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Fate/DreamFantom

作者:東雲ケイ
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stay night
  09Öffnung

 事態は刻一刻と迫っていた。
 ランサーとストライカーが見守る中、再び夕璃は目を覚ました。
「ここは……」
「お前の家だ。俺との決闘の途中にお前は気絶し、あれから三日たった今まで眠ってたんだよ」
「そうなんだ……ありがとう。ランサー」
 笑みを浮かべるとランサーは照れたように顔を逸らした。
 だが三日たったということは大きく動いたということだ。
「ライダーが敗北した。セイバーが倒したらしい」
「そっか……ライダーさんも出番が無かったみたいだね」
「そして、バーサーカーの城にセイバーのマスターが連れてかれた」
 その言葉に夕璃は反応する。そこから先は何を言おうとしているのかすぐにわかる。
「助けに行こう」
「バカかお前は。敵を助けに行ってどうするんだよ」
 しかし夕璃の目は揺らがない。
「わーったよ。たく」
 ランサーは槍を持つと、夕璃の横に立った。
「お前と決着をつけるまで死んでもらったら困るんだ。俺も行くぜ」
「ありがと」
 夕璃はランサーに言ってから静かにストライカーを見る。
「行こう。マスター」
 同時に部屋を出てすぐに外へ出る。向かう先はランサーが先行して教えてくれているから楽に向かうことができる。
 そして夕璃は心に決意したものを確かめていた。
 絶対に助けよう。
「あそこの奥だ」
 ランサーが槍の先で差したのは森。
 ここら辺は森があって物騒だからあまり近寄らなかったんだよな。と夕璃は考えているが、場所がわかったなら好都合なのだ。
「わかった」
 急加速する夕璃は一気にランサーを追い抜く。眠りから覚めたことによってどんどん性能が上がっていくのだ。
「行く」
 それと同じ速さでストライカーも向かう。
 もちろんそれと同じ速さでランサーも向っているのだが、実は少しばかり夕璃達の方が速い。
 先に城に着いたのは、夕璃だった。
「ここでバーサーカーをリタイアさせる。いいよね?」
「うん」
 二人同時に城を開けると、夕璃はアリストテレスを。ストライカーは白い槍を出す。
「バーサーカーに同じ宝具は二度通用しない。しかもランクB以下は無効と来た。ストライカーの宝具は全部一度使用済みだから、武器をはじくことだけ考えて」
「夕璃は?」
「俺はバーサーカーを消す」
 目の前にいるのはバーサーカー。森の探知によって既に来ることをしっていたのだ。
「やっちゃえ!」
 バーサーカーがマスターの声によって叫び、ストライカーに向かっていく。
 それを持ち前の速さで避けると、槍でバーサーカーの石斧を逸らした。
「一撃!」
 横からバーサーカーに一撃入れると、夕璃は再び走りまわる。
 回りながら戦うこの戦法は二つの必殺があるからこそ可能な業であり、夕璃はアリストテレスを構えた。
「夢幻一式!」
 横薙ぎの一撃でバーサーカーの腹を二つに切る。
 これによって腰を使用不可能となった。
「どうなってるの……!?」
「夢幻二式」
 縦に挙げる一撃で十字に切り裂くと、バーサーカーは苦痛に叫んだ。
 だがここで終わらせる夕璃ではない。
「夢幻三――」
 バーサーカーの一撃が夕璃の腹に直撃し、吹き飛んだ。
「ぐぉぉぉぁぁぁぁ!」
 バーサーカーが叫びと共に夕璃に向かっていく。
「ダメ!」
 ストライカーがその槍でバーサーカーの行く手を遮る。
 だがそれも時間稼ぎにしかならない。
「夢幻三式!」
 夕璃は立ち上がると、バーサーカーを串刺しにした。
 それでもバーサーカーは立ち上がり、ストライカーを投げ飛ばしてから夕璃に向かっていった。
「夢幻四式、神威」
 次の瞬間、バーサーカーは白い光に包まれ十字架型に縛り付けられた。
「ここが今の限界。夢幻五式、神楽!」
 幾銭もの消滅の一撃をバーサーカーに充てる。
 その威力はほぼない。ただ当たった場所から消えていく。
「ごめん」
 最後の一撃と同時に、バーサーカーは消えていく。
「謝るな少年。貴様は当然のことをしたまでだ」
「必ず貴方を蘇らせる。それが俺の願いだから」
 消えたバーサーカーを見届けると、アリストテレスを消滅させた。
「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」
 夕璃が近づくと、イリヤは一歩後退った。
「嫌……」
