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真似と開閉と世界旅行

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僅かな平穏・前編~

 
前書き
仕事が始まって全身が筋肉痛です・・・(笑)前後編に分けたいと思います。ではどうぞ。 

 
翌日、早朝から俺はメモを片手に歩き回る。何故なら蓮華に・・・

『亞莎がある程度纏めたが、蜀に説明する為の外史の名簿が欲しい』

・・・と言われ、俺と咲は確認作業に追われていた。



「まず初めは・・・グレイセス組からな」

俺はみんながいるであろう部屋をノックする。

「みんな、入るよ」

中には・・・パーティーメンバーがいた。

「リョウじゃないか。どうかしたのか?」

「名簿作り。みんな今度の戦いでは前に出て戦うから・・・しっかりとした認識が必要なんだ」

「確かに、この世界の皆さんからしたら、ぼくたちは異端ですからね・・・」

「はは、民たちは慣れてるからそんなに意識する必要もないんだけど・・・」


「人数確認だよね?あたしたちは六人だよー」

「アス兄にシェリアにソフィ。ヒューにパスカルにマリク教官・・・リチャードとかはいないのか」

「ああ、リチャードは紫と共に戦ってくれている」

「そうか・・・」



そこで俺はふと、ソフィが目に入った。

「そう言えばソフィ、服替えたのか?・・・ていうか背、伸びてないか?」


ソフィがそれに答えてくる。

「・・・うん、わたし、みんなと同じになれたんだよ」

「同じに・・・?」

「俺が説明する」

アスベルから聞いたのは、俺がいなくなった後、半年後に新たな戦いがあったそうだ。アスベルの中に眠るラムダと協力してそれを解決。その時敵対していた存在により・・・ソフィの身体はほぼ人間と同じになったそうだ。

「そうだったのか・・・」

「それでね、アスベルがお父さんになってくれたの」

「へ?・・・あ、あぁ、養子か」

「そしてシェリアがお母さん」

「・・・ん?」

それに少し理解が追い付かず・・・赤くなったアスベルとシェリアを見て理解した。

「・・・結婚、しましたか?」

「・・・ああ」

「・・・はい」

「そっか・・・うん、おめでとう!」

「あ、ああ」

「あ、ありがとう」

「プロポーズはどっちからだ?」

「ええっと・・・」

「亮、聞きすぎだよ?」

「わっ!?」

背後から現れたのはシィだ。

「し、シィ、なんでここに」


「みんなとは一緒に旅をしたからね。またお話しよっかなって」

「ああ、久しぶりだな、シィ」

「教官も久しぶり。みんな変わらないね」

「あなたがそれを言いますか・・・」

「あ、ヒューはどうなったんだ?」

「え?」

「いやだから、パスカルのことがす「リョウ兄さん少し黙ってください」・・・怒るなって」

ヒューが怖い顔して接近してきた。

「まったくリョウ兄さんという人は・・・!」


「なんだよー、ヒューにしては効率悪いじゃん」

「ぼくだって勇気は振り絞りましたよ。ですけど盛大に勘違いされて完璧に言うタイミング逃したんです・・・!!」

「あぁ・・・パスカルらしいね・・・」

「ん?あたしがどうかしたの?」

「いーや、パスカルって凄いなと思って」

「そう?いやー、褒められて悪い気はしないね!」

「・・・バカと天才は紙一重・・・か」

「亮、悪口だよそれ」

「そうそう、ここの世界の道具は凄いよね。なんか古っぽいけどしっかり使えるし、頑丈だし・・・ちょっと新しいアイデアも出たし、色んな世界の技術もあるし・・・!」



「パスカル、落ち着け。リョウが引いているぞ」

「いや・・・本当相変わらずだなぁ・・・」

俺は気を取り直して話す。

「みんなは他の世界との会話は?」

「俺はキリトや直葉を通じてある程度は・・・」

「私も。ティアやアスナとは・・・」

「・・・わたしも」

「オレやヒューバートも同じだ」

「パスカルさんはどうですか?ある程度お互いを知らないと連携が取れませんよ?」


「あたしはガイやティアくらいかな~?」

「キリトたちは?」

「あんまり話してないんだよね。・・・ああ、そうだ!ねぇリョウ、後でナーヴギアかアミュスフィア貸して!調べたい!」


「・・・後でね。とにかく、まだ一日あるからお互いに交流しといてくれ。もちろんこの世界の住人ともな。亞莎を通せばお互い説明しやすいし。じゃ、俺は次に行くよ。シィ、みんなの道案内は任せるよ」

