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少年少女の戦極時代

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第33話 ヘルヘイムの森 光実&咲 ①

 ロックビークルが停まったと思ったら、月花たちは“森”に入っていた。

『咲ちゃん、大丈夫?』
『め、目が回りました~』

 まさかバイクであそこまでツイストするとは思いもしなかった。

 頭をくわんくわんさせていると、龍玄が先に降りて月花に両手を差し出した。月花は龍玄の両手に手を預けて、ぴょこんと後部座席から降りた。

『ありがと、ミッチくん』
『どういたしまして』

 月花は手を離すと、少しだけ走って行って、“森”を見回した。

 確かに外観こそ森だが、何か得体の知れない感じがする。まるでこの“森”そのものが生きていて、葉の一枚一枚が月花たちを見張っている気がした。

『ここがロックシードの生る森?』
『そうだよ。そこの果物、もいでごらん』

 月花は龍玄に言われるまま手近な果実をもいだ。すると果実は月花の手の中でロックシードへと形を変えた。クルミのロックシード。レベルはC+だ。

『うわっ。ほんとだあ。すごーい! ロックシードってこんなふうにできるんだあ』

 ファンタジーな現象に月花は龍玄の目も忘れてはしゃいだ。ロックシードでなくとも、知った品物がどういう製造過程を経て出来るかを見ては、はしゃぎたくなる。だがすぐ、いけないいけない、と頭を横に振って、自分の両頬を叩いた。

『それで、ミッチくん。あたし、何すればいいの?』
『とにかく白いアーマードライダーが出てきてからだね。できるだけ僕らで注意を引きつけるんだ』
『オトリ?』
『……平たく言えばそう。ごめんね』
『いいよ。ヘキサとミッチくん二人ともが気にしてるんじゃ、あたしだって気になるし』

 月花は龍玄に笑った――といっても、マスクがあるので表情は互いに分からないのだが。

 その場に留まっていてもその「白いアーマードライダー」に会える確率は低いので、二人は適当な方向に歩き出した。

『前々から思ってたけど、咲ちゃんって本当に碧沙と仲がいいんだね』
『うん。マブダチっ!』

 いぇー、と月花はVサイン。こういう小さい子ならではの所作にはほんわか機能が付いている、とはダンススクールの講師の談だ。少しでも光実の癒しになればいいのだが。何となく、このゲーム中の光実はピリピリしているようだったから。

『今回のこと、碧沙が出るから咲ちゃんも出てくれたんでしょ?』
『んー、まあ、そうなるのかな』

 言葉を濁しはしたが、碧沙が危険に飛び込むのであれば、咲も一緒に行きたいというのは、室井咲の偽らざる想いだ。

『本当は僕と碧沙とで何とかしようと思ったんだけど、あの子、一度決めたらテコでも変えないから……やっぱり、ごめん。碧沙が行くんなら君も来てくれるんじゃないかって、心の底で計算してた部分も確かにあった』
『ん、ごめんて言うなら、ゆるしてあげる。この話はこれでイッケンラクチャク』

 龍玄はほんの少し肩を竦めた。苦笑したのかもしれない。顔が見えないのはやはり不便だ。

 歩いている内に、彼らは開けた場所に出た。今まで歩いていた“森”とは異なり、普通の山の中の川のような場所だった。

『こんな場所もあるんだ―― !』

 龍玄がブドウ龍砲を構えて、月花より前に出た。
 3メートルとない正面に立っているのは、件の白いアーマードライダーだった。 
 

 
後書き
 咲の過去話~~~に行くかと思わせてのvsメロン兄さん。森の中ではなく、バロンとブラーボを倒した直後くらいの河原でついに邂逅です。

 光実は最近黒い部分が出てますが、我が家の光実は「ごめん」と言えるくらいには白黒合わせ持ってる感じを目指したいです。
 謝ってくれて、怒ってないなら、あとはもう「ゆるしてあげる」ですよね。個人的に「ううん、いいよ」よりも好きな言葉だったりします。 
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