少年少女の戦極時代
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第18話 “エンターテイメント”
黒影とグリドンは、ドリアンのアーマードライダーにこてんぱんに伸された。
全然いいとこなし、善戦とも言えない。ただただ一方的にいじられて遊ばれて倒されただけ。
変身が解けた初瀬と城之内はベルトだけ持ってほうぼうの体で河原から逃げて行った。
時々「本当のセンジョウ」「フクロヅメ」などよく分からないことを言っていたが、凰蓮の実力が自分らと桁違いなのは幼い咲にも分かった。
比べてしまったから、分かってしまった。
変身を解いた凰蓮がまた優雅に礼をする。ギャラリーから歓声が上がった。――気持ち悪い。
「あんた、こんなことして何になるんだ」
歓声の中、ただ一人険しい声を上げたのは、紘汰だった。
「今のは勝負にもなってないじゃないか。勝てると分かってる相手を人前で叩きのめして、そんなに楽しいのかよ」
そんな紘太の背中に励まされるものを感じた。咲は思い切って前に出て紘汰と並んだ。
「遊びにだってルールはあるもん。あたしたちも、あの二人も、ルールを守ってやってきた。それを、いきなり来てブチこわして。わかってないの、そっちじゃない」
すると凰蓮は呆れたようなしぐさをしてから。
「プロの世界のエンターテイメントは残酷なの。プレイヤーは全て血に飢えた観客たちへの供物。そこがアマチュアのアナタたちとの、チ・ガ・イ♡」
咲の心臓が大きく跳ねた。
――咲は知っている。凰蓮の言う通り、強者が弱者をいたぶり、叫ばせ、泣かせることが「エンターテイメント」になりうることを。知っているのだ。身をもって。
「冗っ談じゃねえ…!」
「っ、紘汰くんっ?」
「俺たちは誰も、笑われるためにステージに立ってるんじゃない!」
紘汰は咲の背中を押し、咲を連れてギャラリーを抜けていく。咲は連れられるまま、紘汰と共に河原を後にした。
「だー! 何っなんだあいつ。一体何様のつもりだっ」
紘汰はずかずかと河川敷を歩いていく。歩幅が足りない咲は小走りになって紘汰を追いかけた。
「インヴィットとレイドワイルドのリーダーたち……カワイソウ」
紘汰が歩みを止めて咲をふり返った。まずいことを言ってしまっただろうか。咲も立ち止まって、紘汰の視線を受け止めた。
「ああ……一番怒りてえのは、きっとあいつらだよな。俺なんか……見てただけ、だもんな」
彼の表情は寂しげだ。前のバトルでは、宿敵ともいえるチームバロンの戒斗さえ助けた彼だ。今回の件も気に病んでいるのかもしれない。
「あー、くそっ。何でケーキ作りの名人が俺たちなんかを目の敵にするんだ? 訳分かんねえ。ケーキ屋なら店でケーキ作ってりゃいいだろうが」
その時、咲の脳裏に閃くものがあった。
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