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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第十二話 ローエングリンゲート

 
前書き
ガルナハン攻略開始 

 
ガルナハンを地球軍から開放するための作戦に、現地住民の 協力が得られた。
そして、その協力者と落ち合う場所に立っていたのがまだ幼い少女で、アレックスとナオトは驚いた。

アレックス「君……1人で来たのか?名前は?」

アレックスが視線を合わせて尋ねると、少女は真っすぐアレックスの瞳を見返した。

?「コニール……私1人で充分だろ?」

幼いながらもしっかりとした瞳に、アレックスは敬意を表し、微笑む。

アレックス「ようこそ、ミス・コニール。協力を感謝する」














































前日には連絡をしていたため、ブリーフィングルームには パイロットスーツを着込み、戦闘準備の整ったパイロット達が既に席についていた。

シン「子供…?」

ぽつりとシンが言った言葉にコニールはむっと眉を顰める。
そして、それを見たアレックスは内心溜め息を吐いた。
アレックスの隣ではナオトが苦笑している。

アーサー「着席。さあいよいよだぞ。ではこれよりラドル隊と合同で行う、ガルナハン・ローエングリンゲート突破作戦の詳細を説明する。だが知っての通り、この目標は難敵である。以前にもラドル隊が突破を試みたが……結果は失敗に終わっている。そこで今回は、アレックス」

アレックス「え?」

アーサー「代わろう。どうぞ。後は君から」

アレックス「…はい。ガルナハン・ローエングリンゲートと呼ばれる渓谷の状況だ。この断崖の向こうに街があり、その更に奥に火力プラントがある。こちら側からこの街にアプローチ可能なラインは、ここのみ。が、敵の陽電子砲台はこの高台に設置されており、渓谷全体をカバーしていて何処へ行こうが敵射程内に入り隠れられる場所はない。超長距離射撃で敵の砲台、もしくはその下の壁面を狙おうとしても、ここにはMSの他にも陽電子リフレクターを装備したMAが配備されており、有効打撃は望めない。」

ルナマリア「陽電子リフレクターってあの大型MAと同じ?」

オーブ沖で見た大型MAがルナマリアの脳裏を過ぎる。

アレックス「ああ、それで今回の作戦なんだが」

シン「あの…」

アレックス「ん?」

アレックスの言葉を遮ったシンに全員の視線が向けられる。

シン「あ…すいません」

アレックス「いや、構わない。意見があるなら言ってくれ、エースの意見は重要だ」

シン「はい、大型MAなんですけど、そいつはオーブ沖で大型MAを倒した時の手は使えないんですかね?」

ナオト「うん、そのMAの護衛にも、多数のMSが確認されているんだ。やれるかもしれないけど、難しいと思うよ。今回は危ない橋は渡れないよ。時間をかければ、向こうの陽電子砲の餌食になる」

当時のデータを見せてもらったナオトは冷静に言い放つ。

シン「そうか……」

アレックス「そこでだ、現地の協力員が、地元の人もあまり知らない坑道を教えてくれる。それは陽電子砲のすぐ側に通じている。出口は塞がっているが、ちょっと爆破すれば抜けられる。そこから奇襲をかける」

シン「全員で行くんですか?」

アレックス「いや、残念ながらその空洞は、MSが入れるほど大きくはないんだ」

シン「じゃあ、どうやって……?」

ナオト「シン、君のインパルスは航空機に分離出来るでしょ?インパルスの分離形態でようやく通過出来る広さなの。私達とヴェステンフルス隊とラドル隊が正面で敵砲台を引き付け、MAを引き離すから、君はこの坑道を抜けてきて直接砲台を攻撃するんだ。」

シン「なるほど、それで俺が鍵か。やらせてもらいますよ」

アレックス「ああ。ただし、空洞内は真っ暗で視界が利かない。データが頼りだ。ミス・コニール」

コニール「あ、はい」

アレックス「彼がそのパイロットだ。データを渡してやってくれ」

コニール「……」

彼女は、シンの顔をじっと見つめた。

シン「な、何だよ?」

コニール「子供って言ったな。でも、こんな子供でもなきゃ監視が厳しくて街を抜け出せないんだ。前にザフトが砲台を攻めた後、街は大変だったんだ。それと同時に街でも抵抗運動が起きたから。

