グラールの神機使い
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
6-5
「ここが……」
綺麗な正五角形を描いた広間、赤青様々な色の扉、中心に青く光るパネル。
同じ闘いの中心点でも、アナグラとはまた違う、活力に溢れた空間だった。
「この部屋にあるものはだいたいがリトルウィングの管轄下だ。事務所はあそこ、どこそ、こそこ」
やたらややこしい喋り方をしながら、デュラムは白い扉を指差す。
その扉の前では、リュウジもよく知る少女と、見覚えのない少年が話していた。
「おーいエミリアー! 例の異世界人起きたぜー!」
2人で扉に向かって歩きながら、デュラムが大声を上げる。
「……視線が痛いんだが」
「いいよ、みんな俺の事知ってっから」
「俺の事は知らないだろうが」
「あ、そっかそっか。メンゴ!」
思っているよりいい加減な性格なのかもしれないと、リュウジは考えを改めた。
「デュラム……リュウジさん!」
「エミリア、すまないな」
「リュウジさん、突然倒れちゃうんだもん……大丈夫だったの?」
「まぁな。こっちの事情だ」
エミリアはほっとしたように胸をなで下ろす。
と、エミリアの後ろから、先ほどの少年がひょっこり顔を出した。
「エミリア、そいつがさっき話してた……」
この場に似つかわしくない原始的な服装の少年は、リュウジの姿を見るなり、険しい表情を浮かべた。
「なんだ、お前……どうしてお前、三年前のと同じ匂いがするんだ?」
「三年前?」
リュウジが聞き返したその刹那、エミリアが少年の頭を思いっきりひっぱたいた。
「いった、なんで殴る!?」
「ユート、初めて会った人にはまず挨拶しなきゃだめって、この前も言ったでしょ!」
ユートと呼ばれた少年はしょんぼりとした顔になり、リュウジに向き直った。
「ユート、ユート・ユン・ユンカース」
「荒鋼リュウジだ」
腑に落ちないといった様子のユートとリュウジは、握手を交わした。
ページ上へ戻る