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生還者†無双

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狩りその1

どうやら此処は荊州らしいが荊州って現代の中国のどの辺なんだ?
雪蓮と会話をしていて思ったのだが取りあえず置いておこう
場所が何処だろうがあまり関係ないしな
冥琳の話だと各地で黄巾党……いや賊が次々と討伐されているらしい
それに桃香の義勇軍も黄巾征伐の功績を認められて平原の相?になったみたいだ
いまいち凄さが分からんがまぁお上から正式に任命されるのだから凄いのだろう
義勇軍なんざ言い方変えれば傭兵団か賊とあまり変わらない
形だけでも正規軍にもなれば色々な面で都合が良いだろ
桃香も自分の理想の為にやるべき事を自覚したみたいだな
まぁ今の所の及第点だろ
あとはクソ真面目の愛紗と能筋ちびっこの鈴々が協力し合えば大概の事は何とかなるはず
そして俺の出番は無しって訳で完璧だぜ
しかし張り切って旅に出たは良いが遺跡や神隠しの情報は何一つねぇ
でも少なからず未来とこの場所は繋がっている
この武器然り、あの変態筋肉然り
何かしら帰還出来る方法はきっと有るはずだ
きっと……ん?何だありゃ?
考え事をしながら歩いていると見覚えある子ども?が猫と対峙していた

「お猫様お猫様、日向ぼっこ中ですか?」

お猫様……?猫に話かけてんのか?
まぁ確かに日当たりの良い場所だな此処は
暇だし暫く様子でも見てみるか……

「はうぁ~モフモフそうですねぇお猫様……」

そのまま猫に顔埋めモフモフをしようとしたが

!!!!

「あいたっ」

強烈な猫パンチを炸裂され同時に猫は凄い勢いで走り去ってしまった
完全に予想通りの展開につい吹き出してちまったぜ
そりゃ猫に顔なんて近付けりゃキツイ一発貰うだろうさ
相当猫好きなんだろな、このお嬢ちゃんはよ

「い……何時の間に其処に居たのですかっ!?」
「まぁ……お猫様お猫様辺りからか」
「まさか全部見てました……か?」
「おう、予想通りの結末に笑っちまったぜ」
「うぅ、お使い様酷いです……覗きだなんて」

覗きと言う言葉の爆弾を投下してきた周泰……だっけか?
俺は別に覗きなんてしていねぇ!堂々と見ていただけだ!
この勘違いだらけのやりとりをしている所を運悪く思春に見つかり
覗きとは卑劣千万と斬りかかれ危うくケガをする所だった
本当に面倒な事になったもんだよ
これじゃあ迂闊に出歩けやしねぇな
その場から何とか離脱しようと試みたが次第に話が大きくなっていた
人伝に話の内容が変わり最終的に暁が女性の着替えを覗いているとなり
女性を中心とした武官達(首謀者は雪蓮)が暁狩りを開始した
だがしかし……
いやいや待てよ、あの暁の旦那がそんな事する訳がない
そう言って集まった兵士達もいた
やはり最後に頼りになるのは男だな
集結した兵士達に少し感動した暁だが確実に包囲網は狭まっている
グズグズはしてられん、さっさと移動しなくては
暁達は近くの山に向かい動きだそうとした

「待てい、暁」

聞き覚えのある声に呼び止められた
もう距離を詰められたのか?クソタレっ油断した!
目眩ましのかんしゃく玉を地面に投げつけ逃げようとしたが
どうやら捕まえに来た訳でもないらしい
良くみたら「なんだ黄蓋……(ギロ)じゃなかった祭か」
この前酒場で鉢合わせて真名教えて貰ったんだった
名前の他に真名まで覚えなくちゃいけねぇのは面倒だぜ

「言っておくが俺は覗きだなんてしてねぇぞ」
「そんな事は儂も知っている、策殿の戯れじゃ」
「な……なんて奴だ、戯れで軍を動かすとは……」
「こうなった以上は徹底的に逃げよ暁、儂等も協力するでな」
「はい、私も協力しますねー」
「すまねぇ陸遜(ジト)じゃあなかった穏」

かくして暁達は山に向かい包囲部隊との決戦に備えた
だが確実に雪蓮の魔の手は暁に迫っていた……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

暁が覗きをしたらしい
そんな騒ぎが街からあがってきた
全く……馬鹿馬鹿しいのう
確かに得体のしれん奴じゃがそんな事する男ではなかろう
少し考えれば分かる事だろうに

「そんな話を間に受けるでない……「面白そうね♪」策殿?」

聞かれてはいけない者の耳に入ってしまったか……
あの顔は良からぬ事を企んでいる顔じゃ……
策殿は暁をことさら気に入っておるからのぅ
孫家に天の御使いの血を入れるとも言っておるし
残念だが諦めよ暁……こうなった策殿は止められん
しかし奴に貸しを作っておくのも悪くないか……
天の御使いの肩書きを差し引いてもあれだけの器と強さを持った男など見た事ない
儂ももう老骨じゃ、最後の機会に狙ってみるかの……