「はーい。侵入禁止場所は?」

「以前と同じ。じゃ、よろー」



さて、と・・・次は・・・


「・・・ぐー」

部屋の前で美鈴が爆睡してた。

「おーい、美鈴ー?」

俺は近づき、美鈴の頬をツンツン突っつく。

「ん・・・あ!す、すみません咲夜さ・・・あれ?」

「ここは紅魔館じゃないぞ、美鈴」

「あ、ああ・・・亮さんですか・・・」

「なんで見張ってるの?中で寝たら?」

「正直中で寝るよりこっちの方がいいですよ・・・」

「?・・・とにかく名簿作りするから中に入るよ?」

「ええ、どうぞ」

さてさて、中には・・・

「・・・ちょっと誰よ貴方」

金髪の少女にそう言われた。

「味方よ、アリス。それもこの世界の守護者」

「・・・ふうん・・・あまり強そうじゃないわね」

「失礼な・・・さてと、悪いけど名簿を作りたいんだ。名前を聞かせてくれる?」

すると黒い服を着た少女が言う。

「おう、霧雨魔理沙だぜ」

「ああ・・・そういえば」

続いては緑髪の少女。

「東風谷早苗です。初めまして」


最後にさっきの・・・アリスだ。

「・・・アリス・マーガトロイドよ」

「あいよ。それと霊夢と美鈴か」


「ええ、そうよ。・・・まったく、紫には困ったわ。人に隠して裏でコソコソして・・・」

霊夢が頭を掻くと早苗が言う。

「仕方ありませんよ霊夢さん。バレる訳には行きませんし」

「早苗・・・あのね、文や慧音が消えたのは紫が勝手に拉致ったからなのよ?文は飛ばされた人間の回収。慧音は歴史操作で世界を守っている。それを聞かされずに紫に勝手に連れてこられて戦えって・・・あー、思い出してもムカつくわ」

「・・・魔理沙、霊夢は何時もこうか?」

「まーな。大人しくさせたいなら金が一番だぜ」

「守銭奴巫女・・・」

「なんか言った?」

「いや、別に・・・」

「大澤亮。ここには研究道具の一つもないの?」

「この時代に何求めてるんだよ。資料くらいなら提供してやるから資料室行け」

「マジか?」

「魔理沙はダメだ。・・・永遠に資料が帰ってこなさそうだし」

「ちぇっ、ただ死ぬまで借りるだけだぜ?」

「幻想郷に持ってかれたら取りに行くの面倒すぎんだろ・・・」


俺は名前を書いて口を開く。

「じゃ、俺は行くからな。一応他世界と交流しといてよ?」

「あ、はい」

「面倒」

「気が進まないわ」

「気が向いたらな」

「・・・早苗しかまともな返事してないじゃないか・・・」



連携面では期待しない方がいいかな、コレは・・・























咲~


「入るぜー?」

確かここにはアビス組が・・・

「サキ!」

「よっ。・・・あれ、知也と剛鬼もいたのか?」

「・・・ああ」

「一応、俺も同行してたからな。・・・つーか咲、リパルどうした?」

「今、各世界に回してる。リパルの声が聞こえないと何かと不便だからな」


・・・ちなみに、今のリパルは元のダークリパルサーに戻ってしまった。恋が触れたら再びバラバラになって三つの武器になってしまった。・・・ま、方天画戟が恋の武器だし、俺としてはリパルが手元に残れば問題はなし。

