少年少女の戦極時代Ⅱ
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トッキュウジャー合体SP編
第25話 ハーフタイム
トッキュウジャーの連携プレーによってライオンインベスは一度は倒れた。
だが何という偶然か、ライオンインベスが倒れたところにあった樹に、ヘルヘイムの果実が寄生していた。ちょうどそこでクラックが開いていたのだ。
ライオンインベスが果実をもぎ取ろうと伸ばした前脚を――月花は踏みつけた。
自分が入ればトッキュウジャーの連携を崩すと分かっていたので、舞と見守りに徹していたのだが、“これ”はアーマードライダーである自分の本分だ。
『すなおに食べさせてあげると思った?』
月花はもう片方の足でライオンインベスを蹴り上げ、ヘルヘイムの果実から遠ざけた。
『さっきミオさんをヘルヘイム感染させようとしたね。ぜったい、ゆるしてなんかあげない』
ここで取り出したるは、コアスロットルとピーチエナジーロックシード。
元は紘汰の物だ。共に戦ってくれるなら、戦友の証として――そう言って渡してくれた。これは紘汰のものでもあり、咲のものにもなったのだ。
使い方も一度は使ったから知っている。
月花はインジケータをもぎ取ってコアスロットルをセットし、それにピーチエナジーロックシードを嵌めてロックした。カッティングブレードを拳で叩き落とす。
《 ドラゴンフルーツアームズ Bomb Voyage ジンバーピーチ ハハーッ 》
酌量も猶予も与えない。月花は即座に弓に桃色のソニックアローを番え、ライオンインベスへ向けて2回、矢を放った。
2本の矢はライオンインベスに的中し、爆散せしめた。
『ふう――』
月花はピーチエナジーロックシードとコアスロットルを外し、装備を通常のドラゴンフルーツアームズに戻した。
ジンバーアームズというらしいこれは、長く着けていると消耗が激しい。これも咲が小さなコドモであるゆえの弊害なのだろう。
月花は舞の下へ戻るべくふり返った。
『なっ…!』
そこには、木の陰にいた舞を囲む、バダンとかいう連中の戦闘員と、例のモグラ怪人が。
『何して――くれてんのよぉ!!』
月花は馳せた。しかし間に合わないと月花自身がよく分かっている。歯噛みしながらも足を前後に動かすのをやめない。
舞がバダンの凶刃にかかることは――なかった。
赤い戦士――トッキュウ1号が、舞と戦闘員の間に割って入り、舞を救ったからだ。
『大丈夫?』
舞は青い顔をしながらも肯き、トッキュウ1号に手を取られて立ち上がった。
「舞! 咲ちゃん!」
こちらに走ってくるのは紘汰だ。来るのがおそい、と怒りたかったが我慢した。オトナにはオトナの都合がある、と両親はよく言っているから。
「ライト、どうして……」
『ごめん! この街のことはよく分かんないけど、とにかく危ないってのは分かるから。いくら特急でも、黙って通過できない。それだけ』
『ライトくん……』
トッキュウ1号はサーベルを構えて、バダンの戦闘員と戦う仲間たちに加わりに行った。紘汰はそれを痛ましげに見つめていた。
『お前らの目的は何だ!』
モグラ怪人の前脚とサーベルで組み合うトッキュウ1号が叫ぶ。
『オレの役目は、バダンの怪人軍団を地上に送り込むことさ。そうすれば沢芽市は、我々バダンのものとなる!』
びきり。室井咲の中で何かに激しく亀裂が入った。
『――紘汰くん』
「ああ…んなこと許せるわけないだろ…!」
室井咲にとっても、葛葉紘汰にとっても、この沢芽市を荒らされるのは共通して許せないこと。
それがインベスだろうがユグドラシルだろうが、謎の怪人であろうが。
紘汰は戦極ドライバーを腹に装着し、オレンジの錠前を開錠した。
「変身!!」
《 オレンジアームズ 花道・オン・ステージ 》
オレンジの鎧が紘汰を装甲し、鎧武へと変える。
月花は鎧武と肯き合い、互いの得物を出して、バダンとトッキュウジャーの戦いの輪に飛び込んだ。
後書き
巨大ロボには出番をお控えしていただきました。いやあれ真面目に考えたら本当にギャグじゃすみませんて。市内新聞とかメディアに大々的にスクープされちゃいますって。
貴虎の「疲れているんだな……」をご期待下さった皆様を盛大に裏切りまして申し訳ありません<(_ _)>
よって紘汰の参戦タイミング変更になり、紘汰が戦う理由が少し変わりました。
これは「街を守りたい」という思いの咲との共感を狙っての演出でもあります。
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