「別に殺す気はないよ。ただ聖杯について教えてほしいんだ。毎回聖杯を提供しているのはアインツベルンだよね。でも今回聖杯は汚染されてるんだ。だからそれを解除しなきゃならない。協力してくれるかい?」
 イリヤはその言葉に頷いた。
 そして逃げようとしていた士郎と凛達が夕璃の前に現れた。
「これだけいれば大丈夫かな。皆に言うことがある。これから俺達は、聖杯を浄化するために一時的な結託をしたいんだ。俺が前に断ったことは、今謝ります。でもこれをどうにかしないと、世界が滅んじゃう」
「わかってるわよ。だから私からも頼むわ。それで、どうやって浄化するつもりなの?」
 夕璃は黙り込んだ。
 これは危険な賭けであり、夕璃もただでは済まないからだ。
「聖杯を起動させて、俺が全部夢に返す」
「それって……」
「うん。反動でおそらく俺は起きなくなる」
 衝撃の告白に、全員が黙り込んでいた。
「でも気にしないで欲しいんだ。俺は皆を守りたいんだ。俺が死ぬだけで全世界の人が助かるんだよ? だったら絶対にやったほうがいいさ」
「だけどそんなの!?」
「わかって。俺は命を懸けてでもこれを成し遂げたいんだ。それがあの時生き残ることができた、俺が死んだ皆にできる唯一のことだから」
 夕璃が求めているのは正義でも、友人でも、恋人でもない。ただの罰だ。
 皆が生きたかったのに生きてしまった自分への罰。
「ストライカー。わかってくれるかな?」
「うん。気づいてた」
 だからと、ストライカーはぎゅっと夕璃を抱きしめる。
「帰ってきて」
「わかってるさ。ランサー。君のマスターの、言峰さんのところに案内してくれるかい?」
「気づいてたのか。まぁいい。わかった」
 ランサーの後に続き、夕璃達は教会に向かった。



「言峰さん。俺達は聖杯を破壊します。だから、協力してほしい」
「私が聖杯に近いと、いつ気づいた?」
 綺礼の前には、夕璃、凛、士郎、アーチャー、ランサー、ストライカー、セイバーがいた。
「最初、俺と同じ感じがしたんです。そして恐らく前回の聖杯戦争で貴方も汚染された聖杯の影響を受けた。だからこう思ったんです。もしかして前回聖杯に最も近かった人物じゃないかって。そして俺に聖杯について教えてくださったときも、その説明はまるで受けてきたような話し方だった。違いますか?」
「その推理通りだよ。まさか君がここまでの頭のよさとは思わなかった。なるほど。ならば答えさせてもらおう。協力はできない。今の私は聖杯のおかげで生きている状況だ。聖杯の汚染が消滅すれば、私は死ぬ。これは必然であり、絶対なのだ。だから私はお前の味方をすることはできん」
 するとその場所にギルガメッシュが現れた。
 その姿は威厳があり、聖杯に汚染されているとは思えないほどだった。
「夕璃。我も同じ理由で協力はできん。だが、貴様が我を求めるならば我も王としてそれに答えよう。純粋な決闘という形で」
「なっ!? ギルガメッシュ。貴方という人は、子供に対してそのようなことを!」
「貴様は黙っていろ! セイバー。やはりお前は征服王の言う通り、王には相応しくない。我は夕璃に対し、臣下として接しているのだ。我に助けを求め、協力を要請しろと。そうすれば我も答えることをする。これは王として当たり前のことだ。そして! 王とは家臣に道を示す! 我は今夕璃と道を違える。それをどちらが正しいと決めるのは、現世に生きる唯一の友として決闘が一番通りであろう!」
 唯一の友と言う言葉に、夕璃は反応した。
 ギルガメッシュが求めているものに対し、適格な判断を下す。
「ならば俺は家臣として、そして親友としてその言葉に乗ります。勝負しましょう」
 夕璃はアリストテレスを出した。
 今日だけでこの剣を出すのは二度目。かなり能力を消費している。
「ここでは勝負にならぬ。場所を移すぞ」
「うん」
 そして行こうとすると、ストライカーが夕璃を止めた。
「夕璃」
「ストライカー? どうしたの?」
「これ」
 渡されたのは、ストライカー最強の宝具である地獄と化す灼熱の死槍(ブリューナク・ゴットインフィニティ)だった。
「必ず、帰ってきて」
「わかったよルー」
 そう言うと、夕璃はギルガメッシュと共に姿を消した。
 綺礼はその姿を見届けると、ランサーを見た。
「ランサー。悪いが令呪を使う前に言わせてもらう。最後にマスターとして、お前と戦わせてくれ」
「へいへい。まったく最後までその言葉を言わないのか」
 ランサーが綺礼の隣に立つ。
「圧倒的不利だが、やれるな?」
「てめぇ、俺を誰だと思ってやがる。光の皇子クー・フーリンだぞ!」
 ランサーはそのままセイバーとアーチャーに突撃していく。
 綺礼の前には士郎と凛。そしてストライカーが立つ。
「こちらも始めさせてもらおう」