「じゃ、いるのは六神将を除いたメンバー?」

「ああ。アッシュもリグレットもアリエッタも向こうで頑張ってる」

「・・・あ、そうだサキ。これ、アリエッタから」


アニスから渡されたのは帽子・・・これ。

「アリエッタが被ってた帽子・・・?」

「眼鏡の代わりに持っててほしいんだって。アリエッタ、本当はこっちに来たかったみたいだけど・・・」

「教官もそうだったわ。・・・伝言も預かってるわよ、サキ」

「伝言?」

「『二度と私を悲しませるな』ですって」


「要するに死ぬなってことか。思ったより守れそうだ」


「おや、随分余裕そうですね」

「こんだけ味方がいるんだ。負ける気もしないさ」

「確かに、みな頼もしいですわ」

「少し居づらいけどな・・・」

ガイが軽くため息を吐く。・・・ああ、女性の比率高いもんな。

「みんなは他の世界とは?」

「色々話してるよ。・・・ただ、人が多くて面倒だけど」


「そうか・・・あれ?ミュウは・・・」

「置いてきたよ。流石にここに連れてくるのは・・・」



「環境も合わないだろうしなぁ」


俺はメモを書いて首を鳴らす。

「じゃ、次に行くか。ガイ、気苦労は多いだろうけど頑張れよ」

「・・・多いというか絶えないんだが・・・」

「はは・・・」














さーて、次々。

「お邪魔しまーす」

「あ、咲くん」



「なのはか。メンバーを教えてくれるか?」

「いいよ。私たちは分かるよね?」

「ああ、なのはにフェイトにはやて・・・ってまだいるのか?」

後ろにワイワイガヤガヤと・・・」

「あー、うん。わたしの騎士たちや。右からシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラや」


四人が軽く頭を下げる。・・・約二名は睨んできてるが・・・

「はやて、コイツなんなんだよ?」

「五十嵐咲くん。この世界の人や」

「じゃ、コイツらのせいでなのは達が酷い目にあったってことか」

「ヴィータ、よせ」

「なんだよ、事実だろ?」

「ヴィータちゃん・・・」

俺はなのはの前に立つ。

「いいよ、なのは。確かに事実だしな。この件について、俺は謝る以外には黒幕をブチのめして平和にする事しか思い付かない。・・・ただ、俺と戦えないっていうのは止めてほしい」

「なんでだよ」

「ただでさえ、見知らぬ大量の人間が戦うんだ。下手にヴィータが俺に反発すれば・・・」

「それを火種に他の者に不満が爆発する・・・ということか」

シグナムの言葉に頷く。

「俺が気に入らないのはしょうがねぇ・・・けど、そこらへんは全部終わってからにしてくれ。無理なら・・・今ここで一発俺を殴ってもいい。それで今は抑えてくれ。・・・頼む」

