中二病が主人公になったら?
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第17話
「ふぁ~~~」
ある晴れた日の朝、ナルトは伸びをしながらゆっくりと起き上がった。
眠気を完全に取り除くため一旦シャワーに入った後、悠々と朝食を摂る。
いつものオレンジ色の衣装に着替え、イルカから貰った額当てをしっかりと頭の後ろで結び、最後に忍具ポーチを身に着けて身支度を整えた。
そしてナルトは家を出て、アカデミーへの最後の登校を果たすべく、今日もまた道を駆けて行く。
「アレ?ナルトォ!
何でお前がここにいんだよ!
今日は合格者だけの説明会だぜ?」
「ん?ああ。
この前の試験の時、ミズキ先生がオレに"金縛りの術"を掛けて妨害してきたことが発覚したので、特別に追試をやったんだよね。
んで、オレはそれで受かったからココにいる訳だ。」
アカデミーの教室に着いたナルトはとりあえず先生が来る時間になるまでボーっとしていたのだが、何故かモブが突っ掛かって来たので、とりあえずもっともな事でも言って軽くあしらっておく。
「ちょっと、そこの席通してくれる!?」
例のピンク髪の凶暴女、『春野サクラ』がナルトに命令してきた。
どうやら、ナルトの隣に座っているサスケに用があるらしく、何としてでも隣に座りたいらしい。
「何で?オレが先に座っていたのに酷いじゃないか。」
「いいからどけ!私はアンタの向こう側に座りたいのよ!
しゃーんなろー!!」
ナルトの反論を無視して、何の躊躇いも無く理不尽を叩き付けてくるサクラに少しキレそうになった。
だから、いつか『サスケが他の女に寝取られている生々しい光景』を"月詠"で見せてやろうと思った。
とりあえず今は面倒な事を避けるため、若干舌打ちしながらではあったが席を譲り、別の席に移動した。
結局、移動した所で何もやる事が無かったため、今度は窓から青い空を見ながらボーっとしていた。
すると、何時の間にかイルカ教室に入って来ていたので、そちらに目を向ける。
「みんな!卒業おめでとう!
今日から君達はめでたく一人前の忍者になったわけだが・・・
しかし、まだまだ新米の下忍・・・本当に大変なのはこれからだ!
えー・・・これからの君達には里から任務が与えられるわけだが、今後は3人1組の班を作り、各班ごとに1人ずつ上忍の先生が付き、その先生の指導の下、任務をこなしていくことになる。
という訳で、班は力のバランスが均等になるよう、こっちで決めた。」
『えーーー!!』
イルカがそう言った途端、生徒たちから大ブーイングが起こった。
"以前の演習の時もそうだったが、これはお決まりなのだろうか・・・"とナルトは少し苦笑いをしていた。
「・・・じゃあ、次!7班!」
喜びや悲鳴が起こる中、ついにナルトの番が来た。
「春野サクラ、うずまきナルト!
それと・・・うちはサスケ!」
何やら『ヒロインを強制交代させられたヤツ』が大いに喜んでいるが、そんなものは無視である。
とりあえずナルトは、原作通りの構成になった事に一先ず安心する。
「異議あり!!!」
廊下側に座っていたいのが勢いよく立ち上がり声を張り上げた。
隣に座っているヒナタが「落ち着いて・・・いのちゃん・・・」とか言っているが、怒れるいのには全く耳に入っていないみたいである。
「何だ、いの。」
「何で私と一緒の班じゃないのよ!!」
もの凄い剣幕で怒鳴って来るいのにイルカは少しため息を吐いた。
「・・・いいか?
サスケは(表向きではあるが)卒業生27名中1番の成績で卒業。
そして、ナルトは賄r「先生、それ言ったらコロスよ?」あっ・・・ああ、申し訳ない(汗)
それで、ナルトはドベだ。
班の力を均等にすると自然とこうなるんだよ。」
「そんな事、言われても納得出k「"月詠"ィ!」ハイ、ワカリマシタ。」
"いのには少し悪いな"とは思いながらも、ナルトは無理矢理黙らせた。
"何のために今まで賄賂やってきたと思ってんだよ!
この班構成にするために結構金使ったんだから邪魔すんなよな!"
