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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS戦術解説
  エースの戦い➁

——死中に活を得るエースたちの超絶技巧——

 「白兵戦用兵器」にカテゴライズされるMSであっても、接近戦や格闘戦は本来避けるべきものである。だが、敵機が追撃してくる場合や奇襲に失敗した場合、さらに同時に会敵した場合などには、接近戦を行わざる得を得ない。

 また、大規模な会戦や遭遇戦においては、奇襲戦法や一撃離脱戦法を取ることが困難で、いくら「眼がいい」エースでも奇襲だけでは生き残れないというのが実情である。

 しかし、エースと呼ばれるパイロットは、撃墜される危険性が高い接近戦や集団戦においても生き残れる技術を体得している。それは、推進剤を節約しながら効率のよい機動を行う技術や、敵機を翻弄し事故を誘発するような移動方法や至近距離でもMS用傾向火器を効果的に使用する射撃技術、さらに突発的な攻撃に対処する回避・防御方法など多様に渡る。

 これらのスキルを駆使するエースパイロットは、一般のパイロットやニュータイプとは一線を画す戦闘能力を発揮し、宇宙世紀の戦史にその名を刻んだのである。



——機動、運動——

 戦場で静止した場合、高い確率で撃墜されてしまう。そのため、常に移動し続ける必要がある。エースパイロットは瞬間的にスラスターを使うことで推進剤の消費を抑えると共に、隕石やデブリ、丘陵などの地形を利用しながら移動することが多い。

 MSの起動、運動に関するエースの中でも最も有名なパイロットは「赤い彗星」のシャア・アズナブルであろう。シャアは、通常の三倍ともいわれる速度域での戦闘を得意とし、敵機を翻弄した。


➀シャアの5隻跳び

 ルウム戦役時、シャア中尉(当時)が用いた戦法で、敵艦を攻撃した直後、敵の甲板をけった反動で加速するというもの。推進剤を用いずに、MSのキックだけで推進力を得られるという利点がある。彼はこの戦法で5隻の戦艦を撃沈したとことから、「赤い彗星」の異名で呼ばれるようになった。


➁超スピード旋回

 高速移動中に急激な方向転換を行った場合、急激なGにより、パイロットが気絶することもある。しかし、エースの中にはこれを行うことで、強引に敵機を捕捉する者がいる。一見無謀な戦法だが、自分の肉体を機体挙げたうえ、機体の限界を知る者だけが実現できる、高度な技術である。


■コロニー内壁への激突回避—————U.C.0087,03,02

 中心部が無重力状態となるコロニー内部はMSでの飛行も容易だが、壁面に衝突する可能性も高い。クワトロ・バジーナ大尉は、グリーン・ノア1内での戦闘中に内壁への急降下を行い、激突直前で機体を立て直した。これはクワトロ機を追撃中の敵機を内壁に激突させるための予備動作でもあった。


■内壁への激突—————U.C.0087,03,02

 クワトロ大尉がコロニー内壁を利用した戦闘を行っていた当日、同じグリーン・ノア1内で、ジェリド・メサ中尉操縦のガンダムMk-Ⅱが墜落。パイロットのジェリド中尉は高い操縦技術を持っていたが状況把握能力が不足していたほか、コロニー内の特殊環境を理解していなかったため、墜落という不名誉を味わうことになった。



——攻撃——

 エースというだけで兵器の威力が上がるわけではない。エースの攻撃が強力に見えるのは、一撃で目標の戦闘力を奪うバイタルエリアに命中弾を与えるためである。

 また、格闘兵装を用いた白兵戦においても一撃で敵を撃破できなくても、その後、反撃を許さない連続攻撃を加える点も「強さ」の一員と考えられている。一年戦争時、地球連邦軍極東方面軍との戦闘において多数の連邦軍機を撃破した、ジオン公国軍のノリス・パッカード大佐の連続攻撃はその代表的な例といえる。


➂連続攻撃

 格闘兵装を用いて、敵機に反撃の機会を与えないほどの速度で攻撃を繰り出す戦闘法。主に敵機を一撃で倒せない場合に多用される。連続して攻撃を繰り出すため、姿勢制御が難しく、地上では転倒する可能性もある。


➃特定部分への攻撃

 コックピットや腕部など、敵機の特定部分だけを破棄する戦法。一撃で敵機を撃墜する場合や機動力のみを奪う場合、誘爆を防止するためにコックピットだけを破壊するなど、非常に効果的かつ柔軟性に富んだ攻撃である。しかし、狙った部分のみに攻撃を命中させるには高い練度を必要とする。


■特定部分のみの破壊—————U.C.0087,06

 ヒッコリーでのブラン小隊との戦いにおいて、アムロ・レイ大尉はハイザックのバックパックのみを破壊し、戦闘不能に追い込んだ。通常はコックピットやジェネレーターを狙うが戦闘能力だけを奪うためにバックパックを標的とした。大尉は一年戦争時代から特定部位への攻撃(当時は主にコックピット)を得意としていた。


■特定部分への攻撃の失敗—————U.C.0087,06

 アムロ大尉がバックパックのみを破壊するという戦法を披露したヒッコリー戦において、カミーユ・ビダンもバックパックへの攻撃を行った。しかし、カミーユ機の攻撃は胴体を貫き、ハイザックは爆散した。当時のカミーユは、バイタルエリアに直接弾を与える技術ほど体得していたが、アムロほどの戦闘能力は有していなかった。



——防御・回避——

 エースパイロットは、直進だけでなく、僅かに横に滑るように移動するなど、敵機に捕捉されにくい機動を行うことが多い。そのため、被弾した場合もバイタルエリアに致命弾を受ける事は少ない。

 これはア・バオア・クー戦時におけるガンダムとジオングが、たがいに被弾しながらも致命弾を受けなかったことからも理解できる。また、アムロ・レイのように、攻撃を同時に防御も行うパイロットも存在する。


➄緊急防御、回避

 エレカに乗りなれると特に考えもせずに運転できるように、エースパイロットはMSを自らの手足のように使いこなす。また、シールドやビーム・サーベルの準備や周辺への警戒も怠っていないため、緊急事態のリアクションも素早く、奇襲を受けても致命的被害を受けるケースは少ない。


➅攻防一体

 敵機の攻撃を回避、防御すると共に反撃を加える。所謂カウンターアタック技術を身につけたエースも数多く存在する。無防備になり易い接近戦時に多用するため、シールドや機体の一部を失うこともあるが、敵機にも致命的なダメージを与える事が可能である。


■戦闘衛星からの攻撃回避—————U.C.0088,11,10

 艦観式襲撃のため、暗礁空域からコンペイトウへの接近を図ったアナベル・ガトー少佐は、暗礁空域に設置された防空用の戦闘人工衛星に察知され、攻撃を受けた。至近距離で戦闘衛星と接触したためにミサイルの標的となった少佐だったが、斜め方向に移動しながら回避すると、直後に戦闘衛星を破壊している。


■戦闘衛星からの奇襲攻撃への対処失敗—————U.C.0083,11,10

 ガトー少佐が戦闘衛星のミサイル攻撃を回避する直前、僚機のリック・ドムⅡが戦闘衛星に捕捉されメガ粒子砲の掃討を受けた。リック・ドムⅡのパイロットは、メガ粒子砲が発射された直前に、戦闘衛星の存在を察知したようだが、ビームを回避できずに撃墜されている。ベテランパイロットでも、奇襲攻撃への対処は難しい。

 
 

 
後書き
次回 三位一体攻撃 
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