ヴィータがしばらく見て・・・溜め息を吐いた。

「・・・ばーか、そんなんで気が済むわけねーだろ」

「・・・」

「あたしだって今の状況が分からないわけじゃねー。それにアイツに負けたあたしらが弱かった・・・それだけなんだよ」

ヴィータはそう言ってそっぽを向いた。それに合わせてシグナムが口を開く。

「・・・すまない。ヴィータ・・・いや、私たちも今の状況に戸惑っていてな」

「・・・ま、そうだよな」

「ごめんなさいね。本当なら私たちは関係ないのに・・・」

シャマル・・・だったか。

「いや、関係ないことはないさ。なのはと知り合って、一度でも共に戦った・・・ならその世界込みで無関係じゃなくなるだろ?」

「咲くん・・・」

「とにかくヴィータ、もやもやしてるなら後で中庭で一戦するか?こういうので発散できるタイプだろ?」

「てめー、あたしが脳筋だって言いたいのか?」


「はは、頭使うのは苦手だろ?」

「・・・っ、だったら後でやるぞ。とりあえずぶっ飛ばしてやる」


「はいはい。・・・それで、こっちの子供たちは・・・」


「あ、待って。クラナくーん!」

「あ・・・」


開けっ放しの扉の前を通りがかったクラナをなのはが引き留める。・・・対するクラナは顔をひきつらせたが。


「・・・何ですか?」

「なのは、この子が?」

「そうだよ、フェイトちゃん。クラナくん、ストライクアーツの使い手なんだ」

「・・・どうも」

『どんな気持ちですか?相棒』

「・・・複雑過ぎて頭痛い・・・」

「ストライクアーツを使うんですか!?」

「・・・っ!?」

金髪の少女が近づくとクラナが目を見開き・・・咄嗟に離れた。

「え・・・えっと・・・」

「あ!す、すみませんいきなり・・・私、高町ヴィヴィオです。初めまして、クラナさん」

「・・・初めまして、か・・・」

クラナがうつ向く。

「なのはの子供か・・・そっちの三人は?」



「あ・・・アインハルト・ストラトスです」



「コロナ・ティミルです」

「リオ・ウェズリーです!よろしくお願いします、お姉さん!」

ピシッ、とみんな固まったのが分かった。

「・・・お姉、さん?」

「え?違うんですか?」


「・・・リオさん、多分この方は男性かと・・・」

「え・・・あ・・・す、すみません!」

いや、まぁ、子供の発言だし・・・

「いや・・・もう慣れたけどさ・・・とにかく男な、俺」

というかこの子はさっきの会話で口調とかさ・・・あ、愛依が最初そうだったか。

「あと、後ろの大人三人。笑い堪えてんなよ」


「え?べ、別に笑ってないよね?フェイトちゃん・・・くすっ・・・」


「そ、そうだね・・・何もないよね、はやて?・・・ふふっ」

「せやなぁ・・・くく・・・」

「いっそ笑えよ・・・そっちの騎士もな」

「いや・・・むしろ気の毒で笑えねえよ」

「・・・苦労してるな」

「カウンセリングが必要?何時でも言ってね」

「・・・」

「気遣いは返って心が痛むぜ・・・」



俺はクラナを見る。

「クラナ、あと任せた」

「・・・え?」

「この世界はお前が一番知ってるだろ?」

「ま、待ってください・・・」

『お任せください、咲さん』



「アル・・・!」

『多少はこちらでもフォローします』


「・・・なんで俺の周りは何時も何時も・・・」


頑張れクラナ。荒療治だな。
























亮~


中庭に差し掛かると・・・強大な気を感じた。

「・・・!!なんだっ!?」

感じた事のない気。俺は走り出す。

「(まさか・・・もう・・・!!)」

・・・が、途中でそれは止まった。何故なら視界にその強力な気の持ち主は・・・知り合いだったから。

「キリト・・・アスナ・・・」

二人の身体から強力な気が吹き出していたが・・・やがて、それが消えて二人は座り込む。

「キリト!アスナ!・・・何やってるんだよ?」

「あ・・・亮・・・」

「亮くん・・・」

見ればソードアート・オンライン組がいた。

「やっほー、亮」

「おはようございます、亮さん」

「亮お兄ちゃん、おはよう」

リズ、シリカ、直葉に・・・

「亮も来たんだ」

「・・・」

「亮、おはよー」

サチ、シノン、ユウキ。それと・・・リョウコウたちか。

「なあリョウ、なにやってんの?」

「ん?気を使う練習だとよ」

「私たちと違ってキリトたちは生身だから・・・」

「使えるものを使わないのは勿体無いわね」

「あはは・・・そうですね」




「それにしても情けないわねぇ、二人とも」

「・・・そう言うリズはどうなんだ?」

キリトに言われるとニンマリと笑う。

「・・・じゃ、見せてあげましょうか。二人とも、いい?」

「「はい!」」



三人が距離を開き・・・まずシリカが気を溜める。

「はぁぁ・・・」

シリカの手のひらに球体状に気が現れる。

「(へぇ、綺麗に纏まってる・・・)」

「リズさん、行きます!」

「何時でも来なさい!」

シリカが大きく振りかぶって・・・気弾を投げた。対するリズはメイスに気を流し・・・

「せぇぇりゃああ!!」

カキィィン!!