とか、主人公らしからぬ悪どい事を考えているというのは、ここだけの秘密である(笑)
教室で担当上忍を待ち始めてから数時間後・・・
「何で私たちの班だけこんなに来るのが遅いのよォ!!」
例のピンク髪が騒いでいるが、ナルトはそれを無視して昼寝を始めた。
「全くもうっ!ナルト、先生を捜してきなさい!」
「・・・んニャ?何だよ、折角人が気持ちよく寝てるって時に・・・。」
「いいから、捜してこい!」
「チッ、分かったよ・・・。」
ふてぶてしい顔をしながら廊下に出て捜してみれば、目的の人物『はたけカカシ』はすぐに見つかった。
「・・・お前、『教室で待ってろ』って言われなかった?」
「先生が来るの遅いから捜しに来たんですよ。」
「ふぅーん。そうなのね。」
「ところで先生。
オレの部屋、勝手に物色しないで貰えます?」
「・・・!?お前、何で知って・・・。」
「(流石に『原作読んでるから』とか言えねぇ・・・。)
あら?カマを掛けただけなのに図星だったとは。
まあ、今度からは本人の許可を取ってください。」
「う、うん、分かった。そうする・・・。」
"いや~、カカシ先生の焦り顔が見れて満足♪満足♪"
と少しニヤけているナルトであった。
その後の2人は、何の味気もない雑談をしながら教室に向かった。
「さて、教室に着きましたんでお先にどうぞ。」
ナルトは礼儀正しく、先に入るようにカカシに促した。
「ハイ、どうも・・・。」
そして、促されるまま何の警戒も無しに教室に入って行ったカカシは、
『バフッ!』
・・・ドアに挟む形でセッティングしてあった黒板消しトラップに見事に引っ掛かり、頭と肩が粉塗れになった。
しかも、わざわざ赤いチョークで紺色の布の部分を塗りつぶしてあったで、銀髪に対して粉の掛かっている部分が非常に分かりやすくなっていた。
「んーーー・・・何て言うのかな・・・
お前らの第一印象はぁ・・・・・・嫌いだ!!」
「まさか、連帯責任になるとは・・・orz」
とりあえず第7班のメンバーは、カカシの命令により屋上に移動させられた。
ちなみに、黒板消しトラップを仕掛けたのはサクラであったが、赤く塗りつぶしたのはナルトであった。
しかし、塗りつぶした目的は『イルカ先生を困らせること』であったため、まさか標的がすり替わってしまうとは思いも寄らないことであった。
それはさて置き、屋上に集まったメンバーはとりあえず適当に座れる場所に座った。
「そうだな・・・まずは自己紹介をして貰おう。」
「・・・どんなこと言えばいいの?」
「・・・そりゃあ、好きなもの、嫌いなもの・・・
将来の夢とか、趣味とか・・・ま!そんなのだ。」
「じゃあ、とりあえず見本ってことで先生からオナシャス!」
「そうね・・・見た目、ちょっと怪しいし・・・」
"それはちょっと酷いんじゃないの?"とかナルトは思うが、別にカカシは気にしてないようだった。
「あ・・・・・オレか?
オレは『はたけカカシ』って名前だ。
好き嫌いをお前らに教える気はない!
将来の夢・・・って言われてもなぁ・・・
ま!趣味は色々だ・・・・・・。」
「ねェ・・・結局分かったの・・・名前だけじゃない・・・?」
とかサクラが呟いているが、カカシはあえて聞こえないフリをしてそのまま司会を続けた。
「じゃ、次はお前らだ。右から順に・・・。」
と言って、カカシはナルトの方に目を向けた。
「んじゃ、オレからか・・・。
オレの名前は『うずまきナルト』!
好きなものは・・・まあ、一楽のラーメンってことにしといて。
嫌いなものは・・・いや、思い出したくないからいいや。
んで、将来の夢はァ・・・ダメだ、これ言っちゃイケないヤツじゃん。
まぁでも、みんなに認められるような火影には成りたいとは思っているよ・・・。」
最後の一言を言ったときのナルトは、何処か遠くを見るような、そして悲しそうな目をしていた。
"なかなか面白い成長をしたな、こいつ・・・
でも、こんな12、3の子供がそんな目をするなんて・・・"
カカシもナルトの境遇を想像してか、少し可哀想だと思っていたりする。
「・・・それじゃ、次!」
「・・・名は『うちはサスケ』。
嫌いなものなら沢山あるが、好きなものは別にない。
それから・・・夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!
