グラールの神機使い
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「あれ、シズルはどうしたん?」
「シズルなら亜空間研究のためにインヘルト社に戻った。リュウジの事早速論文にまとめるんだってさー、あいつ二言目には亜空間亜空間ってー」
「あくうかん……あらがねりゅうじは、あくうかんの向こうから来たのか?」
「なんでフルネーム? まぁ、そんなもんだ」
他愛のない会話を交わしながら、4人はリトルウィングの事務所に入る。
その奥に、赤いコートを着た男性。周りには、グラビアと思われるいかがわしい画像が大量に表示されていた。
「おっさ……お父さん、例の異世界から来た人、連れて来たよ」
「おう、来たか。お前さんが?」
「ゴッドイーターの荒鋼リュウジだ」
目もとまでかかった長い前髪と口ひげが表情を隠してしまっているが、笑っているのだとリュウジにはすぐにわかった。
「俺はクラウチ・ミュラー。このリトルウィングを管理している。単刀直入に言うが、お前さん、リトルウィングに所属してくれるんだろ?」
正直リュウジはまだ決断した訳ではなかった。
しかし、先程のシズルの話もある上、このような聞かれ方をしては答えは1つしかない。リュウジはゆっくりと頷いた。
「なら話は早ぇ、あんたにゃ、早速実戦についてもらうぜ」
「実戦……もうか?」
「つっても、あんたはまだ完全にリトルウィング所属じゃねえ。登録が決まるのは、今回の仕事が上手くいってからだ」
前にもそんな事があったな、とリュウジは苦笑した。
アツシが第一部隊の隊長に任命された時。
そして自分が……第九部隊の隊長に任命された時も。
『任務が終わり、無事帰還してから』
「わかった。で、何をすりゃいいんだ?」
「おう、じゃあその辺適当に見まわってきてくれ」
……………。
「は……そんだけ?」
「そんだけ。最初っから信用に触れるような仕事は任せらんねぇよ」
「それは面倒な事はすっ飛ばしてとっとと雇いたいってことなんじゃ……」
「まぁ聞き流せよ」
ウィンクされてしまった。目元は見えないが。
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