リズがその気弾をかっ飛ばした。・・・つまり、反発する気を武器にしっかり籠められた訳だ。

「直葉!」

「はい!」

直葉は刀を抜き、気を刀身に気を籠めた。

「やぁぁぁぁ!!」

振り切った刀から剣閃が飛び・・・気弾を真っ二つにした。

「「・・・」」

「どーよキリト。もう万全よ」

「お兄ちゃんもアスナさんもこのくらいすぐ出来るようになるよ」

「そうですよ。ね、ピナ?」

「キュル!」



「・・・よ、よし、やるか、アスナ!」

「う、うん!」


二人が立ち上がって再び気を出す。


「・・・そういや、お前もプレイしたんだよなぁ」

リョウコウが不意にそんなことを言った。

「ん・・・ああ、SAOか・・・」

「どうだったよ?」

「どう・・・か。そうだな、凄く苦しかったけど・・・楽しくもあった、かな?」

「・・・そかそか」

「なぁ、リョウ。お前ってヒースクリフとやったか?」



「おう、タイマンで相討ち」

「・・・よく生きてたな」

「咲だって生きてたろ?」

「まあね・・・」

そこでリョウコウがニヤっと笑う。

「そうだ。久々にやらねえか?本気の鍛錬をよ」

「えぇ・・・お前とタイマンはやだな・・・」

「んだよ連れねえなぁ」




「外史メンバーとの鍛錬は地獄過ぎるんだよ・・・」

よく片っ端からボコられたなぁ・・・

「じゃあタイマンじゃなきゃいいんだな?


「は?」

「おい美幸、準備できてるか?」

「え、私?」

「お前の力見せとかねぇとな。じゃなきゃどう一緒に戦うか解らねえだろ」

「・・・どうせそっちのサチも凄まじいんだろ・・・」



「外史メンバーとの鍛錬は地獄過ぎるんだよ・・・」

よく片っ端からボコられたなぁ・・・

「じゃあタイマンじゃなきゃいいんだな?」

「は?」

「おい美幸、準備できてるか?」

「え、私?」

「お前の力見せとかねぇとな。じゃなきゃどう一緒に戦うか解らねえだろ」

「・・・どうせそっちのサチも凄まじいんだろ・・・」


俺はぐるりと見回したら・・・一人と目があった。

「・・・サチ、一緒にやるか?」

「え・・・!?」


いや・・・まぁ偶然目が合ったから誘ったんだけど。

「はっ、こりゃ傑作だな。二人のリョウに二人のサチか」

リョウコウが愉快そうに笑う。

「あの頃の俺とは違うぜ、リョウ」

「おう、せいぜい頑張ってくれや」

「お、お手柔らかにね?」

「こ、こちらこそ」




・・・というわけで・・・


「・・・よしっ」

葬解を填め、擬音を逆手に持つ。サチも槍を構える。相手は・・・


「へへ、さぁてやるか」

「やりすぎないでね?りょう」

リョウコウが重量感が凄い偃月刀・・・冷裂を構え、美幸は杖を構えた。

「美幸、まずは下がってろ」

「うん」

リョウコウが肩に冷裂を担ぎ、片手でちょいちょいと手招きをする。

「来な」

瞬間、サチの目が金色に代わる。

「じゃあ私から行くよ!」

「あ、おい!またかよ!」


サチが突っ込み、槍を突き出す。

カキン!

「オラ!」

「次っ!」

俺が斬り込み、もう一度サチが突く。・・・以前と違って俺の存在も考慮してくれてるみたいだ。

「確かに、動きはよくなってるぜ。・・・そら、よ!」

ガキャアアン!!

「「っ!?」」

リョウコウの一撃は俺達を纏めて吹き飛ばした。

「くっ・・・相変わらず馬鹿力だな・・・!!」

「普通の槍なら折れてるよ・・・」

サチはそう言って光弾を放つ。

「っと」

リョウコウはそれを弾く・・・前に瞬動で背後に回り込む。

「らぁっ!」

「とと、そらよ!」

光弾を弾いてからリョウコウは蹴りを放ってくる。

「っ・・・」

俺はそれをギリギリでかわしてから擬音を握る。

「断空剣!」

回転斬りを放つが防がれる・・・が、まだだ。

「衝破魔神拳!!」

思い切り拳を振りかぶり、地面に叩き付ける。

「おっ・・・」

更に足と擬音に気を籠め、ソードスキルの再現をする。

「ビーストファング!」

蹴りと斬撃、四連撃の体術剣術複合スキル。

ガガガガン!


