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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS戦術解説
  小隊の戦い方①

——MS部隊の最小単位にして基本となるMS小隊の戦闘法——

 MSはそれまでの兵器とは異なる体系を生み出した革新的な兵器システムである。そして、その黎明期においては様々な運用方法が模索された。

 史上初の実戦型MS、MS-05(ザクⅠ)が誕生した3ヶ月後のU.C.0075,11、ジオン公国軍は「教導機動大隊」を設立し、MSを運用する上で戦術や戦法を積極的に採用することで、ジオン公国軍はMSを中心とした新時代の軍組織へと再編された。こうした流れの中で、MSの部隊編成は確立されていったのである。

 MS部隊の編成は、戦車などの既存の兵器体系で用いられた部隊編制を参考にして、MS大隊やMS中隊、そしてMS小隊が作られた。

 通常3~4機のMSで編制されるMS小隊は、MS部隊の最小編成単位で、複数個の小隊でMS中隊が、さらにいくつかの中隊によりMS大隊が構成される。このMS部隊の編成内容については、地球連邦軍も同様であった。つまり、MS小隊はMS戦闘の基本となるものであり、その戦闘方法も小隊規模での作戦を前提に考えだされたものだと言っても過言ではない。

 実際なところ、ア・バオア・クー戦などの大規模な戦闘はむしろ例外であり、地球連邦軍がMSを実戦配備し始めた一年戦争後期には、こうした小隊規模のMS部隊による戦闘が頻発していたのである。

 このMS小隊の戦闘方法は、その隊形によって大きく二つに分類される。一つはMSを縦に並べる「縦列型」、もう一つは横に並べる「横列型」である。

 縦列型は1~2機を前衛、残りの機体を中~後衛に配置し、縦長または三角形の隊列で「点」への攻撃を行う隊形である。突撃力と攻撃速度に秀でるが、側面からの攻撃に対応しにくく、さらに進軍速度が速すぎると、前衛の機体が突出してしまうなどの欠点もある。

 この縦列型はキャノン・タイプMSやタンク・タイプMSなどの支援用MSを多数装備していた連邦軍に多く見られる戦法で、ホワイトベースではガンダムを前衛とし、中衛以降にガンキャノン、ガンタンクを配置して、公国軍の包囲網を突破することに成功している。

 これに対し、横列型は前期を横一列、または扇状に展開、つまり前期を前衛として「面」での攻撃を行う隊形である。進軍速度は緩やかで、索敵や殲滅戦、さらに防衛や待ち伏せなど、幅広い戦術に対応している点が特徴といえる。

 さらにMS同士を近距離で配置すれば、火力の集中や量機のバックアップが容易になるなど、柔軟性に富んだ運用が可能となる。この隊形で戦闘を行った部隊として、連邦極東方面軍の機械化混成部隊指揮下のMS小隊や、公国軍のランバ・ラル隊などが確認されている。

——一年戦争時に確認されたMS小隊——

■不死身の第4小隊

 一般的な認知度こそ低いが、軍事マニアにはよく知られている連邦軍のMS小隊。サウス・バニング大尉、アルファ・A・ベイト中尉、ベルナルド・モンシア中尉、チャップ・アデル少尉(階級はいずれも戦後のもの)の4人組で、4機のジム・タイプMSを操り、ア・バオア・クー戦などで活躍した。一年戦争後、バニング大尉の豪州トリントン基地、他の4人はジャブロー基地に配属になっているようである。


■第08MS小隊

 連邦地上軍極東方面軍所属のMS小隊。3機の陸戦型ガンダム(そのうちの1期はEz8に改修、もう1機は頭部が陸戦型ジムのそれに換装された)とホバー・トラックで構成されていた。第08MS小隊はその戦果もさることながら、数々の特殊任務もこなしており、その確率は勲章に値するほどであったという。しかし、戦果とは裏腹に、小隊長のシロー・アマダ少尉にはスパイ容疑がかけられ、軍上層部にとっては「眼の上のタンコブ」のような存在であった。


■黒い三連星

 ルウム戦役において、レビル中将(当時)を捕虜にしたことで名を挙げたガイア、オルテガ、マッシュの3人組。彼らは軍人や旧公国国民であれば知らない者はいないほどの知名度を持つ。教導機動大隊創設時からのMSパイロットであり、三位一体の攻撃「ジェット・ストーム・アタック」はとくに有名である。


■トップ小隊

 公国軍欧州方面軍に所属していたと思われるトップ、デル、アスの3人組。U.C.0086現在まで、その存在はほとんど知られていなかった。オデッサ戦の敗残兵として半壊したザクⅠで東南アジアまで逃亡。食料調達のために、ある村にザクで侵入したが、新兵の明日の粗野な振る舞いのため、村人と戦闘状態に陥ってしまう。さらに、この戦闘に上記の08小隊が介入し、その結果、トップ小隊は全滅した。





補足事項

——小隊長と小隊長機——

 連邦軍では、中尉、または少尉の階級を持つ士官がMS小隊の隊長に任命されることが多い。前者の例が「不死身の第4小隊」の隊長サウス・バニング中尉(後に大尉)で、後者の例は極東方面軍機械化混成大隊に所属する第08MS小隊のシロー・アマダ少尉である。

 ただし、少尉は事実上最下位の士官で、士官学校を卒業したばかりの新米士官である場合も多い。このため、少尉に変わり曹長や軍曹といった下士官が実質的な指揮を執ることもあった。

 小隊長に与えられるMSは、基本的には他の隊員と同じタイプのMSが与えられるが、公国軍の「ツノ付き」の様に指揮通信能力を強化したやいプや、小隊長を示すマークがペイントされ、視覚的に区別されているタイプもあった。これは味方機からの識別や指揮を取る際に有効だが、敵にも小隊長であることを伝えてしまうため、攻撃対象になりやすいという欠点もあった。
 
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