シン「あ……」

コニール「地球軍に逆らった人達は滅茶苦茶酷い目に遭わされた。殺された人だって沢山いる。今度だって失敗すればどんなことになるか判らない。だから、絶対やっつけて欲しいんだ!!あの砲台、今度こそ!!失敗したら街のみんなだって今度こそマジで終わりなんだ!!だから、頼むぞ!!」

シン「……分かったよ。任せとけ」

シンはコニールの頭を撫でると、ブリーフィングルームを出ていく。

ナオト「大丈夫だよコニールちゃん。シンなら」

コニール「え…?」

ハイネ「随分とあいつのことを買ってるんだな?」

珍しげにナオトを見るハイネに彼女も苦笑しながら口を開いた。

ナオト「あの子はアレックスと同じで可能性を秘めた子だからね。いつか私なんかより強くなるよ」

ハイネ「へえ、そいつは大したもんだな」

喧嘩ばかりだが、ナオトの実力を認めているハイネは頼もしげに言う。












































渓谷に辿り着いたザフト軍は、連合に気付かれぬようにコアスプレンダーを発進させる。

メイリン『インパルス発進スタンバイ。パイロットはコアスプレンダーへ。中央カタパルトオンライン。気密シャッターを閉鎖します。中央カタパルト、発進位置にリフトアップします。コアスプレンダー全システムオンライン発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常。進路クリアー。コアスプレンダー発進、どうぞ……シン、頑張ってね』

シン「ああ…分かってる。シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

メイリン『カタパルトエンゲージ。チェストフライヤー射出、どうぞ。レッグフライヤー射出、どうぞ。』

そしてコアスプレンダーに続くようにチェストフライヤー、レッグフライヤーが坑道に入っていく。

アレックス「頼んだぞ…アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライク。出るよ!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、グフ。行くぜ!!」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、グフ。発進する!!」

ゲイル「ゲイル・トラント、バビ。出るぞ!!」

ショーン「ショーン・スミス、バビ。行くぞ!!って、おいメイリン。初めてファミリーネーム聞いたって顔するなよ!!」

アレックス達とハイネ達も出撃する。
ミネルバがタンホイザーを撃とうとすると敵の大型MAが前面に出てくる。
陽電子リフレクターに陽電子砲が弾き飛ばされる。
巻き上がる土煙。

アレックス「行くぞ!!敵MS隊も出来るだけ引き離すんだ!!」

全員【了解!!】

今度はローエングリンゲートの陽電子砲の砲撃。
再び巻き上がる土煙。
敵MS隊が上空から攻撃する。

ルナマリア「う…」

レイ「あいつが下がる!!ルナマリア!!」

ハイネ「くっ、まだだ!!持ちこたえろ!!」

敵の大型MAが下がろうとしていた。

ナオト「させるもんか!!援護お願い!!」

ステラ「ナオト!!」

ゲイル「フジワラ副隊長、援護する!!」

ショーン「俺も!!」

ステラ、ゲイル、ショーンの援護射撃を受け、ナオトとアレックスはミサイルをかわしながら空に飛び立つ。
レイのグフも空を駆ける。

ナオト「そろそろじゃないかな?これ以上消耗するのは…」

アレックス「大丈夫だナオト。そろそろ頃合だ!!」

シン「うおおおお!!」

アレックスの言葉に応えるかのような雄叫びと共に、ローエングリンゲートと守備隊の間隙に3つの飛行物体が飛び出した。
インパルスの合体を終え、シルエット装備を行わないにも関わらず、軽快な足取りで敵の最大火力の破壊に取り掛かったシンを援護するかのように、ザフト軍は戦線を急激に押し上げ始めた。