「おっとぉ!」

リョウコウの足が僅かに下がる。・・・まだだ!

「おおおおお!!」

気を刀身に集め・・・巨大な刃を作る。

「鈴音罰殺斬!!」


光の刃が爆裂、土煙が上がる。・・・俺は構えを解かず、気弾を叩き込んで土煙を吹き飛ばす。・・・当然、無傷な姿が目に入る。

「・・・だよな」

「コンボはよかったぜ。ただ、締めが俺に一度見せた技なのはマイナスだな」

「だからって無傷はないだろ無傷は。わりとっていうかガチで叩き込んだのにな・・・」

「そうか?さて、と」

リョウコウの空気が・・・変わった。

「・・・行くぜ、少年?」



リョウコウが、一瞬で接近してきた。

「っ!!!」

ほぼ本能だった。気を籠めた擬音を体の左側に持ってきた瞬間・・・衝撃が身体を貫いた。

ガァァン!

「ぐっっっ!!」


当然吹っ飛ばされ、これまた当然のように・・・追撃してきた。

「まだ一発目だぜ?」

ゴォン!

「ぎっっ・・・!」

俺に出来るのは耐えること。ここで焦って攻めれば、それこそあの一撃の餌食になる。・・・何より恐ろしいのは・・・

「(まだソードスキルを使ってない・・・!)」

それでいてこの破壊力。プレイしたからこそ分かるレベルの高さ。

ドォォォン!

一発一発が大砲のように打ち込まれる。

「かっ・・・はっ・・・!」

思わず呼吸を忘れるほどの攻撃。息をするどころか瞬きする余裕もない。

「私を忘れるな!」

サチがリョウコウに突っ込もうとするが・・・

「美幸!」

「・・・ごめんね?ここは通せないよ」

「くっ・・・!」


援護は期待できそうにない・・・か。

「野暮なことはやめようや。この状況を楽しもうぜ!」

「元、から・・・ぐぅ!・・・この状況にぃ!する、気、だったろ!」

しかも向こうには呼吸をしなくていいばかりか体力は無限大だ。リョウコウの性質上戦闘中に集中力が切れる筈もない!



「ぐぅぅ・・・!」

滑り続け、遂にバランスを崩して片膝が地に着く。

「もうへばったか!」

リョウコウが大きく振りかぶり、冷裂が輝く。・・・ここしかない!」

「・・・ぉぉあああぁぁああ!!」

気を爆発させて無理矢理懐に入る。

「そんなんじゃ怯まねぇぜ!」


「・・・気功破!」
気を炸裂させる。ただし、リョウコウにではなく地面に、だが。

「おおう?」

空中に飛び、冷裂をかわしながら体制を立て直す。

「紅蓮蹴撃!」

炎を纏い、飛び蹴りを放つ。狙いは・・・

「おい!後ろだ美幸!」


「・・・こっちに!?」




だが美幸は特に慌てず、杖を向ける。

「フレイム・スプレッド!」


大量の火球が押し寄せるが、イケる!

「火力増大!」

火球を全て吹き飛ばす。が、美幸はそれでも顔色を変えず。

「・・・じゃあ、竜ならどう?」

詠唱が完了し、こちらに杖を向ける。

「ドラゴン・クリメイション!」

グォォォン!!

・・・明らかに俺を余裕で呑み込める大きさの炎の竜が現れる。

「なぁ!?そ、それはムリ・・・がはぁ!?」
爆発、そして着地(顔面から)