一族の復興と、ある男を必ず・・・」
サスケはここで一度目を閉じ、そして今度開いたときには憎しみの篭った目をして、こう言い放った。
「・・・殺すことだ。」
その一言で、その場に冷たい空気が流れた。
"・・・え?誰の『魂(タマ)』を取るつもりなの?
まさか・・・オレ・・・?
いやいや!『リアル電気按摩(股間に千鳥)』とかマジでシャレになんねぇよ!
というか、オビトさんがちゃんと記憶を改竄してくれてたはずだし・・・
大丈夫・・・だよ・・・ね?"
未だに虐殺事件のときの事を恨まれているのでは、とナルトは内心焦っていた。
「よし・・・じゃ、最後・・・女の子。」
「私は、『春野サクラ』。
好きなものはぁ・・・ってゆーかぁ、好きな人は・・・
えーとぉ・・・将来の夢も言っちゃおうかなぁ・・・キャーーー!!」
カカシとナルトは"コイツ、頭大丈夫かな?"という目で見ていた。
「嫌いなものは、ナルトです!」
ナルトは、別に分かっていたセリフだったから余り傷付かないだろうと高をくくっていたのだが、やはり実際に目の前で言われてみれば結構精神的にキツいと感じていた。
"この年頃の女の子は・・・忍術より恋愛だな。"
当然、カカシもサクラの自己紹介に呆れていた。
「よし!じゃあ、自己紹介はそこまでだ。
明日から任務やるぞ。」
「えっ、どんな任務何ですか?」
「まずは、この4人だけであることをやる。」
「・・・と言いますと?」
「サバイバル演習だ。」
ナルト以外は唖然とした反応を示した。
「何で任務で演習やんのよ?
演習なら忍者学校で散々やったわよ!」
「・・・相手はオレだが、これはただの演習じゃない」
「「・・・?」」
カカシが醸し出す空気が若干変わってきたことに、やはりナルト以外は疑問を感じた。
「ククク・・・」
そして、カカシは突如静かに笑い始めたのであった。
「ちょっと!何がおかしいのよ、先生!?」
「いや・・・ま!ただな・・・・・・
オレがこれ言ったら、お前ら絶対引くから。」
そう言って今度は勿体付け始めた。
「は?そんなに引くゥ・・・?」
「ああ。なんせ、卒業生27名中、下忍と認められる者はわずか5名。
残り10名は再び学校に戻される。
この演習は脱落率66%以上の超難関試験だ!」
それを聞いたサクラは顔から血の気が引いて俯いており、サスケは顔に薄っすら汗をかき始めた。
一方、ナルトは、
「なっ、なんだってー!?
手手手手っ、手手っ、手ー手ー♪」
某一発ギャグの得意な芸人のネタを凄まじくキレのある動きで再現し、カカシの言葉に応えた。
「ハハハ・・・ホラ、引いた。
(でも、ナルトが引かなかったのは意外だったな。)」
少しおちゃらけた感じでカカシは言うが、ナルト以外の2人は先程のカカシの言葉で既に放心状態に近かった。
「あー、ということは・・・アレですか。
卒業試験は前座だったんだってば?」
「まあ、そういう事だ。
あれは、下忍になる可能性のある者を選抜するだけ。」
「「「マジかぁ・・・。」」」
落胆する2人は素直に述べ、ナルトは何となく空気を読んで上手く2人の言葉にハモらせた。
「とにかく、明日は演習場でお前らの合否を判断する。
忍び道具を一式持って来い。
それと、朝メシは抜いて来い・・・・・・吐くぞ!」
「吐くって!?そんなにキツイの!?」
「まあ、詳しいことはプリントに書いといたから、明日遅れて来ないよーに!」
3人とも緊張した面持ちでプリントを受け取り、その日は帰路に着いた。
ちなみに、ナルトが緊張した面持ちだった理由は、
"カカシ先生の例の『アノ技』を突き指させない程度にどう防御しようか・・・。"
・・・ワリとくだらない事で悩んでいるだけであった。
後書き
お久しぶりです。アガセです。
お気に入り数がついに300に到達しました♪
皆さん、ありがとうございます!
これからも文章力の向上等々努めて参りますので、
どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
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