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生還者†無双

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合流

街に来てから暫くたち身体の傷や疲労もすっかり回復した
懸念していた弾薬も思った程消費していなかった事が判明
スーツや武器ももて余す時間を使って整備をし万全の状態である
そして特にやる事も無いので思春と模擬戦をしていた

「ちっ、身体が鈍っちまうぜ」

汗を軽く拭いながら暁がぼやく
端から見たら孫家の中でも勇猛で名高い甘寧と激しい打ち合いをして
身体が鈍るなんて口が裂けても言えそうにないのだが……
回りの兵士達は青い顔をして苦笑いをしていた

「暁……貴様、私では物足りないと言いたい訳だな……」

メラメラと背後に炎が見えるような闘気を思春が放つ
しかしそんな思春なんて何処吹く風の様にあしらう暁
わざと挑発しているのか、本音なのかは定かではない
だが暁が本当に求めているのは【命の駆け引き】だ
生きるか死ぬかのギリギリのゲームをする事が
己の存在意義であり生き甲斐でもある
模擬戦ではいまいち満足する事が出来ないのもそのためだ

思春の怒濤の攻撃をステップやスウェーで避け
僅かな隙を見付けては反撃に転じる
模擬刀相手に素手で試合をする事自体が無謀だが
思春に対して対等もしくはそれ以上の実力で常に攻勢を維持していた

「思春の攻撃はお行儀が良すぎて分かりやすいぜ?」
「おのれ減らず口をっ!」
「ほれ、そこだ」
「くっ!痛っ」

力任せの袈裟斬りを軽く避けて額にデコピンをする
パワーはそこそこ、スピードも悪くないが……
強化人間やライカンスロープ、機械化小隊と比較するとなぁ……
まだまだ足りねぇな
生粋の人間と化け物共を比較するのもおかしな話だが……
そんな事を考えながら汗ふきのタオルで顔をふいていた

「思春、暁」
「あん?」「はっ!」

不意に呼ばれて振り返ると蓮華来ていた
真剣な顔付きから何やら厄介事を持ってきたらしい
まぁ丁度この生温い生活に退屈していた所だ
肩慣らしがてら一仕事するのも悪くない
そんな事を考えながら蓮華の話に耳を傾ける

「近々大規模な黄巾賊の討伐をするわ」
「成る程な、久々に本気で殺れるのか……腕が鳴るぜ」
「しかし蓮華様、此処の兵力だけではとても……」
「大丈夫よ思春、遂にお姉様達と合流が許可されたわ」

その一言で思春や周りの兵士達の顔が変わった
明らかに兵士達の士気が上がっている
たかが合流するだけで何故だと疑問に思う
だが待てよ、孫権の兄……違った姉って事は孫策か
江東の虎と言われた三國の呉の猛将
やれやれ、また随分面倒が増える気がしてきたぞ
眉間にシワを寄せて難しい顔をしていると目の前に蓮華がいた

「……聞いてる?暁?」
「すまん、聞いてなかった」
「文で暁の事、お姉様に伝えたら是非会って見たいって」
「やはり面倒事は増えるか……」
「ともあれ袁術が良く合流を許可したものです」
「袁術の事よ、深く考えてるはずないわ」

頭を深く項垂れている暁をよそにあわただしく周りは動きだす
待ちに待った孫家再興の狼煙
それぞれの思惑の中で暁は一人取り残され感が否めなかった
しかし己の殺るべき事は変わらない
ただ目の前の敵をぶち殺す事だ
AMスーツを身に纏いふんっと息を吐き身体に力を入れる
バキバキと人工筋肉が唸り全身に力がみなぎった
スーツの上から戦闘服とベストを装着する
さらに大振りのオリハルコンナイフを背中の鞘に納め
手に持った銃には弾倉を込める
スライドを引き初弾を装填すると独特の金属音が響く
深緑色(OD)と合間から見える漆黒のスーツ
数多の戦場を生き残った歴戦の猛者
暁 巌
獰猛な肉食獣が戦場とゆう狩場に解き放たれようとしていた




