ハイスクールD×D 力ある者
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原作前のプロタゴニスト
猫又姉妹を拾います
「イッセー、早くしないとおやつ抜きだぞー」
俺――遠山 龍介は弟のイッセーと買物に出ていた。
姫島家族を守ることができて、一年が経った。
イッセーも、もうすぐ小学生だ!……その前に、こうやって荷物を持たせることで、少しでも体力をつけようと考えている。
このまま何も起きなければいいんだけど――。
「にゃーにゃー」
ん?なんか今、猫の鳴き声がしたけど?
「にゃーにゃー」
「龍兄さん!猫が、猫がいるよ!」
イッセーがそう言うと、狭い路地へ入っていく。
俺もついていくと――。
「にゃーにゃー」
黒猫がいて、傍にはグッタリとした白猫がいる。……二匹とも怪我をしているが、特に白猫は傷が大きい。
「龍兄さん、この子たち怪我をしているよ。家に連れて帰って手当してあげようよ」
うーむ、参ったなこりゃ。
「……わかった。イッセーは白猫を頼む」
「うん!気をつけて運ぶよ」
「……いや、ここは人がいない。飛雷神の術を使う。イッセー目を瞑れ、いいな?」
「うん。わかった」
ガサガサ。
俺は荷物をまとめると、片手に黒猫、もう片手をイッセーの肩に触れる。
「――飛雷神の術」
――ヒュン。
D×D
――ヒュン。
俺は飛雷神の術を使い、イッセーと白の子猫と黒の子猫+荷物と共に家の倉庫に飛んだ。
倉庫は家の廊下と繋がっており、ドアを開けると目の前にある。
「オーフィス!カミュ!緊急事態だ。来てくれ!」
俺は黒い子猫を寝かせて二人を呼ぶ。
ドタドタ――。
「どうしたの?」
「どうしたの?龍介」
二人が飛んでくるように来てくれた。
「あぁ、帰り道に二匹の子猫を拾ってな。黒いほうは軽傷だったが、白いほうの傷が大きく、グッタリしている」
「わかったわ!すぐに治療できるようにするわ。オーフィス、荷物を持っていくわよ!」
「ん。わかった。後で何かもらう」
「……すまない」
ガサガサ――。
オーフィスは買物袋を持っていった。一方カミュは、傷に触らないようにそっと二匹をそれぞれ抱えて、持ってきたバスタオルに乗せた。
俺は二匹の前に座り、合掌する。
パンッ!
「創造再生の術!」
俺は二匹に手をかざし、治療を開始する。
ブゥゥゥゥン――。
手のオーラで傷口が治癒していく。
「……あとは、白の子猫だけだな」
黒の子猫は早く治癒できたが、白の子猫は治癒が遅い。
「ハアァァァア!」
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!
俺は一気に治癒を速める。
――それから二分が経過した。
止血が完了し、傷口も塞がってきた。
「……ふぅ」
二匹の子猫の治療が終わり、俺は深く深呼吸をした。
俺はイッセーの方を見て言った。
「イッセー、白猫の面倒はおまえが見ろ。俺は黒猫の面倒を見る」
「うん。わかったよ。……ねえ、カミュ。何か作ってあげて。栄養のあるもの」
「任せなさい!栄養のあるキャットフード作るから♪」
うわぁ。イッセーに頼まれると、カミュは張り切るんだよな……。
そう言うと、カミュはサッサとキッチンに行ってしまった。
「……部屋に戻ろうか」
「うん」
俺は黒猫を、イッセーは白猫を抱えて自室に戻った。
D×D
『……んぅ…ん?ここはどこにゃ?』
目を覚ました私――黒歌は、見知らないところにいた。
『えーと、確か……』
思い出したにゃ!あの路地で、私と白音は拾われたのにゃ!
私は起き上がると、周りを見回してみる。すると、一人の少年が視界に入った。
その少年は私に気がついて、こっちへ歩み寄ってくる。
「おっ!目が覚めたか。そう警戒するなよ。……あれから二時間か。まあ、早い回復だな。
……そうだな、ちょっとじっとしてろよ?」
少年はそういうと、私と目を合わせてくる。
「――万華鏡写輪眼」
少年の瞳の色が赤くなり、勾玉の文様が三つ浮かび上がる。それが繋がっていって――。
『にゃあぁぁぁ!!!!』
D×D
――気が付くと、私はあの路地にいた。
『にゃーにゃー』
私はその声に気が付き、振り返ると……そこには、傷ついた黒――私がいた。しかもその後ろには、白音がグッタリと倒れている。
『にゃーにゃー』
『龍兄さん!猫が、猫がいるよ!』
また声が聞こえたと思ったら、袋を持った少年二人が目の前にやってき――。
スルッ!
私の体をすり抜けてしまった。
……そういうことかにゃ。今、目前の光景は幻覚にゃ。……その幻覚の中にさっきの少年がいるから……その少年が見せているんだろうにゃ……。
と、私はそう解釈することにした。
D×D
「どうだったか?俺の記憶は。俺はおまえを助けた。ただそれだけだ」
現実に戻ってきた私は、少年の言葉で理解した。
……やっぱり、見せられていたにゃ。
きょろきょろ……。
私は白音が気になって、辺りを見回した。
「あぁ、あの白い子猫はイッセーが面倒を見ている。心配するな」
でも――。
「明日なら、会わせてもいいと思っている。今はゆっくり休め。何……取って食わないさ。……それより腹が空いているだろ?もう出来ているころだから……大人しくしてろよ?」
そう言うと、少年は部屋を出て行った。
……どうしようかにゃ?あの少年は裏の人間。なら……私の姿を見ても、理解してくれると思う。
私は人間の姿になることにした。
D×D
俺はキッチンに行く前に、イッセーの部屋へ様子を見に行った。
コンコン。
軽くノックをする。……返事がないな。
「入るぞ~」
ギィ――。
小さく言って、ゆっくり開けてみると……ベッドの上に白い子猫が寝かされている。疲れたのか、その子猫の傍で頭と腕をベッドに乗せて寝ているイッセー。
「(そっとしておこう)」
そ~とドアを閉め、キッチンへ取りに行く。
取ってきて自室に入った。……俺は目の前にいる少女が目に入った。
「さっきの子猫か?」
何となくわかっていた。あの治療の時に。
「そうにゃ。私は黒歌。もう一人は、妹の白音にゃ」
少女はそう言う。
原作のキャラだった!!
あぁ~、時間が経っていて……徐々に原作の記憶が薄まっているな、俺。
「そうか。それでなんだが、何故毛布を羽織っているんだ?」
そう、その少女――黒歌は、何故か毛布を羽織っていた。
「……っ!しっ、仕方がないのにゃ!着るモノがにゃかったんだから!」
あぁ~、そういうことね。だったら――。
「ちょっと待っていろ。今着るモノだすから」
俺はテーブルにお粥を置き、タンスからシャツとズボンを引き抜いて、黒歌に渡す。
俺は壁のほうへ体ごと顔を向けて、黒歌が視界に入らないようにした。
「……もういいにゃ」
俺は黒歌のほうを向く。
うん。サイズはあっているな。胸元は見ないようにして……。
「ありがとにゃ。……それは?」
黒歌がテーブルを指さす。その先には、さっき置いたお粥。
「あぁ、おまえのだよ。カミュが作ったモノだ。食えよ?」
黒歌は座り、お粥を食べ始める。
パクパク……。
「……うぅ…おいしい」
いきなり涙を流したもので焦ったが、どうやら嬉し涙のようだ。
「……よかったな」
俺はポツリと呟いた。
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