| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Fate/DreamFantom

作者:東雲ケイ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

stay night
  10Ein König und ein Subjekt

 闇に包まれた橋の上。そこに夕璃とギルガメッシュはいた。
「貴様と戦うことがあると、我は薄々感じていた。それがこんなにも早く来るとは、これもまた一興」
「ギルガメッシュさん。俺は本気で行くよ。だから……協力して」
 するとギルガメッシュの視線が鋭くなった。
「馬鹿にするなよ? 我とて貴様の実力がわからぬ程馬鹿ではない。だからこそ、我も本気で行こう」
 ギルガメッシュは金の鎧を消した。
 そして右手に持ったのは、地獄の原典である最強の剣。乖離剣エアと呼ばれている剣。
 左手に持ったのは、かつて神を縛ったと呼ばれる天の鎖(エンキドゥ)
「行くぞ夕璃! 貴様の夢幻を我の力で現実に引き摺りだしてやる!」
「負けられない。ルーに帰るって約束したんだ!」
 乖離剣から放たれる地獄の波動を、同じく地獄の力を持った地獄と化す灼熱の死槍(ブリューナク・ゴッドインフィニティ)で相殺する。
「甘いわ!」
 天の鎖が伸びてきて夕璃を拘束しようとするが、それをアリストテレスで存在ごと切り裂くとギルガメッシュの正面に立つ。
「放て!」
 王の財宝が開かれ、中から当たっただけでダメージを与えることができるクラスの武器のみが射出させる。
 だがそれを夕璃は全て避け、アリストテレスをギルガメッシュに向けた。
 しかしアリストテレスの一撃は天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)が放たれたことによって中断され、地獄と化す灼熱の死槍(ブリューナク・ゴッド・インフィニティ)を放つことによってそれを吹き飛ばす。
 余波で辺りの民家が破壊され、夕璃は悲しそうな表情を見せるがギルガメッシュに向かいあった。
天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)を防ぐか。だがこれだけが我だと思うな!」
 大量の宝具が放たれ、何発かが夕璃に直撃する。
 それによって腕などが千切れるが、それすら夢にしてギルガメッシュを睨む。
「夢幻五式、神楽!」
 何千もの一撃によって宝具を夢に帰す。
 だがその程度で終わってくれるほど、ギルガメッシュは甘くない。
「はぁ!」
 放たれたのは天の鎖。
 だがそれは消したはずのものだった。
「何で……!?」
「宝具を回収する宝具で、消されたものを甦らせた」
 何度も同じ宝具が放たれる。これでは無意味だ。
「吹き飛べ」
 ヴァジュラが爆発し、その威力とその後に放たれた天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)によって海まで吹き飛ばされた。
「がはっ。はぁ、はぁ」
 海上で体重を夢にして立っていると、ギルガメッシュが見えた。
 確実に狙っている。
「負けられないんだ」
 ストライカーの槍を夢幻にしまうと、夕璃はアリストテレスを両手持ちにし走り出した。
「その剣ではこの一撃は防げん!」
 宝具と同時に天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)が放たれる。
 それに夕璃は突撃していった。
「夢幻に帰せ!」
 触れただけで天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)を消滅させると、ギルガメッシュに近づいていく。
 燃え盛る業火とギルガメッシュがそれを迎え討つ。
天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!」
「夢幻六式、神鳴!」
 双方の全力が激突し、冬木市に火柱が現れた。



 一方、綺礼の戦いは既に決着が着きかけていた。
「はぁ、はぁ。うぐっ」
 綺礼が大量に吐血し、ランサーも左腕を失っていた。
「マスターよ。どうする?」
 既に固有結界は消滅しているが、二人の敗北は目に見えていた。
「やめろ綺礼! お前の負けはもうわかってるだろ!」
 士郎の言葉に、綺礼は耳を貸さない。
「令呪を持って命ずる。ランサーよ、その腕を治療しろ」
「はいよ」
 ランサーの傷がルーンによって癒えていく。更に令呪のブーストがあるため完治した。
「重ねて令呪を持って命ずる。凛の言うことを聞き、聖杯浄化に協力しろ」
「おいマスター。お前……」
 ランサーは綺礼が次に命ずることがわかり、しっかりと綺礼を見た。
「令呪を持って命ずる。ランサー、私を貫け」
 槍が綺礼の頭を貫いた。
 ランサーは既に命令が来ていたにも関わらず、抗った。
 最後にそこまでの関係を築けたということでいいのだろう。
 だからこそ命令を言った瞬間に殺したのだ。
 これ以上綺礼に凛達が何か言わないように。
「おい坊主。さっさと聖杯の場所に案内しろ」
「だけど夕璃が」
「あの坊主の方も、決着がついてるだろうよ」
 そう言うと、夕璃が現れた。
 その左手には鍵を持ち。
「ただいま、皆」
「それは?」
 凛が聞くと、寂しそうな顔で夕璃は鍵を見た。
「ギルガメッシュがさ、聖杯浄化に使えって渡してくれたんだ」
 王の財宝。ギルガメッシュの至高の宝具であり、貸すことなど考えられない程のもの。
「……行こう。今日で全てを終わらせるんだ」
 真っ暗な闇の中を、夕璃は進み始めた。



