている人たちは他の二次でこの場面も見飽きているだろうし、バッサリと切り捨てたのである。
「だ、誰が上司なんですかあああああああああ!?っていうか、何でそこまで知って・・・!」
「その質問は二度目なので却下させてもらおう。同じことを説明するのは面倒なのでね。さあ、ジン君が待っているのだろう?早く行かねばならないのではないかね?」
「・・・そこまで知って・・・!あ、貴方の未来予知は、なんて精度・・・!」
そこまで呟いて、黒ウサギは顔を青くした。
「・・・・・・そういえば、我々のコミュニティーの現状も知られているのでしたね。」
彼女は、腰を90度に曲げてお辞儀をすると、
「どうか、どうか我々のコミュニティーを救って下さい!騙そうとしておきながら都合のいい話だとは思いますが―――
「そこまでだ黒ウサギ。俺たち三人で、既に話は纏まってるんだよ。『過去、箱庭最大規模の伝説的コミュニティー』だったんだろ?それを復活させる・・・何とも面白そうな話じゃねえか!」
ヤハハと笑いながら、若干空気になっていた十六夜が告げる。耀と飛鳥も、共に頷いた。
「そ、それでは・・・!」
「ああ、任せておけ。俺たちが、”ノーネーム”を復活させてやるよ。」
「皆様・・・・・・!!!」
黒ウサギは感動して、ボロボロと涙を流した。そして彼女が泣き止んだ数分後、ジンの待つ場所へと移動を開始したのだった。
☆☆☆
二時間どころか、四時間以上も待ち続けたジンは、かなり疲れていた。
(・・・どうしよう。黒ウサギが帰ってこない・・・!)
一緒に待っていた子供たちは二時間ほど前に、疲れて帰ってしまった。流石にそろそろ来るだろうと信じて待ち続けたジンだったが、今は地面に座って黄昏ている。
(もしかして、全く使えない人たちだったのかな・・・)
次々と最悪の可能性が頭に浮かぶ中、聞こえてきた声にはっと顔を上げた。
「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れてきましたよー!」
黒ウサギと、女性二人が歩いてきていたのだ。
「ああ良かったよ黒ウサギ!あまりに遅いから、何かあったのかと・・・!で、そちらの女性二人が?」
「はいな。こちらの御三人様が―――」
クルリ、と振り返り、カチン、と固まった黒ウサギ。
「―――え?あれ?もう一人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から”俺問題児”!って雰囲気出してるのに、終始飛鳥様の強烈過ぎるキャラに隠れて影が薄かったお方が。」
黒ウサギも、かなり毒舌である。あ、因みに、女性二人は既に服を着替えている。飛鳥は、またもや謎の鞄から取り出した深紅のドレスを。耀は服がびしょ濡れだったので、飛鳥が用意した蒼いドレスを。どちらのドレスも、二人の美貌を際立たせており、十六夜なんかはかなり褒めていた。
実際、この二人だけで街を歩けば、ナンパが止まらないだろうことは請け合いである。
「十六夜君ならば、”ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”って言って駆け出したとも。あっちのほうだ。」
飛鳥が指さしたのは、空中召喚の際に見えた場所。
「な、何で止めてくれなかったんですか!?」
詰め寄る黒ウサギに、
「何でも何も、彼に”あっちには水を司る蛇神がいるのだよ。『神格』持ちなので、勝てばいい物を貰えるから行ってきたらどうかね?景色も素晴らしいそうだよ”と煽ったのは飛鳥。」
今までずっと空気だった耀が呟いた言葉は、その場を凍りつかせた。
「な、な・・・!」
飛鳥に詰め寄る黒ウサギ。
「む?お礼ならば、私ではなく十六夜君に言いたまえ。私が言わなくても彼は遊びに行っただろうし、実際に取って来るのは彼だしね!」
尊大に言い放つ飛鳥に、黒ウサギはガクリと肩を落とした。
「飛鳥様には、何を言っても無駄なのですね・・・。」
「彼なら大丈夫だとも。安心するがいい。」
「いいえ、あちらには幻獣種なども数多く生息します!とても人間には太刀打ち出来ません!ちょっと私が行ってきますとも!」
そう叫ぶと黒ウサギは艶のある黒い髪を淡い緋色に染めていく。
「ジン坊ちゃん。このお方たちは、”ノーネーム”の現状を既に理解しております。その上で、協力を申し出てくれました。」
「え、ええ!?」
予定に無かった展開に、ジンが驚く。
「三人とも問題児ではありますが、とてもいい方たちなのですよ!」
そう言葉を残した黒ウサギは、目にも止まらぬ速度で弾丸のように飛び去り、瞬く間に全員の視界からいなくなったのである。
「・・・黒ウサギ速い。箱庭の兎って、随分凄いんだね。」
「ふむ・・・。あれが有名なトランザムモードか。いやはや、貴重な光景を見せてもらった。」
またもや微妙にズレている二人に、今度は自分がこの二人の相手をしなければならないのかと、憂鬱になるジンであった。
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