ハイスクールD×D 力ある者
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零章 原作前のプロタゴニスト
家族が増えました!
チュンチュン――。
「ん~、もう朝か……ん?何か体が妙に重いな?」
俺は目を覚ました。体が妙に重かったので、毛布をめくった。そこにいたのは――。
「んにゃぁ」
黒歌だった。
「おい、起きろ」
ゆさゆさ……。
俺は黒歌を起こそうと、体をゆすってみる。
「にゃぁ~だぁ」
ギュウゥゥゥ!!
「痛でで!!」
抱きつく力を強めてきた!
「……にゃ?ふぁ~」
あっ、起きた。
「…………」
「…………」
「…………」
カァァァ……ぼふんっ!
黒歌は顔を真っ赤にして、頭から煙を出していた。
「おいおい、いきなり真っ赤になってどうしたんだ?」
「にゃぁぁぁ!!」
黒歌は飛び上がると、廊下へ猛ダッシュしていった。
「……何がなんやら」
俺は首をかしげ、ため息をついた。
向こうの様子でも見に行くか。
D×D
ん~。あれ?見覚えのない場所……。
私――白音は、見覚えのない天井を見て悩んでいます。
『……ここ、どこでしょうか?』
辺りを見回してみると――。
『……誰でしょう?』
目の前には、ベッドの上に両腕と頭を乗せて気持ちよく眠っている少年がいます。
……私と同じぐらいの子でしょうか?
『……っと』
私は起き上がると、少年の寝顔を見ようと近寄ってみます。
『……かわいいですね』
第一印象はそう思いました。
……私はふと思い出しました。
記憶が薄らとですが、確か私は大怪我を負っていたはずです。
『まさか、この子が直したのでしょうか?』
いえ、それではかなり時間が経っているはずです。
壁にかけてあるカレンダーで確認しましたが、記憶があるのは昨日です。
一体どうなっているのでしょうか?
『にゃぁぁぁ!!』
っ!!今の声は、黒歌お姉さま!?
「うん……あれ?起きていたの?」
少年が今の声で目を覚ましてしまいました。
「う~ん……」
少年はまだ眠たいらしく、コクコクと船を漕いでいます。
にぎっ!
『ふにゃあぁぁ!!』
ボンっ!
緊急事態です!少年が二度寝をした時、はずみで私の尻尾を掴まれてしまいました。私は驚いて、人間の姿に――!!
「……にゃあ!尻尾は……ダメです……そんなに……強く掴まないで……くださいぃ!」
その時――。
トントン。
「イッセー、起きているか~。入るぞ~」
「(っ!!!)」
どどど、どうしましょう!このままでは、私は裸を見られてしまいますっ!
ボフッ――バサバサ。
私は目の前にある掛け布団を引っ張り、急いで体にまとわせました。
「入るぞ~」
キィィィ――。
ぎりぎり間に合いましたが、少年の手はまだ私の尻尾を掴んだままです。
「おはようイッセー」
入ってきたのは、少し年上の雰囲気を持った少年です。
「……何やってんだ?」
「……え~とですね、これは――」
「尻尾だな?」
「……はい」
見抜かれていました。凄いですが、逆に怖いです。
「……耳を見て思ったんだよ」
何だか、心を読まれたみたいです。
「おーい、起きろイッセー」
ユサユサ――。
「う~ん、もうあと十分~」
「……よし、わかった。起きないと言うのなら、お尻ペンペンだっ!」
バチバチバチッ――!!