 ギルガメッシュは酒瓶を持ち、エアを置いて橋の上に座っていた。
「覚えているか征服王。ここで我は貴様と飲み明かしたのだ」
 酒を一気に飲み干すと、川の向こうに見える夕璃達を見る。
「奴を臣下としているが、奴は王の器だ」
 聖杯の泥に飲まれ、悪へと変貌したギルガメッシュを変えたのは確実に夕璃だ。
 世界を変える力を持った、究極の王。
 それになりうる存在が、夕璃だ。
「征服王よ。今宵は、我の宴に招待しよう」
 その背後に現れたのは黒い影。
「復讐者よ。その力を我に見せてみろ!」
 エアを手に取ると、ギルガメッシュはアヴェンジャーに向かっていった。



 夕璃達が辿り着いたのは柳桐寺。
 そしてその地下には大聖杯があると言われていた。
「イリヤスフィールから聖杯を受け取ってきたわ」
 聖杯。それを受け取ってきた方法は簡単だ。
 夕璃が夢によって偽りの心臓を作り、それをイリヤスフィールの聖杯となっている心臓と交換しただけだ。
「聖杯……」
 その瞬間、夕璃から魔力が漏れると雰囲気が変化した。
「これが俺の元凶か」
「黒夕璃」
 ストライカーがそう言うと、黒夕璃は頷いた。
「敵にはならねぇよ。俺も夕璃と同じで、この世界に未練があるんだ。この聖杯をぶち壊したいって未練がな」
 黒夕璃は聖杯に触れる。
 するとそれだけで泥が黒夕璃から溢れた。
「黒夕璃!?」
「俺じゃねぇ。来るぞ!」
 黒夕璃の雰囲気が変化し、夕璃に戻る。
 そして同時に泥が人の形に変化し、夕璃達を囲んだ。
「こいつらはアヴェンジャー。聖杯の泥の元凶だ」
 黒夕璃の声が各自の頭に響く。
 アヴェンジャーは次々に襲い掛かる。
 その姿の中にはギルガメッシュもいた。
「まさか……!」
 士郎が驚きの声を上げるが、夕璃はいたって冷静だ。
 何故ならあらわれることを、そして恐らく自身が飲まれるであろうことをギルガメッシュは夕璃に話していた。
 だからこそ涙を零すが怒りに囚われたりはしない。
「夢幻五式、神楽!」
 アヴェンジャーを次々と消し去るが、アヴェンジャーの数は減ったように思えない。
「こいつらは英霊だ。英霊の影がアヴェンジャーになってるんだ。英霊の数だけいるさ」
 黒夕璃の言葉を聞き、夕璃は地獄と化す灼熱の死槍(ブリューナク・ゴッド・インフィニティ)をストライカーに渡した。
「Die Welt besteht aus Träumen und phantasms」
 詠唱を始めた夕璃の盾になるように、士郎達が立つ。
「俺達が時間を稼ぐ!」
「アンタだけが希望なのよ。しっかりしなさい!」
 士郎が夫婦剣で、凛が宝石を投げて爆発させてアヴェンジャーを退ける。
「Reichliche Gerechtigkeit und reichliches Unrecht」
 士郎達を抜けたアヴェンジャーが剣を振るうが、それをセイバーがとめた。
「私は貴方に教えられました。だからこそ貴方に恩がある!」
「Licht ist unter den Punkten zu Ziel dabei」
 セイバーも押され始めるが、それを助けたのはアーチャー。
 干将・莫耶をブーストさせると横からアヴェンジャーを切り裂いた。
「ありがとうございますアーチャー」
「気にするな」
「Dunkelheit ist unter den Punkten zu Bedauern」
 だが相手は無限とも言えるアヴェンジャーだ。
 魔力の問題もあり、士郎と凛は下がるしかなくなった。
「わかってるわね!? セイバーの宝具は使わせちゃだめよ!」
「わかってる! でもこのままじゃ……」
 士郎と凛は夕璃の隣に立ち、偶に来るアヴェンジャーを撃退する。
 そしてその先では、ランサーとストライカーが共に遊撃していた。
「Es gibt roh kein im Punkt eines Aussehens」
 ランサーはその素早い動きでアヴェンジャーを翻弄しながら、ストライカーも同じく翻弄しながら戦うがその速さは雷速。絶対に上だ。
「Der Tod lungert in Herzen irgendwo herum」
 勿論二人の体力も無限にあるわけではない。
 ランサーもルーンで強化しながら戦っているが、時間の問題だ。
 ストライカーは速いため攻撃こそ当たらないものの、疲労はかなり蓄積されている。
「Deshalb existiert das Herz nicht in diesem Körper」
 遂にストライカーの攻撃が弾かれ、無防備になった。
「ストライカー!」
「ったく。甘すぎだ」
 そして伸びてきた槍に貫かれたのは、ランサーだった。
「ランサー……」
「てめぇは夕璃のことが好きなんだろ? 思いを伝える前に死ぬっつーのは、ダメなんじゃねぇか? 生憎俺は魔力供給もねぇし、どうせそろそろ死んでたんだ。だから盾ぐらいにはなってやるさ」
 ランサーはその状態で宝具に魔力を込める。
 若干光になりかけているが、そんなことは気にしない。
「夕璃! 戦いはお預けだ! お前の夢を叶えた時に、俺はお前と決闘をする! それまで絶対――」
 ジャンプをすると、槍を構える。
 全力の本当の意味での死ぬ気の一撃。
「死ぬんじゃねぇぞ! 突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)!」
 放たれた槍の一撃は前方の英霊を丸ごと吹き飛ばし、同時にランサーは光となって消えていった。
「ランサー、お前の意思は受け継いだよ」
 夕璃はしっかりと前を見る。
 そして右腕を前に向けた。
「Änderung in jenen, die ein Leben spielen」
 決戦の舞台が、地獄と言う名の厄災に包まれた。
 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