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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS戦術解説
  小隊の戦い方②


——「縦」と「横」を組み合わせたMS小隊の隊形の進化——

 MS小隊の戦闘隊形には、突撃力に優れる「縦列型」と、柔軟性に秀でた「横列型」に大別できるが、地球連邦軍では宇宙戦を想定して新たな体系が考案されていた。

 それは「縦横」を組み合わせることで双方の特徴を併せ持つ「T字列型」というべきもので、中距離支援型MSの存在があって初めて可能となる攻防一体の体系であった。

 だが、1個小隊を構成するMSが4機必要(例えば前衛のジムが3機、中衛にジム・キャノンが1機)であること、隊形運用上の柔軟性に欠ける等の理由から次第に廃れていった。

 しかし「T字列型」の体系は、より運用性に優れる3機編制のMS小隊に応用され、攻防それぞれに瞬時に対応できる理想の体型として進化を遂げてゆくのである。


■前衛

 前衛に配置されるMSは敵機と戦闘を行うだけでなく、中衛以降を守る「防御壁」としての役割を持つ。被弾率が高いため、防御力や運動性に秀でる機体が有利となる。また、近距離での交戦が多くなるため、マシンガンなどの取り回しやすい片手用武器が有効な兵装となる。


▼前衛に適したMS

 RX-78(ガンダム)やRGM-79(ジム)などの汎用機全般。またはMS-07B(グフ)やYMS-15(ギャン)などの格闘戦用MS、もしくはMSM-07(ズゴック)-などの格闘戦に対応した水陸両用MS全般。


▼前衛に適した兵装

 ビーム・サーベルやヒート剣などの格闘戦用兵装やマシンガン、ビーム・ライフル、ビーム・スプレーガンなどの射撃兵装。


■中衛

 中衛は前衛の支援が主な任務である。大口径火器を用いた支援を行うが、前衛が突破された場合や、側面からの攻撃を受けた場合に備える必要もある。交戦距離が中~長距離になることが多いため、大型火器や固定式兵装などを装備した機体が適している。


▼中衛に適したMS

 RX-77(ガンキャノン)やRGC-80(ジム・キャノン)などの中距離支援型MS。
▼中衛に適した兵装

 大口径短砲身キャノン砲、ビーム・キャノン、ビーム・ライフル、ロケット・ランチャー、胴体固定式メガ粒子砲、ミサイル・ポッド(ランチャー)などの射撃兵装。


■後衛

 中衛のさらに後方から、前衛及び中衛への長距離支援を行う。任務の性格上、中衛よりも大型の火砲を装備し、自走砲的な役割を持つ。機動性と、対MS戦能力が低いため、護衛のMSが付く場合もある。またMSではないが、ホバー・トラックやボール、マゼラ・アタックなどもここに入れていいだろう。


▼後衛に適したMS

 RX-75(ガンタンク)などの長距離支援型MS、YMS-16M(ザメル)などの砲戦用MS、長距離狙撃用兵装を持つMSなど。


▼後衛に適した兵装

 RX-75(ガンタンク)、YMS-16M(ザメル)などの長砲身砲、ロングレンジ・ビーム・ライフル、大型キャノン砲。



——「縦列型」と「横列型」の代表的な隊形——

■縦列型—————通常攻撃型

 縦列隊形の中ではもっともポピュラーなタイプ。前衛、中衛、後衛がそれぞれ適切な位置に配備されている。一点突破型の隊形で、中衛と後衛からの支援射撃により、敵陣を混乱させ、その隙に前衛が敵機を撃破する。


■縦列型—————攻撃特化型

 中衛が前衛の近くに配置された隊形。後衛の支援射撃に加え、前衛と中衛が直接攻撃を行うため、高い攻撃力を発揮する。その半面、後衛が取り残され易いという欠点がある。


■U.C.0079,09,23—————WB VS ガルマ戦隊

 北米において、ジオン公国軍地球方面軍司令ガルマ・ザビ大佐の率いる航空部隊と機構部隊に包囲されたWBは、ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクを出撃させた。

 これは小隊編成を意識していたものではなかったが、ガンダムが前衛となり公国部隊を撃破し、後衛のガンキャノンとガンタンクが支援射撃を行うという連携を見せた。途中、ガンダムが突出し、支援の無い状態でシャア・アズナブル大佐と交戦したが、ガルマ大佐直下の部隊は大ダメージを受けていたため、後退を余儀なくされた。


■横列型—————正面制圧型

 中衛だけでなく、後衛も前面に配置されている点が特徴。横列の隊形においては最も多用され、敵正面に対し高い制圧力を発揮する。相互支援が容易な点も特徴の一つである。


■横列型—————防御特化型

 この隊形は「正面制圧型」の防御版といえる。前衛と中衛が正面防御を担当し、突出した敵に対して各個撃破を行う。さらに後衛は支援射撃によって、敵部隊の連携や増援の分断を図る。待ち伏せなどにも有効な隊形である。


■U.C.0079,10—————第08MS小隊 VS ザジジ村周辺の公国軍

 極東方面軍機械化混成大隊所属の第08MS小隊は。、ザジジ村付近のジャングルでザクⅡと遭遇。08小隊の3機のMSとホバー・トラックが散開して潜伏していたところ、隊長のアマダ少尉機の近くをザクⅡが通過した。

 これに対しアマダ少尉機がザクⅡに攻撃を仕掛け、ジョシュワ曹長の援護を受け撃破に成功。この直後、別のザクⅡがジョシュワ曹長に奇襲を行ったが、アマダ少尉機の射撃によってザクⅡは破壊された。

 これは横列(散開)隊形を防御的に利用した例であるが、お互いをフォローできる横列隊形の柔軟性が発揮されたケースだと言える。





補足事項

——大規模部隊におけるMS小隊の数——

 特別な例を除き、基本的にMS小隊はMS中隊を構成する小隊の一つとして、軍編成の中に組み込まれている。

 例えば、地球降下作戦時のジオン公国地球方面軍のMS小隊は、機動師団を構成する歩兵大隊や機甲大隊、対空中隊などと共に設置されたMS大隊に所属していた。MS大隊は3個MS中隊、1個MS中隊は3個MS小隊から成り、1個機動師団には9個のMS小隊が存在していたことになる。

 連邦軍では極東方面軍所属の機械化混成大隊の構成が知られており、本部管理中隊1個、対MS歩兵中隊1個、MS中隊2個(第一、第二)から成っていた。

 機械化混成大隊所属のMS中隊は、4個MS小隊から構成されていたことから、この大隊には8個のMS小隊が所属していたことが分かる。



——高速化が進むMSと隊形の変化——

 MS小隊の隊形と戦闘方法解説してきたが、近年サブ・フライト・システム(SFS)や可変MA(TMA)などの出現によるMSの移動速度の高速化が進み、MS部隊の戦法も高速接近を主体としたものに変化しつつある。

 一年戦争時においても宇宙戦やMS-09(ドム)の出現によって同様の事態が起こりつつあったが、今後SFSの急速な普及が確実視されていること、また支援型MSの減少と汎用MSの多様化によって、今回紹介した縦列隊形や横列隊形は限定した領域でしか活用できないものになる可能性も否定できない。
 
 

 
後書き
次回 砂漠戦 
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