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戦争を知る世代

作者:moota
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第五話 白い狐

 
前書き
こんにちは。

どんな話にしようかな、といろいろフラグを考えたりします。
頭の中ではすごい展開が大きくなってるんです。ただ、頭の中で勝手に先に先に進んでしまって、今書いてるとこがどんな感じに考えてたか必死に思い出す今日この頃です。 

 
第五話 白い狐


同年同月同日 早朝 稲荷神社 お堂
赤い服とその上に薄い茶色のベストを着た人



「本当だ!・・・お前の親は死んだ!」
つい大声で言ってしまった。
子供にとっては信じがたいことで、信じたくもないことだっただろう。
(後悔しているのか?自分がしたことに。これは戦争だ。殺さなければ殺される。子供だって殺して来たろう!)
自分に対して、強く問いかける。
(くそ、なんなんだよ!)
この気持ちをどこに向けていいのか分からず、悪態をつく。

子供は意識を失ったのか、動く気配がない。

その時だった・・
急に、視界が青白い色に染まった。
それと同時に、熱を感じる。

「あつっ!!」
とっさに子供から飛び退く。

少し離れたところに着地して、子供の方を確認する。

子供は・・
子供は青白い炎に包まれていた。
燃えているのではない、包まれている。そう言うのが正しいように、子供を包み、ゆらりゆらりと揺れている。

(どういうことだ?これがこの一族のチャクラか?)
(まずいな。何かをする前に殺らなければ・・)
クナイを握り直して子供に向かって駆け出す。



―刹那
『ガアァッッ!』
急に目の前に現れた白い狐が噛みつこうとこちらに飛び掛かってくる。

「うわっ!」
急に現れたことにびっくりして、どこに飛ぶかも考えずに回避する。

バキッ!バリバリッ!

大きな音を立てて、お堂の壁をぶち破り外に飛び出す。
何とか着地して、周りを確認する。

(しまった!ここは外か・・。)
(しかしなんなんだ!今の狐は。)
子供の方を見るが、狐はどこにも見当たらない。
しかし、子供は変わらず青白い炎に包まれている。

(・・狐がいない?・・・)
幻術か?しかし、あの子供がしたとは思えない。
子供は今も意識はないように見える・・



「神社が燃えてるぞ!」
「憑代様たちは無事か!?」

「!?」
声が聞こえてきた。
(まずい、誰かくるな・・)

子供と声のする方を交互に見た。
(どうする?殺れるか? いや、もうダメだ。撤退しよう。)
声がした方とは逆の方向に走り出す。


走りながら考える。
あの子はこれからどうなるのだろうか。
この世は、戦争孤児には生きづらい。
(・・なにを・・あの子供は敵里の人間だ。そんなこと考えても無駄だろうが・・・)

もやもやとした気持ちを抱えながら、合流地点へと足を速める。



早朝 火影の役所  執務室
三代目火影


「それで状況はどうなった?」

「はっ、岩隠れの忍は撤退したようです。」
「今、暗部のくろい隊、常設部隊のうちは隊がそれぞれ追跡しております。」
仮面をつけた暗部の忍が答える。

「うむ、被害の方はどうだ?」
どちらかと言えばこちらの方が気になるが。

「非常に芳しくありません。いま、我々が把握しているだけでも6小隊が壊滅、そのうちけが人は2~3小隊規模の数で、民にも被害が出ております。建造物は全壊、半壊を含め、里の5分の1ほどに上るかと・・」

耳を塞ぎたくなるような内容だ・・。
仮面で見えないが、報告している人間も顔を顰めているに違いない。

「・・・ミナト、稲荷神社の方はどうであった?」
ここにいるもう一人の人間に聞く。

「・・・申し訳ありません。到着した時には、もう・・」
つんつんした黄色の髪で、少年と青年の間ぐらいの男の子が答える。

「そうか・・・遅かったか。」
こちらも良い報告ではなかったか。

しかし、とミナトは続ける。
「お二人は間に合いませんでしたが、お子様はご無事でした。」

「!? なんと、イナリは無事か。」
思いもよらぬ良い情報じゃ。

「はい、なんとか間に合いました。どのようにしてかは分かりませんが、岩隠れはお子様には手を出さず逃げたようでした。」

ふう、何とも少しばかり心を落ち着けるの。
しかし、ふと疑問に思う。

今回の岩隠れの襲撃で稲荷神社も襲撃されている。なにも知らなければ、ただの神社だ。

「稲荷神社の情報はどこから漏れたのであろうか。あれは里の重要機密だが。」

「・・・そうですね、神社のこと自体は別としても、ふしみ一族のことは難しいですね。」
少し間を置いてミナトが答える。
「ただ、長い間隠されてきたものですからね、どこかで漏れてもおかしくはないでしょう・・・」

奴の答えに少し訝しく感じた。
いつもはもっとはっきりとモノを言うが、歯切れが悪い感じがするの。

「いや、そこではなく、このタイミングというのが気になっての。」

「憑代様の神見の儀式ですか・・・」

「うむ、あれは一族の力が弱まる時でもある。もともと憑代様自体には大きな力はないが、狙いがお稲荷様となると話は変わるやもしれん」

ミナトが思いもかけないことを聞いた感じに顔を急に上げる。
「!? そのようなことが可能なのですか!?」

「ん?そういうこととは?」

「いえ、そのお稲荷様自体を、その力を取り出すことなどできるのですか!?」

何を焦っているのかよく分からんが・・
「うむ、本来は一族でしか使えぬものではあるが、力そのものを取り出すことは可能じゃ。まあそうじゃの、イメージとしては尾獣のような感じかの。まあ、あれよりもある意味辛いがの・・」