「冗談ではない!!」

大型MAのパイロットはいち早く奇襲を察知し、陽電子砲を破壊しようとするインパルスに向かって行った。

ショーン「そらそら!!墜とされたい奴は前に出て来な!!」

ショーンはバビをMS形態、MA形態を状況に応じて変形を繰り返し、一撃離脱戦法で、MS部隊駆逐していく。

ゲイル「ショーンの奴、派手にやってるな。さて、俺にはハイネのような腕はない。なら俺はシンのサポートをするとしよう!!」

ゲイルはインパルスを阻もうとするMS部隊にバビのアルドール複相ビーム砲を放ち、インパルスの道を開く。
ハイネのグフイグナイテッドにダガーが向かう。

ハイネ「いけないなあ…こういうのは…」

ハイネはグフイグナイテッドのスレイヤーウィップを振るい、ダガーの腕に絡ませる。

ハイネ「ちゃんと鎖に繋いどかないとな!!」

ハイネのグフがスレイヤーウィップに捕われたダガーをもう一機のダガーに叩きつける。

ステラ「墜ちろ!!」

ハイネのグフの真下から両肩に装備されたブースター兼ビーム砲とビームライフルの射撃はダガーを正確に貫いた。

レイ「ルナマリア!!」

ルナマリア「流石に動かない的は当てられるわよ!!」

レイのグフがスレイヤーウィップでダガーの動きを封じる。
ルナマリアはスラッシュザクファントムのバーニアを吹かし、ビームアックスで両断する。

ナオト「はあああああ!!」

ストライクEが大型MAに急降下を仕掛ける。
バックパックに装備されたビームサーベルを2本同時に抜くと大型MAの両腕を切り裂く。

「しまった!!」

アレックス「終わりだ」

後方からの通信によって、大型MAのパイロットの背筋に戦慄が走った。
ストライクEに気を取られていた大型MAは、セイバーの接近に気が付かなかった。
セイバーは背後からビームサーベルでコックピットを突くと、大型MAは動かなくなった。
同時に砲台から狼煙が上がったのであった。

ナオト「ミッション成功!!」

アレックス「よくやったなシン…」













































ナオトとアレックスとシンは、ガルナハンの街に降り立った。
コニールが父親らしき人に担ぎ上げられてる。
シンはMSを降りて行った。
下で街の人々にもみくちゃにされてる。

タリア『ご苦労だったわね、アレックス、ナオト。後はラドル隊に任せていいわ。帰投してちょうだい』

アレックス「了解!!」

街のあちこちで、地球軍の軍旗が焼かれたりしている。

ナオト「あれ…?」

アレックス「ナオト?」

ナオト「アレックス…あれ、地球軍の人達が、殺されてる……いいの?ガルナハンの人達に酷い事してたって言っても。裁判も無しに、こんなリンチ…」

アレックス「……今は、仕方ないだろう。ここの人達にとっては、ザフトも連合もよそ者でしかない。何かあれば彼らは敵に回る。……だが、この事は、ラドル隊に話をしておく。地元の人と繋がりを保っていたラドル隊から言ってもらう方が良いだろう」

ナオト「…そうだね」

アレックスとナオトは街に降りるとシンの元に向かう。

シン「あ、アレックスさん。ナオトさん。やりましたよ」

アレックス「あぁ、よくやったな」

犬の尻尾がシンに生えていたのなら今頃盛大に尻尾を振っているのだろう。

シン「あ!!でもあれ酷いですよ!!もうマジ死ぬかと思いました!!」

ナオト「んー?何の事かなあ?」

シン「あんなに何も見えないなんて言ってなかったじゃないですか。アレックスさんもナオトさんも!!」

アレックス「そうか?ちゃんと言ったぞ、データだけが頼りだって」

シン「いやぁ、それはそうですけどね……」

アレックス「でもお前はやりきったろ?出来たじゃないか」

シン「それはそうですけど……」

アレックス「さあ、戻るぞ。俺達の任務は終わりだ。帰ったら何か奢ってやるぞ?」

シン「はい!!」

ナオト「流石アレックス。太っ腹!!」

アレックス「お前も奢る側だからな?FAITHなんだから給料もいいだろう?」

ナオト「うへえ…シン、出来れば安いのね?」

シン「俺の命は安物の料理以下ですか?」

くるりと踵を返してセイバーとストライクEに戻るアレックスとナオトを追いかけてシンもインパルスの方へと歩き出すのだった。 
 

 
後書き
ガルナハン攻略終了 
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