戦の準備が整い拠点から総員で出陣し
蓮華達は孫策の指定した合流地点まで移動していた
主力は騎兵だが数はあまり多くない
しかし甘寧はじめ皆練度の高い兵士ばかりだ
長時間馬に乗る事に慣れていない暁は馬の扱いに四苦八苦していたが
持ち前の腕力で馬を屈服させて取り敢えずは乗馬も様にはなっている
暫くすると遠くに旗が見えてきた

「やれやれ、やっと合流地点かよ」
「暁って乗馬下っ手くそー、シャオのがもっと上手に乗れるのに」
「ほっとけっ!勝手に乗っておいて何て言い草だ」
「だって暁はシャオの近衛で将来は旦那様になるんだから良いじゃない」
「ちょっと待て、話がややこしくなってんぞ!」
「静かに!もう直ぐ到着するわよ!」

そんなやり取りをしながら孫策の陣地に入っていく暁だった
また解決しなければならない厄介事が増えた事にため息はく

「良く来たわね、二人共」
「おっねいさまぁーー!」
「お久しぶりです!お姉様っ」
「蓮華もシャオも元気してた?」
「うん!水浴びしたり暁と街にも行ったよー」

やれやれ、姉妹水入らずって所だな
少し離れた所で思春と並んで膝をついている
しかしまぁ……すげぇ所に来たもんだぜ
蓮華達のやり取りを見ながら後ろに控える奴を見ると
な……なんて身体してやがるんだっ
現代でも中々居ないような美女が勢揃いしてるとは……
いや、見た目に騙されるな
俺は此処に何しに来たのか思い出せ……

ガン

「痛ぇな!何しやがるっ」
「さっきから鼻の下伸ばし過ぎだ馬鹿者っ」
「別に鼻の下なんざ伸ばしてねぇだろ」

水面下での小さな争いが激しさを増す中
気がつくと目の前には三姉妹がいた

「貴方が暁 巌ね」

静かだが殺意の籠った問いかけ
成る程これが【江東の虎】孫策か
目の前の女性が歴史的英雄にはとても見えない
複雑な感じで対峙する暁だが物怖じする事なく睨み返す

「自己紹介の必要は無さそうだな」
「蓮華が随分世話をかけたみたいね」
「まぁな、俺が巻き込まれたって感じだ」
「でもとんだ縁ね……天の御使いさん」

また天の御使いかよ……いい加減この御使いってのも
ちゃんと調べないといけないな
後ろ髪を掻きながらばつの悪そうな顔をする

「生憎な俺は天の御使いじゃあないぜ?何度目だこれ」
「あら?思春の報告だと漆黒の鎧を纏った戦鬼ってあったけど」
「それが天の御使いとは関係ないだろ?」
「黒い使いその者悪鬼羅刹の如く大軍を退け万民を導く……」

横から長い黒髪の女が近付いてきた
見るからに仕事出来そうな感じがするな
キャリアウーマンって単語が服きて歩いてるみたいだ

「お初にお目にかかる暁殿、私の名は周瑜と申す」
「ご丁寧にどうも、貴女が名軍師と名高い周瑜殿ですか」
「ぶぅぶぅ私と全然対応が違う~」

暁は確信した……この孫策とゆう人物は面倒な奴だと
そう思った矢先、左手に孫策が抱きついていた
柔らかい感触がスーツ越しに伝わり、ふわっと良い匂いがした
全然悪い気はしないが何だが殺気を感じるのは気のせいだろうか
そこにさらに新たな女が会話に入ってきた

「これこれ策殿、殿方が困っておろうに」

孫策をたしなめた人物もまたえらく妖艶な女だった
おそらく相当な修羅場をくぐってるな……公私共に
歳相応の落ち着きと余裕を感じる

「助かったぜ(理性的)悪い気はしねぇが」
「ふむ、確かにその辺の雑兵とは一味違うようじゃな」
「まぁ実力は保証するぜ?安心してくれや」
「挨拶が遅れて済まんの、わしの名は黄蓋じゃ」

今度は黄蓋だと?あの赤壁の戦いでカミカゼかまして果てた武将が……
目の前の熟女ときたか……
神様、俺は貴方のセンスは理解出来そうにない
遠い目で空を見るしかない暁だった 
 

 
後書き
次回戦闘になります

書き方を現在模索中なので読み難いかもしれませんがよろしくお願いします
 
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