「あちちち!?くっそ、また火傷したぁ!!」

どうやら炎に焼かれるのにも縁があるようで・・・

「はっ、美幸ならやれるとでも思ったか?」

「いや・・・どっちかってーと・・・俺の目的はこっちな」

俺の背後に・・・サチがいた。

「あ・・・」


「これはタッグ戦だよな?仲間と協力は当たり前だぜ」


「んだよ、タイマンはもう終わりかよ」

「うっせ。お前とタイマンなんかゴメンだっつの」


「亮・・・」

「サチに代わってくれ。・・・こっからは本気のコンビネーションだ」


「・・・わかった」

サチの瞳が元に戻る。

「・・・強いね、二人とも」

「ああ。しかも綺麗に遠距離型と近距離型だしな・・・」

「私たち揃って近接だもんね・・・」

サチが苦笑する。

「おーい、何時までお喋りしてんだー?」

「掛かってきてもいいんだぜー?」

「・・・んじゃ、遠慮な、く!」


リョウコウが再び接近するが・・・それを防いだのはサチだ。

「んな軽い槍じゃ割っちまうぞ、サチぃ!」

「・・・ここは、通さない!」

直後、衝撃破。それは軽くリョウコウを後退させ・・・

「Gモード・・・みんな、力を貸して!」

姿を天使のように変えたサチがリョウコウに向かって飛ぶ・・・と同時にリョウコウの横を瞬動で駆け抜ける。

「げっ・・・」

リョウコウは俺に反応したが・・・対応する訳にはいかなかった。何故ならそれはサチに攻撃のチャンスを与える事になるから。幾ら何でも未確認の攻撃を余所見で受け止める程リョウコウはバカじゃない。

「行くぞ、美幸!」

「・・・!」

美幸は素早く詠唱・・・が完了する前に。

「たぁ!」

気弾を指先から連続で発射。だが美幸はそれを避け・・・

「アクア・バインド!」


「っと・・・!」

名前からして拘束系の技だろう。


「当たる、か!」

それは上手く瞬動で回避。そして擬音をサチに向かって振り切る。

ヒュン!

「(避けた!)・・・らぁっ!」

そのまま後ろ回し蹴り。美幸はそれを杖で弾き、至近距離から・・・

「スパーク・ランス!」

雷の槍を放ってくる。慌てて気で防ぐが・・・些かキツいか・・・!」


「こん・・・ちくしょう!」

気合いで弾き、そのまま拳を放つ。

ガッ!

「うぅ・・・!」

続く擬音で杖を弾き・・・もう一度拳を叩き込む。

ゴォッ!

「あぐっ・・・!

「(入った・・・!)」

美幸の腹にめり込む拳・・・すっごい罪悪感があるが、ここで止めたらチャンスはない・・・もう一撃喰らわそうと足に力を入れた瞬間・・・


「・・・調子にのんなよ、少年」

「っっ!!!」

血の気が一瞬で引いた。真後ろから聞こえた。つまり・・・結論が出る前に既に俺はしゃがみ、その頭上を冷裂が通っていった。

「く・・・はぁ!」

そのまま回転して足払いをしようとした・・・足を上から踏みつけられた。

「あぐっ!?」

「見え見えなんだよ」


こちらを見るリョウコウ。・・・俺は恐る恐る口を開く。

「・・・怒ってます?」

「ああ?なんでだよ」

いやだって。今の冷裂明らかに首狙ってたもん。殺る気満々だったもん。

「ただちーっとおいたが過ぎたな。・・・美幸、平気か?」

「う、うん。ありがとう、りょう」

「あの、リョウコウさん?・・・慈悲は・・・」

「ねえな」

「ですよ、ね!」

気弾を放つがリョウコウは軽々飛んで避ける。・・・つーかサチは!?」

「ご、ごめん・・・吹き飛ばされちゃって・・・」

サチが飛んでくる。・・・その背後にはサチが突き破ったと思われる様々な残骸が・・・

「弁償しろよな・・・」


「さて、少しだけ手の内を見せてやるか。美幸、水雷火な」

「え!?い、いいの!?」

「彼奴らなら平気だろ。時間は稼いでやっからとっととやれよ?」

「わ、わかった」


リョウコウがこっちを見る。

「つーわけだ。手札を一枚ずつ見せてやるよ」

「・・・っ」

擬音を握り締める。・・・美幸を止めるかリョウコウに掛かるか。

「チェンジアバター、フェアリー」

リョウコウの姿が変わった・・・瞬間、消えた。

「っ!?」

ガスゥ!