少年のお兄さんは、手に雷を宿らせて……今まさに叩こうと振り上げた瞬間――。
「っ!!起きました!龍兄さん!」
少年は勢いよく起き上がったのです。
「……起きたか。なら、その手を放してやれ」
「……?あっ!!」
少年はそう言われると、急いで私の尻尾から手を放してくれました。
「その……ごめんなさい!」
少年は私に頭を下げてきましたが、私は――。
「……気にしないでください。少しビックリしただけですから」
あまり気を使われるのは好きではありませんし、何より――。
「……こちらこそ、助けてくれてありがとうございました」
私の言った言葉に少年は首を横に振った。
「ううん、怪我を治してくれたのは、龍介兄――」
「それはおまえだと俺は思うぞ、イッセー。俺は傷を癒しただけで、お前は懸命に世話をした。だからおまえだ」
少年は兄に言われて驚いています。……優しいお兄さんです。
「……そうなのかな?僕の力で少しでも助かったのなら、嬉しいな」
少年は微笑みました。
「……そうか、よかったな。イッセー。俺はリビングで食事の用意をしてくる。着替えを出してやれ、白音が風邪をひくぞ?」
少年の兄は、いたずらな笑みを零して部屋を出ていきました。
「……そうだね。ちょっと待っていて……白音ちゃん」
「……はい」
少年はタンスから洋服を出すと、私に渡してくれました。
名前は……黒歌お姉さまが教えたのでしょうね。
「あっち向いているから、着替えて」
「……はい」
少年が壁側に体を向けたので、私は着替えています。
「……いいですよ。こっちを向いても」
私が言うと、少年がこっちに体を向けました。
すると、少年が手を差し伸べて――。
「手を握って。この家少し広いから……迷うと大変。僕が案内するよ」
「……はい」
私は少年の手を握りました。
「……僕は兵藤 一誠。イッセーって呼んでね。白音ちゃん」
「……はい。イッセー」
私は少年――イッセーの背中を見て、少し頼もしいと思ってしまいました。
D×D
リビングの長テーブルに猫又姉妹を含め、6人全員が座った。
「食事前に自己紹介をしようと思う。…名前、年齢、種族を言うこと」
「……僕は?」
「おまえは俺と同じ、特殊な人間ってことだ」
「うん。わかった」
「まずは俺からだ。……俺は遠山 龍介。8歳で人間だ」
「次は僕が言うね。僕は兵藤 一誠。6歳で人間です」
「次は私だな。私はカミュだ。17歳で火炎龍だ」
「次、我。我オーフィス。6歳。無限の龍神」
「「っ!!」」
オーフィスの紹介で二人が驚いていた。
「(うん、わかるよその気持ち。俺だってそうだったから)」
「次は……黒歌」
「にゃっ!えっ、えっと、私は黒歌にゃ。8歳で猫又で猫魈にゃ」
「……私は白音です。5歳でお姉さまと同じ猫魈です。えっと――」
白音がイッセーを見ている。イッセーは――。
「……廊下の時のこと?気にしなくてもいいよ。今初めて歳を訊かれたんだから」
「……はい。イッセー兄さま」
「っ!」
イッセーは無言だったが、顔は赤い。かわいい妹に『兄さま』って言われたのが、恥ずかしかったのか?もしかして、照れているのか?
よし!これをネタにして、イッセーをからかってやろう!
「そういえば黒歌、おまえたちは住む宛てがあるのか?」
「「………」」
「そうか、ならここに住めばいい。これからは家族だ」
「……でも、私たちは迷惑者だにゃ。追手もあるし……」
「そんなこと気にするな。この家にかけてある結界は、俺の防御用……四赤陽陣の改良版、人払い、感知の三つだ。家と塀の間は広い。その間に外側から、人払い、感知、防御用の四赤陽陣を張ってある。二つは通ることはできるが、最後はここにいる辰巳がやっとで入れる防御力だぞ」
「……ありがとにゃ。白音もここに住む?」
「はい。私もここに住まわせてもらいます」
「「これから、よろしくにゃ(お願いします)」」
「では朝早くですが、新たに増えた家族。黒歌と白音を迎える朝食です。手を合わせて!いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
うんうん。二人ともいい食べっぷりだ。
こうして、今日から黒歌と白音が家族になった。
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