 令呪が光ると、綺礼は一瞬で士郎の前に移動した。
「はぁ!」
「ダメ」
 ストライカーの槍がその一撃を防ぐ。
「なるほど。だが」
「!?」
 ストライカーはそのまま教会の外まで吹き飛ばされた。
「ストライカー!?」
「余所見をしている場合か」
 蹴りが士郎に入り、士郎の体は椅子に激突した。
「そら!」
 ランサーの槍がアーチャーの盾を破壊し、ランサーは懐に入り込んだ。
刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!」
 放たれた一撃がアーチャーの心臓に向かっていくが、それをセイバーが防いだ。
「はぁ!」
「負けられるかよ!」
 槍を素早く戻したランサーはセイバーの一撃を防ぎ、後から来たアーチャーの二連撃も防いだ。
「令呪をもって命ずる。全力の一撃を放て!」
突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)!」
 更にその上にルーン文字を描く。
「焼き尽くせ……焦し穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)!」
 炎と共に大量の棘をまき散らしながらセイバーとアーチャーを吹き飛ばした。
「なおも令呪を持って命ずる。全力を持って敵を殲滅せよ!」
 別の文字が描かれ、ランサーの体が赤く発光する。
「本来なら使わねぇが、全てのステータスを上げた。オールA程度はあるはずだぜ」
「ならば行け。全力を見せてみろ」
 最強のペアとなったランサーと綺礼によって、士郎達は追い込まれていった。
孫馬鹿からの贈り物(プレゼント・ルー・イリュージョン)
 一瞬にして、景色が変わる。
 あるのは白く輝く太陽と、業火に身を包み込んだストライカーの姿。
「これが本当」
 ストライカーが黒炎司る死聖槍(メラヌ・ブリューナク)を構える。
 瞬間、ランサーの目の前にストライカーが現れた。
「ちっ!」
 槍でストライカーの攻撃を弾くが、ストライカーの蹴りでランサーは遠くまで吹き飛ばされた。
「全ステータスΩ……。神霊そのものですって……?」
 全力のストライカーに対し、綺礼は冷や汗を流しながらも動かなかった。
「ランサー。その程度でやられる男ではないだろう?」
「当たり前だ!」
 目の前に現れたランサーに、ストライカーは小さく目を開く。
「らぁ!」
 投擲によってストライカーの体は吹き飛ばされる。
 ダメージは与えられないが、綺礼は既にこの固有結界の弱点に気が付いていた。
「この固有結界、長くは持たないな?」
「5分」
 ストライカーが槍を構えるのを見ると、ランサーは獰猛な笑みを浮かべた。
「わかっているなランサー。今は時間稼ぎだけでいい」
「なら簡単だな!」
 生き残るために特化した英霊の本領が発揮される場面だが、綺礼とて戦わないわけにはいかない。
「令呪よ」
 黒鍵が巨大化するが、それを二本持つと構えた。
「貴様の様に無限に黒鍵を出せるわけではない。だがその強さは一英霊レベルまであげてある」
 士郎が一人で前に出る。
「俺がやる」
 二人は剣を構えると、激突した。
 士郎の夫婦剣は激突と同時に砕け散るが、すぐに投影して二撃目を耐える。
 だがそこでできた隙は大きい。
 綺礼の蹴りが士郎の腹に直撃し、バランスを崩したところでセイバーが止めに入る。
「言峰綺礼。貴方がしたことを私は認めない!」
「だからどうした。私が罰を求めると?」
 綺礼は黒鍵を投擲すると、また二本出してセイバーに突撃する。
「くっ」
 二本を弾くもその隙に綺礼がセイバーの鎧を切り裂く。
 更に黒鍵を手放すと、セイバーの体に掌底を入れて弾き飛ばした。
「がはっ」
 ゆっくりと構えると、綺礼は少しだけ笑みを浮かべた。
「戦いに心躍ることなどないと思ったのだがな」
 息を吐いた綺礼は後ろから現れたアーチャーの一撃を防ぐ。
「なるほど。貴様も変わったということか」
「そうかもしれん。だがすることは変わらない!」
 令呪による強化を行うと、アーチャーの剣を拳で砕いてから寸勁による一撃でアーチャーの隙を作り、最高の一撃をアーチャーに叩き込んだ。
「ぐはぁ!?」
 吹き飛ぶアーチャーを見ると、綺礼の口から血が噴き出した。
 令呪を使用しての限界を超えた体使いによって、綺礼の命は刻々と擦り減らされていた。
「だがやめるわけにもいかないのでな」
 士郎が立ち上がるのを見ると、ゆっくりと綺礼は微笑んだ。
「愉悦を求めよう。そして凛。師として最後の見せ場だ」
 綺礼は士郎に向かっていった。
 
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