「きゃああ!?」


「サチ!?・・・くあっ!?」

背中に背負った迷切に気を流した瞬間背中に衝撃が走る。

「なんだ、反応いいな」

目の前にリョウコウが現れる。・・・ただ、さっきと違って赤い髪に背中に羽があったが。

「サラマンダーかよ?」

「残念、プーカだ」

「ええぇ・・・」

選んだのかよ・・・

「・・・とにかく、そっちのアバターはスピードタイプってことでいいか?」

「おっ、正解、だっ!?」

素早く斬り込み、迷切を引き抜く。

「おいおい、少しはお喋りを続けようぜ?」

「うっせ!美幸の時間稼いでんのバレバレなんだよ!」

サチが美幸を狙うがリョウコウがそれをさせない。

「く・・・」

「覇ぁ!」

ガゴォン!

「うっ・・・」

「亮!」


大きく吹っ飛び、サチが俺を受け止める。

「サチ、俺はいい!早く美幸を・・・」

「残念、準備完了だ」



「バインディング・ゲイザー!」


水の縄が現れ、俺とサチを絡めとる。

「あう!?」

「ぐっ!?」

だが・・・これくらいなら!

「うぉぉぉぉ!!」

気を放出して縄を打ち破る。

「おいおい、対大型モンスター用なんだが・・・まぁいいか。美幸、次だ」


「(コクッ)」



美幸は頷きながらも詠唱を続け・・・

「オーラクルム・フルメン!」

バチィ!!

「がはっ!?」

「あうっ!?」


雷が直撃し、衝撃が身体を突き抜ける。しかも帯電のオマケ付きだ。

「それ、一応設置型なんだわ。んじゃ、最後よろしくな」

「リクィドゥム・エールプティオー!!」

気が付けば美幸の周りに光の固まりが展開しており・・・それは全て美幸が新たに出したオレンジ色の球体と同形状になる。

「なんだ・・・あれ」

水雷火・・・火・・・帯電・・・引火・・・

「・・・やべぇ!」

俺は咄嗟に気弾を一つにブチ当てる。・・・すると。




ズガァァン!!

気弾が液体のような球体に吸い込まれた・・・瞬間の大爆発。


「サチ!とにかく撃つんだ!」

「う、うん!」

だが球体の速度は早く・・・二つ、討ち漏らした。

「亮、ダメ!」

サチが俺を抱き抱える。

「サ・・・」

「点火だ」

「・・・ごめんね」

ゴガァァァン!!

「うわぁぁぁぁ!?」

「きゃああああ!?」

爆発、そして炎に呑み込まれ・・・吹き飛ばされる。サチは元の姿に戻り、俺達はボロボロの姿で黒煙を上げていた。

「サ・・・サチ・・・」

「う・・・あ・・・」

目の前にリョウコウが立ち、冷裂を突き付けてくる。

「まだやるか?」

「・・・参った」

俺は息を吐いて抵抗を諦めた・・・

















ーーー数分後ーーー

「本当にごめんなさい!大丈夫、二人とも?」

美幸が必死に謝ってくる。ちなみにダメージは治してもらいました。・・・服は着替えてきましたが。

「いや・・・正直今回はリョウコウより美幸の方が怖かったよ、うん」

「ま、戦なら広域魔法で殲滅できる美幸の方が俺よか使えるぜ」

「そんなことないよ。りょうの方が凄いと思うし・・・」


「俺なんざ真っ向から叩き割ることしかできねぇよ。・・・つか、そっちのサチもすげぇな」

「そ、そうかな?でも亮の方が速いし・・・」

「・・・ややこしいね」

「・・・だな」

そんな時、咲がやって来た。

「なにやってんだ、お前ら?」

「わりと本気な訓練。・・・つか咲は?」

「これからヴィータと模擬戦。戦前のウォーミングアップだな」

「ふーん・・・」

そんな感じで咲は準備を始めた・・・ 
 

 
後書き

「またフルボッコー」


「もう勝てないんじゃね?」


「勝負じゃ負けないし・・・まぁいいや、それではまた次回もよろしく!」

 
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