「へ……へっきし!何だか誰かに狙われてる気がするぜ……」

「策殿?山のように有った書簡はどうなされた?」
「えへ☆」
「また逃げたのか……公瑾に絞られますぞ策殿」
「だって可愛い部下が覗かれて辱しめられたって聞いたらほっておけないじゃい(棒)」
「策殿?普通に考えれば暁が覗きなんて……「甘いわよ祭」え?」
「これをダシに使って暁を孫家から離れられないようにするのよ……」
「いくら何でも無理矢理過ぎじゃあないかの……」
「大丈夫よ、証拠なんて作れば良いんだものね♪」

な……なんて事じゃっ!
策殿が本気で暁を落としにかかっている
取りあえず奴に会わねばならんな
このドス黒い策殿には何を言っても無駄じゃ
しかし儂一人では如何せん足りん……確か穏も暁とは親しかったな
何でも天の知識(未来の知識)は最高とか言っていたはずじゃ
穏も軍師の端くれ、天の知識と引き換えならば協力してくれるだろう
暁よ……生き残るのじゃぞ……
そう思いながら儂は行動を開始した

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「暁様?約束ですよ?この前お話しのじーぴーえすについて教えて下さいね?」
「了解、生き残れたら教えてやるよ」
「暁も難儀な事になったのぅ……」
「全くだ、雪蓮の奴め何を考えてんだよ」
「諦めよ暁、策殿は本気じゃ」
「だろうな……さっきから付かず離れずの距離に誰か居るぜ」
「なんと!もう捕捉されたのか?」
「ここいらで分散しよう、基本二人一組で行動しろよ、夜明けまで粘れば俺達の勝ちだ」
「「「応」」」

こうして夜の山での戦慄の狩りが幕が切って落とされる
誤解と戯れから始まったこの惨事だが追っ手も逃げ手も意外と本気で
暫くは膠着状態が続き静寂な夜の森に月灯りが射し込む
しかし暗殺者の刃は確実に一人また一人と犠牲者を増やしていた

「ぎゃあー」

こだまする断末魔、倒れた身体、無惨な顔
(変態1号) (眉毛が嫌)

「む……酷い」

横たわる兵士の顔には墨で書かれた一言があった
だがその一言が酷いのだ
完全に只の悪口じゃねぇか!しかも落ちねぇ!
水筒の水をかけて拭いてみるが墨はびくともしない
なんて恐ろしい所業だ……
ゴクリと生唾を飲み込み冷や汗を拭う
一刻も早くこのキラーマシンを止めねばと思うが至る所から叫び声があがっている

「ちきしょう!仇は取ってやるからな!」

そうして俺は行動を開始した
気配をけして森と同化する
あのアーカムのエージェント朧って奴が言っていたな
気をコントロール出来れば怖い物など無いと
流石は御神苗の師匠か
おっと……感心してる場合じゃあねぇ
今はこの事態をどうやって切り抜けるかだ
幸い近くには居ないみたいだが……こちらも歓迎の準備はしておくか
現地の材料でトラップ作成を試みる
この地形はゲリラ戦にはうってつけだ
俺は売られた喧嘩は買う主義だ、それも倍返しが基本でな
何だか楽しくなってきたぞ

何だかんだで楽しんでいる暁だった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「良し、これで完璧だ」

一通りトラップの設置と偽装が終わり
あとは襲撃者を待つのみとなったが……中々現れず業を煮やした暁は
自ら囮となりトラップエリアに誘き出す作戦に出た

「祭と穏は無事だろか……まぁ祭は手練れだし穏もぉ!?」

目の前には二人の無惨な遺体(死んではいない)が転がっていた
(おっぱい魔人) (胸なんて脂肪)
ひ……ひでぇ
凄い悪意を感じる……胸に何らかの恨みでもあるのだろうか?
いや……いまはこの犠牲に嘆いている場合では無い
確かに二人共凶悪なまでの巨胸だが……
!!!!
食い付いたか……
僅かな気配を背中に感じ素早く走りだした
やはり付かず離れずの距離を取って追ってくる
相当なやり手だな……油断すれば喰われる
気を引き締めてトラップエリアに誘う暁だった


(逃がしませんよ……お使い様!)
森の中でも一際目立つ大男を見ながら追いかける
しかし今まで気配もしなかったのは何故だろう……
不思議でなりません
ても私の恥ずかしい所を見て笑った罰を受けて貰わないと……
うぅ、思い出しただけで顔が熱くなっちゃう……
早く天誅しないといけません
自分が暁に誘われている事など露知らず
恐怖のトラップエリアに足を踏み入れる周泰だった




 
 

 
後書き
次回、雪蓮に天罰が下る予定 
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