ミナトは何とも言えない顔をしているが・・・
まあ、この事実を知らんとなると、わしの勘違いであったか。
あの一族は、うちはや日向のようにそれ単体では脅威ではないからの。

話を変えようと思った時、執務室のドアが開き、初老の男性と20代後半ぐらいの男性が部屋に入ってくる。
「火影様、少しばかりお話が・・」

「おお、シカサク、シカク来たか。」

シカサクは、ミナトに気付いたが無視して話す。
「今回の襲撃、少々腑に落ちないことがありまして・・」

「このタイミング、ということかの?」

ミナトがはっと顔を上げる。
先ほどの話ではないぞ、ミナトよ。

「はい、岩隠れがこの前の小競り合い後、攻勢を強めてはおりますが、国の公式な見解では火の国、木の葉の里とは本格的に戦争する気はなく、隠れ里の一部の若い少数派が暴走気味に行っている。国及び土影はそれを抑えたところだというのを表明したばかりでした。」

ミナトが今度はほっとした顔をしている。
忙しい奴じゃな、普段はおとなしく、優秀なのじゃが。

その続きをシカクが話す。
「そして、その直後に木の葉の里を襲撃をしてきた・・・それも今回の襲撃には岩隠れの常設部隊の大多数を参加させるほどのもの。これでは国が、土影が里の大多数を把握できていないと言わんばかりです。」

「クーデターが起きたと?」
まさか、とは思いつつも言葉にする。

「可能性はあります。また、今回の表明自体が謀略の一環であったという可能性も捨てきれませんが・・」

「我々を油断させるための・・か。」
それをあの三代目土影―オオノキ殿がするであろうか。

「親父、火影様、その可能性は低いでしょう。これは謀略にしては少し拙いかと・・」
シカクが話を割くかのように話す。


わしもシカサクもシカクを凝視している。
話を続けよ、と顔で合図する。

「我々を油断させるためにわざと戦争をする気はないと表明して奇襲に成功したとしても、それが謀略であったとわかった場合、他国や他里からの非難は強いものとなりましょう。それでは岩隠れは木の葉攻めどころではなくなります。他国、他里に攻め入る口実を与えるようなものですから。」

「確かにそうじゃの。」
「シカクの言うとおりですな、火影様。さらには、木の葉が他里と連携を取る可能性も高まるということも考えられる。」

「そうですね、そしてクーデターの可能性ですが、謀略ではなく表明が本当だった場合は可能性が高まります。」

「なぜじゃ?」

「きっかけになった小競り合いでの岩隠れのメンツですが、若者ばかりであったと報告がありました。そして、今回の襲撃で指揮を執っていたものは、あの時小競り合いにいた若者達が多数いたとも報告がありました。」


「もし、土の国、土影が公式表明のように暴走している若者達を抑えたのであれば彼らが隊を率いる立場にあるのは不可解です。」

「確かに・・・」


「暴走するやもしれない人間に力を持たせるなど考えられません。ですので、岩隠れではすでにクーデターが起きており、三代目土影が力を失ってどこかに幽閉か逃亡、若しくは謀殺されている・・そう考えられます。」

「馬鹿な!両天秤のオオノキとも言われたあの方が。」
信じられないと思う。若いころ、あの人に何度煮え湯を飲まされたか・・

「火影様、可能性はあります。あの方もずいぶんお年を取られましたからな。」

「はい、最近はなかなか土影の座を譲らない三代目土影に不信を抱いているものもいたと聞いております。」

そうなると、今回の襲撃は大きな波を世界に寄せるかもしれん。
第二次忍界大戦・・よもやあの悲劇がまたも繰り返されるか・・・


「そうとなれば、早々に動かねばならん。シカサク、里の防備を今一度引き締めてくれ。」
「はっ。」
「シカク、そちは岩隠れ、その他の里の情報をより詳しく集めてくれ。」
「はい。」
「ミナト、そちは人命の救助を急がせてくれ。」
「わかりました。」

そう言い残し、それぞれが部屋から出ていく。


これからどうなるのか・・・
里の被害、土影、岩隠れの動向、そして稲荷神社のこと・・・
色々なことが起きておる。

そして、今は夜が明けようとしている。
だがいつものような里の人々の声は聞こえない。

とても静かだ・・・

まるで、嵐の前の静けさのように・・。
 
 

 
後書き
これで第一幕は終わりです。
次からは少しばかり大きくなったイナリを書いていきます。
ふしみ一族については、チートにならないようにしたいと思ってます。工夫して戦っていく姿がかっこいいかなと思うからです。

ただ、ふしみ一族の存在は大変大きな存在に出来上がっていますが。
うーん、何とも言えませんが。

常設部隊もオリジナルですね、里の力をそれぞれ明確に書かないと戦争にならなくて・・・細かいところも私の想像で。

あ、あと今後はアクションも増えていきます。
頑張ります。

・・・・オリジナルキャラたちの名前が思いつかない、思いつくのはダジャレばかりです。

ありがとうございました。
 
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